★ タバコ関連ニュース2005年 ★


2005/12/30 中国でマールボロ生産へ フィリップ・モリス  (共同通信ニュース速報)

【北京23日共同】23日付の中国各紙によると、米たばこ・食品大手アルトリア傘下のフィリップ・モリス・インターナショナルは22日、中国の専売公社に当たる中国煙草総公司との協力協定に調印、煙草総公司が来年上半期から「マールボロ」をライセンス生産することになった。
 各紙によると、中国は世界の消費量の約3分の1に当たる年間約1兆8000億本を消費する最大のたばこ市場だが、これまで外国企業の現地生産を許可していなかった。今後も合弁生産などは認めない方針。
 中国紙、新京報によると、煙草総公司はフィリップ・モリスにライセンス料を払って傘下の工場でマールボロを年間20億本生産、全国で販売する。また、スイスに合弁企業を設立、煙草総公司の海外進出の足掛かりにすることでも合意した。


2005/12/30 敷地の境、禁煙徹底 金沢医療センター 辰巳用水保護の灰皿「逆効果」  (北国新聞記事)

 敷地内禁煙の金沢医療センターは今月から、構内出入り口付近に唯一あった灰皿を撤去、患者に禁煙外来を勧めて誓約書もとるなど、禁煙徹底に乗り出した。同センターでは、禁煙の境界線上に当たる出入り口付近で喫煙する患者らが少なくなかった。そこで、すぐそばを流れる辰巳用水へのポイ捨てを防ぐため、付近に灰皿を設置したところ、喫煙場所として一般歩行者も呼び寄せる皮肉な結果を生んでいた。センター側は患者の健康と周辺の美観を守るためにはグレーゾーンは不要として、境界線に漂う紫煙の完全締め出しに躍起になっている。
 金沢医療センターは二〇〇四(平成十六)年一月一日、敷地内の全面禁煙を開始した。しばらくして、喫煙場所を求める患者や見舞客、出入り業者が、禁煙区域の境界にあたる出入り口付近に吸い寄せられ始めた。兼六園の曲水に取り入れられている辰巳用水に「吸い殻がポイ捨てされている」と、地域住民がマナーの問題を指摘。国の史跡指定を目指す用水を守るため、病院側はやむを得ず、今年一月に付近に灰皿一基を設置した。
 ところが、設置の結果、病院内からだけでなく歩行者や観光客まで、喫煙者がかえって増えてしまい、呼吸器疾患の患者から苦情が絶えなかった。
 喫煙の悪影響を受ける健康と美観をどう守るか、センターが九月に設けた禁煙検討委員会の結論は徹底した禁煙対策だった。今月十二日に灰皿を撤去、敷地内禁煙や周辺一帯が金沢市の伝統環境保存区域であることを知らせる看板を置いた。
 さらに、患者向けにチラシを作り、喫煙者の入院時に看護師がたばこの害などを説明、主治医も禁煙外来を紹介するなどの禁煙支援を始めた。医師によっては、入院患者に禁煙の誓約書を書いてもらう場合もあるという。
 同センター医局幹事の小室龍太郎医師は「継続して啓発活動を行って医療機関での禁煙は当然のことであるという風潮を広めたい」とするが、それでも用水への投げ捨てが続く場合、「用水にネットを張るなどの方法も検討せざるを得ないとの声もある」(西出一信管理課長)という。
 関係者によると、敷地内禁煙に取り組み、同じような問題に直面する県内医療機関は多いとされ、遠藤將光心臓血管外科医長は「禁煙対策のモデルケースとなるよう成功させたい」と話している。


2005/12/29 フランスでタバコ広告掲載紙に罰金 嫌煙権が認められる  (F1ライブcom記事

 夏にEUのタバコ規制法令が施行されたにもかかわらず、フェラーリ、B・A・RHonda、ジョーダンとルノーは2005年シーズン中、タバコ広告を掲載し続けた。このことがいくつかのフランスの出版物で問題となっている。カナダのメディア『TSN』によると、タバコブランドの記された画像を掲載した3つの新聞に対し、罰金の支払いが命じられたという。
その3紙とは『Le Point』、『Le Monde』、『Les Echos』のことで、"嫌煙権"をめぐる裁判で、それぞれ800から1,000ユーロ(約11万から14万円)の罰金に加え、訴訟費用と損害賠償の支払いを命じられた。罰金自体は比較的小額ではあるものの、今後、出版関係者は記事につける画像を選ぶ際に慎重にならざるを得ない。
またタバコ広告の話題に関連して、MotoGPの英雄、バレンティーノ・ロッシが乗る来シーズンのヤマハ・バイクに新たなスポンサーがつくことが明らかになっている。これはAltadis/Seita社のタバコブランド、ゴロワーズがスポンサーシップの終了を決めたことによるものだ。
F1では、フェラーリがフィリップモリスと長期契約を結んでおり、今後もマールボロ・カラーのマシンを走らせるという。また、Honda Racingもラッキーストライク・ブランドを2006年末まで使用する予定だ。チャンピオンチームのルノーも、引き続きマイルドセブンと2006年シーズンを戦うことになっている。
【写真】レースごとに装いを変えるフェラーリ


2005/12/29 人間ドック県費補助 喫煙者は対象外に/長野  (信濃毎日新聞記事)

 県や県教委などは、職員が受ける人間ドックへの県費補助制度について、来年4月から受診回数を増やす一方、たばこを吸う職員を補助対象外とする方針を決めた。田中知事は28日の記者会見で、喫煙者を補助対象外とすることについて、「規制をするのではなく、良い意味で(禁煙に)インセンティブ(誘因)を与えるということ」と述べ、喫煙者を減らすことが狙いと説明した。
 県職労、県高教組などでつくる県地方公務員労働組合共闘会議(地公労)は、「地方公務員法の『平等取り扱いの原則』に反する職員の差別的扱いに当たる」と反発。これに対し、県職員サポート課は「そういう論議は県内部ではなかった」としている。
 県は地方職員共済組合と公立学校共済組合が実施する職員の人間ドック事業に対し、経費の半額を補助している。来年4月から、在職中に受けられる回数(1人12−16回)を19回に拡大する方針を示している。
 一方、地公労はこの日、県側が来年4月から特殊勤務手当など諸手当や職員互助会への県補助の廃止を提案し、県ホームページなどで内容を公表したことについて、「一方的で誠意のない対応」とし、知事あてに抗議書を提出した。記者会見した中島武議長は、各種手当について、「その都度、県当局と話し合い、合意してきたもの」とし、「まずいというなら、もっと丁寧な話し合いをするべきだ」と主張した。


2005/12/23 路上禁煙違反に“罰金”名古屋市が来年度から  (中日新聞記事)

 名古屋市は22日、名古屋駅、栄、金山、藤が丘の市内4地区で実施している路上禁煙地区の違反者に対して来年度から、過料を徴収する方針を固めた。他都市の例にならい1000−2000円になる見通し。今年3月から罰則なしで路上禁煙を訴えてきたが成果が上がらず、“罰金”が必要と判断した。過料徴収は東海地方の都市部で初めて。
 路上禁煙は「安心・安全で快適なまちづくりなごや条例」に基づき3月17日に施行。違反した喫煙者に2万円以下の過料を科すとしているが、実際は徴収していない。警察OBらで構成する指導員が巡回、「禁煙地区」を知らせる路面表示やポスターの掲示でPRしている。
 市は区域内での喫煙者率や捨てられた吸い殻数による判断基準を定め、9月下旬から定点調査を続けていた。今月末までの調査では条例施行前に比べて大きな改善は見られず、過料徴収が必要と判断した。
 過料徴収には十分な周知期間をとるという議会との合意があり、市民への周知を徹底した上で実施する。このため実施時期は6月以降になる可能性がある。徴収逃れを許さないために、指導員も大幅増員する。
 全国では東京都千代田区や千葉県市川市が2000円、札幌、広島市が1000円を徴収している。静岡市では今月、ぜんそくの持病があり「歩きたばこ禁止条例」の制定を求めて署名活動をしてきた地元中学1年の男子生徒が、市議会の委員会で請願の趣旨を説明、全会一致で採択され、歩きたばこ問題が関心を集めた。


2005/12/23 札幌、条例効果で歩きたばこ9割減  (北海道新聞記事)

 中心部での歩きたばこなどを禁じた「ポイ捨て防止条例」を八月から施行した札幌市で、施行前に比べ、歩きたばこが九割、吸い殻や空き缶などのポイ捨てが八割近く減少したことが二十二日、同市の実態調査で分かった。市は条例の効果の表れと評価している。
 調査は十一月二十七日に、同市中心部の喫煙制限区域内の四カ所で、歩きたばこをしていた人の数と、歩道上のごみの数を調べた。
 その結果、歩きたばこをしていた人は計九十五人。計八百六十四人を数えた昨年七月の調査から89%減少した。市は、調査当日の歩行者数や季節が違うため厳密な比較はできないが、減少は明らかとしている。
 また、吸い殻など歩道上のごみの数は計二百六十五個。昨年は計千七十五個で75%減少した。
 同条例は、道内で初めて市街地に喫煙制限区域を設け、歩きたばこやポイ捨てを禁止。十月から違反者に過料(罰金)千円の罰則の適用を始めた。


2005/12/21 「1本10円上げでもよかった」=たばこ増税で小泉首相が本音  (時事通信ニュース速報)

 「1本5円、10円上げてもよかった」。小泉純一郎首相は21日夜の与党の税制調査会幹部との会談の席で、2006年度税制改正で1本1円引き上げたたばこ税についてこう語った。健康対策などに充てるためには、大幅な引き上げが望ましかったとの本音をもらしたものだ。
 首相は「諸外国ではたばこは500円、600円する。日本でも禁煙が浸透してきているし、500円くらいにしたらいい」と指摘した。これには、自民党内切っての財政再建論者の柳沢伯夫税制調査会長もさすがに、「それは慎重な議論が必要です」と苦笑いしていた。


2005/12/20 マイルドセブン広告で罰金 F1写真掲載の仏紙に  (共同通信ニュース速報)

【パリ20日共同】パリの軽罪裁判所は19日、日本のマイルドセブンなどたばこの広告付きの服を身に着けた自動車レース、F1の関係者の写真を掲載したとして、夕刊紙ルモンドと経済紙レゼコー、週刊誌ルポワンの3社に計2800ユーロ(約39万円)の罰金支払いを命じる判決を言い渡した。フランス公共ラジオが伝えた。
 フランスではたばこの広告が禁じられており、欧州連合(EU)も今年7月末からEU域内での新聞、インターネットなどメディアを通じたたばこ広告を全面禁止している。
 ルモンドは3月20日と翌21日付の紙面でF1のルノーチームの写真を掲載。メンバーの服装にマイルドセブンのロゴが付いていた。レゼコーとルポワンも同様にマイルドセブンや米国たばこのマルボロのマークが付いた服を着たレーサーらの写真を掲載した。
 また判決は、3社に対して、非営利団体「非喫煙者の権利」に計2800ユーロの損害賠償を支払うよう命じた。3社を訴えていた同団体によると、ほかにも同様の裁判が5−6件係争中という。


2005/12/20 米10代の喫煙と飲酒は減少も、鎮痛剤乱用は増加  (CNN記事)

 ワシントン──10代の喫煙と飲酒、違法薬物の使用が減少傾向にある一方で、医療目的以外の処方鎮痛剤の乱用が増えていることが、米国立薬物乱用研究所(NIDA)が19日に発表した調査結果で明らかになった。
NIDAは、米国立保健研究所(NIH)、ミシガン大学と協力し、2004年から今年にかけて、全米402の公私立学校の生徒8年生、10年生、12年生(それぞれ日本の中2、高1、高3に相当)4万9347人を対象に調査、回答を得た。
調査は1975年から毎年実施、質問項目は喫煙と飲酒、違法薬物、処方鎮痛剤についてで、それぞれ(1)これまでの人生、(2)過去1年間、(3)過去1カ月の使用状況を尋ねている。
その結果、2004─05年にかけ、喫煙については過去最低水準になったほか、飲酒とマリフアナなど違法薬物の使用が減少した。
喫煙については、これまでに1度でも吸ったことがあると答えたのは、8年生で2%、10年生で1.7%、12年生で2.8%減少。過去1年間に飲酒したことがあると回答した生徒は、8年生で2.7%、10年生で1.5%、12年生では2.1%減だった。
一方で、処方箋(せん)が必要な鎮痛剤について、医療目的以外の使用の増加傾向が明らかになった。特に、12年生による鎮痛剤の使用が顕著となっている。過去1年間にある鎮痛剤を使った比率は9.5%で、前回調査に比べ0.2ポイント増えた。


2005/12/20 中国人男性の死亡原因、12%が喫煙と関連  (中医ドットコム記事)

 儀礼的にタバコが勧められるぐらいのタバコ王国である中国。2005年11月に北京で行われた「北京論壇公共衛生分壇」で英国オックスフォード大学の流行病学研究センターの陳●明教授が、中国でのタバコの喫煙率についての全国調査結果を発表している。
 まず、中国の喫煙者の50%はタバコが原因で慢性疾患を引き起こし死亡し、さらに喫煙者の15.8%の人がなんとか命を永らえているが、それでも喫煙により寿命が8年から10年縮まっているとしている。非喫煙者を含む中国人男性全体では12%が喫煙が原因で死亡しているとしている。
 もし35歳から44歳の間に禁煙に成功したらまだ自身の体への影響は少ないが、45歳から54歳の間にやっと禁煙に成功した場合、最悪余命が6年ほどに縮まる可能性もあると指摘している。
 この研究では、中国疾病予防コントロールセンターの支持のもとで、中国国内の10の都市の50万人の市民を対象に喫煙に関する調査を行った。
 地域は主に東側の沿海地域と西部の内陸部。この中で、男性の平均喫煙率は80%で、地域によっては90%に達するところもあることが分かった。またハルビンなどでは女性の喫煙率が他地域よりも高いという現象も明らかになった。
 陳●明教授によれば、このままの傾向が続くと、2010年までに中国人男性のうち毎年100万人が喫煙が原因で死亡し、2025年までにはその数は200万人に増加、2050年には300万人になるだろうと警告している。(●:かねへんに争)
 いずれにしろ、早急な対策が必要なのは確実で、さらに間接的な喫煙の危険性についてももっと討論される必要があるだろう。


2005/12/20 「タクシー全面禁煙望ましい」 東京地裁、国に対応促す (朝日新聞記事)

 タクシーでの受動喫煙に悩む乗務員と利用者計26人が、「車内の喫煙を防止する措置を国が怠ったことで健康被害や精神的苦痛を受けた」として、国を相手に計1360万円の賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁であった。柴田寛之裁判長は請求自体は棄却したが、「タクシーの乗車時間や利用頻度を考えると、全面禁煙化しても支障は生じない。禁煙を望む利用者の立場に立つと、全面禁煙化が望ましい」と指摘。国に対応を促した。
 原告側は「判決は踏み込んだ見解を示しており、実質勝訴だ」と評価、控訴しない方針だ。勝訴した国側は控訴できないため、タクシーの全面禁煙化を促した判決が確定する見通し。
 柴田裁判長は「車内で喫煙が禁止されていないことは、まず労使の間で問題とされるべきだ」と指摘。「国がタクシー禁煙化に向けて行政指導する義務を負っていると理解するのは困難だ」と請求棄却の理由を述べた。
 その一方で、判決は「事業者には、受動喫煙の危険性から乗務員を守る安全配慮義務があるのに、タクシーは他の公共交通機関に比べて禁煙化が著しく遅れている」と指摘した。副流煙による乗務員の健康への影響も「見過ごしがたい」としたうえで「事業者任せでは早急な改善は難しい。禁煙タクシーの普及に向けて国の対応が期待される」と述べた。
 〈国土交通省の話〉当方の主張が認められた公正、妥当な判決と考えている。


2005/12/20 タクシー、「全面禁煙望ましい」――受動喫煙訴訟で東京地裁判決 (日経ネット記事)

 「国がタクシー車内の喫煙を防止しなかったため、受動喫煙で健康被害を受けた」などとして、タクシー乗務員や利用客計26人が計1360万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁であった。柴田寛之裁判長は「禁煙タクシーの利用を望む人の立場に立つと、タクシーの全面禁煙化が望ましい」との判断を示した。
 タクシーの受動喫煙を巡る全国の同種訴訟のうち、全面禁煙の必要性を認めた司法判断は初めて。
 判決は、請求そのものは「国には車内喫煙を許容した事業者を規制する権限も、行政指導する義務もない」と棄却したが、原告らは「実質勝訴だ」として控訴しない方針。主文で勝訴した国側は控訴できず、判決は確定する見通し。


2005/12/20 タクシー禁煙訴訟で原告敗訴、だが「禁煙望ましい」 (読売新聞記事)

 国が適切な指導を怠ったため、タクシーの禁煙化が進まず、受動喫煙で健康被害を受けたなどとして、首都圏のタクシー運転手と利用者26人が国に計1360万円の賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁であった。
 柴田寛之裁判長は「国にはタクシーを禁煙にする規制権限はない」として、請求を棄却した。
 ただ、「タクシー内は分煙が不可能な狭い密閉された空間で、受動喫煙が乗務員の健康に及ぼす影響は看過しがたい。全面禁煙化が望ましい」と述べた。
 タクシーは個々の事業者が約款で定めれば、禁煙車にできるが、国土交通省によると、今年3月末現在、国内のタクシーのうち禁煙車は約2%。
 原告側は、「タクシー会社は喫煙家の利用が減るのを恐れ、禁煙車を増やすことに及び腰だ」として、国の規制を促すため訴訟を起こしていた。


2005/12/20 事業者に煙害配慮義務 タクシー訴訟で東京地裁 (共同通信ニュース速報)

 たばこの煙で健康を害したのは、タクシー車内を禁煙とする措置を怠ったからだとして、東京都内の個人タクシー運転手や利用者ら計26人が、国に総額1360万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の柴田寛之裁判長は20日「国には原告の主張するような規制権限はない」として請求を棄却した。
 一方で判決は「タクシー事業者は乗務員に対し、受動喫煙の危険性から健康を守るよう配慮すべき安全配慮義務を負う」と指摘。「タクシーはほかの公共交通機関に比べ禁煙化が著しく遅れている。事業者の自主性に任せていたのでは早急な改善は困難だ」として、禁煙化が進まない現状を厳しく批判した。
 原告側は「実質勝訴」と評価し、控訴せず判決を確定させる方針。
 判決はまず、国に賠償責任があるとするには、国民の利益のため規制権限を行使する義務が前提として必要だと指摘。国にはこうした権限はなく「タクシー内での禁煙は、まず事業者と乗務員との安全配慮義務との関係で問題とされるべきである」として損害賠償請求は認めなかった。
 しかし(1)分煙不可能な密閉された車内で乗客の煙を恒常的に吸わされることによる健康への影響は見過ごせない(2)事業者間の競争力低下への懸念などから、禁煙タクシーの普及は著しく遅れている(3)禁煙タクシーを望む利用者の立場に立つと、全面禁煙化が望ましい−などと言及した。
 原告側は、タクシー運転手をしていて動脈硬化になったり、客として新鮮な空気を吸う権利を侵害されたとして、昨年7月に提訴した。


2005/12/20 全面禁煙化が望ましい=運転手らの賠償請求棄却−タクシー受動喫煙訴訟・東京地裁 (時事通信ニュース速報)

 タクシー内を禁煙にする措置を怠ったため、受動喫煙で健康被害を受けたとして、東京都内の運転手と利用客計26人が国に計1360万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の柴田寛之裁判長は20日、請求を棄却する一方、「健康への悪影響は見過ごせず、全面禁煙化が望ましい」と述べた。 原告側は「実質的な勝訴」として控訴しない方針。 柴田裁判長は「国が事業者に禁煙化の措置を取るよう規制、指導する権限や義務を負うとは認められない」として原告の主張を退けた。一方、タクシー会社の責任について「受動喫煙から乗務員を保護する安全配慮義務を負っている」と認定した。 また、タクシーの禁煙化は他の公共交通機関に比べ、著しく遅れているとして、「業者の自主性に任せても改善は困難で、国の適切な対応が期待される」と述べた。 訴えたのは、1988年に「禁煙タクシー」第1号となった運転手安井幸一さん(72)ら乗務員3人と利用客。国はタクシー会社に指導、監督すべき義務を怠ったとして、1000万〜10万円の賠償を求めてい
た。 2003年5月施行の健康増進法は、施設管理者などに受動喫煙防止の努力義務を規定しているが、原告側によると全国のタクシー約27万台に占める禁煙車の割合は約2%という。


2005/12/19 目立つ首相のひと声決着 自民、あきらめムードも (共同通信ニュース速報)

 2006年度予算編成に向けた新規国債発行30兆円枠や医療制度改革の焦点となっていた診療報酬引き下げ、2006年度税制改正など政策課題をめぐり、小泉純一郎首相の「ひと声」で決着するケースが目立っている。
 9月の衆院選圧勝により首相の求心力が一気に高まり、首相に何かと注文を付けていた“抵抗勢力”も自民党外に去ったためで、譲歩を余儀なくされた関係省庁や自民党内にはあきらめムードも漂う。ただ、中身の議論より見た目、数字上のつじつま合わせを優先させているとの批判もくすぶっている。
 首相は06年度予算新規国債発行額を30兆円に近づけるよう11月半ばに閣僚に指示。その後、財務省は関係省庁に予算削減を強く迫り、与党税調は曲折を経ながらもたばこ税、酒税などで実質2兆円超の増税路線を敷いた。
 首相は19日、記者団に新規国債発行が30兆円を切ったことを「良かった。国債発行を減らせという総論賛成に各論で応えないといけない」と強調。安倍晋三官房長官は同日の記者会見で「首相が(就任後)最初に掲げた(新規国債発行枠)30兆円を切ることができたのは良かった。首相の強い意志により達成することができた」と、首相の指導力を評価した。
 一方、公的医療保険から医療機関などに支払われる診療報酬は、安倍氏と川崎二郎厚生労働相らの折衝の結果、3・16%の引き下げ幅で決着。ここでも首相は診療報酬本体の下げ幅を過去最大とするよう指示したのを踏まえ、安倍氏が“裁定”を下して押し切った。
 与党の税制改正大綱取りまとめでも、自民党税制調査会はいったんたばこ税引き上げを見送る方向で検討に入った。ところが、首相から「100円でも200円でも上げたらいいじゃないか」と指示を受けていた自民党の中川秀直政調会長が議論をひっくり返し、1本1円のたばこ増税を実現した。


2005/12/18 人 受動喫煙をなくしたい 歩きたばこ禁止条例制定を静岡市議会に請願した中学1年生 大石 悠太(おおいし ゆうた)君(12) (熊本日日新聞記事)

 「何度も練習してきた。思いは伝わったのではないか」。歩きたばこを禁止する条例の必要性を静岡市議会の委員会で説明する大役を終え、ほっとした表情を浮かベた。
 たばこの害に関心を抱くようになったのは小学四年生の初夏。レストランで食事の際、近くにいた客のたばこの煙でぜんそくの発作を起こし、せっかくのごちそうが一口ものどを通らなかった。
 その年の夏休みからたばこの害について研究を開始。路上禁煙を条例で定めている自治体をアンケートし、過料などの罰則が効果的なことなどを調べた。これまでの研究成果は約六百ページ、ファイル五冊分に上る。
 中一としては小柄できゃしゃだが、「受動喫煙をなくしたい」という情熱と行動力は大人顔負けだ。小泉純一郎首相には「なぜ悪いことだらけのたばこを売るのか」とメ一ルで質問した。初めて罰則付きの条例を定めた東京都千代田区には、足を運んで話を聞いた。
 条例制定に向けた請願も、静岡市中心街で行ったアンケ一トがきっかけ。回答した五十二店すべてが条例制定に賛同、協力するようになり、実行委員会設立へと支援が広がった。
 街頭や実行委などを通じて二カ月で集めた約二万四千人分の署名を添えた請願書を、十一月に同市議会に提出。中学生の熱い思いに、議会は全会一致の採択で応えた。
 「一日も早く路上喫煙がなくなるようこれからも活動を統ける」。バイオリン演奏と囲碁が趣味。両親との三人家族。静岡市出身。


2005/12/17 たばこ増税 紫煙の行方 重税時代まだ口火 (東京新聞記事

 与党の税制改正大綱が決まり、たばこの税率が土壇場で引き上げられた。二年前に続いての増税だが、最初に児童手当引き上げありきで、その“財源”として標的になった。一方で、定率減税全廃、消費税アップなど大増税時代への足音は大きい。たばこ税は取りやすいところから取る、というパターンだが、同じ構図は今後も続きそうで−。
 「やることがセコいよね。この程度の値上げでは、たばこをやめる人は少ないと見越したうえで、増税をしようとしている。国民の健康なんか本気で考えているんじゃないんだから」
 JR品川駅の喫煙コーナーで、紫煙をくゆらせていた喫煙歴三十年の製薬会社社員(53)はこうぼやき、続けた。「二百七十円を二百九十円にしたところにずるさを感じる。もっと値上げして禁煙する人がたくさん出たら、税金を取り損なうわけだから」。杉並区の会社員(44)からは「増税? 喜んでいますよ」と意外な返事が返ってきた。もっとも「私じゃなく、カミさんがね。『これでお父さんがたばこをやめてくれれば』って」。
 葉巻をたしなむ編集者の石川次郎氏は「たばこ増税は、非喫煙者が賛成するのはもちろん、『子どもたちのために使う』と言われればスモーカーも反対できない。『児童手当引き上げには賛成するし、税金も払うから、たばこを吸わせてほしい』という気持ちに追い込まれる。うまいことを考える」と皮肉った。
 なぜ今、たばこが増税の標的にされるのか。
 医療経済研究機構が二〇〇一年度に行った調査によると、喫煙によってかかる医療費は一兆三千億円以上にも上り、国民医療費の4・2%を占めている。さらに喫煙は五兆八千億円分の労働力を失わせていると推計している。
 大阪府立健康科学センターの調査によると、禁煙を試みた人の六−七割が途中で挫折している。「たばこがさまざまな疾患の原因であることは周知の事実なのに、自分の意志で禁煙することは難しい。とすれば喫煙者に何らかのきっかけを与えることで禁煙を促すことが必要だ」と同センターの担当者は指摘する。
 その一つは、ニコチン依存症を病気ととらえ、治療に当たる体制を整えること。厚生労働省は来年度から、医師による禁煙指導を公的医療保険の対象にする方針で、この点では対策が講じられることになった。
 もう一つは値上げで購買意欲をそぐことだ。小泉首相もたばこ増税について、「たばこをやめることができ、健康にもいい。税収増にもつながる」と記者団に語っている。しかし、増税による喫煙率の減少には専門家から早くも疑問の声が上がっている。というのも購買意欲をそぐほどの値上げではないからだ。
■『500円なら考える』
 禁煙広報センターの調査では、価格が五百円になれば禁煙する人は51・2%に達するが、三百円では4・3%だ。大阪府立健康科学センターの担当者も「禁煙行動に結びつくのは一箱五百円が境。二十円程度の値上げでは、定収入のある社会人の禁煙を促すまでの効果は疑わしい」と話す。
 禁煙問題の専門家は「二十円というのはいかにも物足りない。国民の健康・医療のための政策的な値上げというより、税収だけが目的の増税とみられても仕方ない」と訴える。どうやら「たばこをやめることができ、健康にもいい」という首相の説明は、取りやすいところから税金を取るための方便にすぎないようだ。
 では、今回の値上げでたばこの役回りは−。
 「私はたばこを吸わないけど」と前置きしながら、経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう語る。
■児童手当…けむに巻き
 「公明党の『メンツ』のため、児童手当の引き上げが決まり、財源には直接関係のないたばこを使う。政治的駆け引きというブラックボックスだ」
 経済評論家の森永卓郎氏も「困ったときのたばこ税。いつもの手法」と指摘する。「たばこを吸ってる人なんて、という世論を背景にたばこの増税は理念なく使われてきた。逆に戦後、物価上昇を理由にたばこが値上がりしたことはない」
 たしかに一九九八年にも旧国鉄の長期債務処理の財源に、たばこ増税が充てられた経緯がある。ただ、こうした「理念のなさ」はたばこ増税に限らない。今回の自民党税調の答申全般に通じると森永氏は話す。
 「増税の柱である定率減税の全廃だが、これは法律違反だ。というのも、九九年の導入時に将来の撤廃の条件として、景気回復とともに税制の抜本改革を挙げている。しかし、その抜本改革は来年度回しだ」
 そもそも定率減税は法人課税の引き下げ、高額所得者の最高税率引き下げとセットで導入された。この二つは今回手つかずだ。加えて「プチバブル」ながら株式売買益への課税もわずか10%にとどまっている。
 それゆえ、荻原氏は「結局、庶民いじめの増税だ」と断じ、エコノミストの紺谷典子氏は「小さな政府を目指すのなら歳出のみならず、歳入すなわち税収を抑えるのが常識。借金があるというが、責任はだれにあるのか。それを問わず、ただサラリーマンに付け回しをしている。『恒久的な減税』の恒久を無視している」と批判する。
 自民党は九月の総選挙前に増税をうたった政府税調答申を批判し、「サラリーマン増税はしない」と公約していた。選挙後も、谷垣財務相の消費税率引き上げ発言の後、「一部の税関係者が増税、増税と言っているが(彼らは)形を変えた抵抗勢力」(竹中総務相)、「安易な増税はしない」(武部幹事長)とそろって大見えを切ってきた。
 「今回の増税劇には私も責任を感じている」と森永氏は声を沈める。「政府税調の報告書が出た際、『これはすごい増税だ』と各種のメディアにコメントした。配偶者控除、特別扶養控除なども廃止される中身だった。それらは今回の党税調では継続となった。結果『小泉首相のおかげで税負担が減った』という印象がまかり通っている」
 荻原氏も「詐欺ではないか」と気色ばむ。「政府税調は首相の諮問機関。党税調も選挙の大勝で、首相の鶴の一声がまかり通る。結局は首相の自作自演だ」
 さらに「自民党は定率減税の半減は選挙前に決定済みで、全廃してもサラリーマン増税ではないとしている。だが、半減の時は『半分だけだから』と頭を下げておいて、選挙に勝ったら全廃ってあつかましさにも程がある」と憤激する。
 紺谷氏は「ずるい小泉手法にはもう驚かない」と冷めた口調だ。「国債発行額三十兆円以内という政権公約を破ったときも、あの首相は『大したことではない』と言い切った。こんな増税程度は朝飯前でしょう」
 国税庁の調査では、民間の平均給与はこの六年間、マイナスが続いている。さらに年金保険料、医療費負担も軒並み上がり、階層格差は広がる一方だ。
 消費税率の引き上げ論議も年明けには始まる。荻原氏はこう警告する。
 「今回の増税は三段跳びで言えば、まだ“ホップ”の段階。配偶者控除や給与所得控除の撤廃、消費税、団塊の世代の退職金課税と重税の本番はこれからだ」


2005/12/17 マタニティーマークを公募=妊産婦に気配りを−厚労省 (時事通信ニュース速報)

 厚生労働省は17日までに、交通機関の座席確保など妊産婦に優しい環境づくりを進めるため、マタニティーマークを制定することを決め、デザインの公募を始めた。妊産婦本人が身に付けたり、受動喫煙の防止策を行っている飲食店など、妊産婦に配慮している施設に掲示したりして理解を求める。 


2005/12/17 税制大綱―改革の道筋が見えない (朝日新聞ニュース速報)

 「まだ、なんとかなるさ」。そんな本音が透けて見えるようだ。与党がまとめた06年度の税制改正大綱は、抜本的な改革論議をそっちのけにして、目先の問題に終始した。
 それでも負担増の規模は2兆円に達する。財政が抜き差しならぬところにあることを物語っている。
 与党の姿勢を象徴するのが、たばこ増税だ。引き上げ幅は1本1円で、増税分は児童手当を拡充する財源に充てる。
 日本のたばこの値段は英米よりもはるかに安い。周囲の人の健康も損なうこともあり、私たちは「ひと箱1000円だっていい」とすら主張した。少子化対策として児童手当の拡充は必要だとも考える。
 だからといって、今度のようなやり方は支持できない。
 税制は経済や社会全体を踏まえて設計されるべきであり、公平、公正であるのが基本だからだ。取りやすい所から取るという安易な考えでは、この先に控える大がかりな税制の見直しなど望めない。
 児童手当の財源についても、まずは高齢者に向けられていた分を回すなど、社会保障費の枠の中でのやりくりを考えるべきではないか。
 政府税調は6月、個人所得税の負担を軽くしてきた給与所得控除の縮小・廃止を盛り込んだ報告書をまとめた。
 それが東京都議選で民主党などの批判にさらされたことから、総選挙で自民党は「サラリーマン増税の考えは採らない」と火消しに追われた。
 その一方で、06年度予算での新規国債発行額は30兆円に抑え込む、という目標を小泉首相は掲げている。これを達成するには、新たな増収策が欠かせない。
 たばこ増税は、そうしたなかでの妥協の産物というほかない。
 一方、所得税と個人住民税を対象とした定率減税は打ち切られる。99年に導入された景気対策の減税策に終止符を打つものだが、これ自体は昨年のうちに決まっていた路線である。
 06年の半減に続き、今回は残った分を07年に廃止することを打ち出した。国民の負担は、両年の措置で計3.3兆円増える計算だ。
 あわせて、大綱は「経済状況に弾力的に対応する」として、景気が失速した場合には減税を続ける余地も残した。消費などへの影響は小さくない。全廃に踏み切る際には経済の現況や先行きを慎重に見極めるべきだろう。
 経済財政諮問会議は、歳出と歳入の一体改革の具体策づくりに乗り出す。それなのに抜本的な改革論議は、政府・与党では事実上封印されたままだ。
 谷垣財務相や与謝野経済財政担当相は税制論議に踏み込もうとしたが、竹中総務相らが異を唱え、小泉首相の支持も得られなかった。
 しかし、小泉政権での税制改正はこれが最後になるはずだ。次の首相を目指す人々は、明確な構想を示さなければならない。


2005/12/17 たばこ:吸う人は吸わぬ人より脳卒中の危険率1.5倍 /青森 (毎日新聞青森県版記事)

 ◇県立保健大、卒業研究で報告
 たばこを吸う人が脳卒中になる危険率は、吸わない人より1・5倍以上高い――こんな調査結果が16日、県立保健大学(青森市)の卒業研究発表会で報告された。「危険率」の研究は全国でも珍しく、研究グループの嵯峨井勝教授(環境保健学)は「脳卒中の予防に役立つ」と期待している。
 嵯峨井教授のグループは、慶応大教授らが作成したシミュレーションソフトを使い、県内5町村の男女3868人が10年以内に脳卒中にかかる危険率を計算した。
 健康診断で明らかになった(1)血圧(2)総コレステロール値(3)善玉コレステロール値――などを、年齢や性別、喫煙経験などとともにソフトに入力し、計算した。
 その結果、これまでも知られていた通り、高血圧の人ほど危険率が高いと示されたほか、同じ血圧の人同士では、喫煙者の危険率が明らかに高いことが分かった。男性で1・5倍以上、女性で1・8倍以上の高さだった。
 本県は脳卒中の死者が多いことで知られる。嵯峨井教授は「これまで住民基本健診を受けて『個々の値が高い』と言われても、受診者は何も感じなかったと思う。ソフトの計算で、脳卒中になる危険率が分かれば、健康推進の動機付けにも有効ではないか」と話している。


2005/12/16 かぶと町だより JTがさえない (共同通信ニュース速報)

 JTがさえない。自民、公明両党が15日決定した来年度の税制改正大綱に、たばこ税の引き上げが盛り込まれたことを嫌気した。たばこ1本当たりの増税額は85銭で、収益への影響は限定的との見方も。ただ、「医薬、食品などたばこ以外の事業の強化が早急に必要だが、その道筋はまだ不透明」(大手証券)との指摘があった。


2005/12/16 米金融・債権だより=WSJ たばこ債に支援材料 (共同通信ニュース速報)

 アルトリア・グループ傘下のたばこ大手フィリップ・モリスUSAがイリノイ州最高裁から大きな勝利を与えられたことで、15日の債券市場で、たばこ健康被害訴訟の和解金を償還財源とする地方自治体発行の「たばこ債」の相場が小幅上昇した。同債にとって、州最高裁の判断は心理的に大きな支援材料になる。
 州最高裁は、フィリップ・モリスがマールボロ・ライトとケンブリッジ・ライトを一般のたばこより安全と主張し、喫煙者を欺いたとした同州下級審(州裁)の判断を覆し、州裁に差し戻した。
 JBハノーアー・アンド・カンパニー(ニュージャージー州パーシパニー)の地方債アナリスト、リチャード・ラーキン氏は「心理的に大きな出来事だ」とし、2003年の下級審判決は、たばこ債を相場の下落、格付けの低下、事実上の発行停止へと追い込んでいたと指摘する。
 1998年に、たばこ会社が総額2460億ドルを支払う和解に応じた46の州の一部は、年数をかけて和解金を受け取るのではなく、資金を一度に手にするため、受け取る予定の和解金を担保にした証券を発行した。証券化は、金融市場で資金を調達する方法の1つで、いずれ回収される債権をまとめ、それを裏付けにした債券を発行して資金を直ちに得る手法。債権によって裏付けされているが、回収リスクは債券保有者が分散して負うことになる。
 03年春のイリノイ州裁判決が、控訴する場合にはフィリップ・モリスは120億ドルの保証金(ボンド)を供託しなければならないとしたため、たばこ債市場は大混乱に陥った。その後、たばこ債の格付けが引き下げられ、事態はさらに悪化した。たばこ債の格付けは投資適格級の最低段階、ないし投機的等級(ジャンク級)に引き下げられた。
 フィッチ・レーティングスのディレクター、ジェフ・プラックアップ氏は「(今回のイリノイ州最高裁の判断は)間違いなくたばこ債市場の助けとなる。過去1年間のように(格付けを受けるたばこ債が)相次いで発行されるだろう」と予想する。
 フィッチはその後、州裁高裁の判断はアルトリアと国内たばこ業界にとって「極めて前向きなものだ」とする見解を発表した。
 市場関係者によると、イリノイ州最高裁判決の後、たばこ債相場は全般的に0・25−0・5ポイント上昇した。ただ、取引は比較的薄かった。
 こうした楽観的な見方があるものの、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、たばこ債の格付け見通しを「引き続き『ネガティブ』(引き下げ含み)」としている。同社はその理由の1つとして、たばこ健康被害訴訟の和解の正当性をめぐる訴訟が6つの州で係争中であることを挙げている。
▽米国債
 米国債相場は遅くなって下げ渋り、前日と同じか小幅安で取引を終えた。朝方は景気の強さを示す経済指標を嫌って売られたが、正午に発表されたフィラデルフィア連銀の景況調査が予想を下回ったことを手がかりに、午後は買い戻された。
 トレーダーによると、いくつかの大型商業モーゲージ担保証券(CMBS)の発行が進んでいることや、売り持ち筋の買い戻しも、終盤の相場回復につながったもよう。JPモルガン・セキュリティーズの42億ドル規模のCMBSなどで発行条件の決定(プライシング)が見込まれている。
 朝方に発表された消費者物価指数や鉱工業生産指数は景気の強さを裏付ける内容で、米国債はかなりの売りを浴びた。しかし、フィラデルフィア連銀の景況指数が12・6と、市場予想の14・0を下回ると、売りは次第に姿を消した。
 米東部時間午後4時現在、指標銘柄の10年物国債の利回りは4・470%(前日4・448%)、30年債利回りは4・678%(同4・654%)だった。(ニューヨークDJ=共同、ウォールストリート・ジャーナル紙クレジット・マーケット)


2005/12/14 歩きたばこ禁止、中1の願い結実 市長ゴーサイン (静岡新聞記事)

 「静岡市歩きたばこ禁止条例」の制定を求める請願が市議会11月定例会市民委員会で採択されたことを受けて、市は13日、来年の市議会6月定例会での条例制定を目指す方針を明らかにした。小学生のころからたばこの害についての自由研究を続け、同条例の制定を求めてきた市立安東中1年の大石悠太君(12)のこの3年間の活動がようやく実を結ぶことになった。市議会事務局は「中学生の請願は初めてではないか」と話している。市は周知期間を経て、来年9月ごろに条例を施行させる考え。
 小嶋善吉市長は同日の定例会見で「15日に開かれる11月定例会本会議で採択されることになるだろう」との見通しを示し、担当者が具体的な条例制定に向けたスケジュールについて報告した。
 大石君は、「たばこは子供や妊婦の健康に影響を与え、火のついたたばこを持ち歩くのは危ない。吸い殻のポイ捨ては街の美観を損なう」と訴え、条例の制定を求めた。
 市が条例制定の方針を固めたことについて、大石君は「夢がかなうことになり、本当にうれしい」と喜んだ。さらに世相を象徴する『今年の漢字』に『愛』が決まったことを例に、「この条例が、静岡市に愛を与えることを願います」と感想を述べた。
 大石君は小学4年生の時、たばこの煙でぜんそくの発作を起こしたことをきっかけに自由研究を始めた。今年6月には、葵区の中心商店街でアンケートを実施し、賛同者を募ったほか、10月には同級生や医師、市議らと一緒に2万4000人分の署名を集めた。


2005/12/14 喫煙者の半数「1箱500円なら禁煙」、千円なら7割 (読売新聞記事)

 小売価格で1本1円のたばこ増税を政府・与党が14日決めたが、1箱(20本)当たりの価格が今の倍近い500円に上がれば、喫煙者の半数がたばこをやめようと考えていることが、民間の調査でわかった。
 国は医療費抑制のための生活習慣病対策の柱に喫煙率低下を掲げているが、そのためには大胆な値上げ策が必要なようだ。
 民間組織の禁煙広報センターが今月上旬、喫煙者2000人にインターネットでアンケートした。
 今後の禁煙の可能性として、55%が「値上げ」を挙げた。価格別では、1箱400円なら24%、500円で51%、1000円なら73%が禁煙すると答えた。
 1か月のたばこ代は平均約8500円、一般的なたばこ(270〜280円)を1日1箱吸った計算になる。喫煙が習慣になった年齢は88%が「24歳未満」と答え、法律で禁止されている「19歳以下」も35%いた。
 値上げによる禁煙効果は、購買力の低い未成年に特に効果的とされる。大島明・日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長は「日本のたばこは先進国のなかでも最も安い。イギリス並みの1箱1000円まで引き上げるべきだ」としている。

→禁煙広報センターの発表したプレスリリース


2005/12/14 たばこ1箱550円なら喫煙者半減? ネットアンケート (朝日新聞記事)

 たばこ増税をめぐる与党の議論が大詰めを迎えているなか、喫煙者へのインターネットによるアンケートで、価格が1箱550円なら50%以上が禁煙に踏み切る可能性の高いことが分かった。
 調べたのは、星城大学リハビリテーション学部の川俣幹雄・助教授ら。9月から10月にかけ、インターネットのモニター登録者から無作為抽出した20代から60代の1385人(男性7割)から回答を得た。回答者は、1箱20本(平均280円)の紙巻きたばこを1日平均21本吸っていた。
 1箱300円から100円きざみで価格を示し、禁煙するかどうかを聞いて統計計算した。一番やめにくかった20代でも、430円で25%が、550円で50%が禁煙すると推定された。全体では430円で31%、550円で56%だった。
 たばこ値上げによって喫煙者が減るという研究はこれまでもあるが、喫煙者が半減する価格が550円と具体的に出たのは初めてという。
 川俣さんは「喫煙人口が半減すれば健康上有益で医療費の節減が期待できる。高いほどいいとはいえ、550円は意味のある価格だと思う。それでも欧米より安い」と話している。


2005/12/14 <たばこ増税>民主党は1本20円引き上げ案 (毎日新聞記事)

 民主党税制調査会(古川元久会長)は14日の党「次の内閣」会合で、06年度税制改正について、たばこ税の税率を1本あたり20円引き上げることなどを柱とした中間報告を行った。増収分はがんなどの難病対策にあてる考え。このほか、(1)個人所得課税の定率減税廃止に反対(2)道路特定財源は一般財源化し、揮発油税・石油ガス税の暫定税率を廃止(3)二酸化炭素の排出企業などに炭素1トンあたり1万円程度の地球温暖化対策税(環境税)導入――などを掲げた。


2005/12/13 CDC調査 米国の喫煙率20.9% 全州で日本より低く (東京新聞記事

 米国の喫煙率は二〇〇四年、20・9%に減ったことが米疾病対策センター(CDC)の調査で分かった。〇三年は21・6%で、毎年1ポイント弱低下している。喫煙率が低い州は、ユタ州(10・5%)、カリフォルニア州(14・8%)、コネティカット州(18・1%)で、高い州はケンタッキー州(27・6%)、ウェストバージニア州(26・9%)、オクラホマ州(26・1%)、テネシー州(同)。日本の喫煙率は男46・9%、女13・2%で、低下傾向にあるものの、米国のどの州よりも高い。


2005/12/12 禁煙ガイドライン 「喫煙は病気」歯科も指導 (読売新聞記事

 禁煙のコツ教えます――。日本循環器学会など9学会が、禁煙ガイドライン(指針)を作成した。個人の趣味や嗜好(しこう)の問題とみなされがちな「喫煙」を、ニコチン依存症と肺気腫(きしゅ)などを引き起こす「病気」と位置づけ、治療の対象とした。肺がんや心臓病など、喫煙との関係がよく知られた病気だけでなく、妊娠など女性の体や、歯の健康への影響も盛り込まれている。(田村良彦)
 日本人の喫煙率は成人男性46%、女性14%。他の先進国と比べ男性はとりわけ高く、女性も比較的低いとはいえ、若い世代で増加傾向にある。年間30万人が死亡するがんの3分の1は、喫煙が関係しているとされるほか、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などの危険性を高める。国も、禁煙を生活習慣病の予防策の柱に掲げている。
 指針は、禁煙治療を一部の専門家が行うだけでなく、一般の医師、歯科医師が、普段の診療を通じて指導することで、喫煙率の低下につなげるのが狙いだ。
薬物治療と行動療法
 禁煙治療は、薬物治療と行動療法が2本柱になる。
 たばこをやめるのを手助けする禁煙補助薬には、一般の薬局で買えるニコチンガムと、医師の処方せんが必要な張り薬のニコチンパッチがある。たばこの代わりに一定期間ニコチンを体内に補給し、禁煙した際のイライラなどの禁断症状を和らげる。
 行動療法は、「目覚めてまず一服」といった生活パターンを変える、たばこの代わりにお茶を飲んだり歯磨きしたりで気を紛らわせる、など吸わないための対処法だ。主な例を抜粋した(表)。
女性の健康と禁煙
 指針では、心臓病や呼吸器、未成年への影響と並び、女性の喫煙対策を掲げた。
 女性は男性に比べ、同じ喫煙本数でも強いニコチン依存になりやすく、悪影響が強く出る恐れがある。妊娠中の喫煙は胎児に影響を及ぼし、妊娠中に禁煙を始める場合はニコチン代替療法のパッチやガムが使えない難しさもある。
 妊娠前に禁煙することが重要で、不妊治療を行うなら禁煙が前提だ。女性、妊産婦の禁煙の効果を表に掲げた。
歯科での禁煙治療
 医師だけでなく歯科医師の役割も盛り込まれた。
 喫煙は口にできるがんの原因となるほか、歯肉の血流が悪くなって菌が増殖することなどで歯周病を悪化させる。
 禁煙治療を行う歯科はまだ少ないが、福岡歯科大口腔(こうくう)保健学教授の埴岡隆さんは「虫歯などで様々な人が訪れる歯科では、早期に禁煙指導ができる利点がある」と強調する。
 喫煙で黒くなった自分の肺を見ることはできないが、色素が沈着して黒ずんだ歯肉の様子は分かる。「目に見える口の中の変化を歯科医師が指摘することで、禁煙の動機付けにもなる」(埴岡さん)。
 指針作成には、岐阜大循環器内科教授の藤原久義さんを班長に、循環器、公衆衛生、呼吸器、産科婦人科、小児科、心臓病、肺癌(がん)と、歯科医師が中心の口腔衛生、口腔外科の9学会が参加した。男性医師の喫煙率は20%超と先進国の中でも高いだけに、医療者自身の禁煙への取り組みも問われそうだ。

 指針は、たばこ規制推進のための緊急提言もまとめた。
 未成年の喫煙防止のため、簡単にたばこを買えないよう自動販売機の撤廃を求めた。また、公共の場での受動喫煙防止には全面的な禁煙が必要で、教育現場では学校の敷地内禁煙が重要とした。
 日本のたばこ価格は欧米諸国に比べ半額から数分の1程度と安く、広告も自主規制で、雑誌や新聞などでは広告できる部分規制にとどまっている。パッケージの警告表示も、写真入りの外国に比べると弱い。藤原さんは「価格も広告規制も欧米の水準に近づけるべきだ」と話している。


2005/12/10 長野新幹線「あさま」全面禁煙 ホームも完全分煙化 (信濃毎日新聞記事)

 長野−東京間を走る長野新幹線「あさま」で10日、車両内全面禁煙が始まった。長野市のJR長野駅新幹線ホームには2カ所のガラス張り喫煙室も設けられ、完全分煙化が図られた。
 8両編成のうち、喫煙車両だった自由席の3号車と指定席の6号車の入り口や、乗車待ちの位置を示すホーム上の表示などが禁煙マークに変更。構内放送や電光案内でも全面禁煙化の説明が流れた。
 1歳と3歳の子どもを連れ、東京方面に向かう長野市の女性(36)は「子どものためにも歓迎です」。これまで喫煙車両だった3号車前に並んだ。一方、東京から着いた男性会社員(37)は1日2箱は吸うと言い、「たまたま乗ったのが全面禁煙かと思った。これからすべて駄目なんですか…」と戸惑いながら、駅構外に出て早速たばこをふかしていた。


2005/12/ 8 空気のおいしい店を認定/長野  (南信州サイバーニュース記事

 平谷村のパン工房「カントリーブレッド・グランマ」(後藤敦子オーナー)と阿南町富草のレストラン「旬菜厨房しゅふふ」(小林ふくみ店長)がこのほど、店内を終日禁煙にしている「おいしい空気のお店」として県に認定された。認定証の交付式は7日、飯田市追手町の飯田保健所で行われた。
 「たばこによる害のない信州」の実現を目指す県が初めて実施。基準対象は▽店舗内で終日禁煙をしている▽入り口などからたばこの煙やにおいが流入しない▽店舗内が禁煙であることを表示している―の3点で、県内の飲食店41件が認定を受けた。
 1月に開店したグランマは、25平方メートルほどの店内に販売と10席ほどの飲食スペース、厨房を配置。店内に漂うパンの香りを大切にしたいと、店内を全面禁煙にしているほか、玄関外にも喫煙コーナーを設けない配慮をしている。
 しゅふふは地元の主婦3人の手で4月にオープン。ヘルシーな家庭料理をバイキング形式で楽しむもので、来店客への配慮として開店当初から禁煙にしている。喫煙する人も同店の考えに理解を示し、外の喫煙スペースを利用しているという。
 「扱っているものが裸の食材なので、においは特に気になる」とグランマのパン職人、後藤洋子さん(48)。来店客の理解もあり、しゅふふの小林店長(同)は「ありがたい。(来店客に)いい香りの店と言ってもらえるのがうれしい」と話していた。
 交付式では、佐々木隆一郎同所長が洋子さんと小林店長に県のキャラクター「オハジョナ」を描いたステッカー2種類と、パンフレットを交付。「たばこに気を使っている店は、食べ物にも気を使っている」とし、「今後もおいしい料理を提供してもらいたい」と激励した。
 認定された飲食店は県ホームページで紹介している。また、認定の申し込みは随時行っている。詳細は県衛生部健康予防課健康増進ユニット(電話026・235・7155、FAX026・235・7170、電子メールhokenyob@pref.nagano)へ。


2005/12/ 8 民主、たばこ税増税しガン対策に 来年度税制改正で素案  (NHKニュース速報)

 民主党は、来年度の税制改正について、たばこ税を一本あたり二十円増税し、その税収をガン対策に充てることなどを盛り込んだ党の考え方の素案をまとめました。
 それによりますと、▽焦点の定率減税の取り扱いをめぐって、自民党税制調査会が、再来年以降、すべて廃止する方針を固めたことについて、与党側は、先の衆議院選挙の公約では触れておらず、公約違反だとした上で、景気への影響も踏まえて認められないとしています。
 また、▽道路特定財源は、自動車重量税などについて暫定的に高い税率をかけている「暫定税率」を廃止した上で、一般財源化するとしています。
 その上で、「ガン対策」と「地震対策」に力点を置いた税制にすべきだとしています。
 具体的には、たばこ税を一本あたり二十円増税することで、現在は一箱二百七十円のマイルドセブンなどを六百七十円に値上げし、これによって見込まれる一兆六千億円程度の税収を、「ガン対策」にあてるとしています。
 さらに、「地震対策」では、耐震強度の偽装問題を踏まえ、耐震診断や、耐震強化のための改修などにかかる費用の一部を控除の対象にするとしています。
 民主党は、この素案をもとに、さらに具体的な内容を詰めた上で、来週、正式に来年度の税制改正についての党の考え方を決めることにしています。


2005/12/ 7 シカゴ市議会、喫煙禁止条例案を可決  (ロイター通信ニュース速報)

[シカゴ 7日 ロイター] シカゴ市議会は7日、喫煙禁止条例案を可決した。バーでの喫煙は2008年半ば頃まで認められるが、一部の例外を除き公的な場所での喫煙を全面的に禁止するというもの。
 シカゴ市はこれまで受動喫煙対策をとってこなかった。全面的禁煙が導入される2008年7月1日まで、レストラン付属のバーのほか居酒屋などでの喫煙は認められる。
 条例は1月16日に施行されるが、タバコ屋、プライベートクラブ、プライベートロッジ、一部のホテルの客室や民家での喫煙も許されている。
 ニューヨークやカリフォルニアなど米国の多くの都市や州では、バーやレストランを含め、屋内での喫煙はほとんど禁止されている。昨年はアイルランドで、パブを含む職場での喫煙を禁止する法律が施行された。
 自ら喫煙者であることを告白しているある市議会議員は、条例には賛同するとしながらも、冬の寒さ厳しいシカゴで喫煙者を屋外に追いやることについては疑問を投げかけている。
 同議員は、「(冬の気温は)マイナス29度を下回る。それなのにみんな屋外で喫煙している。肺炎で死んでしまうよ」と述べた。
 同条例をめぐり多くのバーおよびレストランオーナーなどと米国癌学会などの公益団体との間では、意見が対立している。


2005/12/ 6 たばこ税上げに向け気勢 自民有志ら、税制改正で  (共同通信ニュース速報)

 2006年度税制改正で自民党厚生労働部会などが要望しているたばこ税の引き上げに関して、同党有志議員と、厚生労働省の健康増進政策の普及啓発に協力している「健康日本21推進全国連絡協議会」メンバーとの意見交換会が6日、国会内であり、税率引き上げに向けて気勢を上げた。
 自民党からは、武見敬三参院議員らと先の衆院選で当選した83会のメンバーらが参加。杉村太蔵衆院議員が「臭い、汚い、格好悪い、金がかかる、などの言葉を『たばこ3K』として、若者が喫煙を敬遠するようなイメージ戦略を進めてはどうか」と喫煙者減少に向けて提案すると、他の参加者からも「中途半端な引き上げではだめだ」「喫煙者は値上げなど外的要因がないとたばこをやめられない」などと意見が出た。


2005/12/ 6 健康施策充実へたばこ増税を=自民新人議員らが気勢 (時事通信ニュース速報)

 健康増進施策の財源確保策として、来年度税制改正でたばこ税の増税を実現しようと、先の衆院選で初当選した新人ら自民党議員有志が6日、参院議員会館で「たばこ課税に関する意見交換会」を開いた。杉村太蔵議員が「たばこは、臭い、汚い、金がかかる『3K』と若い人に言われている。若年者の喫煙対策に(たばこの)悪いイメージを活用することが大事」と提案するなど、気勢を上げていた。 この会は、同党税制調査会の動きをにらみ、武見敬三参院議員や土屋正忠衆院議員が呼び掛けて実現。新人議員が積極的に発言し、「自身の喫煙経験から、たばこをやめる環境をつくらないとやめられない」(小野次郎衆院議員)、「たばこ税は半分が地方税であり、地方自治振興にもつながる」(土屋氏)と、増税を強く求める意見が相次いだ。 もっとも、たばこ製造業界や農家など利害関係者が多いだけに、新人議員の勢いがどこまで通じるか−。


2005/12/ 6 中学生の「歩きたばこ禁止条例」請願、議会委員会が採択=静岡市 (時事通信ニュース速報)

 たばこの煙によるぜんそく発作の経験から、歩きたばこ禁止条例制定に向けた活動を続けてきた静岡市立安東中学1年の大石悠太君(12)が6日、市議会市民委員会で、条例制定に関する請願を行い、委員会は請願を全会一致で採択した。15日の本会議でも採択される見通し。 条例案作りには時間を要することから制定時期は未定だが、この日の請願採択により、中学生の切実な訴えは条例制定に向けて大きく前進した。 大石君は請願の趣旨説明の中で「たばこを吸いながら歩いている人が前にいると、後ろに残る煙で、ぼくはぜんそくの発作を起こしてまう。信号を待つ間に吸われると、息を止めなくてはいけないので苦しい」などと、副流煙の危険性を指摘した。


2005/12/ 6 「歩きたばこ禁止して」 中1の訴え市議会が採択  (共同通信ニュース速報)

 歩きたばこはとても迷惑です。条例で禁止してください−。ぜんそくの持病があり、歩きたばこ禁止条例の実現に向け署名活動に取り組んできた静岡市立安東中学1年の大石悠太君(12)が6日、静岡市議会の市民委員会で請願の趣旨を説明、全会一致で採択された。
 市議会事務局は「中学生の請願は初めてではないか」と話し、15日の本会議でも採択は確実という。1人の中学生の生の訴えが、条例制定へ大きく前進させた格好だ。
 この日、やや緊張した面持ちで演壇に立った大石君は「火の付いたたばこを手に歩くと子供の顔の高さになり、やけどしてしまう」と危険性を指摘。「生まれ育った大好きな静岡が快適で楽しい町になるよう、条例を制定してください」と力強く訴えた。


2005/12/ 5 米、カナダで全客室禁煙 ウェスティン、1月から  (共同通信ニュース速報)

【ニューヨーク5日共同】米ホテル大手ウェスティン・ホテルズ・アンド・リゾーツは5日、来年1月から米、カナダ、カリブ海諸国で運営する77すべてのホテルで客室やレストランなど公共スペースを禁煙にすると発表した。同社は禁煙措置をここまで拡大した米大手ホテルチェーンは初めてとしている。
 AP通信によると、チェックイン前に全面禁煙について説明し、違反者には200ドル(約2万4000円)の罰金を宿泊料金に上乗せし、禁煙を徹底する。喫煙者は屋外か同ホテルが管理していないレストランならば喫煙できる。


2005/12/ 5 消防団屯所が全焼=年末警戒の会議、火の不始末?−香川  (時事通信ニュース速報)

 4日午後10時ごろ、香川県坂出市府中町の同市消防団屯所から出火、鉄骨2階建て約60平方メートルを全焼した。出火当時は無人だったが、数時間前に団員が2階でたばこを吸うなどしており、県警坂出署は火の不始末が原因の可能性もあるとみている。 けが人はなく、1階車庫の消防車両も駆け付けた団員が戸外に出して無事だった。  調べによると、同消防団府中分団員8人が同日午後5時−7時の約2時間、屯所2階で会議。年末警戒活動の打ち合わせなどの間、石油ストーブを使用したり、たばこを吸ったりしていたという。 その後、団員らは施錠して帰宅。近所の人が火災に気付き通報した。


2005/12/ 5 がん予防研究最前線1 喫煙率抑制が健康に直結  (熊本日日新聞記事)

 国内のがんによる死者は年間約三十万人。死因の三分の一を占め、死亡率の低減が急務となっている。最近は治療だけでなく、がんにならないための予防研究も活発になってきた。
 がんは食事や生活習慣のほか、遺伝や化学物質など、さまざまな要因によって発生すると考えられているが、今の日本で最大の発生原因となっているものは何か―。専門家が口をそろえるのが、たばこの悪影響だ。
 米ハーバード大が一九九六年にまとめた疫学研究に基づく推計では、米国人のがんの原因の30%はたばこで、食事と並んで第一位。遺伝(5%)や環境汚染(2%)、食品添加物・汚染物質(1%)を大幅に上回った。
 日本でも同様の研究を厚生労働省研究班が進めており、国内で行われた八つの大規模疫学研究を総合評価。年間に何らかのがんと診断される約四十八万人のうち、喫煙率の高い男性を中心に七万―十万人が禁煙によって予防可能という研究結果をこのほど公表した。
 たばこには多くの発がん物質が含まれ、アスベスト(石綿)より毒性が強いとの報告もある。研究班主任研究者の津金昌一郎国立がんセンタ一予防研究部長は「がん予防は効果が不明なものも多いが、喫煙率を抑える努力が日本人の健康に直結するのは間違いない」と対策の重要性を訴える。
【写真】「喫煙は、肺がんの原因の一つ」などと注意が書かれたたばこの包装


2005/12/ 5 「喫煙対策改善を」公共施設など191施設調査 関東管区行政評価局/埼玉  (埼玉新聞記事)

 関東管区行政評価局は四日までに、埼玉を中心とした公共施設と百貨店、飲食店などでの喫煙対策の実態調査結果を公表、関係機関に通知し改善を求めた。
 調査対象は国の機関四十二、郵政公社の施設五、地方公共団体と民間事業者の施設百九十一(計二百三十八)施設。五月から十一月までに実地調査した。
 国の機関については、全面禁煙が十四機関、空間分煙が二十八機関(四合同庁舎)だった。喫煙場所百十一カ所のうち、仕切りや屋外への排気設備が不十分で、人事院の指針を満たしていない喫煙場所が七十一カ所(64%)を占めた。このうち改善計画がなく具体的な検討もされていない喫煙場所は十カ所(14%)あった。
 国以外の機関の来場者向けの喫煙対策は、禁煙が六十三施設(32%)、喫煙場所を設置しているのが百三十二施設(68%)。このうち喫煙コーナーはあるが、受動喫煙防止対策通知(厚生労働省健康局長)に適合していないものが八施設、三十一カ所あった。
 ところが国以外の機関の従業員・職員向けの喫煙対策は全面禁煙が九施設(29%)と利用者向けより3ポイント少なく、六十一カ所の喫煙場所のうち三十四カ所(56%)が新ガイドラインが示す適切な喫煙対策を満たしていなかった。従業員向けの対策が遅れている傾向が表れた。
 一方、今年五月三十日から九月三十日までの間にeメールで募集した喫煙対策に関する情報(苦情・意見)には四百四十二件が寄せられ、このうち健康増進法第二十五条の対象外の「路上」の禁煙化を求める声が百十二件(25%)あった。


2005/12/ 2 病院の客待ちタクシー、禁煙車限定の動き広がる  (日経ネット記事

 病院に乗り入れる客待ちタクシーを、禁煙車に限定する動きが出てきた。「せっかく治療に来たのに、帰りのタクシーでたばこの煙やにおいが残っていては」と、来院者の健康に配慮する狙いからだ。一昨年施行された健康増進法を追い風に、病院側も看板を設置するなど周知に努めているが、禁煙車の絶対数が少ないなど課題も多い。
 東京都港区の虎の門病院は、来年1月4日から、客待ちタクシーを禁煙車に限定する。同病院の1日の外来患者は3000人以上。帰宅はタクシーという人も少なくない。


2005/12/ 1 長野県庁に喫煙小屋がお目見え でも…「外で吸いたい」  (asahi.com記事)

 長野県は1日、県庁の敷地内に屋外喫煙所を設置した。れんが造りの洋風小屋をイメージしたおしゃれな建物で、群馬県の企業から無償で借りた。県は1年前、全国の都道府県で初めて敷地内の全面禁煙に踏み切った。ところが、昼休みなどに路上でたばこを吸う職員が続出。周辺住民から苦情が出ていた。
 初日から早速、多いときには15人ほどの職員で混雑。広さは10平方メートル足らずで、職員は「頭がくらくらする。外で思いっきり吸いたい」と充血した目で話していた。


2005/12/ 1 「喫煙者は雇いません」 WHO、職員雇用で新政策  (共同通信ニュース速報)

【ジュネーブ1日共同】たばこを吸う人は雇いません−。世界保健機関(WHO)は1日、喫煙者を雇用しない政策を導入した。たばこが健康に有害であることを訴える国連専門機関として、政策の一貫性と「反たばこ」のイメージ強化を狙う。
 WHO当局者によると、職員の新規採用で喫煙者を排除するのは国連諸機関でWHOが初めて。
 WHOは、喫煙を原因とする疾患で毎年世界中で500万人近くが死亡していることを挙げ「たばこの害を減らす運動の先頭に立つ機関としての責任を雇用面でも果たさなければならない」としている。
 WHOは1日から就職希望者への質問項目に「あなたは喫煙者ですか」「喫煙者の場合、WHO就職後も喫煙を続けますか」の2項目を付け加え、両方とも回答が「はい」の場合は申請を直ちに却下する。就職後に「うそ」が発覚した場合は処罰の対象とする。
 WHOは喫煙する現職職員にも禁煙を勧めており、本部は当然、全面禁煙になっている。


2005/11/30 自・公が来年度税制協議 タバコ税上げも重点検討項目に  (NHKニュース速報)

 自民・公明両党はきょう、来年度の税制改正に向けた協議会を開き、所得税と住民税の定率減税や今年度で期限が切れる法人税の軽減措置の扱いに加えて、たばこ税の引き上げも重点的な検討項目として議論していくことを決めました。
 自民・公明両党は、来月十五日にも、与党としての税制改正大綱をとりまとめることにしており、きょう両党の税制調査会の幹部が議論の進め方を協議しました。
 その結果、▽さ来年以降、すべて廃止する方向が強まっている所得税と住民税の定率減税や▽今年度で期限が切れる法人税の軽減措置の扱い▽老朽化した住宅の耐震改修にかかる費用の一部を税額から控除する税制の優遇措置を導入するかどうか、それに▽原料や製造方法などによって複雑になっている酒税の体系の見直しなどを重点的に検討していくことを確認しました。
 さらに公明党は、これらに加えて、たばこ税について、たばこによる健康被害が医療費の増大の一因になっているとして、大幅に引き上げるよう求め、自民党も、今回の税制改正で重点的な検討項目として議論していくことに同意しました。


2005/11/29 タバコ増税、見送りの方向=06年度、「目的化」に異論−自民税調  (時事通信ニュース速報)

 自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は28日、2006年度税制改正でのたばこ税の引き上げを見送る方向で検討に入った。生活習慣病対策の財源などとして引き上げを求める動きが出ていたが、「目的税的な議論はおかしい」(税調幹部)といった慎重論が相次ぎ、さらに議論する必要があると判断した。 同党では厚生労働部会が、生活習慣病対策や消費抑制を目的に、たばこ税の増税を要望している。税調は部会要望を受けて議論を進めるが、税調始動前に行われた非公式幹部会で「(政府税調で議論するなど)手続きを踏むべきだ」といった意見が出たほか、別の幹部議員からも生活習慣病対策に充てるとの目的化に対して「筋が悪い」との声が上がり、06年度の引き上げは困難な見通しとなった。 ただ、たばこ税増税は、公明党が主要検討項目の1つとして議論する方針を決めているため、与党税制協議会で調整が難航する可能性もある。 たばこ税収は、03年度決算で約2兆2700億円。たばこ1箱(270円)の約6割(158円)がたばこ税となっている。


2005/11/27 <行動選択>メリット選ぶ時の神経細胞が脳の線条体に存在  (毎日新聞ニュース速報)

 過去においしい料理を食べた店に入る場合のように、多数の行動の選択肢の中から、経験上最もメリットの大きいものを選ぶ時に働く神経細胞が、脳の線条体という部位にあることを、京都府立医大と国際電気通信基礎技術研究所(京都府精華町)のチームがニホンザルを使った実験で初めて突き止めた。25日、米科学誌「サイエンス」で発表する。
 ◇京都府立医大などが初めて解明
 同じ仕組みは人間にもあるとみられ、木村実・府立医大教授(神経生理学)は「他人とどう付き合うかなど、人間が行動を決める際の脳のメカニズムの解明や、将来は喫煙や薬物依存などやめようとしてもやめられない行動の治療にも役立つだろう」と話している。
 実験では、レバーを左右に倒せば一定の確率でジュースが出る装置を作成。サルに使い方を教え、ジュースが出る確率を左右別々に1、5、9割と変化させ、サルの脳のどの部分が活発に活動しているかを調べた。
 その結果、レバーを左に倒した時にジュースが出る確率を高くしていくと、サルは次第に左にばかり倒すようになり、レバーを倒す直前に脳の線条体の神経細胞の一部が強く活動していた。逆に左を5割に固定し、右を1割から順に高くすると右倒しが増えるが、左に倒した時に活動していた神経細胞の働きは変化せず、線条体の別の神経細胞が活動していた。
 木村教授は「脳は試行錯誤を経て、左右のどちらを選べば大きなメリットがあるか判断する。その計算過程に線条体が深くかかわっている」と説明している。


2005/11/25 禁煙治療に保険適用 ニコチン依存 病気と位置づけ  (朝日新聞記事

 厚生労働省は8日、医師による禁煙指導を「治療」と位置づけ、公的医療保険の給付対象とする方針を固めた。禁煙指導の促進により、喫煙率は今後15年間で最大、男性26%(03年は47%)、女性9%(同11%)程度まで下がると同省研究班は試算。肺がんをはじめ、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中などの生活習慣病を引き起こすとされる喫煙を減らすことで、15年後の医療費は少なくとも約1846億円抑制できるとみている。(深町あおい、蔭西晴子)
 禁煙はこれまで個人の意志や努力の問題とみられてきたが、「ニコチン依存症」という病気に対する治療ととらえて、積極的な対策に乗り出す。
 9日の中央社会保険医療協議会(中医協)で提案する。保険を適用する治療内容を検討し、06年4月の実施をめざす。
 対象は、禁煙治療プログラムを受けたいと希望する人で、ニコチン依存度テストで「依存症」と判定された人。同省のモデルでは、2または4週間に1回通院してカウンセリングを受けるほか、肌にはったパッチからニコチンを吸収する置換療法を受ける。約3カ月で初診も含め計5回ほどの通院を想定している。
 これまでも、一部の病院が独自に「禁煙外来」を設けていたが、保険の対象ではないために全額が患者負担で、1カ月あたり3万〜4万円かかっていた。保険の対象になれば、3割の窓口負担(70歳以上は1〜2割負担)で済むようになる。
 次期医療制度改革で厚労省は、生活習慣病対策で中長期的に医療費の伸びを抑制する方針を打ち出しており、禁煙治療促進はこの一環。導入によって医療費は当初は増えるものの、生活習慣病や肺がんが減るため、8年目から減少に転じると研究班では試算している。
 欧米ではすでに、ニコチン依存症を「繰り返し治療することで完治しうる慢性疾患」ととらえる動きが広がっている。英国では99年から禁煙治療を保険の対象としているほか、米国でも民間保険会社の8割超が禁煙のための薬剤費などを保険給付の対象にしているという。日本では、日本循環器学会など9学会が保険適用を要望していた。


2005/11/24 読売社説[タバコ税]「引き上げ論には一理がある」  (読売新聞社説

 巨額の財政赤字の削減に、政府がもっと目を向けていい税がある。増税しても経済活動に与える悪影響が少ない酒、たばこなど嗜好(しこう)品に対する課税だ。
 与党の一部から、たばこ税の引き上げ論が浮上している。他の先進諸国に比べ、日本の税率は格段に低い。政府・与党の大勢は、引き上げに消極的だが、真剣に検討してはどうか。
 代表的な銘柄のたばこ小売価格(20本入り1箱)は、今年1月現在で日本のマイルドセブン270円に対し、イギリスが982円、フランスが621円だ。米国はニューヨーク市で736円、ヒューストン市で376円となっている。日本の安さが突出している。
 外国で高いのは、高率のたばこ税がかかっているためだ。
 日本の税は、たばこ税と消費税を合わせて171円だが、イギリスは758円、ニューヨーク市は428円を税金で占めている。
 今年度のたばこ税収は、国と地方を合わせ約2兆2000億円と見込まれている。仮に税率を倍に引き上げ、消費量が変わらなければ2兆円以上、消費税率1%分に近い増収を期待できる。
 平成に入ってたばこ税の増税は3回実施された。しかし、旧国鉄職員の年金債務の穴埋めなど、予算のつじつま合わせに利用されることが多く、本格的な増税は実施されていない。
 たばこが肺気腫(きしゅ)、心筋梗塞(こうそく)、肺がんなどの原因の一つになることは医学的に実証され、箱にも記載されている。増税で消費量が減れば、結果として医療費の削減につながる可能性が高い。
 政府が本格増税に消極的だったのは、消費減に伴って山間部に多い葉タバコ農家や、零細な小売り事業者の生活が苦しくなると考えたため、とされる。何らかの配慮は必要としても、財政や国民の健康といった大きな観点に立った政策を阻害することがあってはならない。
 厚労省は先にまとめた医療制度構造改革試案に、禁煙など生活習慣病予防対策を盛り込んだ。喫煙率の引き下げに目標値を設定し、啓発活動を展開する。
 日本たばこ産業によると、日本人の今年6月現在の喫煙率は男性46%、女性14%で29%に達する。男性は毎年下がっているが、女性はわずかに上昇した。
 増税で価格を上げることは、未成年者の喫煙防止にも効果があるはずだ。
 自民党の厚生労働部会は、たばこ税の増税を党の税制調査会に要望した。その税収は健康増進対策に充てるというが、使途の特定は予算の硬直化を招く。あくまで一般財源として扱うべきだ。


2005/11/24 タバコ増税は総合的に検討 財務省事務次官会見  (共同通信ニュース速報)

 財務省の細川興一事務次官は24日の記者会見で、与党内に浮上しているたばこ税の増税について「小売価格に占める税負担の割合、消費動向、諸外国の動向、財政事情など総合的に勘案して検討していく」と指摘。
 生活習慣病対策に充てる考えについては「受益と負担の割合をどうするのか、新たな特定財源を創設することなど、幅広い観点から検討することが必要。来年度の党税調がこれから始まるところで、議論の推移を見守っていきたい」と述べ、慎重に対応する考えを示した。


2005/11/23 自民税調、タバコ増税を検討へ 06年度税制改正  (朝日新聞ニュース速報)

 自民党税制調査会は22日、年末にまとめる党の06年度税制改正で、たばこ税の増税を検討する方針を固めた。税率の上げ幅などは28日から始まる党税調で議論する。複数の党税調幹部が朝日新聞の取材に明らかにしたもので、「税収が落ちない程度の(税率の)上げ幅をどう設定するかを検討したい」などと述べた。
 たばこ税の増税は、生活習慣病対策などの観点から党厚生労働部会や超党派の議員連盟が要望していることもあり、議論は進みそうだ。喫煙抑制につなげて医療費を抑制する狙いもある。厚労部会などでは、税収分の一定割合を生活習慣病対策などに充てる計画だが、財務省は使途を限定することに難色を示している。
 これに関連し、与野党の国会議員約70人でつくる「禁煙推進議員連盟」(会長=綿貫民輔・国民新党代表)は22日、たばこ1本あたり約10円値上げすることを自民党税調などに要望することを決めた。実現すると1箱(20本)で約200円の値上げになる。


2005/11/22 「禁煙議員連盟」タバコ税10円程度引き上げ 実現働きかけ  (NHKニュース速報)

 禁煙を訴える超党派の国会議員らが会合を開き、禁煙を推進するため、一本あたり、およそ八円のたばこ税を、十円程度引き上げるべきだという認識で一致し、来年度の税制改正で実現できるよう働きかけていくことになりました。
 喫煙による健康被害を防ぐため、禁煙の必要性を訴える超党派の国会議員らでつくる「禁煙推進議員連盟」は、きょう、国会内で会合を開きました。
 この中で、会長をつとめる綿貫前衆議院議長は、「たばこがひと箱五百円以上になれば、喫煙をやめると考える人が七十%いるという調査結果もある。禁煙は世界の潮流であり、健康増進のため更に広めていきたい」と述べました。
 これを受けて、議員連盟は、喫煙率を低下させ、同時に未成年の喫煙を防止するには、たばこ税を引き上げることが有効な手段だとして、具体的には、一本あたりおよそ八円の今のたばこ税を、十円程度引き上げるべきだという認識で一致しました。
 議員連盟としては、来年度の税制改正で実現できるよう、それぞれ、所属する党の中で働きかけていくことにしています。


2005/11/21 「機内喫煙の乗務員解雇は正当」  (中央日報記事

  ソウル高裁特別6部は、飛行中に機内で喫煙したという理由で解雇された航空会社の乗務員キム氏(44)が「解雇は行き過ぎた処分」として中央労働委員会を相手取って起こした訴訟で、原告敗訴判決を下したと21日、明らかにした。
裁判部は「原告が、機内安全規則順守違反行為を統制しなければならない乗務員の職務を違反して喫煙した事実が認められる」と明らかにした。 キム氏は03年4−5月、機内で3度喫煙した事実が摘発され、同年10月に解雇されたが、これを不服として訴訟を起こした。
 一審では、ソウル行政裁が今年1月、「喫煙したのは過ちだが、勤労関係を持続できない程度の責任があるとは見がたい」とし、原告勝訴判決を下した。


2005/11/21 ロッカー室を分煙化に/来季札幌ドームで実施  (北海道日刊スポーツ記事

 日本ハムが来季から「煙害対策」をスタートすることが20日、分かった。これまで喫煙可能だった本拠地札幌ドームの選手ロッカー、サロンを分煙化する予定。喫煙しない選手からの強い要望もあり、球団側から選手サイドへ働き掛けることになった。高田GMは「分煙する方向で進めていきたい」と方針を説明した。
 ようやく世間の時流に乗ることになった。ベンチ裏の選手スペースは、ほぼ全面喫煙可能だったが、改善を決定。本拠地を移してから2年、非喫煙選手は悲鳴を上げていた。ロッカー内に喫煙場所は設置されているが、空間の仕切りはなく煙は充満。試合後に帰宅する際には私服に臭いがつくほど、タバコに悩まされている選手が多かった。特に日本ハム1軍選手の喫煙率は、関係者によれば「7割」ほどと高いこともあり、早期の環境改善に乗り出すことになった。


2005/11/20 禁煙したくてもできない…喫煙者7割「依存症」  (産経新聞記事

 喫煙者の7割が深刻なニコチン依存症に陥る一方、その6割が禁煙願望を持つことが19日、大阪府立健康科学センター(大阪市)の中村正和健康生活推進部長(予防医学)の調査で分かった。
 中村部長は6月、喫煙者を対象に調査を実施、20−70代の1666人(男性872人、女性794人)の結果を分析した。
 調査では「禁煙や本数減に失敗したことがあるか」「健康問題が起きると分かっていても吸うことがあったか」など10項目の質問を行い、5つ以上「はい」がある人を依存症と診断した。
 調査の結果、男性は67.1%、女性は67.8%、全体では67.4%が依存症と判明。禁煙願望を持つのは、非依存症で36.8%に対し、依存症では62.1%となり、特に女性で70.3%と高い数字になった。
 禁煙を試みた経験では、非依存症の42.2%に対し、依存症の人は70.6%に上り、禁煙したくてもできない依存症の深刻さが浮き彫りになった。
 一方、過去1年間に病院で医師に禁煙を勧められたのは依存症の人で32.3%、非依存症の人で19.8%。具体的な禁煙方法を指導されたのは16.0%、9.4%にとどまった。
 医師による禁煙治療をめぐっては、厚生労働省が平成18年度の診療報酬改定で医療保険の適用対象にする考えを示すなど、「医療行為」との考えが浸透しつつあるが、医療現場での定着までは遠いようだ。
 一方、「値上げでたばこをやめるか」との質問には、全体の31.0%が「やめる」と回答。このうち70.2%は「500円以上ならやめる」と答えた。
 中村部長は「たばこをやめるのは、同じく依存性があるヘロインやアルコールと同じくらい困難。日本は禁煙治療について、一刻も早く欧米並みに真剣に取り組む必要がある」と指摘する。
 ■ニコチン依存症 たばこに含まれるニコチンが原因で起こる依存症。禁断症状としては注意散漫や昼間の眠気、手の震え、過剰な食欲増進などがある。自力で禁煙を試みた場合は、3分の2が3日以内に喫煙を再開するという統計もある。


2005/11/20 歩きタバコ禁止条例を 大石君(安東中)ら請願  (静岡新聞記事)

 小学生のころから、たばこの害について自由研究を続けてきた静岡市立安東中1年の大石悠太君(12)と、同市葵区の呉服町名店街の有志ら10人は18日、静岡市議会に伊東稔浩議長を訪ね、「歩きたばこ禁止条例」の制定を求める請願書と署名を提出した。請願は受理され、21日開会の市議会11月定例会で審議される。
 請願は、たばこが乳幼児、児童に与える害や火のついたたばこを持ち歩く危険、吸い殻の「ポイ捨て」が街の美観を損なうことを指摘し、路上での喫煙を禁じるよう求めている。
 大石君は「署名にはみんなの思いがこもっています。条例を制定してください」と述べ、中心商店街などで集めた約2万3600人分の署名と請願書を提出した。伊東議長は「大石君の期待に沿えると思う。大石君の活動は重要で、今後は、街で空き缶などを捨てない運動などにつなげられれば素晴らしい」などと答えた。大石君は小学校4年生の時、たばこの煙でぜんそくの発作を起こしたことをきっかけに自由研究を開始した。今年6月に賛同者を募る目的で同市の中心商店街でアンケートを実施し、10月には同級生や医師、市議ら約30人とともに署名活動を展開した。
 市議会事務局によると、大石君は12月6日に開かれる市民生活委員会に出席し、請願の趣旨説明をする。
【写真】伊東静岡市議会議長に請願書を提出する大石君(左)=静岡市役所静岡庁舎


2005/11/19 7割が「ニコチン依存症」=喫煙者を調査−大阪健康科学センター  (時事通信ニュース速報)

 喫煙者の7割が深刻なニコチン依存症に陥る一方、その6割が禁煙願望を持つことが19日、大阪府立健康科学センター(大阪市)の中村正和健康生活推進部長(予防医学)の調査で分かった。
 中村部長は6月、喫煙者を対象に調査を実施、20−70代の1666人(男性872人、女性794人)の結果を分析した。
 調査では「禁煙や本数減に失敗したことがあるか」「健康問題が起きると分かっていても吸うことがあったか」など10項目の質問を行い、5つ以上「はい」がある人を依存症と診断した。
 調査の結果、男性は67.1%、女性は67.8%、全体では67.4%が依存症と判明。禁煙願望を持つのは、非依存症で36.8%に対し、依存症では62.1%となり、特に女性で70.3%と高い数字になった。


2005/11/18 DVDに禁煙メッセージを=32州がハリウッドに要請  (時事通信ニュース速報)

【ロサンゼルス17日時事】米メリーランド州のカラン司法長官は17日までに、パラマウント、ユニバーサル、ソニーなどハリウッドの主要映画制作会社10社に対し、喫煙シーンが登場する家庭向けDVDやビデオなどに、たばこが健康に与える悪影響を指摘する公共メッセージを入れるよう要請した。 映画が未成年の喫煙を促しているとする調査に基づくもので、ニューヨーク、コロラドなど他の31州の司法長官と連名で制作各社に送付した。ただ、ハリウッドを抱えるカリフォルニア州は連名に加わっていない。 米ダートマス大学が10〜14歳の6522人を対象に行った調査によると、映画での喫煙シーンを多く見た子供は、少ないケースに比べて喫煙する割合が2.6倍に達した。


2005/11/17 「タバコ増税」議論浮上 自民部会「生活習慣病対策」  (朝日新聞ニュース速報)

 たばこ税増税の議論がにわかに盛り上がってきた。自民党厚生労働部会は17日、たばこ税の税率を上げて税収を生活習慣病対策にあてる税制改正要望を党税制調査会に出すことを決定。生活習慣病対策は医療制度改革の柱のひとつで、同様の声は公明党からも上がっている。財務省は今のところ静観の構えだが、医療制度改革の議論の行方とも絡んで、税制改正大綱をまとめる年末まで議論はくすぶりそうだ。
 この日の部会では、「(増税で)喫煙による健康被害を防止すれば医療費も抑制できる」「ほかの国に比べ、日本はたばこが安い」などの意見が相次いだ。
 たばこ税増税を巡っては、厚労相が主宰し、日本医師会など34団体の代表でつくる「健康日本21推進国民会議」も政府に増税を働きかけていくことを決めている。14日の政府・与党医療改革協議会では、公明党が税率を上げて健康増進対策にあてることを提案した。
 一方、財務省は「特定財源目当ての増税案には乗らない」(幹部)と、今のところ反応は鈍い。ただ、たばこの価格や税負担率が欧州各国に比べて低いこともあり、「喫煙抑制のための増税」の機運が高まれば前向きに検討する空気がないではない。
 さらに小泉首相が来年度の新規国債発行額を30兆円程度に圧縮する新方針を打ち出したことも微妙に影響しそうだ。税制改正は12月の与党協議で決定するが、国債抑制のためには、あらゆる手だてで税収を確保したいのが財務省の本音。「30兆円」への帳尻合わせでたばこ増税が現実味を帯びる可能性もある。


2005/11/17 がん情報センターの設置を 公明党が厚労相に要望  (共同通信ニュース速報)

 公明党がん対策プロジェクトチームの渡辺孝男事務局長は17日、川崎二郎厚生労働相に会い、患者が病院の診療成績や医療水準を分かりやすい形で入手できる「がん情報センター」の開設など、がん対策の強化を求める提言を渡した。
 提言は(1)対策法の制定(2)たばこ税引き上げを財源に対策予算を大幅に拡充し、専門医の養成や検診を充実する−なども求めた。
 今年5月に大阪でがん患者ら約2000人が、信頼できる診療情報の提供や未承認抗がん剤の早期承認を求める集会を開いたことなどを受け、プロジェクトチームをつくり検討を進めていた。


2005/11/17 <タバコ税>税率引き上げを要望へ 自民党厚生労働部会  (毎日新聞ニュース速報)

 自民党厚生労働部会は17日、来年度の税制改正に関し、たばこ税率の引き上げを同党税制調査会に要望することを決めた。税率とたばこ価格の引き上げによって消費を抑制し、税収を生活習慣病対策に充てる狙い。
 同部会では、たばこ税について「最も効果的な医療費抑制策」などの賛成意見が相次いだ。日本のたばこ税率はたばこ価格の約6割で、津島雄二・党税調顧問は「7〜8割の欧米諸国並みに引き上げるべきだ」と述べた。
 国と地方の「三位一体の改革」で焦点となっている生活保護費に関しては「地方への税源移譲の対象にすべきだ」との厚生労働省の主張を実現するよう、同部会として求めていくことを確認した。
 また公明党も17日、がん対策予算拡充の財源などとして、たばこ税引き上げを盛り込んだ提言を川崎二郎厚労相に提出した。


2005/11/17 タバコ税上げ健康対策費に 自民部会が税制改正で要望  (共同通信ニュース速報)

 自民党厚生労働部会(大村秀章部会長)は17日、2006年度税制改正でたばこ税を引き上げ、その税収を健康対策に充てるよう要望することを決めた。
 同日開かれた部会では、たばこに関して健康被害のほか「喫煙を原因とする医療費が年間で1兆円を超える」「諸外国に比べ価格が安い」「日本も批准しているたばこ規制枠組み条約は、たばこ税の引き上げが消費抑制に有効だと明記している」などとして、喫煙抑制のため同税の引き上げを求める意見が相次いだ。
 たばこ事業は財務省の所管だが、たばこ税引き上げをめぐっては、厚生労働省が10月に公表した医療制度改革試案で「たばこ対策の取り組み強化」と挙げているほか、尾辻秀久前厚労相が同月の参院厚生労働委員会で「検討しなければならない」と答弁している。


2005/11/17 駅で喫煙、警告無視し逮捕 栃木県警「厳しく対応」  (共同通信ニュース速報)

 警察官の再三にわたる警告を無視し、駅構内の指定場所以外でたばこを吸ったとして、栃木県警鉄道警察隊は鉄道営業法違反(禁煙違反)の現行犯で無職の男(23)を逮捕したことが17日、分かった。県警によると、同容疑での逮捕は全国的にも異例という。
 調べによると、男は12日午後7時15分ごろ、JR宇都宮駅構内の指定された喫煙場所以外でたばこを吸った疑い。
 男は、数人の仲間とホステスとして働く女性を勧誘するため、たばこを吸いながら構内を歩き回った。巡回中の鉄道警察隊員が警告し、男は一度は構内から出たが、再び戻り喫煙。その後も、数回の警告に従わず吸い続けたという。
 男は既に釈放されており、県警は書類送検する方針。
 県警によると、プラットホーム上など指定場所以外の喫煙で任意に取り調べることはあるが、逮捕は異例という。「悪質なマナー違反に厳しく対応した」と話している。


2005/11/15 タバコ税上げて対策費を 生活習慣病で健康日本21  (共同通信ニュース速報)

 厚生労働省の健康増進政策の普及啓発に協力している「健康日本21推進全国連絡協議会」は、喫煙により脳卒中や虚血性心疾患といった生活習慣病にかかりやすくなるとして、その予防や対策費を確保するため、近く、たばこ税の引き上げを求める国民運動を始める。
 たばこ税引き上げについては、尾辻秀久前厚生労働相が先の国会で「検討しなければいけないと考えている」と前向きの姿勢を表明。ただ、たばこ事業は財務省が所管していることから、厚労省が前面に立つことは避け、日本経団連、連合、日本医師会、健康保険組合連合会などで構成する同協議会が引き上げに向けた世論喚起を図ることになった。
 協議会では、喫煙でがん死の可能性が高くなるとの研究結果や、たばこ価格の上昇で消費量が減ったなど、海外の事例を紹介したパンフレットを配るなどして、理解を広げる。
 政府、与党内では、公明党が、たばこ税引き上げと増収分の生活習慣病対策への活用を、来年度の医療制度改革に盛り込むことを検討している。
 医療経済研究機構の2001年度の研究では、喫煙は医療費を1兆3000億円増加させるだけでなく、労働力を5兆8000億円失わせると推計している。


2005/11/15 タバコ税盛り込まず 政府税制調査会  (共同通信ニュース速報)

 政府税制調査会の石弘光会長は15日の記者会見で、たばこ税について「一部要望があったが、(議論は)酒まででたばこはやっていない」と述べ、2006年度の税制改正答申には盛り込まない方針を示した。
 石会長は健康問題やペナルティーといった視点からたばこ税問題が提起されていると指摘。その上で「個人的には日本のたばこは安いと思う。少し上げてもいいのではないか。近い将来、議論したい」と述べた。
 たばこ税をめぐっては、厚生労働省が生活習慣病の予防の観点から、引き上げ検討に積極的だ。


2005/11/15 妊婦の喫煙防止に助成=東京都  (時事通信-官庁速報)

 東京都は2006年度から、妊婦が喫煙しないよう啓発に努めている市区町村への助成を検討している。妊婦の喫煙率が上昇傾向にあることから、妊娠をきっかけに禁煙に取り組んでもらうとともに、父親らの禁煙につなげることも期待している。 都は喫煙による母体や胎児への影響を記載したリーフレットを作成し、市区町村や医療機関が行う母親教室で使用してもらうことを想定。市区町村に実施費用を補助することを検討している。補助額や補助割合は今後さらに詰める。 また、妊婦の喫煙防止の取り組みで活用するため、主に20代の女性を対象にした喫煙状況の調査を実施することも検討している。喫煙の開始時期、喫煙の理由、禁煙の意志の有無、家族での喫煙者の有無、現在の健康状態、などを聞く考えだ。 国の調査によると、妊婦の喫煙率は1990年には5.6%だったが、2000年には10.6%に増加。20代女性の喫煙率も、日本たばこ産業の調査では90年代から上昇傾向にあり、10%台から20%台に伸びている。


2005/11/14 芝居のなかの喫煙に観客が抗議、脚本変更し上演  (ロイター記事

[ローマ 14日 ロイター] イタリア北東部の都市メストレの劇場で、芝居のなかで主演俳優がタバコをつけたところ、観客からタバコを消せすよう抗議され、役者はタバコを消し、その後、脚本を変更して上演が続けられるという事態が起きていたことが明らかになった。
 日刊紙コリエレ・デラ・セラのウェブサイト上に掲載された記事のなかで、主演俳優セバスチアーノ・ロ・モナコ氏は、「これまで300以上の芝居をしてきたが、こんなことは初めてだ」と述べている。
 13日にアーサー・ミラーの戯曲「橋からの眺め」を上演中、主役を演じるロ・モナコ氏が脚本通りタバコを吸っていたところ、1人の観客の女性が「タバコを消して」と叫んだ。
 芝居は15分間の中断後、再開されたが、脚本の変更を余儀なくされ、タバコを吸わない設定に変えられた。
 イタリアでは今年1月以降、密閉された公的空間での喫煙は禁止されている。


2005/11/14 増える補導、手続き明確に=奈良県、全国初の条例制定へ−2月の議会提出目指す  (時事通信ニュース速報)

 奈良県警は、不良行為をする少年の補導の根拠や手続きを明確にするため、県少年補導条例を制定する方針を決め、骨子案を公表した。補導件数が増える中、法的根拠がはっきりしないため、条例化を目指すことにした。14日から県民の意見を募集した上で、条例案を固め、早ければ来年2月の県議会に提出したいとしている。
 補導の根拠を定めた条例をつくるのは全国初。県警は、喫煙少年のたばこやライターなど、問題があっても強制的に取り上げられない持ち物について、任意提出を求める説得のよりどころとしても活用したい考えだ。


2005/11/14 ついに禁煙をもたらすニコチンワクチンが登場  (Dr赤ひげ記事 HealthDay News記事

 禁煙を求める何百万人もの喫煙者にとって一筋の光ともいえるニコチンワクチンの出現が、一歩現実に近づいたようだ。先ごろ米ボルチモアで開かれた米国癌(がん)学会(AACR)の集会で、NicVAXと呼ばれるニコチンワクチンの安全性および有効性を強く裏づける成績が報告された。
 発表者の米ミネソタ大学(ミネアポリス)癌予防分野教授(the Forster Family Professor)のDorothy K. Hatsukami氏は、NicVAXは臨床試験に移行するのに十分な効果を発揮しており、われわれの研究だけではなく、他の研究でもそのことが確認されていると述べた。NicVAXは、今やこの領域で先頭ランナーであり、最初に米国食品医薬品局(FDA)の承認が期待できる最有力候補となった。
 米国癌協会(ACS)のThomas J. Glynn氏は、NicVAはFDAへの承認申請前の第III相臨床試験を行う段階にあり、まだ開発段階にある他の2種のニコチンワクチンは、市販までに4〜6年程度は要するという。
 ニコチンワクチンは、体内の免疫系を刺激して抗体を産生させ、ニコチン分子に接着するように仕向ける。動物での研究では、抗体が接着したニコチンは分子量が大きくなり血液・脳関門を通過することができないため、ニコチンが脳内に送達するまでの時間が延長し、脳内に達する量も低下することが明らかになった。
 今回の試験では、喫煙者68例を用量が異なるワクチン投与群およびプラセボ(偽薬)投与群に無作為に割り付けて評価した結果、ワクチン被験者の38%が30日間の禁煙に成功した。ワクチンの用量が高いほど抗体の反応は良好であり、30日間禁煙率は最高用量投与群が最も高かった。
 副作用として一部の被験者に、関節痛および圧痛、頭痛、疲労感、筋肉痛が報告されたが、そのほとんどが数日で改善をみた。ワクチン投与群とプラセボ投与群との間に、離脱症状発症の差は認められなかった。
 Hatsukami氏は「禁煙を補助するという点では、有力なワクチンであると思われる」との見解を示しているが、ワクチンの有効性がどのくらい継続するか、追加投与の必要性、喫煙習慣が復活する可能性、喫煙が習慣となるのを予防するために、麻疹ワクチンが麻疹を予防するのと同様に、9歳児に対しても投与可能かどうかなど、いくつかの課題が残されている。


2005/11/13 <タバコ>税率引き上げ運動に乗り出す 厚労相主宰団体  (毎日新聞ニュース速報)

 厚生労働相が主宰する「健康日本21推進国民会議」が、たばこ税の税率を引き上げ、税収を健康診断の費用などに充てるよう求める運動に乗り出した。政府・与党内にも医療費削減の「決め手」としてたばこ増税を求める意見があることから、「禁煙運動」の広がりが税制を動かす可能性が出てきた。
 国民会議は日本経団連、全国知事会、日本医師会の代表者ら34人がメンバー。10日の会合で(1)男性の喫煙者が肺がんで死亡するリスクは非喫煙者の45倍(2)喫煙が主因の医療費は年間1兆3086億円(3)労働力低下なども含め経済的損失は年間7兆3786億円――などのデータが示され、運動展開を決めた。
 日本のたばこ税は平均で価格の約6割。欧米諸国の7〜8割に比べて低く、国民会議は「最低でも国際基準に」と訴えていく方針だ。
 厚労省は禁煙治療を公的保険給付の対象とする方針を決め、禁煙指導の促進に力を入れており、国民会議の運動を後押しする考えだ。ただ、政府内にも「課税の公平性に反する」との消極意見が強く、中長期的課題と位置づけたうえで、当面は前面に出ることは避けるとみられる。


2005/11/11 米国の喫煙率は低下傾向、2004年は20.9%=調査  (朝日新聞記事)

 [アトランタ 10日 ロイター] 米疾病対策予防センター(CDC)は10日、米国での喫煙率は低下傾向にあるとする調査結果を発表した。ただし、低下のペースは、ほとんどの州で、国が定めた2010年までの目標を達成するには十分ではない、との認識を明らかにした。
 CDCがまとめた調査報告書によると、米国の成人の喫煙率は2004年は20.9%(4450万人)で、03年の21.6%から低下した。02年は22.5%だった。
 同様にヘビースモーカー人口も減少している。成人3万1000人以上を対象にした調査では、昨年の「1日に25本以上吸う喫煙者」は全体の12.1%で、1993年の19.1%から減少した。
 CDCはまた、喫煙率の低下は予防プログラムとタバコ税の引き上げによるものとする一方で、低下のペースは、2010年までに喫煙人口を成人の12%以下にするという国が定めた公衆衛生目標の達成に十分なレベルではない、と指摘している。


2005/11/11 喫煙が脳の老化促進 兵庫大学の研究で判明  (神戸新聞記事

 喫煙によるニコチンが脳の神経細胞を新しくつくり出す働き(新生)を妨げ、脳の老化を促進することが、兵庫大学(加古川市)健康科学部の鬼頭昭三教授(78)=神経内科医、脳科学=と新郷明子助教授らのグループの研究で分かった。集中力を高めるのに有効ともされてきたニコチンだが、愛煙者がよりどころとしてきた“効用”に疑問を投げかける結果で、喫煙の害をさらに証明する研究として注目されそうだ。十二日から米・ワシントンDCで開かれる北米神経科学会で発表する。
 ニコチン水溶液を二週間続けて注射したラットの脳を取り出し、記憶をつかさどる大脳皮質の一部の「海馬」と呼ばれる部分を切り取って、新生細胞の数を調べた。
 その結果、ニコチン量が増えるにつれ、神経細胞の新生が少ないことが判明。ニコチンを摂取していないラットに比べ、新生した神経細胞はわずか五分の一だった。一方、神経細胞と同じ細胞から発生し、神経細胞に栄養を供給するグリア細胞の新生には影響がなかった。
 鬼頭教授は、ニコチンが神経細胞の新生を妨げる原因について「神経細胞の新生は(男性の脳内にもある)女性ホルモン(エストロゲン)が遺伝子と結合して起こるが、ニコチンがその作用を遮断するため」と推論。
 最近の研究では、加齢にかかわらず脳の神経細胞は新生することが分かっており、鬼頭教授は「喫煙は、記憶力を高める働きにかかわる女性ホルモンの作用を妨げる。害は極めて深刻」と話している。


2005/11/10 葉タバコ買い入れ価格据え置き=耕作面積は29年連続減少−JT  (時事通信ニュース速報)

日本たばこ産業(JT)は10日、2006年の国内産葉タバコの買い入れ価格について、「葉たばこ審議会」(社長の諮問機関)の答申を受け、前年価格を据え置く全種類平均で1キログラムあたり1845円59銭に決めた。 耕作面積は、前年比2.19%減の1万8737ヘクタールとし、29年連続で減少することになった。


2005/11/10 禁煙指導を保険適用に、対象はニコチン依存症とされた者  (m3.com NEWS)

 11月9日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(土田委員長、早稲田大学商学部教授)で、厚生労働省は次期診療報酬改定に向けた具体的課題としての「生活習慣病対策」の「論点」として「禁煙指導に対する評価」の新設を提示した。
 喫煙者(習慣的に喫煙している者)は国民の27.7%(2003年国民健康・栄養調査)だが、喫煙による超過医療費は1兆3千億円に達し、さらに喫煙による入院やたばこ火災などによる労働力損失の5兆8千億円余を加えると社会的損失は7兆1500億円になるとの推計があることを、喫煙の現状として示した。
 論点としては、「禁煙を希望しながらニコチン依存の程度が高いため離脱症状が強く禁煙を達成しがたい患者に対する指導」を評価するものとした。日本循環器学会や日本呼吸器学会など9学会が今年10月に禁煙ガイドラインを策定し、喫煙を「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」と位置づけ、国際的にも疾病と位置づけられていること、イギリスのNHSやアメリカの民間保険では禁煙治療に保険給付が行われていることも示した。
 対象患者のイメージとしては、(1)禁煙への関心度が高く今後1ヵ月以内に禁煙しようと考えているもの、(2)スクリーニングテストでニコチン依存症と判定された者、(3)禁煙治療プログラムに参加を希望するもの、とした。
 議論では、1号(支払)側の松浦氏(香川県坂出市長)が、タバコによる健康被害のデータを求め、厚労省の生活習慣病対策室長は1箱(20本)以上の喫煙で脳卒中が2.17倍、虚血性心疾患が4.25倍、がんは4.5倍と説明した。松浦氏はまた、やめることで医療費がどの程度節約できるかのデータを求め、厚労省の麦谷医療課長は次回に各種のデータを提出すると答えた。
 2号(診療)側の山本氏(日本薬剤師会常務理事)は、OTCとして市販されている禁煙補助薬の扱いを検討する必要があるとした。


2005/11/ 9 「禁煙治療」勧める医師は少数 大阪府健康科学センター調査  (NHKニュース速報)

 喫煙について、日本循環器病学会などは「ニコチン依存症という病気」と位置づけていますが、病院で診療を受けた際に医師から禁煙を勧められた人のうち、具体的な禁煙の方法まで指導された人は全体の十五%にとどまり、診療の場で禁煙を指導する医師が少ない実態が分かりました。
 これは、大阪府立健康科学センターが、今年六月、全国の喫煙者二千六百人を対象に行った調査で明らかになったものです。
 調査では、過去一年間に病院で診療を受けた際に医師から禁煙を勧められたかどうかを尋ねたところ、二十九%の人が勧められたと答えました。
 ところが、このうち、医師から▽禁煙の方法について具体的に説明を受けたのは五%▽禁煙で起きるイライラなどの症状を抑えるためのガムや張り薬を処方されたのは五%▽専門の医師がいる禁煙外来を紹介されたのは〇・三%にとどまるなど、医師が禁煙を勧めた人のうち具体的な指導を受けたのは十五%だけでした。
 喫煙については、先月、日本循環器病学会など九つの学会が合同で「喫煙はニコチン依存症という病気」と位置づけて、医師向けの診療指針を発表するなど、医師が、喫煙者に対して積極的な治療を行うことが必要だと指摘されています。
 調査にあたった大阪府立健康科学センターの中村正和(ナカムラマサカズ)健康生活推進部長は、「喫煙は病気だという認識が医師側も不足していることを示す結果だ。どの病院でも治療を受けられる体制を作ることが必要だ」と話しています。


2005/11/ 9 禁煙指導を医療保険対象に 厚労省、給付費抑制狙う  (共同通信ニュース速報)

 厚生労働省は9日、医師による禁煙指導を治療として位置付け、公的医療保険給付の対象とする考えを、中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。生活習慣病対策の推進で医療給付費抑制を目指す同省の医療制度改革の一環で、喫煙が医療費増加の要因になっていると判断した。来年度の診療報酬改定での実施を目指す。
 ニコチンへの依存度が高い人は、禁煙を希望しても強い離脱(禁断)症状を引き起こすため、達成が困難。厚労省は、この症状に対処するための指導を、診療報酬として評価することにした。代表的な禁煙プログラムは、初診でニコチン依存度を評価。禁煙についてのアドバイスを行った後、2、4、8、12週間後に、それぞれ禁煙状況の確認やニコチン摂取量の測定、禁煙継続へのアドバイスを行う。
 同省が想定している対象者は(1)禁煙への関心度が高く、1カ月以内に禁煙しようと考えている(2)ニコチン依存症と判定された(3)禁煙治療プログラムに参加を希望する−などの条件を満たす喫煙者。
 医療経済研究機構の2001年度の研究では、喫煙は医療費を1兆3000億円増加させるだけでなく、労働力を5兆8000億円失わせると推計している。


2005/11/ 9 初診料上げなど外来見直し=禁煙治療に保険適用−次期診療報酬改定で・厚労省方針  (時事通信ニュース速報)

 厚生労働省は9日、2006年度の診療報酬改定で、初診料引き上げなど外来医療の報酬評価を抜本的に見直す方針を中央社会保険医療協議会に提示した。生活習慣病対策の強化では、医師による禁煙指導を公的医療保険の給付対象とし、診療報酬で評価する考えも示した。 同省は、外来患者の初診について、細心の注意を払い疾病を診断、治療方針を決定するため「医師にかかる負担は大きい」として、初診料を高く評価する必要性を指摘。一方、再診料の在り方を根本的に見直し、報酬配分にメリハリを付ける方向だ。  また、初診料は病院2550円、診療所2740円、再診料は病院580円、診療所730円と診療所に手厚い初・再診料の格差是正を提案した。ただ、大病院での紹介状のない患者に対する初診は、患者から特別に費用徴収する仕組みが利用されていない実態を踏まえ、保険診療の対象から外し、患者の自己負担化などの検討を求めた。 禁煙治療の保険適用は、生活習慣病対策を推進することで、将来の医療費抑制につなげるのが狙い。ニコチン依存症を病気ととらえ、禁煙を希望してもニコチン依存度が高く達成できない患者への指導を対象とする。医療経済研究機構の試算によると、1999年度に喫煙の影響で医療機関にかかった患者の医療費は年間1兆3000億円に上るという。 このほか、同一の医療機関で1日に複数の診療科を受診した場合の初診料について、最初の診療科分だけを算定する現行方式を改める方針も示した。


2005/11/ 9 禁煙治療に保険適用へ、医療費削減狙う 厚労省方針  (朝日新聞記事

 厚生労働省は8日、医師による禁煙指導を「治療」と位置づけ、公的医療保険の給付対象とする方針を固めた。禁煙指導の促進により、喫煙率は今後15年間で最大、男性26%(03年は47%)、女性9%(同11%)程度まで下がると同省研究班は試算。肺がんをはじめ、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中などの生活習慣病を引き起こすとされる喫煙を減らすことで、15年後の医療費は少なくとも約1846億円抑制できるとみている。
 禁煙はこれまで個人の意志や努力の問題とみられてきたが、「ニコチン依存症」という病気に対する治療ととらえて、積極的な対策に乗り出す。
 9日の中央社会保険医療協議会(中医協)で提案する。保険を適用する治療内容を検討し、06年4月の実施をめざす。
 対象は、禁煙治療プログラムを受けたいと希望する人で、ニコチン依存度テストで「依存症」と判定された人。同省のモデルでは、2または4週間に1回通院してカウンセリングを受けるほか、肌にはったパッチからニコチンを吸収する置換療法を受ける。約3カ月で初診も含め計5回ほどの通院を想定している。
 これまでも、一部の病院が独自に「禁煙外来」を設けていたが、保険の対象ではないために全額が患者負担で、1カ月あたり3万〜4万円かかっていた。保険の対象になれば、3割の窓口負担(70歳以上は1〜2割負担)で済むようになる。
 次期医療制度改革で厚労省は、生活習慣病対策で中長期的に医療費の伸びを抑制する方針を打ち出しており、禁煙治療の促進はこの一環。導入によって医療費は当初は増えるものの、生活習慣病や肺がんが減ることに伴う減少で、8年目から減少に転じると研究班では試算している。
 欧米ではすでに、ニコチン依存症を「繰り返し治療することで完治しうる慢性疾患」ととらえる動きが広がっている。英国では99年から禁煙治療を保険の対象としているほか、米国でも民間保険会社の8割超が禁煙のための薬剤費などを保険給付の対象にしているという。日本では、日本循環器学会など9学会が保険適用を要望していた。
【図】「禁煙治療」のイメージ


2005/11/ 7 映画の喫煙シーン、青少年に多大な影響=米研究  (goo映画ニュース ロイター記事

[シカゴ 7日 ロイター] 7日に発行された米国小児科学会会報「小児科学」11月号に掲載された調査結果によると、米国の青少年の約40%が、映画の影響で喫煙を試していることが明らかになった。
 これは映画が若者の喫煙に及ぼす影響を全米規模で初めて調べたもので、同調査報告はハリウッドに対して喫煙シーンやタバコの銘柄などを写したシーンの削減を求めている。
 同調査報告は、映画業界は現在映画のレーティングの際に明示されることになっている露骨な性行為や暴力行為などのほかに、喫煙についても明示すべきだ、としている。
 ダートマス医科大学の研究者チームは、10歳から14歳までの青少年6522人に対し、1998年から2000年まで米国で公開されたヒット映画から無作為に選んだ50本の映画について見たことのある映画を特定させた。
 同調査報告はまた、喫煙に影響を及ぼすことが判明している他の要因を考慮に入れても、喫煙シーンのある映画を多く見たことのある青少年グループが喫煙に手を出す確率は、そのような映画をあまり見ないグループの2.6倍に上る、との結論を出している。
 また、喫煙を試したことのある100人のうち38人は、映画の喫煙シーンに影響されたとの報告もある。
 3月に公表された米政府による調査では、高校生の22.3%、中学生の8.1%が昨年喫煙したことがあるとの結果だった。


2005/11/ 7 開発中の「体にやさしい」タバコ、禁煙団体はやはり「有害」と批判  (UKtoday JapanJournal記事

タバコ企業グループ「British American Tobacco」では、サウサンプトンの研究センターにおいて、新たなフィルターを用いた「より害の少ない」タバコを開発中。その一方で、禁煙団体などからは「どんな新商品もタバコである限り、有害であることに変わりはない」との批判の声が聞かれていることが伝えられた。
「British American Tobacco」では、タバコのフィルター部分に各々異なった有害化学物質を吸収する3層のフィルターを重ねた、従来の製品よりも「体にやさしい」タバコを開発中であるとされ、またガンの原因とされるタバコの有害物質をタバコの葉の加工段階から減らす方法を模索中という。
この新たなタバコはフィルターが有害物質を取り除く一方で、ニコチンは体内に届くように作られているため、見かけや味は従来のタバコと変わらず、発売日はまだ確定されていないものの、早ければ来年にも販売が開始されると見られている。
しかし、このようなタバコ産業側の動きに対して、禁煙団体や医療関係者などからは「低タール商品などと一緒で、どんなに健康的なイメージをかもし出そうとしても、結局タバコはタバコ」と批判の声が殺到。このような「より害の少ない」と称されるタバコは喫煙者が煙をより深く吸い込むことで、健康に深刻な害を与えることに変わりはないとしているほか、このようなタバコは喫煙習慣を続けさせようとする産業側の策略と非難されているという。
「British American Tobacco」では、この新たなタバコがガンや心臓病の罹患率を最高90%まで減らすという示唆を否定。病気にならないための最良の方法は喫煙しないことであることに変わりはないとし、「健康に害の少ない」タバコはまだ開発段階であることを強調しているという。
英国における現在の喫煙人口は約1,300万人とも言われ、喫煙に端を発する病死は年間約12万件にものぼるとされる。タバコ販売に関しては近年、タバコの販売方法に関する取り締まりが実施されつつあり、EUでは2年前に、タバコの表示に「マイルド」や「ライト」「スーパーライト」などの表現を用いることを禁止された。


2005/11/ 7 喫煙者の7割がニコチン依存症 うち7割が禁煙失敗  (朝日新聞記事

 たばこを吸う人の7割はニコチン依存症で、このうち7割は禁煙を試みながら失敗している――。大阪府立健康科学センターの調査でこんな結果が出た。今年6月、全国の20〜79歳の喫煙者2600人にアンケートを郵送。回答があったうち、現在も喫煙をしている1666人(男性872人、女性794人)について分析した。
 「禁煙や本数を減らそうと試みてできなかったことがあったか」など10項目の「ニコチン依存症スクリーニングテスト」に答えてもらったところ、67.4%が依存症と判定された。男性は67.1%、女性は67.8%だった。
 このうち、「禁煙したいですか」という質問に「はい」と答えたのは62.1%。また、70.6%が、今までに「試みたことがある」と答えた。いずれも、「依存症ではない」と判定された人の約1.7倍だった。
 また、過去1年間に医療機関を受診したうち、依存症と判定された人の32.3%は、禁煙を勧められていたが、実際に禁煙方法の説明を受けるなどの指導を受けたのは、その16%にとどまった。
 調査をまとめた中村正和・健康生活推進部長は「ニコチン依存を断ち切るのは難しい。禁煙治療を欧米のように医療保険の対象にし、普及を図る必要がある」と話す。


2005/11/ 5 尼崎市会が全面禁煙へ  (神戸新聞記事

 尼崎市会は四日までに、議会棟で開かれるすべての委員会や会議を禁煙にする方向で検討に入った。世界的な禁煙の流れや、喫煙をしない人への影響防止を義務付けた健康増進法を受けての方針だが、阪神間のほかの市町では会議中の禁煙は既に当たり前。議会事務局は「少し遅れてしまったが、喫煙しない議員も増えているので実現させたい」としている。(紺野大樹)
 同市会では本会議場はもともと禁煙。さらに昨年七月、常任委員会での禁煙を決めた。しかし議会運営委員会や会派代表者会などは、今も喫煙が認められている。議会事務局によると、会議中にたばこを吸う姿も見られるという。
 一方、阪神間の他の自治体では、「十年以上前から会議の場は禁煙」(西宮市)「数年前から会議は全面禁煙」(伊丹市)など、会議中に喫煙できる市町は一つもない。
 会派控室は自治体によってまちまちで、尼崎や川西市は各会派の判断としているが、芦屋や宝塚市は全面禁煙にしている。
 尼崎市会事務局は「これまで分煙は進めてきたが、会派控室も含めて議会棟全体の禁煙を検討していく」と意欲をみせる。愛煙派の議員は「仕方がないが、時代の流れ」とこぼしている。


2005/11/ 3 大学祭は全面禁煙 北九州の産業医大  (共同通信ニュース速報)

 3日から始まった産業医大(北九州市)の大学祭「医生祭」は敷地内を全面禁煙にした。会場には医者が喫煙をやめさせる禁煙外来が開設され、実行委員が携帯灰皿を持って巡回。同大4年の瀬上顕貴実行委員長(23)は「医大の特徴を出したかった。訪れた人の禁煙のきっかけになれば」と話している。
 5日までの期間中、付属病院を除く敷地内が全面禁煙。喫煙場所は門外に1カ所だけ設けた。実行委員にも喫煙者がいたが大学祭準備を機にやめたという。
 産業医大は数年前から分煙に取り組み、現在、敷地内の喫煙場所は付属病院を含む4カ所。以前喫煙所があった場所には「将来の医療従事者として私たちはタバコを吸いません」と書かれたステッカーが張られている。
 学生は授業でもたばこの身体への影響を学び、禁煙への意識は高いという。
 禁煙外来を訪れた北九州市八幡西区の主婦(29)は「1日30−40本吸う。やめるのは難しいが、話を聞いて頑張ってみようかなと思った」と話していた。


2005/11/ 1 4月からの半年間タバコ消費量 7年連続の減少  (NHKニュース速報)

 ことし四月からの半年間に国内で販売されたたばこの本数は去年の同じ時期より二・四%減り、健康への配慮などからたばこの消費はこれで七年連続の減少となりました。
 JT=日本たばこ産業によりますと、ことし四月から九月までの半年間に国内で販売されたたばこの本数は千四百六十八億本で、去年の同じ時期に比べて二・四%減りました。
 たばこの消費は、健康への配慮に加え喫煙場所を分けることを義務づけた健康増進法がおととし施行されたことなどで減少傾向が続き、これで七年連続のマイナスとなりました。
 このためJTではタールやニコチンなど有害な成分を減らしたたばこの販売に力を入れる一方で、ロシアやヨーロッパなど海外での売り上げで収益を拡大したいとしています。


2005/11/ 1 タバコ疾患の治療器具を開発〜フィリップ・モリス  (U.S.FrontLineNEWS記事

 タバコ最大手フィリップ・モリスが、喫煙による肺疾患などを治療するための小型吸入器「アリア」の開発を進めており、議論を呼んでいる。
 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アリアは、吸った時だけ低温で燃える煙の少ない安全なタバコとして登場したが人気がでなかった「アコード」の毛管煙霧生成技術を基にしている。普通の吸入器に比べ霧の粒子が煙のように細かいため肺に薬を吸収しやすく、タバコを吸う時のように吸い込むだけでいいため、ボタンを押しながら吸い込まなければならない従来型の吸入器よりも使い易いといった利点がある。
 フィリップ・モリスは、製薬会社がこの吸入器をぜん息や喫煙関連の肺疾患だけでなく、インスリンや鎮痛剤などあらゆる種類の薬品を体内に取り込むための新しい方法と考えるよう望んでいる。しかし、タバコメーカーが一転してタバコの害を治療する商品を開発することに対しては、各方面から不信感も表出しており、米胸部協会は同社が学会でこの商品を売り込むことを阻止している。
 ノースカロライナ大学医学部のジェームス・ドナヒュー肺疾患責任者は「新しい治療法は非常に必要とされているが、タバコ業界に対する医学界の不信感は根強く、フィリップ・モリスが消費者の健康に与えた害を帳消しにするための試みなのではないかと考える人もいるはずだ」と語る。
 フィリップ・モリスは、2004年に1871億本のタバコを販売しており、米国で消費されるタバコの半分は「マルボロ」や「バージニア・スリム」など同社のブランドとなっている。しかし、米成人喫煙者の比率は1994年の26%から03年は22%以下に減少しており、ニチコン・パッチやガムより強力な禁煙薬が発売されれば、この数はさらに低下すると見られている。


2005/11/ 1 乳がんに対する放射線治療受けた喫煙者、肺がん発症リスクが3倍に  (日経BP記事

 スウェーデンでは、乳がん治療を受けた女性が、その後、肺がんを発症する率が上昇し続けている。乳がん患者の生存期間延長や喫煙の影響に加えて、乳がんに対する放射線治療の普及がこの増加に関連している可能性があることがわかった。スウェーデンKarolinska研究所のMichaela Prochazka氏らが、1958〜2000年に乳がんと診断され、放射線治療を受けた女性の肺がんリスクを調べたところ、喫煙者でのみ肺がんリスクが有意に上昇していた。詳細は、Journal of Clinical Oncology誌2005年10月20日号に報告された。
 Prochazka氏らは、スウェーデンがん登録データベースから、乳がんと診断され、その後肺がんを発症した182人の女性を選び出した。116人が放射線治療を受けていた。放射線治療記録から推定したところ、乳がんと同側の肺に対する平均被曝線量は17.2Gyだった(1960年代には平均15Gy、1970〜1980年代には25Gy、1990年代には8Gyと変化した)。乳がん治療期の喫煙状況は、既往歴の記録を基に判断するか、または親族に尋ねた。喫煙者は114人だった。
 非放射線治療群では肺がん発症は乳がん治療から平均9.7年後に起きた。放射線治療群では、同側の肺がんは平均17.6年後、対側の肺がんは13.0年後に生じていた。放射線被曝による誘発固形がんの潜伏期間は10年以上と考えられており、放射線治療群で発症時期の平均が遅いのは、被曝の影響と考えられた。
 放射線治療群については、乳がんと同側の肺だけにがんが見つかった女性106人を分析対象にし、対側肺をコントロールとした。同側肺のがん発症の相対リスク(RR)は、被曝から10年以上たって有意に上昇(RR=2.01、95%信頼区間1.24-3.36)した。特に15年以上23年未満の相対リスクが高かった(2.38、1.04-5.43)。組織病理学的サブグループの中で、被曝との関係が有意だったのは、扁平上皮がん(4.00、1.50-10.66)のみだった。
 放射線治療群を喫煙歴で2分すると、被曝の影響は喫煙者でのみ有意だった(3.08、1.61-5.91)。放射線治療から10年以上経た女性の1Gyあたりの過剰相対リスク(ERR、注)は、全体では0.11(95%信頼区間0.02-0.44)だったが、喫煙者では0.23(0.04-2.13)となった。
 著者たちは、対象者の数が少ない、放射線治療の記録が不十分、長期にわたる追跡の間に治療技術が変化した、など、複数の限界を挙げている。が、治療時に喫煙していると、放射線治療によって肺がんリスクが有意に高まるという知見は、乳がん患者への放射線治療実施において、喫煙歴を考慮すべきであることを示したことになる。乳がん診断時に禁煙すれば肺がんリスクが下がるのかどうかは、現時点では不明だ。
 現在、乳がんと肺がんの女性を対象とした大規模なケース・コントロール研究がスウェーデンで進められている。ここで得られるデータが、放射線被曝と喫煙、がん発症の関係の詳細な分析を可能にすると期待される。
 本論文の原題は「Ionizing Radiation and Tobacco Use Increases the Risk of a Subsequent Lung Carcinoma in Women With Breast Cancer: Case-Only Design」。アブストラクトはこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)
注)過剰相対リスク(ERR):放射線被曝による過剰がん発生率を表す。相対リスク(RR)から1を引いたもの。


2005/10/31 決算ひとこと JTの堀田副社長  (共同通信ニュース速報)

▽海外販売の行方
 「経済成長に伴って、ロシアや台湾などで『ウィンストン』など高級品が伸びている」と話すのは、日本たばこ産業(JT)の堀田隆夫副社長。
 国内のたばこ需要が年々減少しているだけに、海外販売に期待がかかる。だが、来年3月期の海外でのたばこ販売予想数量を30本億減の2190億本へ下方修正。海外での販売減少は「フィリピンとトルコで増税があったためで、ローカルな問題」と強気の姿勢だが…。


2005/10/31 個人向けタバコの配送を停止〜宅配世界最大手UPS  (U.S.FrontLineNEWS記事

 宅配世界最大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は、ニューヨーク州のエリオット・スピッツァー司法長官との合意に基づき、米国内における個人向けタバコの配送サービスを停止する。
 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、連邦や州政府は現在、課税額の少ないタバコの販売や未成年の喫煙の取り締まりを進めている。それを受け、UPSは州によって異なる規制への対応が困難なため、全米でのサービス停止に踏み切った。
 低税または無税のタバコのほとんどは米国原住民が販売しており、米国原住民以外への販売に対する課税問題に関しては意見が分かれている。州政府はインターネット上のタバコ販売によって年間10億ドル以上の税収入を失っており、ニューヨークを含む多くの州でタバコのオンライン販売を禁じているが、取り締まりが難しかった。
 国内の個人向けタバコの配送に関しては、貨物大手DHLも今年に入ってサービスの停止を発表、大手クレジットカード会社も関連取引の支払い受け付けを拒否しており、残っている大手配送サービスは、郵政公社のみとなっている。
 郵政公社は9月に不法商品の配送を拒否すると発表しているが、低税タバコの配送はまだ受け付けている。スピッツァー司法長官は「タバコのオンライン販売や通販は、連邦、州、地方自治体の法律に反する。民間の大手がサービスを止めたのに、連邦機関が続けているのは恥ずべきこと」と強く非難している。


2005/10/31 病院の禁煙 院長より始めよ/群馬  (朝日新聞群馬県版記事)

 病院長などの管理者がタバコを吸うほど、施設の全面禁煙率が低く、職員の喫煙率も高い。県が医療機関での喫煙状況を尋ねたアンケートで、そんな実態が明らかになった。施設別に見ると、ベッド30床以上の「病院」で喫煙対策が遅れていた。県保健予防課は「管理者の喫煙の有無が大きく影響しているようだ。まず、トップがタバコを吸わないようにすることが重要だ」としている。
 アンケートは「病院」全145カ所とベッド数30床未満の「診療所」全1548カ所、「歯科診療所」のうちの300カ所に発送した。県内全施設の32・7%にあたる978施設から回答があった。
 敷地内や建物内での全面禁煙率は診療所79・5%、歯科診療所77・3%に対し、病院は54%。不完全分煙率は22・3%とほかの倍以上だった。
 職員の喫煙率は、男性、女性とも病院(各35・9%、16・8%)が診療所(同24・7%、8・9%)、歯科診療所(同21・7%、7・2%)を上回った。管理者の喫煙率も病院(25・9%)が最も高かった。
 管理者の喫煙との関連をみると、喫煙する場合、全面禁煙率(50%)が低く、職員喫煙率(男性59・3%、女性15・1%)が高かった。
 同課は「病院の受動喫煙防止対策や禁煙対策をもっと充実することが必要だ」としている。


2005/10/30 男子14.9歳、女子14.7歳…青少年の喫煙開始時期早まる/韓国  (中央日報記事

青少年の喫煙開始時期が早まっている。 保健福祉部(福祉部)が6−8月、延世(ヨンセ)大保健大学院に依頼し、全国中高生4000人を対象に喫煙実態を調査した結果、喫煙開始年齢は男子が平均14.9歳、女子が14.7歳となった。
男子生徒は喫煙開始年齢は02年の15.4歳から03年・04年は15.3歳、今年は14.9歳と低下している。 女子生徒は02年の15.1歳から昨年までやや高まったが、今年は14.7歳に低下した。
また、ソウル大保健大学院が全国中高生1万5000人を対象に調査した結果、中学生2年から喫煙を始めた生徒が28%で最も多かった。 次いで中3、高1、中1の順だった。 中2・3年から喫煙を始めた生徒は49%に達した。
小学生から喫煙を始めた生徒は13.2%、うち1−3年から喫煙している生徒も3.8%にのぼった。
タバコを吸い始めた年齢は低下しているが、青少年の喫煙率は落ちている。延世大の調査結果によると、男子高校生の喫煙率は99年の32.3%から昨年は15.9%に、男子中学生は5.6%から2.4%に落ちた。 女子高校生は99年、昨年ともに7.5%だった。


2005/10/29 仏のカフェも全面禁煙に? 与党議員、11月に規制法案  (朝日新聞記事

 タバコ規制が甘かったフランスで、与党の有力議員が飲食店を全面禁煙にする法案を11月初めに提出する。個人の自由へのこだわりが強いお国柄だが、非喫煙者の「健康を守れ」という声は高まるばかりだ。
 法案を出すのは民衆運動連合(UMP)のイブ・ビュール下院議員(副議長)。禁煙席を設けるだけの分煙措置では「喫煙区域でも働かなければならない従業員の健康を守れない」と主張。働く者の権利という、これまたフランス人の琴線に触れる価値観も支えにしている。
 仏政府は03年に「タバコとの戦争」を宣言、課税強化などで喫煙者減らしに乗り出した。仏国鉄の列車は年内に全面禁煙となり、喫煙者にとってはカフェやレストランが最後のとりでだった。
 全面禁煙に反対する仏タバコ販売店組合のルネ・ルパープ会長は、パリジャン紙に「飲食店の空調は改善されている。談笑と共生のカフェ文化を拒否するような社会を望むのか」と訴えている。
 欧州では04年3月、アイルランドが飲食店を含む公共スペースの禁煙化を実現。ノルウェー、イタリア、スウェーデンでもほぼ同様の規制が実施されている。


2005/10/29 「イメージ悪い」、正面玄関の灰皿撤去・山形市役所  (山形新聞記事)

 山形市は28日、庁舎正面玄関わきの大型灰皿2基を撤去した。市の新人職員研修で出た「イメージが悪い」などの意見を受けての緊急措置。
 大型灰皿は、市庁舎内の完全禁煙化に合わせ、4月1日に設置された。
 市は今月中旬、新人職員を対象にした研修で、「市役所の業務で改善を図るべき点」などのテーマでアンケートを実施した。批判の的の1つになったのが正面玄関わきの灰皿。「入り口を喫煙所にすべきでない」「窓口である場所での喫煙はイメージが悪い」などの意見が寄せられた。
 この日、アンケートでの声を知った市川昭男市長は「自分も前々からイメージが良くないと思っていた。新採職員が感じたことは市民も感じているはず」と、緊急撤去を指示した。大型灰皿の“処遇”について、担当課は設置場所も含め、検討することにしているという。


2005/10/29 タバコカード  (愛媛新聞コラム「地軸」

自動販売機でタバコを買うには、二〇〇八年から「タバコカード」が必要になる。愛煙家にとっては、また面倒なことが増えるに違いない▲  未成年者対策が狙いで、カードは成人しか持てず、本人の顔写真付き。親のカードを持ち出したり、成人に頼んだりする輩(やから)も出てきそうだが実験では喫煙の補導が激減したというから、一定の抑止効果はありそうだ▲  タバコを吸う中高生が激減している。〇〇年度に四割近くに上った高三男子の喫煙率が、〇四年度には二割に減った。公共の場での禁煙が進んだほか、携帯電話代が小遣いを圧迫していることも背景らしい。いかにも現代的な話だ▲  減ったとはいえ、安心してはいられない。喫煙者の多くは吸い始めが中高生のころ。成人男性47%と先進国では高い喫煙率の中、いかに子どもたちをタバコから遠ざけるか―。親や教師の悩みは尽きないが、「頭ごなしではだめ。喫煙は病気であることを理解させることが重要」と多くの医師が禁煙教育や治療の大切さを説く▲  本紙ヤン落欄には校内禁煙なのに体育館の裏や、校門外のバケツの前で吸う先生の話が載っていた。涙ぐましい姿が目に浮かぶ。禁煙を指導すべき立場の教師が吸うのは、生徒から見ればやはりおかしいに違いない▲  受動喫煙を防ぐ健康増進法の施行以来、県内でも学校の禁煙は普及し、全県立学校が昨年五月から敷地内完全禁煙だ。小学校は今年四月で74%、中学校は62%。残りは校舎内禁煙や分煙だが、全面禁煙を早く実現してほしい。


2005/10/29 「学校敷地内全面禁煙を」/県禁煙協議会が校長会に要請/沖縄  (八重山毎日新聞記事

沖縄県禁煙協議会の金城幸善副会長らが、28日午後、八重山地区小学校長会の慶田盛京子会長(平真小校長)を訪ね、「学校敷地内全面禁煙」を要請した。
同協議会は、沖縄県のがん発生率が全国的にも高い数値を示していることや喫煙の低年齢化を防止するため、禁煙要請行動を那覇市や本島南部で展開している。
八重山地域では、WHOの提唱に合わせた「世界禁煙デー八重山地区実行委員会」を中心にさまざまなタバコ対策を実施しており、高校生や中学生によるピア活動など、禁煙に関する学習が積極的に行われている。
しかし、喫煙の低年齢化や高校生での高い喫煙率、家族の喫煙が子どもたちの喫煙危険度をあげている状況にあり、このため、同協議会では子どもたちの無煙環境づくりのため「学校敷地内全面禁煙」実施を要望した。
金城副会長は「全面禁煙への取り組みは学校だけでは難しい。父母らの理解を得て、地域を挙げて取り組みが大切」と強調した。
要請を受けた慶田盛会長は「校長会でも以前から、各校に校内全面禁煙を呼びかけている。子どもたちを受動喫煙から守るため、親自身にも健康について考えてもらい、地域住民への禁煙講話参加呼びかけなど関係機関と連携して対処していきたい」と返答した。


2005/10/28 禁煙呼びかけは効率的に〜LA郡、喫煙率高い同性愛者に注目  (U.S.FrontLineNEWS記事

 ロサンゼルス郡はこのほど、同性愛者を対象とする新たな禁煙運動を開始した。同性愛者には男女とも、喫煙者が多いためだ。
 AP通信によると、LA郡は「Last Drag(最後のお荷物)」と名付けたこの運動で、バーやクラブなど、多くの喫煙者がタバコを吸いたくなる場所にちらしを置いたり、広告を掲示する活動を始めた。
 このほか、地元の保健機関3カ所には男性の同性愛者を対象とした禁煙プログラムを設置。来年初旬には女性の同性愛者向けプログラムを始める。州北部のサンフランシスコでは、同様のプログラムが数年前から始まっている。
 カリフォルニア州保健局の最新調査によると、州全体の喫煙率が15.4%なのに対し、州内の同性愛者の喫煙率は30.4%とほぼ2倍に上った。同保健局が同性愛者の喫煙率を調査したのはこれが初めてで、LA郡が禁煙キャンペーンに乗り出すきっかけとなった。。
 新しい運動を支持するロサンゼルス・ゲイ・アンド・レズビアン・センターによると、同性愛者が自分の性的好みを公にする時、まず同性愛者の集まるバーやクラブに出入りすることから始める。ただこうした場所には喫煙も個人の自由として尊重する気風が強く、「これを変える必要がある」と同センターは話している。
 今回のキャンペーンには3万ドルの予算が当てられるが、同性愛者禁煙プログラムは単独ではなく、他の禁煙プログラムと連動して行われる。


2005/10/28 英、2007年夏から屋内公共施設を禁煙に・一部パブは除外  (日経新聞記事

 英国政府は27日、オフィスや工場、電車、レストランなど屋内公共施設を全面禁煙する方針を決めた。罰金は50ポンド(約1万円)。2007年夏から実施する。ただ「客が減る」と全面禁煙に反対した英国伝統のパブ(居酒屋)の一部が適用除外となったことから、禁煙団体から「生ぬるい」との批判が上がっている。
 屋内全面禁煙の流れは欧州で拡大しており、すでにアイルランドやノルウェーで導入済み。英国のヒューイット保健相も当初は全面禁煙の意向だったが、「食事を出さないパブに限り喫煙OK」と譲歩した。
 同相は99%の施設が禁煙になると推測しているが、今後、食事の提供を取りやめるパブが増えそう。英国内では「ひたすら飲み続ける客が増えて逆に健康を害する」と懸念する医療関係者もいる。


2005/10/28 ソウル市、WHO選定「禁煙優秀都市」  (韓国情報発信基地innolife.net記事

ソウル市がWHOの健康都市事業評価で、禁煙部門優秀都市に選定された。
ソウル市は25自治区とともに禁煙法規移行市民評価団運営と、禁煙通り指定など禁煙事業を倦まず行い、WHO西太平洋地域本部から優秀都市に選定されたと明らかにした。
ソウル市は今日から31日まで台湾タイベイで開かれる「国際健康都市コンファレンス」に参加し、健康都市プロジェクト推進状況を発表し国際専門家たちと都市の健康問題などを論議する計画だ。


2005/10/28 「タバコ裁培・売買禁止」・・・世界各国がんセンター院長が決議 (中央日報記事

タバコ耕作・輸出入・売買の禁止に世界各国のがんセンター院長らが積極的に乗り出す。
国立がんセンターの朴在甲(パク・ジェガップ)院長は「24−26日にフランス・リヨンで開かれた世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究所世界がんセンター院長会議で、『タバコ規制のためのリヨン宣言』が採択された」と28日、明らかにした。
リヨン宣言文は▽タバコ規制国際協約(FCTC)締結目標を達成する▽各国のタバコ消費抑制に積極的に取り組む▽究極的にはタバコ耕作・製造・輸出入・販売が完全禁止されるよう各国政府に強力に建議する−−などの内容を盛り込んでいる。
今回の宣言は、国内でタバコ販売禁止法案づくりへの署名運動を繰り広げている朴院長の提案によるものだ。 朴院長は「がんと他の疾病の主要原因であるタバコを規制しない場合、21世紀内に10億人が死亡するという予測に、参加者全員が共感した」とし、「各国がんセンターの禁煙化にも合意した」と付け加えた。
これに対し、全元策(チョン・ウォンチェク)弁護士は「もっと多様な禁煙プログラムを開発しないまま禁煙を強制するのは、喫煙者の基本権を必要以上に制限する違法的措置であるだけでなく、効果も十分に得られないだろう」と指摘した。


2005/10/28 タバコ自販機、ICカードで成人識別 全面切り替えへ (朝日新聞ニュース速報)

 未成年者による喫煙の温床と批判されているタバコの自動販売機について、日本タバコ協会など業界3団体は27日、全国62万台(04年12月現在)すべてを08年末までに大人だけに発行されるカードがないと購入できない機種に置き換えると発表した。自販機によるタバコ販売は国内市場の5割を占めるが、未成年者の喫煙対策に業界として乗り出す。
 新しい自販機は、20歳以上の人だけに発行されるICチップ入りの非接触型カードを自販機にかざさないと、タバコが買えない仕組みになっている。来年度から地域ごとに自販機の交換とカードの発行を進め、段階的に全国に広める。
 カードは1人1枚の発行で、日本タバコ協会に郵送で申し込み、無料で発行する方法になる見通し。コンビニエンスストアやタバコ屋などの店頭での申し込み受け付けも検討する。
 申し込みには、パスポートや免許証など生年月日と本人確認ができる書類のコピーと、本人の顔写真が必要になる予定だ。他人に貸与しにくくするため、顔写真が印刷される。カードにはプリペイド方式の電子マネー機能もつく。
 コンビニエンスストアやタバコ屋の店頭で買う場合は、カードは不要。同協会は「店頭では罰則規定がある未成年者喫煙禁止法で年齢確認が義務づけられており、身分証明書の提示を求めるなどして未成年者の購入は防げる」と説明している。
 厚生労働省によると、喫煙経験のある高校3年男子の75.7%(00年度)が自販機でタバコを買っていた。未成年のタバコ購入の多くが自販機によるのが実態で、早急な対応が求められていた。
 業界では02年4月から1年間にわたり千葉県八日市場市で、04年5月から現在まで鹿児島県の種子島で、それぞれ成人識別機能つき自販機の導入実験を行ってきた。喫煙者の約70%がカードを取得し、喫煙による未成年者の補導件数が減るなどの効果があがったという。
 同協会では「新機種への置き換え後、未成年の購入防止に効果が認められれば、自主規制している深夜販売の制限を解除することも検討したい」としている。
 新機種への切り替えやデータ管理システムなどの初期投資に800億〜900億円かかる見込み。同協会と全国タバコ販売協同組合連合会、日本自動販売機工業会の3団体で分担する。

※ 種子島の先行実験では、高校生が親のICカードでタバコを購入した事例が報告されており、効果に疑問がある。現在も全国62万台の自販機から未成年者が購入を続けているのであり、タバコ自販機はすぐに全面撤廃するべきであり、これまでに未成年者にタバコを販売して得た利益は、未成年喫煙対策のために還元すべきである。


2005/10/27 11月に認定基準の検討会 政府の石綿被害対策 (共同通信ニュース速報)

 アスベスト(石綿)被害者救済対策で政府は27日までに、石綿との因果関係の特定が難しい肺がんについて、労災対象外の住民や労働者家族の認定基準を定める検討会を11月に設置することを決めた。環境省と厚生労働省は医師ら専門家を集め初会合を開く。
 中皮腫の場合は石綿との関連が強く、政府は原則として全員を救済する方針を固めているが、肺がんについては救済されないケースが出てきそうだ。
 政府は来年提出する救済新法の対象者として、中皮腫と肺がんの死亡者や患者を想定しており、検討会では(1)労災制度でカバーできない住民、家族の中皮腫、肺がんによる患者、死亡者の認定基準(2)厚労省が既に表明している中皮腫の労災認定の基準緩和−を決めるという。
 関係者によると、この中で肺がんについては石綿以外の要因も多く、喫煙との相乗効果が指摘されていることなどから、認定に当たっては医学的に詳細な基準を定める方針。専門家は、石綿が原因だと証明するためには肺組織を取り、石綿の繊維などを確認する必要性を指摘している。
 このため、過去に石綿との関連が疑われ、肺がんで亡くなった被害者でも、大学病院などで肺組織を保管していたり、カルテに石綿が原因との記述があったりする場合を除いては、認定されないケースが多くなる可能性がある。


2005/10/26 禁煙法、早くも効果 (熊本日日新聞記事)

 アイルランドで昨年三月に施行された禁煙法により、パブ従業員の健康状態が改善、喫煙者のタバコ離れも進んだという2つの論文が相次いで英医学誌に発表された。
 ダブリン大などのチームは同国と英国で非喫煙者のパブ従業員計約300人を調査。ニコチンが変化した物質の唾液(だえき)中の濃度はアイルランドで法施行の前後1年間に80%低下。禁煙法のない英国は同時期に20%下がっただけ。アイルランドでは呼吸器症状を訴える人も減った。
 カナダ・ウォータールー大などのチームは、アイルランドで喫煙者769人を調査。全面禁煙への支持率は施行前の43%から67%に上昇し、施行後に禁煙した人の80%は「禁煙法のおかげ」と回答した。


2005/10/25 千以上の大衆薬を3分類へ 厚労省、危険度に応じて (共同通信ニュース速報)

 医薬品の販売規制の在り方を検討している厚生労働省の専門委員会は25日、薬局や薬店で購入できる1000以上のすべての一般用医薬品(大衆薬)を、副作用などの危険度に応じて3種類に分類することで一致した。
 「専門家の説明が必要な薬」「説明した方がよい薬」といった3分類に応じた販売方法を今後、委員会の上部機関に当たる検討部会でさらに議論。厚労省は結論を受け、来年の通常国会に薬事法改正案を提出する。販売方法の見直しは、1960年の薬事法制定以来初めて。
 委員会は、薬に含まれる主要な成分で分類。「リスクが特に高いか、市販されて間もなく安全性が確立されていない」を第1類、「まれに健康被害が生じる恐れがある」を第2類、それ以外を第3類とした。
 例えば、胃薬に含まれる「H2ブロッカー」は第1類。かぜ薬に含まれる「アスピリン」や
禁煙補助剤に使う「ニコチン」は第2類、整腸薬の「ビフィズス菌末」は第3類とされた。
 薬事法は、薬剤師ら専門家が販売時に危険性を伝えるよう規定しているが、最近ではテレビ電話やインターネットでの販売もあり、実情に合わなくなっていた。検討部会は、薬剤師以外の資格の新設や、カウンター内に商品を置く必要性といった販売方法も議論している。


2005/10/25 奥日光の湿原 ラムサール条約登録予定地域 歩きタバコ禁止 (NHKニュース速報)

 奥日光の戦場ヶ原(センジョウガハラ)などの湿原が湿地の保全などを定めたラムサール条約に登録される見通しになったことから、日光市は登録が予定されている区域での歩きタバコを禁止する方針を決めました。
 ラムサール条約は水鳥や魚の生息地になっている湖や湿原などの保全を目的とした国際条約で、日本では釧路湿原(クシロシツゲン)など十三か所が登録されています。
 奥日光の観光名所である戦場ヶ原が来月、ラムサール条約に登録される見通しになったことから、日光市はこの地域を市の環境美化条例に基づく路上禁煙区域とすることを決めました。
 歩きタバコが禁止されるのは戦場ヶ原や小田代原(オダシロハラ)などの奥日光の湿原や湖で、違反した人に対する罰則などはありません。
 環境省によりますと、ラムサール条約の登録区域を自治体が独自に路上禁煙とするのは全国でも初めてではないかということです。
 戦場ヶ原などの路上禁煙は早ければことし中に実施される見通しで、日光市の眞杉端夫(マスギミツオ)市長は、「今回のラムサール条約の登録を機に観光客や地元の人たちにマナーの向上を図ってもらいたい」と話しています。


2005/10/24 タクシー喫煙、粉じん基準の12倍 回復まで1時間以上 (朝日新聞ニュース速報)

 窓が閉まったタクシーの車内で乗客がタバコを吸うと、車内の浮遊粉じん濃度は国の基準の12倍に達し、元の状態に戻るまでに1時間以上かかることが、東京大大学院研究員らの調査でわかった。前に乗った乗客の喫煙によって、次に乗った乗客が受動喫煙する危険が大きいとしている。
 調べたのは、東京大大学院医学系の中田ゆり・客員研究員と産業医科大(北九州市)の大和浩・助教授ら。昨年5月の数日間、東京都内を走行中のタクシーに乗って粉じん計で測定した。
 窓を閉めたままで1人が喫煙した場合、1立方メートルあたりの浮遊粉じん濃度は厚生労働省の基準値(0.15ミリグラム)の12倍の1.80ミリグラムに達した。後部座席の窓を5センチ開けた場合でも、基準値の9倍の1.36ミリグラムあった。
 さらに元の濃度ゼロの状態に戻るまでの時間を計ったところ、窓を閉めたままだと1時間以上、窓が5センチ開いている場合でも30分以上かかった。
 03年5月施行の健康増進法は、多数が出入りする施設や鉄道、バス・タクシーなどの管理者に対し、受動喫煙の防止を義務づけたが、違反しても罰則はない。
 中田さんは「タクシーの車内は狭いうえ、降雨や寒さ、エアコンなどのために窓を閉めることも多いので、汚染度は著しい。乗客だけでなく、運転手にとっても健康に悪影響で、タクシーの車内は全面的に禁煙にすべきだ」と指摘している。
 国土交通省などによると、全国のタクシー約27万1000台のうち、「禁煙タクシー」は5364台(約2%)という。東京都内では1225台という。


2005/10/24 タバコが医療費に大きく関係しているのは誰も否定できないだろう (時事通信中央官庁だより)

 2006年医療制度改革で生活習慣病対策を強化する財源として、尾辻秀久厚生労働相がタバコ税の引き上げについて検討の必要性を指摘した。先週の自民党の厚生労働関係議員の幹部会では、そこまでの議論は出なかったようだが、与党の税調幹部は「タバコが医療費に大きく関係しているのは誰も否定できないだろう」と理解を示す。ただ、「税率を引き上げるとかえって税収が減る場合もある。上げ幅や時期はよく考えないといけない」と話し、今年末の改正で議論するかどうかは微妙な様子だ。(


2005/10/23 大弦小弦/沖縄タイムスコラム 「禁煙タクシー」 (沖縄タイムス記事

 タクシーを止めると、運転手は「禁煙車ですが…」と遠慮がちに聞いてきた。十数年前に、タバコをやめているので、躊躇なく乗り込んだ。
 話を聞くと、このタクシー会社は新車に切り替え時、禁煙車にしており、現在は三台あるという。将来は全車が禁煙になるらしい。先日、奥武山公園で行われた那覇まつり会場では「会場内は禁煙です。喫煙は指定された場所で」と呼び掛けていた。
 受動喫煙防止のため、公共施設などでの喫煙を禁じた健康増進法が施行されて二年半。禁煙の流れが確実に広がっていることを実感する。周りをみると、タバコをたしなむ人は少なくなった。多くの場所で全面禁煙が加速し、愛煙家は肩身が狭くなる一方だ。
 追い打ちをかけたのは日本循環器学会などが喫煙を「病気」とみなす「禁煙ガイドライン」を作ったことだ。タバコを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」と位置付け、「積極的禁煙治療を必要とする」と注意を促している。
 本人の意思で吸っている嗜好物なので、他人に迷惑をかけなければいい。喫煙者はそう思っていたに違いない。だが、「病人扱い」され、複雑な思いではないだろうか。
 男性の喫煙者は減っているが、女性は微増していることも気になる。母体に害があるのは明らかで、結論はおのずと出よう。そういえば、先のタクシー運転手は「禁煙車と分かると、乗らないのは女性が多い」と語っていた。


2005/10/20 少年院で医師が禁煙教育 タバコの効用のうそを説明 (共同通信ニュース速報)

 若者に迫る薬物依存の危険を、まずタバコから予防しようと、心理療法を取り入れた新しい禁煙方法に取り組む「リセット禁煙研究会」(名古屋市)の磯村毅医師が20日、愛知県豊明市の少年院「豊ケ岡学園」で講演し、「我慢ではなく、吸いたい気持ちが起こらないようにすることが大切」と訴えた。
 同学園によると、入園する少年の約8割は常習の喫煙者。これまでは職員がタバコの害を諭してきたが、外部の専門家を招いた禁煙教育は珍しいという。
 14歳から19歳の少年約40人を前にした講演で磯村医師は、説明を繰り返して理解させる心理療法でタバコを吸う以前の健康状態を思い出させ、吸いたい気持ちをなくす「リセット禁煙」を提唱。「タバコでストレスが解消できると全員が考えているが、実はニコチンが切れるからストレスを感じるだけで、解消されていない」などと喫煙の「効用のうそ」をやさしく説明した。
 磯村医師によると、毎日タバコを吸う未成年の3人に1人がシンナー吸引の経験があり、禁煙は別の薬物依存の予防にもつながるという。


2005/10/20 タバコ税引き上げの検討必要=生活習慣病対策の財源に−厚労相 (時事通信ニュース速報)

 尾辻秀久厚生労働相は20日、参院厚労委員会で、2006年医療制度改革で目指す生活習慣病予防対策の財源を確保するため、タバコ税の引き上げを検討する必要があるとの認識を示し、関係方面の意見を聴取する意向を明らかにした。武見敬三氏(自民)への答弁。
 厚労省の医療制度改革試案では、医療費抑制策として医療保険者に40歳以上の国民全員に健康診断を義務付けるなど、生活習慣病予防策の強化を明記している。 


2005/10/19 自民新人、禁煙申し入れへ  (共同通信ニュース速報)

 先の衆院選で初当選した自民党の新人議員83人でつくる「83(ハチサン)会」は19日の幹事会で、部会など多数の議員が参加する党の会議を禁煙にするよう、近く武部勤幹事長に申し入れることを決めた。83会の会員は党の会議中の喫煙を控えることも申し合わせた。
 女性の出席議員から提案があり、「込み合った部屋で隣の人にタバコを吸われると迷惑だ」「民間では会議中の禁煙が常識になっている」などと同調する声が相次ぎ、異論なく決まったという。
 自民党の会議では卓上に灰皿が置かれるのが通例で、部屋中がタバコの煙で白くかすむ光景も珍しくない。


2005/10/18 10年連続で最低を更新 喫煙者率、女性は微増 (共同通信ニュース速報)

 成人でタバコを吸う人の割合は昨年比0・2ポイント減の29・2%と10年連続で過去最低を更新したことが18日、日本タバコ産業(JT)の調査で分かった。
 調査は6月、全国の男女1万6000人を対象に実施し、1万391人(64・9%)から回答を得た。
 男女別では、男性が昨年6月に比べ1・1ポイント減の45・8%と14年連続の減少。前年まで3年連続で減っていた女性は逆に0・6ポイント増の13・8%。
 喫煙者人口を推計すると、男性が2281万人、女性が739万人の計3020万人となり、昨年より12万人減ったことなる。
 喫煙者率が最も高い年代は、男性が30代の54・6%、女性は20代と30代でともに20・9%。地域別では男女とも北海道が最も高かった。
 「毎日吸う」と回答した人の1日当たりの平均喫煙本数は男性22・3本、女性16・0本だった。
 JTは喫煙者の減少について「喫煙と健康に関する意識が高まっているほか、喫煙をめぐる規制の強化や一昨年のタバコ税増税が影響しているのでは」としている。


2005/10/18 やめたくてもやめられない 喫煙率、依然47% (共同通信ニュース速報)

 喫煙は本人だけでなく周囲にも健康被害をもたらし、医学九学会がまとめた「禁煙ガイドライン」は「禁煙推進こそが社会全体の健康増進に寄与する最大のもの」と位置付けている。
 しかし、自己流での禁煙は難しいのが実情。厚生労働省の調査では、現在喫煙の習慣のある人のうち、禁煙を試みたことがある人の割合は、男性の約半数、女性では約60%に上り「タバコをやめようと思ってもやめられない」という人の多さをうかがわせる。
 日本タバコ産業(JT)の調査によると、日本人の成人男性の喫煙率は1966年の84%をピークに年々減少し、現在では47%を切っている。
 だが、米国の成人男性の喫煙率が24%程度であることなどに比べれば、まだ高い。医療関係者の間には、先進国並みの25%程度にまで低下させることを目指して、強力な禁煙政策を取るべきだとの声が強い。
 また、成人女性の喫煙率は現在13%で、過去5年以上の間、目立った低下傾向はみられない。20−40代では一部、喫煙率の上昇傾向がみられるなど、日本のタバコ対策は、まだまだ不十分と言える。


2005/10/18 喫煙は病気 禁煙社会目指し医学会 (共同通信ニュース速報)

 タバコを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」であり、患者(喫煙者)には「積極的禁煙治療を必要とする」−。日本循環器学会など9学会の合同研究班が18日までに「禁煙ガイドライン」を作った。
 一般医師向けの初の治療指針で「タバコを吸わない社会習慣の定着」が目標。カウンセリングや患者自身でできる行動療法の具体例に加え、女性には美容にも悪影響であることを知らせるなど患者に応じた治療方針を盛り込んだのが特徴だ。
 研究班長の藤原久義・岐阜大教授(循環器内科)は「自分の意思で喫煙をやめられるのは5−10%程度。すべての医師が患者の喫煙を把握し、治療を勧めることが必要だ」と話している。
 指針は、禁煙に効く行動療法として「喫煙者に近づかない」「吸いたい衝動が収まるまで秒数を数える」などを挙げた。
 また、禁煙の意思がある患者には、自分で禁煙計画を作らせ「節煙より早道」「開始直後はアルコールを控える」とカウンセリングを実施。意思のない場合は、呼気中の一酸化炭素濃度を測って教え動機付けに役立てる、とした。
 薬物療法では、ガムやパッチを使うニコチン代替療法を推奨した。離脱症状が軽く成功率を高め、禁煙による体重増加を遅らせる効果もある。一方で、治療中の喫煙はニコチンの過剰摂取につながるなど注意も必要だ。
 未成年には、頭ごなしの言い方を避け、喫煙が病気であることを理解させる。女性では、しわ、口臭など美容にも影響することを知らせるなど、患者に応じた指導を強調している。
 医師にも、日本の男性医師の喫煙率は20%強で、欧米の医師(男女)の5%前後に比べて高い、と自省を求めた。タバコの値上げや広告禁止など、社会環境の整備の必要性も指摘した。
 指針は11月以降、循環器学会などのウェブサイトに掲載される。


2005/10/18 米政府の控訴を棄却 タバコ訴訟で最高裁 (共同通信ニュース速報)

【ワシントン17日共同】米政府がタバコ各社に総額2800億ドル(約32兆2000億円)の損害賠償を求めている訴訟に関連して、連邦最高裁は17日、賠償請求権を認めなかった高裁判断を支持し、政府の控訴を棄却する判決を下した。
 最高裁は判決理由を明らかにしていないが、政府が賠償請求の根拠としている法律は過去にさかのぼった請求を認めていない、とした今年2月の高裁判断に倣ったものとみられる。政府側は「請求が可能」として控訴していた。
 判決を受けマルボロなどの銘柄を持つタバコ大手アルタリア・グループの株価は6%超も上昇。ダウ工業株30種平均を押し上げた。
 この日の判決は、連邦地裁で継続中の賠償請求訴訟の行方に影響を与える見通しだ。米政府はクリントン民主党政権の1999年、タバコ業界は喫煙の有害性を知りながら50年間にわたり消費者を欺き不当な利益を得てきた、として業界各社を相手に提訴した。


2005/10/17 喫煙患者に受動喫煙の危険性を指導する必要性  (Dr赤ひげ記事

 医師は喫煙患者に対し、喫煙指導の際に受動喫煙の危険性についても併せて指導する必要があるとする米国の専門家3名による見解が、医学誌「Families, Systems & Health」に発表された。
 報告では、まず喫煙に関する注意事項は、同時に指導する方が別々に実施するよりも効率がよいこと。次に、喫煙者に受動喫煙の危険性について納得させることにより、自宅を無煙の状態にすることに対して強い意志を持つようになり、健康を損なうリスクが低下するほか、自分以外の喫煙者に対しても自宅では喫煙しないよう勧めるきっかけになることが期待されるという。
 米国では、受動喫煙に起因する死亡が年間5万例に上る。この数値は大腸癌(がん)による死亡者数にほぼ相当する。今回の報告では、「(小児、冠動脈疾患および喘息患者など)特に健康に対する被害を受けやすい集団があるが、受動喫煙に曝露(ばくろ)すれば誰でも心臓疾患をはじめとする疾患の発症リスクが増大することになる」と注意を促している。


2005/10/15 「煙草規制枠組条約」締約国大会、来年開催  (CRIニュース

 WHO・世界保健機関は14日、「『煙草規制枠組み条約』締約国の初めての大会は2006年2月6日から17日にかけてジュネーブで開かれ、条約の履行や、事務所の設置、資金サポートなどについて討議する」ということを明らかにしました。
 WHOはまた、この条約をまだ批准していない国々に、11月8日までに批准文書を国連に提出するよう求めました。なぜなら、批准書提出90日後になって初めて正式締約国として認められ、締約国大会の参加資格を持つようになるのだということです。
 「煙草規制枠組条約」は2003年5月ジュネーブで開かれた第56回世界保健大会で採択され、2005年2月28日から正式に発効し、現在、中国を含む89ヶ国が批准書を国連に提出しています。


2005/10/15 <中国>タバコ消費世界一 国連規制条約批准で新たな試練  (毎日新聞ニュース速報)

【北京・大谷麻由美】中国は今月11日、国連に「タバコ規制枠組み条約」批准書を提出し、来年1月から中国国内で同条約が発効することになった。しかし、条約履行によるタバコへの課税強化は、消費量減少と税収減、偽造タバコと密輸の増加を招きかねない。世界最大のタバコ生産・消費国の中国にとって「新たな試練」となりそうだ。
 中国国家タバコ専売総局によると、中国の喫煙者は3億5000万人で、世界の喫煙者11億人のうち3分の1を占める。年間生産量も世界の30%。また、04年企業納税番付500社全体の納税総額の26.6%がタバコ産業による。
 タバコ規制枠組み条約は加盟国に、タバコの広告やタバコ会社のスポンサー行為を5年以内に原則禁止し、3年以内に包装面の30%以上を健康への警告表示にあてることなどを義務づけている。


2005/10/14 中国 正式に『タバコ規制枠組み条約』を履行  (CRIニュース

 中国国家発展改革委員会や衛生省などの部門は13日北京で、「中国は正式にWHO・世界保健機関が制定した『タバコ規制枠組み条約』を履行し始める」と共同で発表しました。
 現在、全世界には11億人の喫煙者がいて、毎年500万人余りの人が喫煙による病で死亡しています。喫煙を抑制するために、2003年に開催された第56回世界保健大会で、WHOの190カ国余りの加盟国は一致して『タバコ規制枠組み条約』を採択しました。40カ国が正式にこの条約を批准した後、この条約は今年2月末から正式発効しました。これは、WHOが制定した初めての人類の健康に関する国際条約です。
 中国はタバコの生産と消費大国で、生産量と消費量はそれぞれ世界の三分の一を占めています。現在、全国で約3億5000万人の喫煙者がいて、毎年喫煙で死亡する人は約100万人に達しています。喫煙を抑制、強化するために、今年8月第10回中国全国人民代表大会常務委員会は正式に『タバコ規制枠組み条約』を採択しました。今月11日、中国は国連にこの条約採択についての正式文書を提出しました。条約の規定によって、文書が提出されて90日後、条約は中国で発効することになります。
 中国国家発展改革委員会の欧新黔副主任は「中国政府は喫煙の抑制を高く重視している。条約の履行は中国のタバコ販売の抑制にプラスとなる」と述べました。また、欧新黔副主任は 「中国政府は一貫して国際社会の喫煙抑制措置の実施を支持し、積極的に『タバコ規制枠組み条約』の制定にかかわると共に、推進していく。中国が確実にこの条約を履行することは、更に社会の喫煙危害に対する認識を高め、積極的にタバコ販売の抑制や、健康、文明的なよい社会環境を作り上げ、すべての国民の体質を効果的に向上させ、経済や、社会の協調かつ全面的な発展を促進することができる」と語りました。
 条約は喫煙の抑制について締結国に具体的な要求を出しました。例えば、タバコの需要を減少するために、経済的措置を講じて、価格や、税収などの面から抑制すること、喫煙しない人を保護するために、衛生面の措置を講じること、管理措置を講じて、タバコの製造企業と輸入企業が必ずタバコ製品の成分や排出物の情報を提供しなければならないこと、未成年へのタバコ販売を禁止することなどの要求があります。
 また、欧新黔副主任は「中国は真剣に『タバコ規制枠組み条約』を履行し、効果的な措置を講じて、タバコの危害を減少させる」と語りました。欧新黔副主任は 「国家はタバコの生産に厳しい計画的な抑制を実施する。タバコを栽培することに農業林業特別税を課し、新たな内外合資タバコ生産企業の設立を許可せず、新しいタバコ工場を作らず、現有のタバコ生産企業を共同で再編成を拡大し、タバコの不法貿易を取り締まる。」と強調しました。
 そのほか、中国はタバコ販売抑制の宣伝活動を強化し、喫煙抑制に関する法律法規を整備し、積極的に国際協力を展開するなどのタバコの抑制活動を強化していきます。


2005/10/14 禁煙実施後も客減らず 作業所経営の喫茶店 西宮  (神戸新聞記事

 精神障害者が通う「ハートフルクラブ作業所」が経営する西宮市柳本町の喫茶店「シャリテ」が、店内の終日禁煙に取り組んでいる。「コーヒーにタバコはつきもの」と八月の導入当初は客離れを心配したが、二カ月がすぎた今も売り上げを維持。愛煙家には店外には喫煙コーナーを設けており、西宮市保健所によると、チェーン店以外で終日禁煙を実践する喫茶店は珍しいという。(薮中伸一)
 同店は、通所者と地域との交流の場にと、二〇〇〇年六月にオープン。喫煙が可能だったため、客から「店内の煙がひどい」と指摘が相次いだ。空気清浄器を設置したものの、抜本的な解決につながらなかった。
 そのため、同店は一年前から作業所に通うメンバーらと協議を始めた。まず昼食時の午前十一時半から一時間の禁煙を実行。「気持ちよく食事ができる」と好評だったため、水曜日を終日禁煙日にするなど段階的に増やしていった。
 七月には同保健所の薗潤所長を招いた講習会を開催。喫煙の弊害などをビデオなどで学んだメンバーらは八月、店内を終日禁煙にすることを決定。喫煙者にも配慮し、店外にはテーブルやパラソルなどを置いて飲食ができるようにした。
 同作業所の水野燿子所長(58)は「喫茶店と喫煙は切り離せないと思ったいたが、メンバーで話し合い、お客さんにも呼び掛けて実現できたことがうれしい」と話している。


2005/10/13 高齢女性の喫煙はガンを40%上げる (アメリカ)  (「世界の高齢者」記事

  米国癌学会によれば、今年、約21万人が乳ガンと診断され、うち男性患者はわずか1,690人。1日1箱のタバコを11年喫煙する女性は、 乳ガンにかかる危険性を30〜40%上げると、シアトルにあるフレッド・ハッチンソン・ガン研究センターの研究者が発表。またホルモン置換療法薬を服用する人々は危険を110%増やすと注意した。
「ジョイン・トゥゲザー」(10.6)によれば、この研究は65才から79才の女性の喫煙と乳ガンの関係を調べたもので、長期の喫煙者と乳ガンの危険性が確認された。若い時に喫煙を始めたか、最初に生まれた子供を生む前に喫煙していた女性は、危険度が高いという。
参考:平成15年の日本の喫煙率/男性平均46.8%、女性平均11.3%、60才以上では男性31.2%、女性5.3%。(厚生労働省調べ)
アメリカの喫煙率/男性27%、女性22.6%(2001年調べ)


2005/10/13 住宅火災死者は過去最悪 今年上半期705人に  (共同通信ニュース速報)

 2005年1−6月の住宅火災による死者(放火自殺など除く)は、前年同期比で14・4%増の705人に上ることが総務省消防庁のまとめで13日、分かった。半期の死者数としては、住宅火災単独で集計データが残っている1979年以降最多。消防庁は火災予防を呼び掛けている。
 年齢別にみると、65歳以上の高齢者が410人と全体の58・2%を占めた。増減率では5歳以下の乳幼児が33人と前年同期(17人)に比べて倍近くに増えたのが目立った。
 死亡に至った原因をみると「逃げ遅れ」が全体の54・1%を占め、次いで「着衣への着火」が5・6%。
 死者を伴う住宅火災の出火原因は、放火と放火の疑いが17・9%、
タバコが16・4%など。
 住宅火災の死者は03年に1041人と1986年以来、初めて1000人を突破し、04年も1038人を記録している。


2005/10/12 50代以上の8%は呼吸器病 長崎大疫学調査  (朝日新聞ニュース速報)

 空気のきれいな九州の地域でも、治療を要する呼吸器病患者が50代以上の住民の8%を超すことがわかった。肺機能検査できちんと確認した疫学調査は日本では初めてで、世界でも数件という。千住秀明・長崎大医学部保健学科教授がデンマークで開かれた欧州呼吸器学会で発表した。
 千住さんらは長崎県北松浦郡田平町(10月から平戸市)の50代から70代の住民に、咳(せき)や息切れの有無をアンケートした。回答者1568人中418人が要検査対象となり、190人が実際に受診した。このうち肺気腫と慢性気管支炎を合わせた慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)患者は59人いて、だれもこの病気の治療は受けていなかった。患者は同町の50〜70代の人口の8.3%にのぼると推定できた。
 また、COPDと診断された率は、喫煙者で12.6%、非喫煙者で1.8%あり、喫煙者の危険性が高かった。
 「日本全体でもこれ以上の率のCOPD患者が治療されずにいる可能性がある。タバコ対策が重要で、各国の研究者からは今後の追跡調査を要望された」と、千住さんは話している。


2005/10/ 8 喫煙学生は半分以下に減少 入学時の禁煙誓約書が成果  (共同通信ニュース速報)

 新入生に禁煙誓約書を求めている名古屋女子大(名古屋市瑞穂区)は8日、同大で開催されたシンポジウムで、学生全体の喫煙者の割合が誓約書提出前の6・1%から2・8%と半分以下に減るなどとした調査結果を発表した。
 喫煙者の減少のほか、誓約書を義務付けた2004年度より前に入学した喫煙者の3・1%がタバコをやめ、禁煙したいと思っている学生も29・2%から36・4%に増えるなど、上級生の意識改革にも役立っていた。
 同大は04年度から、全国の大学で初めて新入生全員の入学時に「喫煙したら自主退学します」とする誓約書の提出を義務付けた。
 調査した短期大学部栄養科の河野節子教授は「誓約書で、入学時にタバコについて考え、禁煙に踏み出してもらいたい」と述べた。


2005/10/ 5 禁煙、サルでもできる=動物園のチンパンジーが成功−中国  (時事通信ニュース速報)

【北京5日時事】中国陝西省のサファリパークで飼育されている雌のチンパンジー、アイアイが16年続いた喫煙を断つことに成功した。世界一の喫煙大国、中国にとって禁煙推進は大きな課題となっており、5日付の英字紙チャイナ・デーリーはこのニュースを1面で大きく報じた。
 アイアイの喫煙は、1989年につがいの雄が死んだことがきっかけ。寂しさを紛らすように捨てられたタバコに手を出した。その後、2番目のつがいの雄や子供の死が重なり、喫煙への依存が加速。1日10本程度吸うようになった。
 禁煙への取り組みは8月末から開始。朝食後の散歩、昼食後の音楽などで注意をそらす努力が奏功し、これまで約1カ月喫煙していない。担当者は「生活が多彩になり、タバコを忘れられた」と話している。


2005/ 9/30 ポイ捨てには罰則とPR 札幌で北斗晶さんら  (共同通信ニュース速報)

 札幌市で10月1日からタバコのポイ捨てなどに罰則が適用されるのを前に、元女子プロレスラーでタレントの北斗晶さん(38)や市幹部らが30日、札幌駅前でPR活動を行った。
 ジャージー姿でトレードマークの木刀を手にした北斗さんは、ジャンパー姿の市幹部ら約30人とともに仕事帰りのサラリーマンらに「あしたから『罰金』始まりますよー」と声を掛け、罰則適用を説明するティッシュを配った。
 ポイ捨て防止条例は、市全域でタバコの吸い殻や空き缶の投げ捨てを禁止、重点地区の札幌駅や観光名所の大通公園周辺では、歩きタバコも禁止した。
 8月に施行されたが、2カ月間は「猶予期間」とし、1日から警察OBの指導員が巡回し取り締まる。条例の罰則は「3万円以下の過料」だが、当面の徴収額は1000円としている。


2005/ 9/30 カナダ州政府、タバコ業界を相手取った大型訴訟へ  (ロイター記事)

[オタワ 29日 ロイター] カナダ最高裁は29日、州政府がタバコ業界に対して訴訟を起こす権利を全会一致で支持した。これを受け、ブリティッシュコロンビア州政府はこの日、タバコ業界を相手取った訴訟に踏み切ると表明した。
 喫煙による健康被害を通じた州の医療費負担に関する訴訟で、賠償請求額は総額800億カナダドル(700億米ドル)に達する可能性がある。
 米国での同様の訴訟では賠償額が2400億ドル以上になった。カナダの州政府は米国とは違い、貧困層や高齢者だけでなく全州民の医療費を負担している。
 ブリティッシュコロンビア州政府は、1950年代までさかのぼれば、請求額が総額100億カナダドルになる可能性があると推測している。また、同州に続き、ほかの州も追随して訴訟を起こすことを示唆している。ニューファンドランド州はすでに同様の条例を可決し、最高裁の決定を待つだけとなっている。
 ブリティッシュコロンビア州の人口は、カナダ全体(3200万人)の8分の1で、仮に全10州が訴訟に踏み切った場合、賠償請求額は800億カナダドルに達する可能性がある。
 ブリティッシュコロンビア州政府による訴訟の主な被告企業は、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)<BATS.L>、ロスマンズ<ROC.TO>、アルトリア・グループ<MO.N>、日本タバコ産業<2914.T>、レイノルズ・アメリカン<RAI.N>のそれぞれ子会社や傘下企業など。


2005/ 9/30 州政府のタバコ会社提訴認める=大型訴訟に発展か−カナダ最高裁  (時事通信ニュース速報)

【ニューヨーク29日時事】カナダ連邦最高裁は29日、喫煙による健康被害の医療費負担をめぐり、ブリティッシュコロンビア州政府がタバコ会社を提訴することを認める判決を下した。
 同州は過去50年にさかのぼって医療費を支払うよう求めており、請求額は100億カナダドル(約9600億円)に達する見通し。他の州が追随すれば、請求額は数百億カナダドルに膨らむ可能性もある。カナダ政府は、毎年40億カナダドルがタバコに起因する病気の治療費に充てられていると推測している。


2005/ 9/26 洲本高校、10月から敷地内全面禁煙実施/兵庫  (朝日新聞兵庫県版記事)

 洲本市の県立洲本高校(全日制、定時制計876人)は10月1日から、生徒の受動喫煙を防ぐため、学校敷地内を全面禁煙にする。島内では、柳学園進学部(中高一貫)が4月から、県立淡路高校一宮校が9月から、それぞれ全面禁煙を実施している。県は今年度中に教育施設で全面禁煙をめざす方針だが、島内では大半の学校で実施時期が決まっていないという。
 県は03年度、子どもの健康被害防止や喫煙防止教育などを目的に、受動喫煙防止対策指針を策定し、昨年4月に公表。今年度までの2年間に県内の小、中学校や高校、大学など私立を含む全教育施設で全面禁煙をめざす方針を掲げた。
 今年7月には、県教委が島内の各県立学校に、早急に敷地内を全面禁煙にするよう通知した。
 これを受けて洲本高校と淡路高校一宮校は、校舎の一部に教職員用の喫煙室を設ける分煙措置を取りやめ、全面禁煙に移行。県立志知高校と県立淡路養護学校も来年1月から実施する予定だ。
 しかし、他の県立学校の多くは、まだ実施時期を決めていないという。
 私立の柳学園は進学部の敷地を全面禁煙にしたが、同学園高校の敷地については未定という。
 県淡路教育事務所によると、昨年9月時点の集計で、島内の公立小、中学校75校(当時)のうち、全面禁煙にしているのは五色町1、旧緑町(現・南あわじ市)2、旧三原町(同)1の計4小学校。建物内を禁煙にしているのは計35の小、中学校だった。
 島内の医師らでつくる淡路医師会は今春から、各学校に禁煙を呼びかけるポスターを配布するなど、全面禁煙を促す活動を続けている。
 同会のメンバーで、洲本市休日等応急診療所所長の山岡雅顕医師は「県が指針を出したのは昨年で、学校側の対応は遅れている。アスベスト問題が騒がれているが、タバコも発がんの恐れがあるのに関心が低いのではないか」と話している。
【写真】10月から敷地内を全面禁煙にする県立洲本高校=洲本市上物部2丁目で


2005/ 9/26 声楽家藤岡宣男さん転落死=マンション5階から−横浜  (時事通信ニュース速報)

 25日午後8時ごろ、横浜市西区平沼のマンション5階のベランダから、近くに住む声楽家の藤岡宣男さん(40)が転落し、死亡した。神奈川県警戸部署は、現場の状況などから誤って転落したとみている。
 調べによると、藤岡さんは同時刻ごろ、同マンションにある所属音楽事務所の社長の住居兼事務所を訪れた。ベランダに行き、叫び声を上げたため、社長が見ると、藤岡さんがベランダ外側にぶら下がっていた。社長が助けようとしたが、1階の芝生上に落ち、約2時間後に死亡した。
 ベランダには、手すり(高さ約120センチ)の半分ほどの高さまでチラシなどが積まれていた。
 
社長はタバコを吸っており、藤岡さんは煙を嫌がり、ベランダに出たらしい。酒に酔っていた可能性もあるという。 


2005/ 9/23 <新潟中越地震>最後の住民運動会 ちょっぴり寂しさも  (毎日新聞ニュース速報)

 新潟県中越地震の震源地に近い川口町小高地区で23日、最後の住民運動会が開かれた。全25世帯の多くが来年中に集団移転し、この地を去る。「来年も一緒に運動会をしたいけれど」。秋の日差しの下、沸き上がる歓声には、ちょっぴり寂しさが漂った。
 小高地区は町南部の谷筋にあり、土砂崩れの危険性から避難勧告がいまだに解除されていない。このため19世帯81人は来年、北に約3キロ離れた岩出原地区に移転することになっている。
 運動会の会場は、廃校になった町立小学校の分校跡地。仮設住宅からやってきた住民たちは、ぶら下がった蚊取り線香から、
くわえたタバコに火をつける「タバコ吸い競走」など16種目のユニークな競技に汗を流した。賞品のカレールーやカップめんなどを抱えて笑う和気あいあいとした雰囲気は、これまでの運動会と変わらない。
 しかし、集団移転が決まれば、小高ではもう開催できない。集団移転とは別に、個人的に引っ越した住民もいる。「くしの歯が欠けたみたい。これが最後かな」と、観戦者の中で最高齢の石坂クマノさん(84)。ちょうちんに火をつけてゴールを目指す競技に出た角張キユイさん(76)は「移転したら、ここは遠くなるな」とつぶやいた。


2005/ 9/23 タバコの陳列、禁止に=違反小売店には罰金−タイ  (時事通信ニュース速報)

【バンコク23日時事】タイの小売店でのタバコ陳列が24日から禁止され、違反者には20万バーツ(約54万円)以下の罰金が科せられることになった。小売店は「タバコ販売」などと書いたA4サイズ以下の紙を1カ所だけ表示できる。
 タイではタバコの広告や販売促進が禁止されている。保健省は5月、「小売店内の商品陳列は宣伝に該当する」と判断。商品を棚に並べることも禁じる。バンコク国際空港(ドンムアン空港)などを除く全国の免税店も陳列禁止の対象となった。 


2005/ 9/21 “喫煙” 歯周病の危険5倍 「受動喫煙者」も3倍近くに  (NHKニュース速報)

 タバコを吸っている人が歯周病にかかる危険性は、吸ってない人の五倍近く、まわりで煙を吸っている、いわゆる受動喫煙者も三倍近くに増えるという研究結果を厚生労働省の研究班がまとめました。
 研究班は、大阪府内の企業に勤める従業員およそ三百人を対象に、まず、ニコチンが体内に入っていたことを示す「コチニン」と呼ばれる物質が唾液の中に含まれるかどうかを調べました。
 そして、コチニンの量によって、▽喫煙者と▽まわりに喫煙者がいて煙を吸っている受動喫煙者、それに▽煙をまったく吸っていない人に分けて歯の状態を比較しました。
 その結果、喫煙者はまったく吸っていない人に比べ、歯周病になる危険性が四・九倍高く、受動喫煙者も二・九倍高くなっていました。
 また、これまで吸ったタバコの量が多いほど歯周病の危険性が高くなっていたということで、研究班では煙に含まれるニコチンやタールの影響で、歯の周辺の血液の循環が悪くなったり、細菌への抵抗力が弱まったりするのではないかとしています。
 これについて研究班の代表で大阪大学の雫石聰(シズクイシサトシ)教授は、「受動喫煙でも予想以上に大きな影響を受けることがわかった。歯の健康の面からも、職場などで分煙や禁煙などをより積極的に進めることが重要だ」と話しています。


2005/ 9/20 巨額追徴課税、JTの訴え棄却=日ロ経済関係に暗雲−3審  (時事通信ニュース速報)

【モスクワ16日時事】日本たばこ産業(JT)のロシア現地法人への巨額追徴課税をめぐる裁判で、モスクワ市破毀(はき)裁判所(3審)は16日、JT側の訴えを棄却し、20億ルーブル(約76億円)の追徴税支払いを命じた2審判決を支持した。 これで支払いが確定したわけではないが、最終審判決は11月のプーチン大統領訪日を控え、トヨタ自動車の進出など拡大基調に転じた日ロ経済関係に暗雲を投じるとみられる。  JTは「残念であり、最高裁への上告を含めあらゆる手段を検討する。今後のビジネスへの影響を懸念する」とコメントした。 追徴課税されたのは、JTの現地販売法人「JTI・マーケティング・アンド・セールス」。税務当局は、たばこの付加価値税を納入していないとして、業界としては過去最高の追徴税支払いを要求。日本政府は問題の公正かつ透明な解決を求めていた。


2005/ 9/20 低所得層の喫煙率減少 タバコ価格引き上げ後  (朝鮮日報記事

 タバコ価格引き上げ後、低所得層の成人男性の禁煙率が最も高いことが分かった。
 20日、保健福祉部によると、韓国ギャロップに依頼し、喫煙率標本調査を実施した結果、9月現在、成人男性の喫煙率は50.3%と1年前の昨年9月(57.8%)に比べ7.5%ポイント減少した。
 昨年12月のタバコ価格を500ウォン引き上げた後、今年3月53.3%、6月52.3%に続き、持続的な減少の傾向を見せており、タバコ価格引き上げの効果が続いていると分析された。
 特に、1か月の所得が100万ウォン未満の低所得層の喫煙率は昨年9月60.7%から39.4%へ21.3%ポイントも減少した。1か月の所得が100〜199万ウォンの階層も昨年9月56.8%から43.8%へ13.0%ポイントも減少した。


2005/ 9/18 喫煙者の危険性は8倍 慢性閉塞性肺疾患で長崎大など調査  (共同通信ニュース速報)

 タバコが主因とされ、初期症状に気付きにくい呼吸器の病気、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)は、非喫煙者に比べ喫煙者の危険性が約8倍高いとする調査結果を、千住秀明・長崎大医学部保健学科教授らがまとめた。
 大気汚染などの影響が少ない長崎県北部の田平町で住民約3100人を調べた結果分かった。
 千住教授によると、一地域の住民を対象にした集中的な調査は初めて。デンマークで開かれる欧州呼吸器学会で20日に発表する。
 千住教授らは2004年12月から05年5月にかけ、田平町の50代−70代の住民に健康状態のアンケートを実施。COPDが疑われる人にはさらに肺機能の検査を行った。有病率は全体で8・3%、喫煙者が12・6%、非喫煙者が1・8%。解析の結果、喫煙者の発病の危険性は非喫煙者の約8倍と計算された。
 COPDはタバコなどの有害物質で気道の炎症が進むことで発症。悪化すると日常生活にも支障をきたすが、初期はせきやたんだけで病気と気付かない人が大半。治療を受けている患者は全体の10−20%とされる。
 千住教授は「早期診断・治療が鍵となる病気なので、今回のような方法で患者のふるい分けをしていくことが重要だ」と話している。


2005/ 9/18 <タクシー内喫煙>粉じん濃度9〜50倍に 東大調査で判明  (毎日新聞記事)

 タクシーの車内で1人の乗客が喫煙すると、窓を5センチ開けても粉じん濃度が環境基準(1立方メートルあたり0.15ミリグラム)の9倍に達することが、東京大の中田ゆり客員研究員(国際地域保健学)らの調査で分かった。濃度が元に戻るには30分以上もかかり、研究グループは「乗務員や、喫煙者の後の乗客は受動喫煙の被害に遭う恐れが高い。全面的な禁煙化が必要だ」と訴えている。
 中田研究員らは昨年5月、東京都内で走行中のタクシー車内で、乗客がタバコを1本吸った時の粉じん濃度の変化を測定した。窓を5センチ開けた場合、喫煙者1人で粉じん濃度が環境基準の9倍、2人で24倍、3人で31.6倍にまで上昇した。喫煙者1人でも濃度は30分以上、元に戻らなかった。
 さらに窓を閉め切った状態では、喫煙者1人で環境基準の12倍となり、1時間以上も濃度が戻らなかった。喫煙者が2人では32倍、3人では49.6倍だった。
 環境基準は、職場における粉じん被害の目安として、健康増進法に基づき厚生労働省がガイドラインで定めている。
 一方、東京都内のタクシー運転手372人に聞き取り調査した結果、1回の勤務で乗客がタバコを吸う本数の平均は10.6本だった。運転手の47%が不快と感じ、38%はのどや目の痛み、せきなどの症状の経験があった。54%はタクシーを禁煙化すべきだと回答した。


2005/ 9/17 JTのタバコ販売本数、海外が国内逆転へ・今年度  (日経新聞記事

 日本タバコ産業(JT)の今年4―6月期の海外でのタバコ販売量が2・四半期連続で国内を上回り、年度ベースで初めて国内外の販売量が逆転することが確実となった。健康志向の高まりで国内需要が低迷。「マールボロ」の国内販売権が5月にフィリップ・モリス・ジャパン(東京・千代田)へ移ったのも響いた。
 4―6月期の国内販売量は505億本と前年同期比37億本減った。海外は556億本と22億本増加。台湾で「マイルドセブン」が好調で、ロシア、イランで「ウィンストン」などの出荷が伸びた。
 2006年3月期の国内販売は1950億本程度で7期連続マイナスの見通し。海外は約2220億本と2期連続で前期実績を上回りそうだ。


2005/ 9/16 JTが敗訴、上告へ ロシア現法の課税裁判  (共同通信ニュース速報)

【モスクワ16日共同】日本タバコ産業(JT)のロシア現地法人「JTI・マーケティング・アンド・セールス」がロシア税務当局からの巨額の追徴課税を不服として争っている問題で、モスクワの破毀裁判所は16日、JT側の主張を退け、2000年分として約20億ルーブル(約78億円)の追徴課税を妥当とする判決を下した。
 JT側は最高仲裁裁判所へ上告する方針。
 この課税問題をめぐっては今年6月、JT側が差し戻し控訴審で敗訴したのを受けて破毀裁判所に上訴していた。
 また町村信孝(まちむら・のぶたか)外相は今年3月、日本企業の今後の投資意欲に悪影響を与えるとの判断から、この問題に対しロシア側に善処を申し入れるなど、政府としても高い関心を示している。


2005/ 9/16 ワタミが地方出店強化、主要都市シェア20%狙う  (共同通信ニュース速報)

 居酒屋チェーンを展開するワタミは16日、今後地方の出店を強化し「主要都市の居酒屋市場で20%のシェア(占有率)を目指す」戦略を明らかにした。現在500店規模のチェーンを2009年3月期までに1000店規模に拡大させる計画だ。
 06年3月期には85店を新規出店する計画だったが地域の業績が好調なため、さらに地方に数店舗上積みする。11月には盛岡市、福島県郡山市と新潟市に、来年1月には長崎市にも出す。また3月までに仙台市や4日市市のほか、金沢市など北陸にも進出する。07年3月期は札幌市にも計画。いずれも各地域で初出店となる。
 仙台など商圏の大きい都市の店舗は商業ビルを1棟借りて「坐・和民」や「和民市場」など複数のブランドの店舗を同時出店していく方針。
 同社の新しい業態として東京都北区のJR赤羽駅前に居酒屋チェーンとして初出店した全席禁煙の「手づくり厨房」が好調で、2号店を11月までに静岡市内に追加出店する。
 同社は「商業ビルに地域のお店にも入ってもらうなど共存共栄を図りたい」としている。


2005/ 9/15 タクシーの受動喫煙ご注意!1時間は車内に煙充満  (読売新聞ニュース速報)

 タクシーの中は受動喫煙の危険がいっぱい――。窓を閉め切ったタクシーで乗客1人がタバコを吸うと、車内の粉じん濃度が国の環境基準の12倍になり、1時間以上、元に戻らないことが、東大医学系研究科の中田ゆり客員研究員らの調査でわかった。
 札幌市で開かれている日本公衆衛生学会で、きょう15日発表される。
 調査では、タクシーの客席で喫煙し、車内の粉じん濃度を測定した。
 後部座席の窓を5センチ開けて喫煙した場合でも、粉じん濃度は厚生労働省の基準値(1立方メートルあたり0・15ミリ・グラム)の9倍に上り、原状回復に30分以上かかった。喫煙者が2人なら基準値の24倍、3人なら32倍に上昇した。エアコンを使用して3人が喫煙した場合は50倍に達した。
 少し窓を開けていても30分、窓を閉めていれば1時間以上、車内に粉じんが残ることから、中田研究員は「直前の乗客が喫煙者だった場合、受動喫煙になる恐れが強い。子供や妊婦など喫煙の害を受けやすい人も利用するだけに、全面禁煙にする必要があるのではないか」と話している。
 国土交通省などによると、全国のタクシー約27万台のうち、禁煙車は2%の5300台余。


2005/ 9/15 女性ホルモン、肺がんに影響? 厚労省研究班が疫学調査  (朝日新聞ニュース速報)

 閉経が遅かった女性は、そうでない女性に比べて肺がんになる危険が高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模な疫学調査で明らかになった。女性ホルモンが影響するらしい。札幌市で開かれている日本癌(がん)学会で15日、発表する。
 90年代前半に40〜69歳だった約4万5千人の喫煙していない女性を、8〜12年間、追跡調査した研究の一環。追跡中に肺がんになった153人のうち、閉経していた111人を詳しく調べた結果、月経のある期間が長いと肺がんになる危険が高いことがわかった。
 初潮が16歳以後で閉経が50歳以前と期間が短いグループの発症の危険と比べると、初潮が15歳以前だったり、閉経が51歳以後だったりした人の危険は2倍以上だった。
 また、病気などで卵巣を摘出して人工的に閉経したうえでホルモン剤を使った人は、使っていない人に比べ、発症の危険が2倍以上になった。
 女性ホルモンが乳がんに影響を与えるという研究結果は多いが、肺がんでは世界的に研究が少ない。女性ホルモンが具体的にどう肺がんにかかわるのかは、まだわからない。
 今回の結果からは、更年期症状を改善する女性ホルモン補充療法や、避妊のための低用量ピルの服用が、直ちに肺がんの危険を高めるとはいえないが、疫学的には喫煙との相関が薄い女性の肺がんにおいて、メカニズム解明の手がかりになるとみられる。ただし、津金部長は、「現時点では、肺がんの予防に最も有効なのは禁煙であることは間違いありません」と話す。


2005/ 9/15 <JR北海道>特急列車、全面禁煙へ JR各社で初  (毎日新聞ニュース速報)

 列車内の禁煙化を進めているJR北海道は14日、北海道内発着の特急列車の喫煙車を今年度中に廃止すると発表した。これにより、道内発着のすべての列車が禁煙となる。特急列車の全面禁煙はJR各社で初めて。
 同社は00年に普通列車、04年にL特急をそれぞれ全面禁煙にするなど列車内の禁煙化を進めてきた。「スーパーおおぞら」など道内発着の特急列車66本に連結している喫煙車は06年3月をめどに廃止する。グリーン車のデッキにある喫煙コーナーもなくす。現在の喫煙車はカーテンや座席の布を張り替える。費用は約2億円。
 寝台特急「北斗星」など本州への直行列車はJR東日本との協議が必要なため、当面は喫煙車を残す。
 JR北海道は04年に禁煙化方針を決め、当初は2、3年中に全面禁煙化する予定だった。利用者からの要望が強いため、計画を前倒しした。
 全面禁煙に伴い、札幌、函館、釧路、新千歳の主要駅では駅構内とホームに新しい喫煙所を整備する。小池明夫社長は「既存の車両で完全な分煙化は難しく、全面禁煙を決めた」と話している。


2005/ 9/14 <日本癌学会>毎秋の総会の中日、禁煙デーに 市民啓発も  (毎日新聞ニュース速報)

 国内最大のがん研究の学術組織、日本癌(がん)学会(広橋説雄理事長、会員約1万7000人)は毎年秋に開く総会の中日を「禁煙デー」とすることを決めた。15日、札幌市内で開くシンポジウムで発表する。市民に禁煙を始める日にしてもらう狙いという。
 調査によると、日本人の3人に1人ががんで死亡。喫煙は肺がんだけでなく、胃がんや食道がんなどの発症を促し、喫煙者の発症率は禁煙者の約2倍になっている。同学会は今年は14〜16日に開く総会の中日を禁煙デーとし、市民にアピールすることにした。
 15日に同市中央区のロイトン札幌で開くシンポでは、がんの危険性や世界の禁煙活動に詳しい専門家6人が講演する。参加無料。総会会長の今井浩三・札幌医科大学長(57)は「禁煙対策を強化しなければ、2人に1人ががんで亡くなる恐れがある。喫煙で人生を途中放棄しないでほしい」と話す。


2005/ 9/14 <喫煙>5歳以上も肌が“老化” ポーラが女性30万人調査  (毎日新聞記事)

 タバコを吸う女性は吸わない女性に比べ、5歳以上も肌が“老化”している――ポーラ化粧品本舗(東京都品川区)が、20〜70代の約30万人の女性の肌状態と喫煙の関係を調べ、こんな結果が出た。喫煙が肌に及ぼす影響をこれほど大規模に調べた例は、世界でも少ない。喫煙は美肌を目指す人にとって、やはり大敵のようだ。
 昨年6月〜今年5月、全国の訪問販売先や店頭などで、同意を得て皮膚表面の角質層を採取。同時に喫煙状況も尋ねた。喫煙者は全体の約23%で、20代が最も多かった。
 同社によると、しみ、くすみなどの原因となる細胞中のメラニン量は加齢とともに増えるが、状態の良い肌は量が少なく、分布も均一。逆に色むらが目立ちくすんで見える肌はメラニン量が多いうえ、細胞によるバラつきも大きいという。
 同社は採取した細胞中のメラニンを染色して300倍に拡大し、含有量を3段階で数値化。この結果を、喫煙者と非喫煙者に分けて年齢別に集計したところ、明確な差異が表れた。年齢別の平均メラニン量は、吸い始めて間もない20歳では大差ないが、以後は全年齢で喫煙者の方が1〜2割程度多く、ほぼ5歳上の非喫煙者のメラニン量に相当。吸わない人より「肌年齢」が5歳老けている状態だった。
 更に、紫外線によく当たる生活をしているか否か、という条件を加えて分析すると「よく当たりタバコも吸う」人と「あまり当たらずタバコも吸わない」人の肌年齢の差は10歳以上に広がった。
 原因について同社は「メラニンの生成や着色を抑えるビタミンCが、喫煙によって破壊されるためと考えられる」と分析。「肌の潤いを示す保水力も喫煙者の方が少なかった。一般に『喫煙は肌に悪い』と言われてきたことを、データで立証できたのではないか。肌の衰えが気になる喫煙者は、まずはタバコを控えた方が良い」と話している。


2005/ 9/ 6 親の喫煙・飲酒、子供に与える影響大=米研究  (ロイター記事)

[シカゴ 5日 ロイター] 親の喫煙・飲酒習慣の有無が2歳の子供にも影響することが、米研究者チームの5日の発表で明らかになった。
 2―6歳の子供を対象とした実験で、お腹を空かした人形のために食料品を「買う」ように言われた場合、喫煙する親を持つ子供がタバコを選ぶ確率は非喫煙者の子供の4倍、ひと月に1回以上飲酒する親を持つ子供がワインやビールなどアルコール類を選ぶ確率は飲酒しない親を持つ子供の3倍に上った。
 またPG―13(13歳未満は保護者の同伴を推奨)やR指定(17歳未満は成人の同伴が必要)の映画を見たことのある子供がワインやビールを選ぶ割合は、そうでない子供に比べ5倍だった。
 ニューハンプシャー州ハノーバーにあるダートマス大学のマデリン・ダルトン氏は研究報告で、「子供の遊び方は、彼らがアルコール類やタバコのたしなみに非常に敏感なことを示しており、アルコールやタバコが社会環境でどのように用いられるかは子供の中にしっかりと根付いている」と述べた。
 また、「6歳の子供が自分の好きなシリアルのブランドは分からないのに、タバコを買うときに銘柄を特定できるなど、タバコのブランドを非常に良く認識している子供も複数いた」と指摘した。


2005/ 9/ 5 タバコの箱の注意書きは何種類あるのか  (ゲンダイネット記事

Q  最近、タバコの箱にデカデカと「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」などと書かれている。よく見るとタバコを買うたびに表示内容が違うし、箱の両面で文言が違う。この脅し文句は全部で何種類あるのか。
A 「こうした注意文言の表示は、タバコ事業法により今年7月1日以降出荷のタバコで義務化されており、内容は計8種類。4つずつ2組に分け、紙巻きタバコでは両組から1つずつ掲載する決まりなので、最大16通りのパッケージが存在します」(財務省タバコ塩事業部)
 2つの組は、直接喫煙の影響として肺がん、心筋梗塞、脳卒中、肺気腫の病名を挙げる4種類と、胎児への影響、受動喫煙の影響、ニコチンへの依存、未成年者の喫煙禁止を挙げる4種類。日本タバコ産業では、実際に16通りのパッケージを発売している。
「以前から“吸いすぎに注意”という表示の義務はありましたが、昨年の『タバコ規制枠組条約』締結によって、さらに厳しい内容に変えました。国内販売の全商品が対象で、バラ売りの葉巻にも1本ずつシールで張られています。違反時の罰則はありませんが、改善指導に従わなければ販売の許可や登録の取り消しもありえます」(財務省=前出)
 条約で文言までは指定されていないため、日本の表示はまだ優しい方だ。カナダでは病名だけではなくタバコが原因とされる病気に侵された内臓や脳ミソの写真まで掲載。EUでも「喫煙者は早死にする」という露骨な表示があり、メキシコでは20年も前から「この製品は健康に有害である」と表示しているとか。そんな表示を義務化するなら、売らせなきゃいいのに。


2005/ 9/ 3 禁煙タクシー普及進まず 導入は2%止まり 東北  (河北新報記事)

 乗務員も利用者もタバコを吸わない「禁煙タクシー」の普及が東北でなかなか進まない。2003年施行の健康増進法でタクシー事業者にも受動喫煙を防止する努力義務が課せられたが、「利用者の理解が得られない」と二の足を踏む事業者が多いためだ。公共スペースの禁煙・分煙が増え、乗客から「禁煙車も増やして」という声が上がる一方で、反対に「タクシーの中でぐらい喫煙したい」という声があり、事業者は板挟みになっているのが実情だ。
 「患者の要望もあり、乗り入れるタクシーを全部禁煙にしたいが、台数が少なすぎる」。仙台市青葉区の仙台社会保険病院は頭を抱える。
 来年1月に敷地が全面禁煙になるのに伴い、タクシープールの車両の禁煙を検討してきた。だが、同病院に配車する青葉タクシー(仙台市青葉区)の禁煙車は全体の2割弱の7台のみ。仙都タクシー(同宮城野区)はいったん3台の禁煙車を用意したが、利用が伸びず喫煙に戻した。病院は喫煙車乗り場を設けるなどの折衷案を模索中だ。
 東北運輸局によると、東北の禁煙タクシーは今年2月現在、35事業者と個人タクシーの計393台。タクシー全車両の2%にすぎない。街で禁煙タクシーを探すのは難しい。
 タクシーが供給過剰となり、客の奪い合いが続く仙台では特に「乗車を拒否されるのが怖い」という業者が多い。宮城県タクシー協会の佐々木昌二会長は「禁煙車が増えれば全国に良いPRになる。ただ、始めるなら全事業者一斉でなければ難しい」と顧客流出を恐れる各社の心情を代弁する。
 一方、禁煙車が顧客を呼び込む動きは広がっている。
 今年1、2月に119台すべてを禁煙にした福島県の山口タクシーグループは「『禁煙車だから』と選んでくれるお客さんが出てきた」と効果を話す。全15車を禁煙にしているマルヤタクシー(仙台市泉区)は「車内からタバコのにおいが消えて好評」という。
 全国では、厳密な禁煙ではなく、車内のステッカーなどで禁煙を「お願い」する取り組みも増えている。国は実際にどのような受動喫煙防止対策を行うかは各事業者の判断に委ねている。
 仙台市健康増進課は「鉄道やバスでは禁煙が当たり前になっている。事業者には不安もあるだろうが、禁煙タクシーを売りにするぐらいの姿勢で積極的に取り組んでほしい」と呼び掛けている。
【写真】禁煙をアピールするタクシー。「タバコ臭くない」と好評だが、まだ数は少ない

[健康増進法]生活習慣病予防を効果的に進めることを目的に03年5月1日施行された。学校、病院、官公庁施設などの施設の管理者に受動喫煙の防止措置を取るよう求めているが、罰則はない。対象施設にはタクシー、バス、電車など交通機関も含まれる。


2005/ 8/31 東播磨県民局 中学生向け喫煙防止教育  (神戸新聞記事

 先進国の中で喫煙率が高い日本。とりわけ、未成年の喫煙防止は、教育現場においても緊急の課題になっている。そんな中、東播磨県民局が二年前から取り組む、中学生を対象にした喫煙防止教育「ヤングタバコゼロ作戦」は、学校でタバコについての正しい知識を教える全国的にも珍しい試み。生徒が自発的に家族に禁煙を働き掛けるなど成果も出始めている。一方で、教職員側の校舎内完全禁煙は進んでおらず、大人の喫煙に対する意識も問われている。(東播支社 井垣和子)

問う大人のモラル 校舎内禁煙進まず 「周囲に迷惑」行動で模範を
 この作戦は、子どもたちにタバコの正しい知識を伝え、成長期の健康を守ろうと、同県民局が二〇〇三年から管内三市二町のモデル十校で始めた。生徒らはタバコのざまざまな害について調べたり、医師から人体への影響などを学び、研究発表も行っている。
 モデル校の一つ、加古郡播磨町立播磨南中学校で、喫煙防止教育に取り組む若山馨教諭は「吸う人の体に悪いという認識だけでなく、周囲に迷惑をかけるという意識が芽生えてきた」と話す。

 東播磨県民局は中学生の喫煙実態を探ろうと、昨年六、七月、五校の生徒二千八百十六人にアンケートを実施。それによると、喫煙経験者は平均で約12%、中には約20%に上った学校もあり、中学時代からの喫煙防止教育の重要性が浮き彫りになった。
 喫煙を体験した時期で最も多かったのは、小学校時で51・1%、続いて中学生時が31・7%と高く、就学前も8・5%あった。喫煙のきっかけとして最も多かったのが「好奇心・興味」で約46%だった。
 入手方法は、約60%が自動販売機で購入していることが分かり、気軽に買えてしまう環境が、子どもを喫煙の世界に引き入れている実態も明らかになった。
 日本小児科医師会によると、十五歳までにタバコを吸い始めると非喫煙者の約三十倍も肺ガンの危険性が高まるという。特に未成年期の喫煙は、成人よりも短期間でニコチン依存になり、吸う本数が増え、やめにくくなってしまうという。
 循環器内科が専門で、加古川市内で未成年の「卒煙治療」を続ける猪股工矣医師の病院には、多くの若者が訪れる。喫煙の動機では「家族が吸うから」「吸わないと学校で仲間に入れないから」という答えが多く、「学校の先生が吸うのがかっこよかった」という理由もあったという。

 公共施設での受動喫煙防止の努力規定を定めた「健康増進法」が〇三年に施行されてから二年。全国の教育現場では、敷地内禁煙はもちろん、校舎内禁煙すら進んでいないのが実態だ。
 兵庫県は、〇四年に県内すべての教育機関に、敷地内禁煙を目指す「受動喫煙防止対策指針」を通達。県教委も今年七月、すべての県立学校に対し、〇五年度中に敷地内を全面禁煙とするよう通達した。しかし、敷地内を禁煙にすると周辺住民の目に留まる校外で吸わねばならず、教職員の抵抗などで禁煙に踏み切れない学校も多いという。
 地元、加古川市加古郡医師会の河合勝会長は「喫煙を『権利』と主張する人がいるが、周囲に迷惑をかけることを意識するべき。中学生の喫煙防止には、身近な大人が態度で示すことに尽きる」と指摘する。
 同県民局では今夏、二年の取り組みをまとめた実践集を作り、ホームページ(HP)でも公開している。
 十二月にもフォーラムを開く予定で「子どもたち自身の取り組みから、禁煙の輪を大きくし、禁煙学習を全県域に広げたい」と話している。
 HPアドレスは、http://web.pref.hyogo.jp/higashiharima/
【写真】タバコ健康フォーラムで、研究発表する生徒ら=加古川市平岡町、加古川総合保健センター(2004年12月)


2005/ 8/29 タバコ会社の「スポーツ行事後援」禁止を推進/韓国  (中央日報記事

 政府がタバコ製造会社のスポーツ行事後援を禁止する案を推進している。
 保健福祉部(福祉部)関係者は30日、「タバコ会社の間接広告が青少年の喫煙に悪い影響をおよぼすため、間接広告を包括的に禁止する案を推進している」と明らかにした。
 現在、健康増進法に基づき特定タバコ商品の広告を禁止しているが、イメージ広告については規定がない。 また、青少年や女性を対象としない社会・文化・音楽・体育などの行事は後援できる。
 禁止を推進する間接広告はスポーツ行事や文化公演後援、イメージ広告など。
 間接広告が禁止された場合、KT&Gはバレーボールなど各種スポーツ大会の後援、テレビや印刷媒体の企業広告などができなくなる。
 福祉部は来年上半期中に健康増進法を改正し、06年下半期または07年から施行する計画だ。


2005/ 8/29 中国、タバコ規制枠組条約を批准 自販機禁止へ  (CNNニュース記事)

北京――新華社電によると、中国当局は29日、世界保健機関(WHO)が主導する「タバコ規制枠組み条約」を批准したことを明らかにした。これに伴い、中国本土と香港、マカオでは、タバコの自動販売機を全面的に禁止するという。
批准は28日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で決まった。
中国の喫煙人口は3億人余りに上るとみられ、このうち約500万人が18歳未満。当局は未成年者の喫煙防止対策に乗り出したものの、不徹底が指摘されてきた。
タバコ規制枠組み条約は03年5月にWHO総会で採択され、今年2月に発効。日本は04年に批准した。タバコ広告やスポンサー行為の禁止、未成年者の喫煙を促す自動販売機の規制などが盛り込まれている。


2005/ 8/26 学校の45%が全面禁煙 受動喫煙対策は95% 文科省調査  (共同通信ニュース速報)

 全国の小中高校などの45%が建物と敷地内を全面禁煙にしていることが26日、文部科学省の調査で分かった。建物内だけ禁煙も24%で実施、分煙を含めると95%が受動喫煙への対策を取っていた。
 文科省は「かなり高い割合で対策がなされているが、さらに進めてほしい」としている。
 調査は4月時点で、全国5万3039の国公私立の小中高校、幼稚園などを対象に実施した。
 禁煙以外では、建物内で分煙をしているのは26%、何も対策をしていないのは5%だった。
 「建物と敷地内の全面禁煙」は幼稚園が52%、小学校44%、中学39%、高校44%。
 「建物内だけ禁煙」は小28%、中24%、高12%。分煙は小26%、中37%、高44%だった。
 公立の全面禁煙実施の割合は静岡県がほぼ100%で、和歌山県99%、秋田県96%の順。
 また、禁煙や分煙などの対策を取っていないのは国立がゼロ。公立が2%だったのに対し私立は16%で、うち幼稚園が19%と高い割合だった。文科省は「幼稚園は園内で喫煙する人が少なく、対策を取る必要のない所が多いため数字が大きくなった。私立の数字が大きいのも幼稚園の割合が高いため」としている。


2005/ 8/25 10月1日から県庁内を全面禁煙に−知事会見  (山形新聞記事)

 斎藤弘知事は25日午前の記者会見で、10月1日から、県庁内を全面禁煙とする方針を明らかにした。
 県は、県の庁舎、県管理または管理委託している公共施設について、10月から建物内を原則的に全面禁煙とする新たな指針をつくり、知事部局の各所属長に示した。施設ごとの対応は庁舎の構造や既に実施している対策などを考慮し、管理者、所属長が決めることになる。県警察、県議会などへは協力を求めた。
 このうち、県庁内は、現在16階を除く偶数階に計7カ所設けている喫煙室を、10月からすべて廃止する。建物の外に喫煙場所を設ける方向で、総務部長を座長とする本庁衛生委員会で具体的な対応を決める。
 斎藤知事は受動喫煙の徹底排除を「すぐに実行する公約」の1つに掲げており、会見では「大変遅くなりました、と申し上げたいところだ。検討委員会で意見を聞きながらやってきた。関連施設についても、できるだけ幅広く禁煙にしていこうと思う」と述べた。


2005/ 8/24 ホテルの禁煙ルーム22% 京都市で研究班が調査  (共同通信ニュース速報)

 国内外から観光客が訪れる京都で、大・中規模ホテルの禁煙ルームは総部屋数の約22%にとどまり、タバコ対策が進んでいないとする調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者、大和浩・産業医大産業生態科学研究所助教授)が24日までにまとめた。
 2003年施行の健康増進法は、ホテルや病院など、多くの人が利用する施設では受動喫煙の防止措置を講じるよう規定している。
 日本を代表する観光地の現状に大和助教授は「日本人の約70%を占める非喫煙者を基準にサービスを提供するべきだ。行政は強い態度で対策を促し、客も声を上げてほしい」と指摘している。
 9月3日に京都市で開かれる京都禁煙推進研究会の公開フォーラムで報告する。


2005/ 8/24 禁煙の流れ定着 県内タバコ販売本数 4年間で13%減 増税で税収を補う/和歌山  (紀伊民報記事

 県内のタバコの販売本数が激減している。2004年度に県内の小売店に卸された本数は約23億7000万本で、00年度に比べて約3億7000万本、13・4%減少した。03年5月の健康増進法の施行などで禁煙の流れが定着したことが理由。一方、県タバコ税は「増税効果」で3%台の落ち込みにとどまった。喫煙者にとっては「一服」の重みが増している。
 タバコの販売本数減少について県健康対策課は「喫煙者が吸う本数を減らしているというより、禁煙をしている人が増えているのではないか」と話している。
 同課が市町村タバコ税の税収から試算した各市町村の販売本数(1999〜03年度)は、50市町村のうち48市町村で減少。70%台が16町村、80%台が田辺市など22市町村、90%台が10市町だった。逆に打田町、吉備町の2町は、それぞれ2・7%、2・4%の微増だった。
 特に減り方が大きかったのは古座川町で、99年度と比べ3割近い落ち込み。同町は、県内の市町村で初めて03年4月に役場庁舎内を全面禁煙にするなど、分煙対策の「先進自治体」。
 市町村で数字に差があることについて県健康対策課は「自治体などの喫煙対策を反映している面もあるのではないか」とみている。
県税は微減
 タバコ市場の縮小に伴い、県税収の3%弱を占めている県タバコ税や市町村タバコ税も減少している。
 04年度の県タバコ税の税収は約22億8000万円(見込み)で、00年度と比べ3・4%、8000万円の減。市町村タバコ税も減っており、03年度の総額は約69億3000万円で、99年度と比べ5・4%、3億9000万円の減少だった。
 県税務課によると、99年の税制改正と03年の増税で、一般的なタバコ1000本当たり100〜170円ほど税収が増え、本数の落ち込みを補った。


2005/ 8/23 社説=中高生の喫煙 やめる仲間増やしたい  (信濃毎日新聞記事)

 大人がまゆをひそめる未成年者の喫煙問題に変化の兆しが出てきた。タバコを吸う中高校生がこのところ減っている。若い時から健康被害を知り、自らやめられるよう、周囲の後押しがもっと必要だ。
 法律で禁じていても、未成年者の喫煙は手に負えない面がある。家庭に甘さがあったり、自動販売機で簡単に買えたりするからだ。そこにブレーキがかかり始めた。
 厚生労働省の研究班が2004年度、全国10万人規模のアンケートで調べた。直近1カ月に1回以上タバコを吸った生徒の割合は中1男女、高3男女とも4年前、8年前の調査に比べ減っている。
 特に高3男子は際立つ。以前の約37%が今回21・8%だ。高3女子も16%程度から9・7%である。
 駅や商店街で喫煙する若者に日ごろ出くわすと、本当にそうか実感しにくい部分はある。それでも、この年代にタバコ離れが起きているのは歓迎できる。
 何が変化をもたらしたのか、背景を探り、今後の禁煙教育に生かしていくことが大事になる。
 例えば、受動喫煙を含めた健康被害は身近に知られるようになった。成人の喫煙率は下がり、官民とも禁煙区域の拡大に努めている。
 研究班はそうした影響に加え、限られた小遣いの中で携帯電話料金などが膨らみ、中高生がタバコまで手が出ない可能性も指摘した。今の普及ぶりを見ると、あながち的外れではないだろう。
 お金に左右される要素はあるとしても、そこを超えて、子供をタバコの誘惑からどう遠ざけていくか、大人の役割が問われてくる。
 早くから吸い始めるほどニコチン依存症になりやすい点には、とりわけ注意が要る。成人は数年以上かかるのに、中学生だと数週間でなってしまうケースがある。
 学校や家庭で子供の喫煙を見つけたとき、厳しくしかることはやむを得ない。とはいえ、何となく吸い続けているうちに、本人の意識とは別にやめられなくなっている場合もある。状況を見極め、医師の治療につなげる判断も迫られてくる。
 タバコは個人の好みであり、とやかく言われたくない人もいる。そうだとしても、多くのがんに関係している事実は重い。中高生の段階から繰り返し学ばせたい。
 日本は喫煙に寛容な国の一つと言われる。次世代の健康を守るためにも、そろそろ返上するときだ。


2005/ 8/22 妊婦の喫煙 発達障害のリスク2倍  (読売新聞記事

 喫煙習慣のある妊婦から、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害を持つ子供が生まれる割合が、喫煙習慣のない女性に比べ2倍も高くなることが、デンマークのオーフス大の調査で分かった。妊婦の喫煙が胎児の脳に与える影響を改めて裏付けた結果で、米国の小児学会誌に発表された。
 同大の研究チームは、1991年から94年までにデンマーク国内で生まれた2〜8歳の子供のうち、ADHDと診断された170人と、発達障害のない3765人を対象に、母親の妊娠中の喫煙習慣を比較した。ADHDと診断された子の母親で喫煙していた人は59%で、発達障害のない子の母親では35%だった。子供の出生時体重や両親の病気などの要因を考慮して補正すると、妊婦が喫煙するとADHDの子供が生まれる確率は約2倍だった。
 注意力や集中力が続かず、落ち着きがないなどの特徴があるADHDは、脳内ホルモンの一種、ドーパミンの働きに異常があることが原因と考えられている。
 同大小児科のカレン・リンネット氏は「妊娠中の喫煙が、胎児の脳内ホルモン物質の働きに何らかの影響を与えている可能性がある」と話している。


2005/ 8/22 中高生の喫煙4年で激減 厚労省研究班10万人調査  (共同通信ニュース速報)

 2000年度には4割近くに上った高校3年男子の喫煙率が、04年度には2割強に激減するなど、国内の中高生喫煙率が4年間で大きく減少していたことが、厚生労働省研究班が実施した10万人規模の中高生アンケートで22日分かった。
 主任研究者で国立保健医療科学院(埼玉県和光市)の林謙治次長(保健医療政策)は、大人の喫煙率が低下傾向にあることや、公共の場の禁煙化が進んだことなどが背景にあると指摘。さらに「中高生の携帯電話の所有率が増えており、タバコに使う小遣いが圧迫された可能性も高い」と推測している。
 研究班は1996年度から4年ごとに、全国の中学、高校で喫煙や飲酒の実態について生徒にアンケート。04年度は、計約180校の10万3500人が回答した。
 直近1カ月に1回以上喫煙した生徒の割合は、前2回とも約37%だった高校3年男子が21・8%に大幅減。6−8%程度だった中学1年男子が3・2%、16%程度だった高校3年女子も9・7%に減っていた。
 林次長によると、未成年の喫煙率低下は欧州でもみられるが、大人の喫煙率低下やタバコの値上げなどが原因とされている。
 林次長は「1カ月の高校生の小遣いは6000−7000円程度だが、携帯電話の所有率は8割を超え、支払っている料金は月に4000−6000円程度との調査結果や推計もある」と指摘。「携帯電話の功罪は別問題として、今後(喫煙率低下との)関連性を調べるべきだろう」と話している。


2005/ 8/21 タバコを吸わない人は大学入試で優遇?/韓国  (朝鮮日報記事

「タバコを吸うという理由で、大学入試に落ちてしまうとしたら?」
 ソウル大が最近、一風変わった研究作業を終えた。これは非禁煙者を大学入試で優遇する案を検討するための研究プロジェクトだ。同プロジェクトは国立がんセンターの要請で行われた。
 ソウル大の入学管理本部は19日、「青少年の喫煙防止に関心の高い朴在甲(パク・ジェカプ)がんセンター院長の提案で、昨年 12月に研究を開始した」と話した。
 ソウル大は各種学校や予備校などで、在学生や予備校生、保護者を対象にアンケートを行った。同点者が出た場合、毛髪検査、尿検査、血液検査などを行って非喫煙学生を優遇する方案や、特別枠で非喫煙者優先の推薦を受ける方案の是非、本人の喫煙により大学入試に不合格になった場合、受け容れられるかどうかなど広範囲にわたり調査した。
 ソウル大関係者は、「非喫煙者優遇に多くの人が同意したが、本人が喫煙のために不合格になったとして、受け容れられるかという質問には否定的だった」と話した。
 ソウル大はしかし、喫煙の有無で入試の合否を決定するのは難しいとしている。ソウル大合格者のうち、相当数が非喫煙者であることから、合否要因としての実効性に欠けるうえ、入試の合否に喫煙の有無を反映することにより予想される批判を案じてのことだ。
 また、喫煙により不合格になった学生がタバコを止めたと主張した場合、論争が起こることも予想され、客観的な検証も容易ではない。さらに、教育権侵害という点で憲法違反となる可能性もある。
 ソウル大は最近「青少年喫煙問題は、教育、広報などを通じて解決するのが望ましい」という方向で最終的な結論をまとめ、これをがんセンターに伝えた。
 がんセンターは過去にも、慶煕(キョンヒ)大、亜洲(アジュ)大などの大学に同様のプロジェクトを要請したが、多くの大学が喫煙の有無が同点者処理基準の 1つとして「考慮できる」と結論付けただけで、実際の入試では非喫煙者への優遇措置は行っていない。


2005/ 8/19 【西田ひかるのOh,my goodness!】若者の喫煙抑止  (産経新聞記事)

 アメリカでは最近、禁煙に対する関心が再び高まっています。きっかけは、先ごろ肺がんで亡くなった人気ニュースキャスター、ピーター・ジェニングス氏です。
 同氏は1960年代から米三大テレビネットワークであるABCのジャーナリストとして活躍。83年からは看板ニュース番組の「ワールド・ニュース・トゥナイト」のキャスターやシニアエディターとして米国民にニュースを伝え、ジャーナリストに与えられる賞をほとんど受賞しました。「9.11」テロでは、1週間で60時間という前例のない長時間のニュース放送を行い、適切で落ち着いた報道が高く評価されました。
 世界的な大ニュースはもちろん、エイズや人種差別問題などにも力を入れて報道。もともとヘビースモーカーでしたが、苦労の末タバコをやめたこともあり、喫煙問題にも大きな興味を示していました。4月に番組で肺がんであることを自ら公表した際には、大きな衝撃が走りました。
 アメリカでは毎日5000人の10代の子供が初めてタバコを試し、そのうち2000人が常習者になるという調査結果があります。これだけ禁煙運動が盛んなのに、なぜ若者がタバコを始めるのか?
 原因の一つとしてやり玉にあがっているのが、映画やドラマの喫煙シーン。人気俳優がタバコを吸う姿が「かっこいい!」というイメージになっているとの指摘もあり、喫煙シーンが入っている映画は18歳未満の保護者同伴を定めた「R」指定にするべきだ−という運動も起きています。しかし、R指定にすると興行収入が落ちるため、映画会社は消極的で、なかなか実現しそうにありません。
 そんな中、PSA(パブリック・サービス・アナウンスメント)という非営利広告機構は、著名人が直接子供に話しかけるといった内容で、青少年にタバコを吸わせないための広告をテレビで多く放送しています。
 イギリスでは、若年層にタバコのいやなにおいを含ませたパンフレットを配り、「喫煙は格好悪い」というイメージキャンペーンを繰り広げています。カリフォルニア州や一部の国では公共の室内を一切喫煙禁止にし、スモーカーの肩身が狭くなるようにしていますが、未成年の喫煙抑止はなかなか難しいようです。
 さて、“喫煙大国”ともいえる日本の青少年に対する喫煙抑止対策は、どうなるのでしょうか?(歌手、女優=米在住)
【写真】禁煙ステッカーが張られたイタリア・ミラノのレストラン。米国でも喫煙問題が再びヒートアップしているという(AP)


2005/ 8/18 年齢確認浸透せず 酒タバコ販売調査/岩手 (岩手日報記事

 岩手行政評価事務所(乳井圭介所長)のコンビニエンスストアの酒類・タバコ販売適正化に関するアンケート調査で、年齢確認を怠って販売しているケースが県内で多いことが明らかになった。
 調査は酒類・タバコの未成年者への販売防止徹底を求める地域住民の要望を受け、全国で初めて実施。県内25店舗で現場調査を行い、アンケートでは経営者17人、従業員33人から回答を得た。
 未成年者飲酒禁止法、同喫煙禁止法などでは販売時に身分証明書の提示を義務づけているが、経営者7人が「口頭での確認だけを指導している」と答え、従業員も12人が「年齢を確認せずに販売したことがある」を選んだ。店側からは「客に不快感を与える」「年齢確認をめぐりトラブルになった」「深夜の1人勤務、相手が複数では怖い」などの意見があり、確認徹底の難しさを浮き彫りにした。
 県内でも飲酒・喫煙による補導件数は増加傾向にあり、2000年は飲酒690人、喫煙3855人だったが、04年は飲酒771人、喫煙4960人となった。
 岩手行政評価事務所は仙台市で同様の調査を行った東北管区行政評価局とともに、仙台国税局と東北財務局に対して効果的な対策を要請した。同事務所の羽鳥英雄評価監視官は「飲酒と喫煙は非行を助長する恐れがある。子どもたちの健全育成のためにも、きちんとした対応をお願いしたい」と訴えた。


2005/ 8/18 スッキリしない禁煙事情/長野  (朝日新聞長野県版記事

 「タバコによる害のない信州」を目指し、県が昨年末から県施設での敷地内禁煙を実施している。記者も10年来の喫煙者で、県庁で取材する際には塗炭の苦しみを味わうことに。吸うもストレス、吸わぬもストレスのこのご時世。禁煙をめぐる県内の動きや、タバコと縁が切れない人たちの声を聞いた。(松原央)
 昼休みになると、県庁北側の入り口に近い公道には、50人前後の県職員がきれいに1列に並び、談笑しながらタバコを吹かす。県警職員や記者の姿も見られ、県庁を訪れる人たちは、目が合うのを避けるように急ぎ足で建物の中に入っていく。
 田中康夫知事の強い意向で、県が県施設の敷地内の原則全面禁煙を打ち出した昨年12月以来、すっかり県庁名物になった光景だ。
 列に並んでタバコに火をつけると、不思議な連帯感が広がる。「不満はないか」と40代の職員に水を向けると、「恥ずかしいし見せしめとも取れるが、吸っているのは自分の責任だから」と弱気な答えが返ってきた。
 敷地内の全面禁煙に対し、県職員労働組合は「全面禁煙は個人の嗜好(しこう)に踏み込み、基本的人権を無視するものだ」などと今も反対している。
 ○喫煙率は低下
 しかし、県保健予防課は「県職員の禁煙はこの1年で着実に進んだ」と誇らしげだ。
 県立高校の教職員を含む県職員約1万4千人のうち、喫煙者の割合は昨年5月の調査では22・3%だったが、今年6月には18・4%に下がった。
 県庁9、10階には県警の本部があるが、本部所属の約1100人の職員の喫煙率も今年4月末には1年前より8・7ポイント下がり、37・8%となった。県警厚生課の北原久弘次長は「喫煙する職員に不満はあると思うが、職場の健康管理という観点からは県の方針を評価します」と話した。
 実は県庁内には今でも公然とタバコが吸われている部屋が8部屋ある。そのうち7部屋が、県議会の野党会派の議員控室だ。
 田中知事はこれまで、県議会議長あてに6回にわたって禁煙の徹底を強く求める要請をしてきた。先月の定例会見で知事は「子供たちが社会見学に来る議会棟という県民代表の神聖な場所で、県民の多くが理解し、求めていることができていないのはいかがでしょうかと申し上げてきた」と述べた。
 一方、萩原清議長はこれまで、「議員控室の使用方法は自主判断に委ね、各会派の責任において対処している」として、知事の要請を拒否し続けている。
 1日に2箱は吸うという萩原議長は「やめられるものならやめたいが、吸わないとイライラして能率が下がる。議会棟に喫煙室をつくってくれれば、控室で吸うことにはこだわらない」としたうえで、知事の方針について「県民の半分近くは喫煙者で、それを認めるのもリーダーとして必要な姿勢だ」と指摘する。
 この問題で知事は6月、各会派代表との懇談会で、敷地内に喫煙所を設けるかどうかを議論する検討委員会を設置する提案をした。「まず議会棟の禁煙をなさってから、その上でなお基本的人権の問題でタバコを吸わなければならないという方がいれば、(議論に)応じるということ」と知事は語り、あくまで議会棟の禁煙を求める意向を示している。
 ○当直室は例外
 県庁で喫煙が許されている残りの1部屋は県警の宿直室そばの休憩室だ。緊急通報などに対応する夜間の当直班が使用しており、この部屋については、知事も特に問題視する発言はしていない。
 県警厚生課の北原次長は「当直が外出するわけにもいかず、喫煙室を設けなければ、即禁煙しろという意味になる。個人の嗜好にそこまでは踏み込めず部屋を設けた」と話す。
 県内の警察署では署長の判断で敷地内などに喫煙所を設けている。
 勾留(こうりゅう)中の容疑者のみ、「外出する自由がない以上は仕方がない」との理由で、取調室と留置場での喫煙が許されている。
 県庁以外の県施設では、信濃美術館や信州まつもと空港など27カ所で、喫煙所を設けることが許可されている。
 県保健予防課は「お金を払って使用していただいている以上、喫煙者のニーズにも応えないといけないという判断をした」と話している。
 ●民間施設、飲食店の喫煙対策に遅れ 県、全面禁煙店を公表へ
 03年に施行された健康増進法は、飲食店など多数の人が利用する施設での受動喫煙防止を義務づけている。しかし、県の調査によると、禁煙や完全分煙を実施している飲食店は全体の2割以下。県は9月から、終日禁煙にした飲食店名を公表し、「おいしい空気の店」としてPRする予定だが、「客が離れて売り上げが減るのでは」と禁煙をためらう店も多い。
 長野駅前にある老舗(しにせ)ウナギ店の岩井屋は「ウナギの香りを存分に楽しんでもらいたい」と、3年前に終日禁煙に踏み切った。タバコ好きの常連も多く、客離れを心配したが、目立った影響はなかったという。
 店主の藤沢浩さん(52)は「長居をする客が減り、店の回転も速くなるなど小さい料理店にとっては良いことずくめですが、長居をしてもらいたいお酒を扱う店では厳しいかもしれないですね」と話す。
 県が昨春に実施した調査によると、回答した県内の386の飲食店のうち、全面禁煙を取り入れているのは51店(13・2%)、敷居を立てるなど完全分煙を実施しているのは16店(4・1%)だった。禁煙タイムや禁煙席を設けている店も39店(10・1%)あったが、何もしていない店が277店(71・7%)に上った。禁煙、分煙に踏み切った店の62・6%が客の反応を「好意的」とみているいう。
 タバコ対策の推進を図る県保健予防課は、全面禁煙を実施している飲食店に「おいしい空気の店」として認定証を発行し、ホームページに店名を掲載する予定だ。
 小松仁課長は「費用もスペースもいらない完全禁煙の方が、店にとっても導入しやすいはず」と禁煙推進を訴える。
 県の調査で今後も喫煙対策を取る予定がないと答えた223店は、その理由(複数回答)として、104店(46・6%)が客からの要望がないことを挙げた。その他、「スペースがない」「必要性がない」と答えた店がそれぞれ98店(43・9%)、客の減少を心配する店も71店(31・8%)あった。
 長野市末広町のイタリア料理店・ロッサローサでは、「有機野菜などを使った料理を香りから楽しんでもらいたい」と、今年になって全面禁煙を検討した。しかし、タバコを吸う常連客からの要望もあり、禁煙席と喫煙席を分ける分煙で対処した。
 川澄清也支配人は「禁煙を求める声の方が大きいが、喫煙者が飲みながら吸えない辛さを考えると、今の段階では禁煙には踏み切れなかった」という。
 ◇葉タバコ農家、10年で6割減少 後継者不足、揺らぐ誇り
 禁煙、分煙論争を尻目に、山間地を中心とした県内のタバコ畑では、葉タバコの収穫の時期を迎えている。
 長野市の戸隠豊岡地区は、県内のタバコ農家約340戸のうち100戸余りが集中する有数のタバコ生産地帯。大人の背の高さまで育った葉タバコが、見渡す限りきれいな列を成して大きな緑の葉を風に揺らす。葉に触れると、ねっとりとした液体が手にこびりつく。
 「葉タバコのヤニだ。確かに肺には悪そうだな」。葉タバコ栽培一筋で半世紀になる和田清さん(68)が笑った。近所では名人とも評される生産者だ。「天候さえよければ、ほとんどの葉が最高の等級で売れる」と自負する。
 葉タバコはすべてJTとの契約栽培で、11月になるとJT職員が等級をつけて買い上げる。軽いタバコが売れる最近は、肥料を押さえてニコチン量の少ない葉をつくることが奨励されるという。
 和田さん自身も40年来の喫煙者だが、健康を意識し、2年前にニコチン含有量が最も低いタバコに変えた。「栽培には誇りを持ってきたが、人に自慢できる商品ではない。葛藤はあります」。80アールの畑を前に、葉タバコの液で真っ黒になった手で、タバコに火をつけた。
 戸隠地区で葉タバコの栽培が始まったのは半世紀前。それまでの主要な産品だった麻が化学繊維などに取って代わられ、麻農家の多くが生育力があり価格が安定しているタバコに転作した。
 しかし、タバコ栽培は収穫から乾燥までを農家が担う重労働。喫煙の害が社会的に認知されてきたこともあり、各農家とも後継者不足に悩んでいるという。
 JTによると、県内の95年度の葉タバコ栽培農家は944戸だったが、今年度には346戸に減った。04年度の買い上げ量は、316トンで代金は5億7千万円と、10年前に比べて半分以下に減っている。
 戸隠でもこの1年で18戸の農家が葉タバコ栽培をやめた。「今となっては人に誇れる作物ではないし、会社員の息子が跡を継ぎたがらなかったのも理解できる」と、75アールの農地で栽培を続ける和田治一さん(73)は話す。
 「他の農家も後継者不足に悩んでいる。10年もすれば、この地でタバコをつくる者もいなくなるのでは」。摘んだばかりの葉タバコを地面に置くと、和田さんは大きく深呼吸してからタバコに火をつけた。
 ◇ブランド開発、シェア拡大へ 販売数減のJT
 健康意識の高まりによる喫煙率の低下や人口減などの構造的な要因により、タバコの売り上げ減少は今後も続くとみられている。
 JTが生産するタバコの県内の販売本数は、04年度で32億本。5年前に比べ6億本減少しており、全国的な販売量の減少とほぼ同じ割合で減っている。
 同社は03年から新ブランド37銘柄を全国各地で売り出すなど、縮小する市場の中でシェア拡大に努めている。
 宮下剛広報担当マネージャーは「新たな喫煙者を増やすというより、外国ブランドのタバコを吸っているお客様を取り込み、限られた市場でシェアを増やす戦略を進めている。タバコの嫌な臭いをカットした新商品が売れてます」
 健康被害については「肺がんなどのリスク要因であることは認識しています」。「吸ってください」「やめないでください」ではなく、あくまで「吸うなら当社の製品を」という視点で営業しているという。
【写真】県庁前の公道で、昼休みに一服する職員たち=長野市南長野で


2005/ 8/16 グラウンド脇での禁煙を開始=アルゼンチン  (スポーツナビ記事

 アルゼンチンサッカー協会の決定により、この国ではグラウンド脇での喫煙が認められないことになった。協会の実行委員会によるこの措置は、ネストル・キルチネル大統領の方針とも一致している。大統領は事務所、飲食店、商業施設など公私を問わず、あらゆる密閉された空間での喫煙を禁止する法案を先週議会に提出した。


2005/ 8/15 フランス国鉄、年内に全面禁煙に  (朝日新聞記事)

 フランス国鉄は15日、年内にすべての列車を禁煙にすると発表した。仏国鉄は禁煙化を段階的に進めており、TGV(新幹線)はすでに全面禁煙となっている。
 全面禁煙を発表した仏国鉄のペピ副総裁(顧客サービス担当)は「これまでの禁煙化で喫煙者の旅客は減らなかった。環境は整った」と語った。喫煙席がある列車でも喫煙指定の予約は約10%にとどまっており、喫煙者も禁煙席に乗る傾向が強まっているという。


2005/ 8/15 夫婦ともに喫煙者であれば女性の脳卒中リスクが増大  (Dr.赤ひげ記事

 女性喫煙者の配偶者も喫煙者である場合には、その女性は配偶者が非喫煙者である女性と比べて、脳卒中のリスクがほぼ6倍であることが、米ニュージャージー医科歯科大学Zeenat Qureshi脳卒中研究センターのAdnan I. Qureshi博士らによる新たな研究で明らかにされた。医学誌「Stroke」8月5日号に掲載された。
 受動喫煙への曝露が、心疾患の発症率を増大させる恐れがある証拠は得られている。今回、Qureshi博士らは脳卒中に関して検討し、女性5,379例のデータを解析した。このうち、現在または過去に喫煙歴がある女性は2,347例、配偶者も喫煙者であるケースが1,904例であった。
 その結果、夫婦ともに喫煙者である女性では脳卒中全体の発症リスクが5.7倍であり、脳への血流を遮断する血液凝固を引き起こす虚血性脳卒中のリスクは4.8倍であった。また、配偶者が喫煙者である非喫煙者女性と夫婦ともに非喫煙者の女性との間に、脳卒中のリスクに有意差は認められなかった。ただし、配偶者が非喫煙者の妻に煙を吸わせないよう何らかの対策を講じていた可能性があったという。
 Qureshi博士は「医師が患者の脳卒中発症リスクの軽減に対して、現実的に影響を及ぼすために、患者自身のみならず配偶者の喫煙習慣にも対処する必要がある」という。


2005/ 8/14 <健康診断>項目の大半が有効性の証拠薄い 厚労省研究班 (毎日新聞ニュース速報)

 健康診断で実施されている代表的な24の検査項目のうち、肝機能検査や心電図測定など16項目は、病気の予防や死者の減少という視点では有効性を示す根拠が薄いとの評価結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。自治体や企業に法律で義務付けられ、成人の大半が受ける健診の実施費用は、同省などによれば総額で年間9000億円近くに上る。多くの健診項目が「実施を勧める証拠はない」とされたことで、制度の見直し論議は高まりそうだ。
 報告書を作成したのは「最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査研究」班(班長、福井次矢・聖路加国際病院長)。これまで、各健診項目の有効性は、ほとんど検証されてこなかったため、研究班は健診の効果的、効率的実施を目的に、各健診項目の効果と、その証拠についての医学論文を世界的に調べた。証拠の質の高さも加えて評価した。
 その結果、
「血圧の測定」と、「飲酒」と「喫煙」に関する問診は、効果を示す十分な証拠があった。「身長・体重の測定」は減量指導を充実すれば有効、糖尿病検査の「糖負荷試験」や、「うつ病を調べる問診」は、健診後の指導や治療の体制整備を条件に、有効と評価された。健診が有効とされたのは以上の6項目のみ。他に2項目が判定保留となった。
 これ以外の16項目は「勧めるだけの根拠はない」「病気予防や悪化防止の証拠はない」などとされた。
 労働安全衛生法は、全事業者に年1回の健診実施を義務付け、労働者全員、約5900万人に受診を義務付けている。また老人保健法は、市町村などに、40歳以上の住民への健診実施を義務付け、対象者は約2900万人。さらに健康保険法などは、健保組合などの保険者に健診実施の努力義務を課している。
 福井班長は「日本では健診の有効性評価が手薄だったことを痛感した。今後、厳密な科学的評価を進めるべきだ」と話している。
 職場健診を担当する厚生労働省労働衛生課の阿部重一課長は「似た指摘は以前からあった。職場健診を議論している検討会で、各健診項目の有効性を考えてもらいたい」と言う。さらに「個人的には、健診の実施対象は一律無差別ではなく、医学的に必要な人に絞る方がよいと考えている」との見解を示した。【高木昭午】
 ◇健診のマイナス面も検証を
 厚生労働省の研究班が大半の健診項目に厳しい評価を下した。「検査すれば安心」との思い込みを排し、健康人への検査が本当に病気の予防や死亡率低下につながるかを冷静に確認した結果だ。
 研究班報告書によるとGOTとGPT、γGTPの値を調べる肝機能検査で、見つけるべき主な病気の一つは脂肪肝だ。この大半は、放置しても大事に至らない。他に見つけるべきものは、アルコール性の肝臓病とウイルス性肝炎だが、どちらも見落とされる場合が多い。検査するなら飲酒量の問診や直接のウイルス検査が勝る。そこで研究班は「実施の意義を再検討する必要がある」と結論付けた。米、英、カナダなどではGOTなどによる健診は実施されていない。
 肝機能健診の評価を担当した田川一海・三井記念病院副院長(消化器内科)は「GOTなどが高くても問題ないことは多く、それほど心配しなくてよい。逆に見落としが多いので、低くても安心はできない」と話す。
 胸部エックス線(レントゲン)検査については「肺がん検診としての有効性を支持する証拠はない」とした。別の研究班は01年に「海外の研究では肺がんで死ぬ人を減らせないとの結果だが、国内の研究からみて日本の肺がん検診は有効」としており、評価が割れた。今回は海外の研究が国内の研究より質が高いことを重視し、厳しい評価を下した。米政府の評価チームも昨年、日本の研究を含めた評価で同様の結論に達している。
 心電図の測定も、心筋梗塞(こうそく)の予防などに役立つとの証拠はなかった。検査で正常とされた人たちの方が、異常が見つかった人たちより、心筋梗塞や突然死に見舞われる率が高いとの調査結果すらあった。研究班長の福井次矢・聖路加国際病院長は「心電図検査は昔から健診として効果がないと言われてきた」と話す。
 あまり意識されないが健診にはマイナス面がある。放射線による発がんの増加、病気の見落としによる治療の遅れ、治療不要な病気の発見による不要な検査・治療の副作用、膨大な費用などだ。健診実施には、マイナスを超える効果があるかの検証が欠かせない。
 厚労省は先月、健診の検討会を作り、席上で今回の報告書の要旨を配った。日本もようやく、科学的根拠に基づく健診政策に乗り出す兆しが見えた。【高木昭午】

 ◆有効性について厳しい評価をした主な項目◆
・一般的な問診 明確な証拠はない
・視力検査   勧めるだけの証拠はない
・聴力検査   勧めるだけの証拠はない
・身体診察   明確な証拠はない
・聴診     明確な証拠はない
・腹部診察   ほとんど証拠がない
・心電図測定  虚血性心疾患の発見には無意味
・胸部X線   肺がん発見に有効との証拠なし
・コレステロール検査   コレステロール低下には役立つが心筋梗塞(こうそく)予防に有効との証拠なし
・肝機能検査(GOT、GPT、γGTP)   実施の意義を再検討すべき
・尿検査    糖尿病発見には不適切。腎不全などを防ぐ証拠はない
・血球数など  有効性を示唆する十分な証拠はない
・C型肝炎検診 判定保留
・B型肝炎検診 判定保留


2005/ 8/12 若い女性の間で喫煙率が減少/カナダ  (MapleTown記事

 カナダ統計局の調べによると、2004年、カナダの喫煙率は全体的に減少傾向にあるが、その中でも特に若い女性の間で喫煙者の数が減っていることが分かった。
20歳から24歳の女性の喫煙率が、前年2003年の30%から5%減少の25%に減少しているという。その一方で同世代の男性の喫煙率は昨年に引き続き31%のまま。全体では、喫煙者数はおよそ510万人、15歳以上のカナダ人の20%が喫煙している計算となる。
 毎日、喫煙する人の場合、1日の消費本数は平均15本。全体的には男性の喫煙者が22%で女性の17%をわずかに上回る結果となった。また、15歳から19歳の間の喫煙率は18%だという。
 喫煙者が最も少ない州はBC州で、他州が平均19%から24%の間を行き交う中、14%を記録。カナダ健康省は、喫煙率の減少にはタバコ撲滅キャンペーンや、喫煙場所を厳密に制限したことが関係していると述べている。


2005/ 8/ 6 三重県限定タバコを回収 JT、巻き紙に染み  (共同通信ニュース速報)

 日本タバコ産業(JT)は6日、三重県限定販売のタバコ「マイルドセブン・スーパーライト・エコスタイル」の一部で巻き紙に染みが見つかったとして、約10万箱を回収する、と発表した。
 一部商品で、巻き紙全体に茶色い染みが確認された。健康に影響はないという。
 JTによると、この商品は、環境に配慮するため、箱の内外装にフィルムやアルミを使っていないため、気温や湿度の変化でタバコの水分や成分が表面に出た可能性がある、としている。内外装を100%紙としたのは国内で初めてだった。
 今年2月に発売開始し、これまでに約120万箱を販売した。JTはこの商品について当面、製造と販売を中止する。
 問い合わせ先は同社「お客様相談センター」、フリーダイヤル(0120)507520。


2005/ 8/ 1 【ベストセラーを斬る】『禁煙セラピー』アレン・カー著、阪本章子訳  (産経新聞記事)

「タバコの利点」ひとつひとつ論破
 累計九十五万部、百九十五刷。平成八年に発売され、ほぼ十年たつが、「読むだけでタバコがやめられる」として、息の長い売れ方をしている。
 目次を見ると、「タバコは習慣ではない、麻薬中毒だ」「集中力を高めるという幻想」「タバコをやめて失うものがあるか?」「減煙は禁煙よりずっと難しい」といった項目が並ぶ。
 禁煙の指南本といえば、がんに侵された肺の写真を載せたり、家族のためを思って強い決意を促したり…といった威嚇的なアプローチを行う本が多いが、本書は、よく言われる「タバコの利点」をひとつひとつ論破していくのが特徴だ。
 元ヘビースモーカーだったという著者のアレン・カーは、冒頭で「読み終えるまでタバコをやめないでください」と訴え、喫煙しながら本書を読んでいる読者に少しずつ喫煙行動の無意味さを悟らせていく。
 発行元のKKロングセラーズの重広裕さんは「強い意志の力を要求したり、特殊な代用品を勧めたりしない。平易な文章でせつせつと訴えるスタイルが支持されたと思う」と分析している。
 当初は口コミによって支持されていたが、四年前にタレントの今田耕司さんが本書で禁煙に成功したことをテレビ番組で公表し、注目を集めた。それ以降、インターネットなどを通じて禁煙成功率の高さが評判となり、また、歌手の椎名林檎さんら本書によって禁煙に成功した芸能人が定期的に現れて、そのたびに重版がかかる事態に。
 喫煙者への風当たりは年々強まる一方。重広さんは「今年六月にも大阪のテレビ番組でタレントのトミーズ雅さんが『自分も禁煙に成功した』と紹介したせいで、関西地区を中心に爆発的に売れている。宣伝らしい宣伝はしたことがなく、勝手に売れてくれる“親孝行”な本です」とうれしそうだ。(KKロングセラーズ・九四五円)


2005/ 8/ 1 歌舞伎町も路上喫煙禁止 (東京新聞記事)

 歌舞伎町でも吸わないで−。東京都新宿区は、一日から区内全域の路上で、タバコを吸うことを禁止する条例を施行する。同区は三十一日、新宿駅周辺でキャンペーンを実施。地元団体が阿波おどりで盛り上げる中、「路上喫煙禁止」と書かれたのぼりを持った区職員らが新宿通りをパレードした。
 国内最大の歓楽街、歌舞伎町の玄関口、JR新宿駅東口駅前広場では同日、中山弘子区長が「新宿をより快適で安全な、気持ちのいい街にしていくよう頑張ります。路上喫煙禁止に協力してください」と呼びかけた。
 条例の正式名称は「新宿区空き缶等の散乱及び路上喫煙による被害の防止に関する条例」で、六月の区議会で成立。区長が定める喫煙所を除き、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てを禁止した。
 路上喫煙を禁止する条例は、東京都千代田区が二〇〇二年に全国で初めて制定。東京駅周辺など指定地区を区職員が巡回、悪質な違反者に二万円(当面は二千円)の過料を科した。
 歌舞伎町を抱える新宿区は、過料の徴収が困難とみられることなどから、罰則を設けなかった。
【写真】「路上喫煙禁止」を訴えながら新宿の繁華街を進むパレード=31日午前、新宿で


2005/ 8/ 1 札幌市のポイ捨て条例施行 灰皿次々と撤去 (北海道新聞記事)

 道内で初めて歩きタバコや空き缶の投げ捨てを禁止した、罰則付きの札幌市の「ポイ捨て防止条例」が一日、施行された。大通公園や時計台周辺などでは、市が設置していた灰皿が早朝から撤去された。
 条例では市内全域で、吸い殻や空き缶のポイ捨て、犬のふんの放置を禁止する。
 さらに、市内中心部(南北が北八条−南四条、東西が西一丁目−西四丁目)に喫煙制限区域を設け、灰皿のある場所以外での喫煙を禁止する。携帯灰皿を使っての喫煙もできない。二カ月間を周知期間とし、十月一日から違反者に過料(罰金)を適用する。
 条例では過料は「三万円以下」とされているが、同市は条例を実効性のあるものにしようと、徴収額を「徴収しやすい金額」(ごみ減量推進課)の千円とした。警察OBなどの指導員三人が、制限区域内をパトロールして、十月以降は違反者を見つけ次第、その場で徴収する。
 大通公園ではこの日午前七時半から、市公園緑化協会の臨時職員四人が、ベンチなどの横に設置していた灰皿二十九カ所を次々と撤去。毎朝、公園でタバコを三本吸ってから出勤するという東区の男性会社員(62)は「条例は知っていたが、長年の習慣は変えられない。明日から違う場所で吸います」と苦い表情だった。
 JR札幌駅前では、条例を提案した札幌市議やミスさっぽろら約五十人が、歩行者にリーフレットを配って条例をPR。厚別区の会社員吉田育代さん(32)は「他人の歩きタバコが腕に当たりそうになったこともあり、迷惑していた。罰則は歓迎」と話していた。
 また、制限区域をススキノにも広げてほしいという要望もあり、同市は今後、拡大も検討していく。


2005/ 7/31 N700系 全席禁煙 喫煙室はあります (東京新聞記事)

 タバコに対する風当たりが強まるなか、JR東海、西日本両社は、二〇〇七年以降、東海道・山陽新幹線に順次投入するN700系車両を全座席禁煙とし、〇六年春から十六両編成の既存車両の禁煙車を現行の十一両から十二両へ拡大する。
 現在、試運転中のN700系は次世代型の新型車両。両社は全車禁煙とする代わり、十六両のデッキ部分五、六カ所に二−四人が利用できる喫煙ルームを設置する。同ルームには煙やにおいが漏れるのを防ぐため最新の強制排煙装置や光触媒脱臭装置を取り付ける。
 両社は、乗客のアンケートなどで禁煙、喫煙両派のニーズを調査していた。完全禁煙にしないで喫煙ルームを設けることで、完全禁煙の航空機から喫煙客を奪う狙いもあるとみられる。
 東海道新幹線の禁煙車は七六年に初めて設けられた。JR東日本は既に、年内に長野新幹線を全面禁煙に、東北、上越新幹線ではデッキでの喫煙を禁止する方針を明らかにしている。


2005/ 7/29 次世代新幹線は完全分煙化 デッキに喫煙室を設置 (共同通信ニュース速報)

 2007年に導入される東海道・山陽新幹線の次世代車両「N700系」は全車全座席を禁煙とし、デッキ部分に「喫煙室」を設置、完全分煙化することが29日、決まった。
 現在運行する「のぞみ」「ひかり」の16両編成の車両でも06年春以降、5両ある喫煙車を1両減らし4両にする。1964年に開通した東海道新幹線は、76年に禁煙車1両を初導入して以降、喫煙車は減り続けている。
 「喫煙室」は2−4人用、タッチ式の自動ドアで煙や臭いの流出を遮断する。1編成あたり5、6カ所の設置が検討されている。喫煙希望の乗客には、喫煙室に近い座席を販売するという。
 JR東海の松本正之社長は29日の定例会見で「乗客のうち喫煙席希望は今、2−3割程度。喫煙室設置で分煙を徹底し、喫煙者のニーズにも応えたい」と話した。


2005/ 7/27 メディアのタバコ広告禁止 EU、今月末から (共同通信ニュース速報)

【ローマ27日共同】欧州連合(EU)は27日、EU域内で今月31日から新聞、テレビやラジオ、インターネットなどマスメディアを通じたタバコの広告を全面禁止するEU指令が発効すると発表した。EU内では映画上映前の広告や街頭の看板、灰皿やグラスのロゴなど一部を除き、タバコ広告が消滅する。
 指令によると、マスメディアでの広告のほか、タバコ企業が2カ国以上の加盟国が参加するスポーツ大会やコンサートなど催し物のスポンサーになることも禁止される。
 キプリアヌ欧州委員(保健、消費者保護担当)は同日、「タバコの広告禁止は喫煙を減らす最も有効な手段の一つで、多くのEU市民の健康を守るだろう」との声明を発表した。
 同指令は2003年にEU首脳会議、欧州議会で承認され、加盟国が国内法を整備していた。


2005/ 7/26 JT、国内原料部門を再編 青森など5事業所を廃止 (共同通信ニュース速報)

 日本タバコ産業(JT)は26日、来年4月に国内原料部門の出先機関である地方原料本部と原料事務所の計5カ所を廃止するほか、4カ所の葉タバコ取扱所の廃止を追加すると発表した。
 小規模や高齢農家を対象に昨年募集した廃作で葉タバコの生産量が減少するためで、統廃合で組織の効率化を図る。
 廃止されるのは青森(青森県八戸市)、水戸(水戸市)、新潟(新潟市)、鹿児島(鹿児島市)の地方原料本部と、平良原料事務所(沖縄県平良市)。それぞれが各ブロックをまとめる原料本部に統合され、社員は配置転換する。
 これに伴い、既に廃止が決まっている16カ所の葉タバコ取扱所に加え、鉾田(茨城県鉾田町)、田原(愛知県田原市)、米子(鳥取県米子市)、萩(山口県萩市)を廃止。それらの地域では全国5カ所あるリーフセンター(大規模取扱所)で葉タバコを買い入れる。
 また、盛岡市と鹿児島市にある「葉タバコ技術センター」を廃止、「葉タバコ研究所」(栃木県小山市)に集約する。


2005/ 7/25 R・ドール氏死去 英国の「禁煙の父」 (共同通信ニュース速報)

 リチャード・ドール氏(喫煙と肺がんの関係を最初に立証した英疫学者)英PA通信などによると、24日、英オックスフォードの病院で死去、92歳。病死とみられるが、直接の死因は明らかになっていない。
 1950年、英医療研究審議会に在籍中、共著で喫煙が肺がんの主要な原因と発表。54年、両者の因果関係を初めて科学的に裏付けた。世界の禁煙運動に大きな影響を与え「禁煙の父」と呼ばれた。
 その後、オックスフォード大で喫煙の健康被害などについて精力的に研究を続け、2004年、英医学誌に、喫煙者は非喫煙者に比べ早死にするという約半世紀にわたる研究結果を発表した。(ロンドン共同)


2005/ 7/25 「受動喫煙で被害」 林野庁職員が損害賠償請求 国は争う姿勢 札幌地裁 (北海道新聞記事

 職場での受動喫煙によって健康被害を受けたとして林野庁北海道森林管理局(札幌市中央区宮の森)の男性職員(59)が国に五百五十万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、二十五日、札幌地裁で第一回口頭弁論があった。国側は請求棄却を求めた。男性の弁護人によると受動喫煙の被害をめぐる訴訟は「道内では初めてではないか」という。
 訴えによると、男性が昨年春まで所属していた同管理局函館分局では、同年二月から終日禁煙が実施されたが、それ以前は、午前と午後に禁煙時間が各一時間あったものの職員らは一日中喫煙し、換気は「寒い」との理由で許されなかった。男性は職場長に再三改善を要求したが改まらず、男性は受動喫煙の影響で慢性気管支炎にかかったという。同管理局は「係争中なのでコメントは差し控える」と話している。
 受動喫煙による健康被害への賠償を求めた訴訟では昨年七月、東京地裁が東京都江戸川区に対し職員に賠償を命じる判決を出している。


2005/ 7/23 県内の夏祭りに禁煙の動き広がる/青森 (東奥日報記事

 夏祭りが間近に迫っているが、県内ではこれまで、喫煙対策が実施されていなかった祭り会場で一部を禁煙にする動きが出始めている。青森ねぶた祭では昨年実施した観覧席の全面禁煙を今年も徹底するほか、五所川原立佞武多(たちねぷた)も初めて、観覧席を全面禁煙にする。他の祭り会場でも、禁煙への協力を求めていく考えだ。
 禁煙の動きは、受動喫煙防止を集客施設などに義務付けた「健康増進法」(二〇〇三年五月施行)を受けた対応。青森ねぶた祭実行委事務局の青森観光コンベンション協会は「近年は観覧席を全面禁煙としており、今年は放送でも伝える」と説明。五所川原立佞武多について、五所川原商工会議所は「看板を設置し、観覧席の全面禁煙をPRする」と意欲的だ。
 また、弘前ねぷたまつりでは「今年から、込み合う沿道や桟敷席では禁煙に協力して頂くよう、広報車と会場の放送で呼び掛ける方向」(弘前市)だ。八戸三社大祭では関係団体の会議が既に終わっており、全体への周知は難しいが「山車組の会議で、運行経路上の禁煙をお願いする予定」(八戸観光協会)と言う。
 祭り会場の禁煙については、禁煙の啓発活動を進める「県タバコ問題懇談会」が(1)観覧席の全面禁煙(2)会場の路上・広場の全面禁煙(3)喫煙所は通行人に被害の及ばない所に設置−など五点を、主催者に対して要望しており、弘前、五所川原は、この要望が禁煙化の契機になったという。


2005/ 7/22 長野新幹線が全車両「禁煙」、2時間以下の全電車も (読売新聞記事)

 JR東日本は22日、長野新幹線の全車両を、今年中にすべて「禁煙車」にすると発表した。
 東京駅発着の新幹線では、一部ながら初めて全面禁煙車が登場することになる。また、禁煙車にタバコの煙が流れ込むと批判のあったデッキ部分での喫煙も、来月8日からは、東北、上越など同社のすべての新幹線で灰皿を順次撤去し、禁煙とする。
 在来線特急についても、年内に「成田エクスプレス」、東京と房総半島方面を結ぶ「わかしお」など計5路線で全車両を禁煙に。さらに来月以降は、すべての特急電車でデッキ部分の灰皿を撤去して禁煙化する。
 1998年から国内線で全面禁煙を導入した航空各社に対し、喫煙車の存在は新幹線のセールスポイントの一つだった。しかし、JR東には昨年度だけで、「喫煙マナーが守られていない」などの苦情が4000件以上寄せられており、同社ではこうした声に押され、始発から終点まで2時間以下の電車で、全面禁煙化を決めたという。


2005/ 7/21 EUタバコ広告規制が開始間近 7月31日に変化が訪れる (F1 Live Com 記事

今月末にF1は大きな変化を迎える
喫煙禁止、遊泳禁止、駐車禁止…人々は人生の大部分で何をすべきか指示を与えられている。F1も同様で、ヨーロッパでタバコ広告規制が7月31日から開始される。
ロゴ印刷やラジオ放送、そしてイベントのスポンサーシップをタバコ会社が行うことは違法になり、7月31日に開催されるハンガリーGP決勝にも影響を与える。チームに法律違反を犯す意志がない限り、土曜日の夜にタバコ広告がペイントされたマシンのカラーリングを変更しなければならないのだ。
F1に参戦する半分のチームのマシンにはタバコロゴが描かれている。B・A・R Hondaはラッキー・ストライク、フェラーリはマールボロ、ジョーダンはベンソン&ヘッジス、マクラーレンはウエスト、ルノーはマイルドセブンからスポンサーシップを得ている。さらに重要なことは、ヨーロッパ以外で開催されるレースでもヨーロッパで放送されるため、全てのレースでタバコ広告をつけることができなくなってしまうのだ。
マールボロは赤、黒、白を使ったカラーリングをF2005に施しているが、将来的にはロゴではなく色だけを使うことになる。マクラーレンはスコッチウィスキーのメーカーであるジョニーウォーカーのロゴをトルコGPでお披露目する予定だ。その他のチームはまだ予定を公表していない。
「7月31日以降、何が起こるか慎重に見守る必要がある」 とポール・ストッダートは昨年10月に記者会見で語っていた。
タバコ広告の時代は終わったということである。


2005/ 7/16 JT左うちわのなぜ (YomiuriWeekly記事

 喫煙規制や嫌煙運動の拡大、健康への関心の高まりに伴う喫煙率の低下など、タバコを取り巻く環境は四面楚歌状態だが、日本タバコ産業(JT)の業績は絶好調だ。2005年3月期の売上高、営業利益とも過去最高を記録。今期も最高益を更新する見込み。逆風もどこ吹く風? JT好調の秘密はどこにあるのか……。
本誌 二階堂祥生/撮影 島崎哲也太
 「ゴングは鳴った」のうたい文句に、ファイティングポーズを取った覆面レスラーがずらり。一見、プロレス興行の宣伝かと見間違うようなポスターは、JTが7月から始めた新製品の広告だ。全国展開の1銘柄に加え、19府県で地域限定タバコ12銘柄を同時に売り出すという、JTとしては過去最大の新製品一斉投入。地域での“市場テスト”の結果、売れ行きが好調なら、メジャーならぬ、全国デビューが待っている。もちろん、逆ならお蔵入り。まさに生き残りをかけたバトルが始まったのだ。同様の地域限定販売は今回で4度目となる。
喫煙率は右肩下がり
 成人の喫煙率が2004年、初めて3割を切り、消費の先細りが今後も続くと予想されるなかで、新商品を一挙大量投入するのは、国内販売の減少を食い止めたいというJTの危機感がある。
 タバコ賠償請求訴訟で、東京高裁が6月、「タバコの有害性は十分解明されておらず、依存性も弱い」などとして、原告の控訴を棄却する判決があったが、喫煙が健康に及ぼす影響は無視できないという流れを押し戻すことは難しい。
 「喫煙は、あなたにとって脳卒中の危険性を高めます」
 世界保健機関(WHO)の「タバコ規制枠組み条約」を受け、日本では7月から、タバコのパッケージの30%以上に健康に関する警告文を付けることが義務づけられ、デザインが大きく変わった。
 03年の健康増進法の施行で、分煙が一段と進み、愛煙家がタバコを楽しめるスペースは狭まる一方。それでも、これでは手ぬるいとばかりに、完全禁煙を実施する交通機関や官公庁が出るなど、喫煙者はますます追い込まれている。
 禁煙の動きが広まるにつれ、国内のタバコ販売も、1996年度の3483億本をピークに減少傾向が続く。特にタバコ増税が実施された03年度は3000億本の大台を割り込み、昨年度は本数ベースでピーク時から16%減少した。
 タバコ市場のパイの縮小に加え、JT製品の国内販売シェアも、外国タバコの攻勢でジリジリと下がり続けている。85年の民営化直後は98%とほぼ1社独占状態だったが、昨年度は72・9%にまで落ち込んだ。
 さらに今年4月には、フィリップ・モリス・インターナショナル(本社・スイス)との間で結んでいた「マールボロ」の生産・販売契約を解消。人気銘柄だっただけに、営業利益ベースでは500億円もの減益要因になる。
 どうにもこうにもJTにとっては、悪いことずくめなのだ。
 今年になって、全従業員の3分の1に相当する5796人の大リストラも断行した。いよいよJTは窮地に追い込まれたと思いきや、05年3月期決算は驚くような結果なのだ。
 売上高こそ前期比0・9%増と微増だったが、営業利益は16・8%と大幅に増え、その勢いは今期も持続しそうだという。嫌煙運動など何するものぞ、なのだ。
 禁煙した人たちが、我慢できずに、吸いだしたのか? いやそうではなかった。絶好調の秘密は海外展開にあった。
 JTは99年に、世界第3位のタバコメーカーだった米RJRナビスコの米国以外の海外タバコ部門を買収、海外での事業を一気に拡大した。
 RJRナビスコは、米国以外では世界18か国に22工場を展開し、「ウィンストン」「キャメル」「セーラム」などの人気ブランドを保有していた。1兆円近くを投じた買収作戦に「高すぎる」と批判もあったが、国内市場の先細りを補って余りある結果をもたらした。海外で工場や販路、実績のあるブランドを手にすることで、国内の逆風をはねのけてしまったのだ。
国内外のタバコ販売逆転へ
 海外での販売は、ロシア、ウクライナ、イタリアを中心に順調に伸びており、国内販売と肩を並べるまでに成長、来年には逆転も見込まれる。特にロシアなどでは、経済の安定で、高価格タバコへ需要がシフトし、利益アップに貢献している。今期、JTの営業利益の2割を海外で稼ぎ出すと、そろばんをはじく。
 前述の大リストラも実は、「将来の事業環境の悪化に備えて、余裕のあるうちに組織をスリム化する」(IR広報部)ことが狙いで、ジリ貧下でやむを得ず“人減らし”したわけではない。そもそも、これだけの人数が応募したのは、通常の退職金に加え、平均3000万円を上乗せするという破格の条件を提示したためだ。しかも、希望者には再就職のあっせんまで行うという厚遇ぶり。2700億円を超える営業利益を上げるJTの財力のなせる業だ。希望退職に応じた社員の7割が、50歳以上で、社員の平均年齢は一気に若返り、06年度以降、人件費負担の軽減などで、年間550億円のコスト削減効果が見込めるという。
 さらには3月末までに、全国25のタバコ工場のうち多くを閉鎖し、10工場体制にした。
 株式市場ではこうしたリストラ策が評価され、株価は6月に一時、99年7月につけた上場来高値に並ぶ154万円まで上昇した。
タバコ以外はまだまだ
 タバコに代わる収益の柱となる事業をどうするかが、JTの民営化以降の大きな課題だ。かつてはスポーツクラブの運営やスッポンの養殖まで手がけたことがあるが、いずれも日の目を見ることなく、結局は、飲料を中心とした食品と医薬事業に絞っている。食品事業は、昨年初めて営業利益が黒字に転じた。安値販売を強いられることの多い小売店での販売を減らし、定価で販売できるよう自販機網を整備したのが要因だ。医薬事業についても、海外の大手薬品メーカーと高脂血症の薬についてライセンス契約を結んだことから、初めて黒字化した。
 ただ、食品事業は安定して黒字が出せるメドはついたが、全体の利益からみれば、1%にも満たない。
 医薬事業も、安定して黒字が確保できる見通しは、まだ立たない。研究開発に膨大な費用がかかる医薬事業の宿命とはいえ、当分はタバコの儲けを、一方的に食いつぶす状態だ。
 禁煙の流れが、今、販売が好調なロシアなどに波及しないという保証はない。タバコを積極的に売り込むことで、アメリカのように、巨額の賠償請求事件が続出しないとも限らない。
 潤沢な手元資金があるうちに、「M&A(企業の合併・買収)や積極的な投資により、今後の成長の柱となる主力商品を早く育てる必要がある」(アナリスト)と、繰り返し指摘されてきた。しかし、タバコ事業の稼ぎが大き過ぎるがゆえに、並び立つような収益の柱が見つからないことが、JTにとって深刻な悩みなのだ。


2005/ 7/15 喫煙者・非喫煙者とも6割超がタバコの健康への影響を懸念 (日経BP記事

 ノバルティスファーマは2005年7月14日、禁煙に関するアンケート調査結果を発表した。喫煙者の64%、非喫煙者の67%がタバコによる自分の健康への影響を懸念しており、禁煙を勧められて最も効果があるのは「子供」であることが分かった。
 喫煙者が「禁煙しようと思った瞬間」(複数回答)は、「自分の健康」を考えた時が最も多く63.6%に達した。具体的には「運動・階段などで息切れしたとき」を挙げた人が多く、「せき込む」「体力の低下」「のどが痛い」と続いた。
 2位以下は、「金銭的な負担」が29.0%、「家族の健康」が25.4%、「喫煙環境の変化」が23.4%だった。
 一方、非喫煙者が「まわりの人に喫煙をやめてほしいと思った瞬間」でも、「自分の健康」が67.2%でトップ。具体的には「副流煙が気になる」が多く、「煙たい/煙がいや」「くさい/臭いがいや」と続き、受動喫煙を気にする人が多かった。
 また、非喫煙者が「禁煙してもらいたい人」は、「同僚」(28.3%)、「友人」(26.8%)、「親」(26.1%)の順。逆に、「熱心に喫煙を勧めてくる人」を喫煙者に聞いたところ、「配偶者」(43.6%)、「親」(27.6%)、「子供」(19.1%)の順で、禁煙してもらいたい人に実際に禁煙を勧めるケースは少なかった。
 また、実際に勧められて禁煙しようと思った相手は「子供」が最も多かった。
 5月28日〜6月19日にインターネット上で行ったプレゼントキャンペーンのアンケート結果を集計したもので、有効回答者数は2089人。うち喫煙者が1124人、非喫煙者が965人。(鴨沢 浅葱=Infostand)


2005/ 7/14 ノバルティス、「禁煙」に関するアンケート調査結果を発表 (日経ネット記事

気になるのは"自分の健康"〜 喫煙者、非喫煙者に聞く禁煙意識 〜
・喫煙者の約6割、非喫煙者の約7割がタバコによる自分の健康への影響を気にしている
・禁煙を勧められて効くのは「子供」。家族は喫煙者の健康を心配している
・禁煙してもらいたい人のトップは「同僚」。でも、本人に勧めることは少ない
・副流煙、受動喫煙を気にする人が多い

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:馬場宣行)は、喫煙者、非喫煙者の合計2,089人を対象に、当社の「いい禁煙」サポートサイト(http://www.e-kinen.jp/)上で、禁煙に関するアンケート調査を実施しました。(調査期間:2005年5月28日〜6月19日)
 喫煙者の約6割、非喫煙者の約7割がタバコによる自分の健康への影響を気にしている
 喫煙者が禁煙しようと思った"瞬間"は、「自分の健康」が気になったときがもっとも多く(63.6%)、次に「金銭的な負担」(29.0%)、「家族の健康」(25.4%)、「喫煙環境の変化」(23.4%)が続きました。一方、非喫煙者がまわりの人にタバコをやめてほしいと思った"瞬間"でも、「自分の健康」がもっとも多く(67.2%)、「家族の健康」(39.5%)がそれに続きました。(複数回答あり。
参考資料:グラフ(1)・(2))
 喫煙者の中で「自分の健康」を選んだ人は、年代・性別に関わらず約6〜7割を占め、具体的には「運動・階段などで息切れしたとき」を挙げた人がもっとも多く、「咳き込む」「体力の低下」「喉が痛い」が続くという結果でした。
禁煙を勧められて効くのは「子供」。家族は喫煙者の健康を心配している
 周囲の人に勧められて禁煙しようと思ったことがある人のうち、もっとも多いのは「子供に言われたとき」で、「家族」「妻」がそれに続きました。また、喫煙者に熱心に禁煙を勧める人の割合は、配偶者(43.6%)、親(27.6%)、子供(19.1%)の順に高く(グラフ(3))、さらに、非喫煙者のうち「家族の健康」が気になる人では「喫煙者本人の健康」を心配する人がもっとも多いなど、喫煙者の健康を家族が心配し、禁煙してほしいと願っている様子がうかがえます。


2005/ 7/13 「ポイ捨て」罰金は1000円、札幌市が条例 10月適用 歩きタバコも対象 (北海道新聞記事)

 札幌市は十二日、八月施行の「ポイ捨て防止条例」で、タバコの投げ捨てなどの違反者に科す過料(罰金)額を千円と決めた。過料は条例では二万円以下とされているが、同市は「実際に徴収しやすい金額」とした。十月の罰則適用後、違反者を厳しく取り締まる方針でいる。同様の条例によって徴収に乗り出すのは広島市、東京都千代田区に次いで全国で三番目。
 過料額は市の要綱で定め、広島市は千円、千代田区は二千円としている。罰則が適用されるのは、市内全域での吸い殻や空き缶のポイ捨て、犬のフンを散乱させた場合のほか、市中心部に定める喫煙制限区域内での歩きタバコも対象になる。いずれもパトロールする市の指導員が違反者を見つけ次第、その場で千円を徴収する。
 札幌市によると、広島では徴収を始めた昨年一月に罰則適用者が月間百三人いたが、今年三月には九人に減った。
 同市はまた、喫煙制限区域を、南北は北八条から南四条、東西は西一丁目から四丁目とし、当初予定していたエリアをやや拡大する。区域内に特別な喫煙所は設けないが、民間が設けている既存の吸い殻入れの撤去は求めないといい、「禁じるのはあくまで歩きタバコとポイ捨て。所定の場所での喫煙は取り締まらない」(環境局)としている。


2005/ 7/12 81歳で禁煙講演 愛煙家夫亡くし奮闘2年 武生の長谷さん (福井新聞記事)

 若い人にタバコで死んだ夫の二の舞いはさせたくない−と禁煙を訴え、八十歳を超えてなお学校などで講演を続けている婦人が武生市内にいる。  この人は長谷信江さん(81)=家久町。夫の末松さんが三年前、八十二歳で亡くなった。六十年以上タバコを吸い続けた末の肺気腫だった。一日二十本以上吸ったという。医者の忠告にもかかわらず、十三年間の闘病中も医者に隠れて吸い続けた。最後は医者もあきらめ「(死期が近づいて)吸う力がなくなるまで、仕方ない」と見放されるくらいだった。肺はタバコのニコチンで真っ黒だったという。
 夫の死を無駄にしたくないと、長谷さんは一年後に禁煙活動を決意して、武生禁煙友愛会に入会。丹南地域を中心に中学、高校へ出向き講演を始めた。闘病中の夫の苦しみを話し、タバコの害を説明。「タバコは吸い始めると、禁煙するのが大変。最初から吸わないで、親からもらった大事な体を守ってください」と訴えている。自分の体験に基づいた話のため説得力があり、生徒たちは真剣に聞きだすという。
 タバコを吸って肺にニコチンがたまると、どれくらい苦しい状態になるかを説明するため、生徒全員にストローを渡し、鼻をつまんで呼吸してもらうなど講演内容に工夫も凝らしている。
 最近は小学校からの禁煙教育にも取り組み、七日には池田第一小学校で講演した。大人からの要望もあり、公民館などにも出向く。多いときには月三回も講演。「長谷さんのおかげでタバコがやめられた」と、感謝されることもあるという。
 禁煙のこつは「自分がしっかりすることが第一」と長谷さん。その上に、家族の協力が大事だと指摘。さらに、医師の診断を受けた上で、禁煙パッチの使用なども効果的だという。
 武生禁煙友愛会は熱心な活動が認められて昨年、厚生労働大臣表彰を受けた。飯田幸雄会長(71)は「長谷さんはとても熱心。八十歳を超えた方とは思えない。大臣表彰への貢献度も大きい」と評価。
 長谷さんは「若い人に夫と同じ苦しみをさせたくない。夫もあの世で、そう願っていると思う。体の続く限りタバコの害を訴え、喫煙と闘いたい」と話している。


2005/ 7/ 9 タバコ広告、全面禁止=メーカー後援のイベントも認めず−ベトナム (時事通信ニュース速報)

【バンコク9日時事】ベトナム政府はこのほど、タバコ広告を全面禁止した。タバコの商標の表示も広告活動とみなされ禁止される。同国のラジオ放送「ベトナムの声」が報じた。
 同放送によればベトナム文化・情報省が7日、タバコ広告の禁止に関する政府決定などを公表した。それによると、広告はもちろん商品に関連するコンテストや販売促進の宣伝も禁じられた。
 さらに、商品名やロゴが表示されるタバコメーカー後援のスポーツイベントや社会活動も認められなくなった。


2005/ 7/ 7 喫煙者はどんどん減る!――50年後の英国、喫煙者は全体の10%に? (UK Today 記事

 英国における喫煙者は2050年までに25%から8%に減少し、人口全体の10%を占める程度になると予測されていることが伝えられた。
 「The Future Federation」が5,000人以上を対象に行った研究で明らかにしたところによると、もし喫煙が全面的に禁止された場合、50年後の喫煙者数は全体の1%にまで減少する可能性もあるとされる。
 この50年で喫煙が原因とされる病気で亡くなった英国人は、ロンドンの住民数とほぼ同じの630万人。35〜69歳で、このような病気が原因で死亡した人の数は1950〜2000年の間をみてみると男性の42%、女性の16%となったという。
 35歳〜59歳で喫煙する人の割合は、1950年には男性で80%以上だったが、2000年には30%に低下。女性の喫煙者は1970年に全体の50%だったものが、2000年には25%に減少したとされる。
 「The Future Federation」では、喫煙者が少なくなった背景には、禁煙運動や禁煙を目指す人のためのサポート体制、禁煙法の実施や、タバコと健康に関する公共の意識が高まってきたことなどがあるとし、さらにはタバコを吸わず、長寿を謳歌している60歳以上が増えている事実を指摘している。
 また同団体では、家庭や職場での間接喫煙でも、英国内で少なくとも1日30人が死亡しているという調査結果から、喫煙の深刻な影響を改めて訴えているという。


2005/ 7/ 5 タバコ値上げ以降、成人男性の喫煙率 5.5%下落に (中央日報記事

今年、追加でタバコの値上げが行われる場合、成人男性の喫煙率が40%台に落ちるだろうとの見方が出た。
保健福祉部(福祉部)が5日伝えたところによると、昨年9月と今年3月、6月計3回にわたって、全国の成人男女1000人余を対象に喫煙率を調べた結果、成人男性の喫煙率が57.8%から53.3%、52.3%へと、それぞれ落ちた。値上げ(04年12月)前の昨年9月と値上げ後の今年6月の喫煙率を比較すると5.5%が減ったのだ。
女性の喫煙率も調査時点によって、4%→3.2%→2.8%に落ちた。とりわけ、6月調査の当時「今年に入って禁煙をはじめた」と回答した人々の64.8%が値上げを禁煙の主な要因に選んだ。
福祉部・健康政策課のチョ・ギョンスク事務官は「80年から94年まで各市民団体が主導し禁煙キャンペーンを展開する当時、成人男性の喫煙率は年間平均0.45%減少し、国民健康増進法が制定された94年から昨年までは、禁煙区域の拡大や保健所禁煙事業などを通じて、年間平均1.52%が減った」とし「それに比べると、タバコの値上げによる禁煙効果が期待した以上」だと評価した。チョ事務官は「今年、追加でタバコの値上げを行う場合、成人男性の喫煙率は40%台になるだろう」と見込んだ。


2005/ 7/ 4 公共交通機関が禁煙に/スイス (swissinfo記事

 全線禁煙措置は12月のダイヤ変更と合わせて施行される。しかし、欧州で最も標高の高い鉄道駅を結ぶユングフラウ鉄道(ベルナーオーバーランド地方)、イタリアとスイスを結ぶチザルピーノ線など既に全線禁煙を実行しているところもある。12月から禁煙が施行される企業は全部で17社になる。
喫煙者も歓迎
 現在、交通機関の乗客の5人に1人が喫煙者だ。意外なことに、この新しいルールは喫煙者からの受けもよい。「喫煙者でも他人の煙が嫌で禁煙車に乗る人が多い。なかには、喫煙車両に乗るより立っているほうがいいと言う人も多い」と説明するのはスイス国鉄広報官のジャック・ズーラフ氏。現在のところ、長距離電車は20%、短距離電車の10%の喫煙車ばかりが空いていた。
 12月からは一等車でも二等車でも全車禁煙のため、タバコを吸いたい人は 駅のプラットホームなど、空が開いている空間でしか吸うことができない。チューリヒやローザンヌなど駅のホールが大きい場所での喫煙については検討中だ。なお、吸った人に対する罰金制度などの導入はまだ考えていないという。
コスト削減
 禁煙措置によって交通機関企業は思わぬ効果も得られる。清掃費が今後、5年間で20%削減される見込みだからだ。これまで、喫煙車の清掃費は高く、禁煙車より破壊行為も多かったからだ。
 なお、近隣諸国と比べてみるとタバコに対する対策はまちまちだ。イタリアでは公共スペース全面禁煙と厳しい禁煙キャンペーンを展開している。フランスはTGVなど長距離列車は全線禁煙を実施している。しかし、ドイツやオーストリアなどは長距離列車に喫煙車がある。
 このため、スイスから喫煙者に乗ってイタリアに入るとタバコを消さなければならないといった状況が生まれていた。


2005/ 7/ 4 タバコ:40年間1日1箱喫煙すると、細胞7.4年分老化 (毎日新聞記事)

【ワシントン共同】喫煙者はタバコを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い−−。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果をまとめた。試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7・4年分、余計に年をとることになるという。
 研究対象は18〜72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の一つの目安にもされている。
 「喫煙者」「元喫煙者」「非喫煙者」の3グループでテロメアの長さを比べたところ、非喫煙者が最も長く、元喫煙者はやや短縮、喫煙者はさらに短かった。全体に、年齢とほぼ比例して短縮していたが、喫煙者は同年齢の平均より余分に短くなっており、喫煙が老化を加速する形になっていた。


2005/ 7/ 3 [10代妊婦の喫煙] 次世代の命と健康守ろう (沖縄タイムス社説

 十代の妊婦の喫煙が三割弱に上り、胎児の生命や健康に悪影響を及ぼしかねない―ことが、県小児保健協会の二〇〇四年度乳幼児健診報告会で明らかになった。
 未成年者の喫煙自体が問題にもかかわらず、十代の妊婦の喫煙が増えていることは極めて由々しい問題だ。若い母親が自らの生命と健康をむしばむだけでなく、次の世代の生命と健康をも冒す恐れがあるからだ。
 報告によると、県内で乳児健診を受けた母親の約一割が妊娠中に喫煙し、十代の妊婦では三割弱に上った。十代の母親の喫煙割合が最も高く、次いで二十代、三十代となり、若い母親ほど喫煙傾向が強いことが分かった。
 報告した小児科医は「妊婦の喫煙は低体重(二五〇〇グラム以下)など、胎児に悪影響を及ぼす」と危惧し、「市町村などのマタニティー教室での禁煙指導など、もっと積極的な啓発活動が必要だ」と訴えている。
 また、妊娠中の女性がタバコを吸うと「胎児の染色体の異常率が高くなり、白血病など血液の腫瘍を起こしやすくなる可能性がある」という海外の研究報告もある。
 タバコと病気、特に肺がんとの因果関係が証明されて以来、紙巻きタバコには喫煙の害についての注意書きが表示されるなど、禁煙、分煙運動が世界的に広がった。
 一九八八年には「世界禁煙デー」が設けられるなど、公共の場や職場での禁煙、分煙はかなり定着した。未成年者の「防煙」、禁煙希望者への「禁煙支援」などの対策も推進されてきた。副流煙による健康障害も重視され、今やタバコは喫煙者だけの問題ではなくなっている。
 だが、そうした施策とは裏腹に、妊婦の喫煙防止の取り組みの遅れが今回、図らずも露呈した感は否めない。喫煙は、その開始年齢が低いほど害も大きい。若い妊婦、子育て中の夫婦の喫煙指導法をいま一度見直してみる必要がある。われわれは、自らだけでなく次の世代の生命と健康を守る義務がある。


2005/ 7/ 2 市の施設は屋外も禁煙 サンフランシスコ (共同通信ニュース速報)

【ロサンゼルス1日共同】米カリフォルニア州サンフランシスコ市で1日、公園や広場など市が管理する施設は、屋外でも禁煙とする条例が施行された。サンフランシスコ・クロニクル紙などによれば、違反者には100ドル(約1万1000円)の罰金が科される。
 カリフォルニア州では、1995年に仕事場など屋内の公共スペースで、98年以降はバーやカジノでの喫煙を禁止。南部のサンタモニカ市が昨年、公園や浜辺での喫煙を禁じるなど、屋外でも喫煙規制が強まっている。


2005/ 7/ 1 労働生産性の低下は920億ドル相当、喫煙被害でCDC (CNNニュース記事

 ジョージア州アトランタ――米疾病対策センター(CDC)は6月30日、喫煙に関連するとみられる死亡による労働生産性の低下は、1997年から2001年の間で約920億ドルに相当する、との報告書を発表した。
 生産性の低下を、喪失した賃金額などととらえて、報告書をまとめた。喫煙の関連疾病に伴う医療費の詳細には触れていないが、98年だけで推定755億ドルとしている。
 CDCは、喫煙は、肺、心臓などの関連疾病で寿命を平均14年縮めるとも指摘。97年から01年の間、喫煙、間接喫煙による死者は毎年、43万8000人とし、95年から99年までの間の44万人から増えているとも警告した。


2005/ 7/ 1 これで止めますか? 好業績JTは余裕 (東京新聞記事

 「体に悪いのはとっくに承知」と喫煙者は言いそうだが、タバコの包装に書かれた健康に関する警告文の面積が七月一日から全銘柄で30%に拡大される。だが、これで“一服”とはいきそうにない。面積を増やせ、写真を付けろといった意見が出ており、もっと厳しくなる可能性がある。それでも喫煙者が減らなければ…。「値上げが一番効果的」という声が高まりそうだ。 (経済部・池井戸聡、科学部・吉田薫)
■40%?
 「資料にある『ルーシア』はタール一ミリで、『ゴールデンバット』は十八ミリ。ニコチンやタールの量は、買った後でないと分からない」
 三月末に開かれた財務省の「財政制度等審議会・タバコ事業等分科会」。出席者の一人が「タールやニコチンが多いタバコは、注意文言の占有比率が40%になってもいいのでは」と問題提起した。
 これに対し国立病院機構理事長の矢崎義雄・同分科会長は「動物実験ではある程度、タールのミリグラム数と、いろいろ疾患が発症する(ことに)関係がある」とした上で「人の喫煙はなかなか(タールの)ミリグラム数とは合わない」と説明し、タールの量と警告文の面積との議論は、ひとまず終わった。
■写真も
 表示面積の拡大は、世界保健機関(WHO)の「タバコ規制枠組み条約」で規定された。日本タバコ産業(JT)は昨年十一月から取り組んでいる。国立保健医療科学院の望月友美子室長は「これまでの経過を考えると、よくここまできたという思い。財務省が受動喫煙の被害まで認めたのは画期的だ」と言う。
 しかし、表示の仕方には疑問が残る。たとえば依存に関する表現は「人により程度は異なりますが」と前置きが付く。肺がんに関しては「疫学的な推計によると危険性が2倍から4倍」とある。「自分は大丈夫だ」と考えるような仕掛けがほどこされているようだ。
 大阪府立健康科学センターの中村正和部長は「このメッセージは警告になっていない。カナダでは、パッケージの半分に危険性を示す写真が入り、ふたを開けると、あなたは禁煙できますと書いてある。米国は写真はないが文字はもっとはっきりしている」と話す。
■180億本
 警告で止(や)める人がいるのだろうか。
 「喫煙は死につながる」などと記載されたフランスでは二〇〇三年、〇四年の二年間で消費量は30%ほど減少した。広告業界関係者は「化粧品や食品も成分表示の規制が厳しいが、タバコほどではない」と同情する。
 JTが予想する〇五年度の国内販売本数は千九百五十億本で、前年度を約百八十億本も下回る。だが、JTは警告文の面積拡大は「売り上げに影響しない」と強気。先行的に実施した「ハイライト」では、売り上げは落ちていない。
 「警告文の面積拡大で消費者に病気につながるリスクファクター(危険要因)をより理解していただける」というのがJTの公式見解。販売本数が減る理由は「健康意識の高まりと少子高齢化で喫煙者が減ることにある」との見方だ。
■2倍に
 余裕のコメントの裏には、好調な業績がある。JTは〇五年度、ロシアや台湾など海外で国内を上回る二千二百二十億本の販売を見込む。リストラ効果もあって、経常利益は過去最高の二千九百三十億円に膨れ上がる見込みだ。
 前身が専売公社のJTの株式は現在、50%を財務省が保有。JT会長の座を天下り先としてキープする財務省と、全国の葉タバコ農家を「票田」にする一部国会議員の思惑が絡み、今の体制は当分、続きそうだ。
 一方、タバコの害は明らか。最近も、一日二十本、四十年の喫煙で七・四年分寿命が短くなるという研究が英医学誌ランセットに掲載された。「実効性のあるタバコ規制をさらに推進しなくては」と中村部長は言う。
 日本医師会などがつくる国民医療推進協議会は五月末、小泉首相らに要望書を出した。その中で「タバコの価格を二倍にすると喫煙者は二、三割減少する。売り上げ総額は増加するので税収も増える」としている。JTは万全でも、喫煙者には厳しい日が続きそうだ。


2005/ 6/30 タバコの価格値上げ…禁煙効果持続 (innolife記事

 昨年12月にタバコの価格を値上げした後、禁煙効果が持続しているという調査結果が出た。保健福祉部は高麗大学キム・ウォンニョン教授チームが、1月末と3月末、今月中旬の3回に渡って成人男性千人を対象に禁煙率を調査した結果、それぞれ8.3%と9.7%、11%と出て、タバコの価格値上げによる禁煙効果が持続していることを明らかにした。
 所得水準別に見ると、月195万ウォン未満階層と295万ウォン未満階層の禁煙率がそれぞれ17%で一番低く、395万ウォン未満階層は9.6%、495万ウォン未満は8.6%と現われ、大体所得水準が低いほど禁煙率が高いことが分かった。
 また年齢別では20代の禁煙率が16.2%で一番高く、30代が7.5%、40代が10.2%、50代以上が10%と集計された。しかし、このような調査結果は、先月国内市場で販売されたタバコが76億6,700万本で、タバコの価格が上がる前の一月平均販売量である80億本水準に迫ったという、韓国タバコ協会の発表と違うことから物議を醸しだすものと思われる。


2005/ 6/29 全面禁煙の居酒屋、全国チェーン初の試み (日刊スポーツ記事)

 居酒屋などを全国展開する外食大手のワタミ(本社東京・大田区)が、7月に全面禁煙の居酒屋チェーンの経営に乗り出す。全国チェーンの居酒屋の全面禁煙は日本初で「正直成功するかは分かりませんが、お客の声が多いのでトライする」としている。公共の場やオフィスなどで禁煙・分煙の傾向がある中での新たな試みといえる。
 禁煙居酒屋1号店となるのは7月18日、東京都北区に出店する「居食屋 手づくり厨房 赤羽東口駅前店」。約250平方メートルの飲食フロアは全面禁煙で、喫煙はタバコの煙が漏れないように工夫された広さ3平方メートル程度の喫煙スペースに限られるという。
 03年の健康増進法施行から外食業界では定食店やコーヒーショップなどで分煙は進んでいるが、ワタミはこれまで一部店舗に禁煙席を設けて対応していた。
 同社の中川直洋社長室長は「この2、3年『店内を禁煙にしてほしい』という声が増えている。お客さまの声が多いからトライしてみよう、という気持ちだ。正直、成功するかは分かりません」と話した。
 全面禁煙の店舗が増えるかどうかは消費者の反応次第という。1号店が「成功」を収めれば、年度内に20〜30店を出店する可能性はあるという。
 ただし「ワタミが喫煙を『悪』だと思っているのではありません」(中川社長室長)と喫煙派にも気を遣う。「居食屋 和民」などグループで462店舗(5月末現在)を展開しているが、現時点では「居食屋 手づくり厨房」以外の店舗を全面禁煙にする計画はないという。【桐越聡】


2005/ 6/29 米政府、タバコ会社による拠出義務付けを連邦判事に要請 (ロイター記事

[ワシントン 28日 ロイター] 米政府は、喫煙の危険性について国民を欺いたとしてタバコ会社を相手取って起こしている訴訟で、禁煙プログラムの費用として100億ドル、喫煙防止教育の費用として40億ドルの拠出をタバコ会社に義務付けるよう、連邦裁判所判事に要請した。
 司法省弁護団は、27日遅くに裁判所に対する申し立てを行い、この訴訟で政府に有利な判決が下された場合は、禁煙プログラム等が義務付けられるべきとの考えを米地裁のグラディス・ケスラー判事に伝えた。
 これらのプログラムは、今月ケスラー判事の前で開かれた最終弁論で政府側弁護士が提示した制裁措置の内容に沿ったもの。ただ、政府側証人が提案した「25年間で1300億ドル」をはるかに下回っていることから、批判を招いている。
 ケスラー判事がタバコ会社の行為に違法性を認めた場合、5年間の全国的な禁煙プログラムとして、100億ドルが拠出される。
 また、喫煙防止教育プログラムには、10年間で40億ドルが拠出される。同プログラムは、1998年の全米46州とタバコ会社による和解で創設された基金が運営する。


2005/ 6/28 JT側が敗訴、上訴へ ロシア現法の課税裁判 (共同通信ニュース速報)

【モスクワ28日共同】日本タバコ産業(JT)のロシア現地法人「JTI・マーケティング・アンド・セールス」がロシア税務当局の巨額の追徴課税を不服として争っている問題で、モスクワの控訴裁判所は28日、JTI側の主張を退ける判決を言い渡した。
 JTI側は上訴する方向で検討する、としている。
 同裁判所は、2000年分の付加価値税支払い不備を理由とした約20億ルーブル(約78億円)の追徴課税を妥当と認定した。
 この問題は、上級審の管区仲裁裁判所で争われていたが、同裁判所は今年4月、審理が不十分として控訴審に差し戻していた。


2005/ 6/28 3年連続前年割れ−タバコ小売店数 (四国新聞記事

 四国財務局がまとめた二〇〇四年度の四国四県のタバコ小売販売店数は、前年度比1・1%減の一万二千五百四十二店と、三年連続で前年度を下回った。健康ブームや分煙の定着を背景にタバコ離れが進み、新規出店が伸び悩んでいるほか、高齢化などを理由に個人専業店の廃業が増えていることが主因という。
 まとめによると、小売販売業の許可件数は前年度比5・0%減の三百二件で、公表を始めた一九九九年度以降では最少となった。内訳は、コンビニエンスストアが最も多く百三十一件(43・4%)。以下はレストラン・飲食業二十四件(7・9%)、スーパー二十件(6・6%)、酒類販売業十九件(6・3%)などとなっている。
 一方、廃業店数は前年度比13・0%増の四百四十二件と、四年連続で増加、九九年度以降では最高の件数となった。このうち、個人専業店が七割弱を占めており、店主の高齢化、後継者不在などが主な理由という。
 自動販売機による出張販売先数は、前年度比0・5%増の九千三百七十九件。健康増進法の施行で各種施設の分煙化、禁煙化が進み、許可件数は同29・9%減の二百八十八件だった。
 香川県内の小売販売店数は、前年度比1・0%減の二千九百三十三店。出張販売先は同1・6%増の三千五百十件だった。


2005/ 6/24 噛みタバコや嗅ぎタバコの使用によって心疾患、脳卒中による死亡率が上昇する可能性 (m3com記事

2件のプロスペクティブ(前向き)試験から、噛みタバコまたは嗅ぎタバコの使用によって心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという予備的なエビデンスが得られた
Laurie Barclay, MD
Medscape Medical News
Reviewed by Gary D. Vogin, MD
 【6月21日】嗅ぎタバコや噛みタバコの現在の使用によって、心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという2件のプロスペクティブ(前向き)試験の結果が『Cancer Causes and Control』6月号に掲載されている。
 「嗅ぎタバコおよび噛みタバコの使用に関連した健康上のリスクを検討した前向き試験は少ない」と米国対癌協会(ACS、ジョージア州、アトランタ)のS. Jane Henley, MDらは記述している。「約30件の疫学研究で吐きタバコを使用する男性の罹患率または死亡率が検討されている。しかし、そのほとんどは小規模[試験]であり、多くの試験では癌のエンドポイントのみが検討されているにすぎない」
 研究者らは、1959年のCancer Prevention Study I(CPS-I)または1982年のCancer Prevention Study II(CPS-II)に参加した男性を対象として、吐きタバコ(嗅ぎタバコまたは噛みタバコ)の使用と死亡率との関連を検討した。ベースライン時には、CPS-Iの7,745例およびCPS-IIの3,327例が嗅ぎタバコまたは噛みタバコのみを使用すると報告した。種類を問わず、タバコの使用歴がないと答えたのはCPS-Iでは69,662例、CPS-IIでは111,482例であった。12年間(CPS-I)および18年間(CPS-II)の経過観察で、それぞれ11,871例および19,588例の死亡が確認された。研究者らは、Cox比例ハザードモデルを用いて、年齢およびその他の共変量を調整した。
 ベースライン時に嗅ぎタバコまたは噛みタバコを現在使用していると答えた男性では、タバコを使用しなかった男性と比べ、CPS-I(ハザード比1.17; 95%信頼区間1.11-1.23)およびCPS-II(ハザード比1.18、95% 信頼区間1.08-1.29)の両研究においてあらゆる原因による死亡率が高かった.
 CPS-Iでは、吐きタバコの現在の使用は、冠動脈性心疾患(CHD)、脳卒中および呼吸器、消化器、泌尿生殖器疾患による死亡との統計的に有意な関連が認められたが、癌による死亡との関連はなかった。
 CPS-IIでは、吐きタバコの使用はCHD、脳卒中、癌(あらゆる癌を併合)、肺癌、肝硬変による死亡との有意な関連が認められた。しかし、以前の吐きタバコの使用は、どのエンドポイントとも関連がなかった。
 心血管系および他の非悪性疾患のエンドポイントとの関連は、計測した共変量について調整した後に低下したが、消失することはなかった。あらゆるエンドポイントについて、試用の頻度または期間のいずれとも明らかな用量-反応効果は認められなかった。
 「この2件のプロスペクティブ試験は、噛みタバコまたは嗅ぎタバコの使用によって心疾患および脳卒中による死亡率が上昇する可能性があるという予備的なエビデンスを提供する」と著者らは記述している。「批判的疑問は、吐きタバコの現在の使用と心血管系疾患のリスク上昇との関連には因果関係があるのか、それとも単に噛みタバコや嗅ぎタバコを使用する男性の社会経済的状態が低いというような背景因子の交絡を反映しているにすぎないのかという点である」。
 研究の問題点としては、吐きタバコの使用に関する情報はベースライン時にのみ収集され、経過観察時に最新情報が収集されなかったことや、癌の発現率ではなく死亡証明書情報に頼ったことが挙げられる。
 「タバコ喫煙の代替として吐きタバコの使用を勧めることは、その有害性が低く、有効性がニコチン置換療法と少なくとも同等であるという説得力のあるエビデンスが得られない限り、不適切であると考える」と著者らは結論している。
Cancer Causes Control. 2005;16:347-358 [ 英語原文へ ]


2005/ 6/23 1日1箱40年間の喫煙で女性の身体は7.4年余分に老化する 肥満と喫煙はテロメア長の短縮を加速――英国の研究  (日経medwave記事

 それでも貴女はタバコを吸いますか? こう問いたくなるような研究結果が発表された。英国St. Thomas病院のAna Valdes氏らは、白人女性を対象に、白血球細胞のテロメア長の短縮に肥満と喫煙が及ぼす影響を調べ、これらが細胞レベルの老化を加速していることを示した。詳細は、Lancet誌電子版に2005年6月14日に報告された。
 染色体の末端に存在するテロメアは、染色体の分解や末端どうしの融合の阻止に役割を果たす。テロメア長は、細胞分裂が起こるたびに短縮する。
 肥満と喫煙は、多くの加齢関連疾患におけるリスク因子となっている。いずれも、酸化ストレスを高め、炎症を引き起こす。酸化ストレスはテロメア短縮を早め、炎症は白血球のターンオーバーを加速する。したがって、白血球のテロメア短縮は、肥満と喫煙により早まる可能性が考えられた。
 この仮説を検証するため、Valdes氏らは、18〜76歳の白人女性1122人を対象に研究を行った。うち119人(11%)はBMIが30以上で肥満、BMIが20以下のやせた女性は85人(8%)だった。喫煙経験なしは531人(47%)、過去に喫煙していたが現在は禁煙している人が369人(33%)、現在も喫煙は203人(18%)。喫煙暴露は、箱・年=1日喫煙箱数×喫煙年数で表した。被験者の白血球からDNAを調整し、サザンブロット法でテロメア長を測定、血清レプチン値も測定して、直線回帰分析を実施した。
 テロメア短縮速度は、50歳以上の女性で年平均27.7bp、50歳未満で25.7bpで、年齢による有意な差は認められなかった。ただし、BMI、血清レプチン値、喫煙のそれぞれと年齢の間には相関が見られた。血清レプチン値とBMIは、強力に相関していた(相関係数r=0.76)。
 BMI、レプチン値、総喫煙量(箱・年)と、年齢調整テロメア長の間には有意な負の相関があった。
 まず、BMIに対しては、30以上の女性が最も短く、20〜30の女性はそれより長く、20以下の女性はさらに長かった(傾向のp値=0.026)。肥満女性のテロメア長は、やせた女性に比べ240bp短かった。これは、テロメア長を指標とする細胞レベルの老化が8.8年分も早まっていることを意味する。
 喫煙については、喫煙歴なし、過去に喫煙、現在も喫煙、という順序でテロメア長は短くなっていた(p=0.02)。過去または現在の喫煙のテロメア短縮への影響は、4.6年分に相当した。また、喫煙本数が多いほどテロメア長は短く、用量依存性の短縮が見られた(p=0.017)。1箱・年当たり5bp(18%)余分に短縮することから、1日1箱を40年間吸い続けると、喫煙経験のない人に比べ、細胞レベルの老化は7.4年分進む計算になる。
 テロメア長がレプチン値と負の相関を示した理由として、著者らは、レプチンに示唆されている炎症誘発作用に起因するのではないかと考えている。
 肥満と喫煙は、女性の白血球のテロメア長短縮を加速する。細胞レベルの老化は、個体レベルの老化と密接な関係を持つ。体内の臓器や組織、皮膚などに加えて、目に見えない部分でも老化を早める肥満と喫煙は、女性の健康にとって大きなリスク因子であることがあらためて裏付けられたことになる。
 本論文の原題は「Obesity, cigarette smoking, and telomere length in women」、概要は、こちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


2005/ 6/22 「病気の原因、喫煙以外にも」 二審も原告敗訴 JT訴訟 (朝日新聞ニュース速報)

 長年の喫煙が原因で肺がんなどになったとして、患者らが日本タバコ産業(JT)と同社歴代社長、国を相手に1人あたり1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。秋山寿延(としのぶ)裁判長は「患者らの病気は、喫煙以外の原因も考えられる」と判断。請求を棄却した一審・東京地裁判決を支持し、患者・遺族側の控訴を棄却した。
 訴えていたのは肺がん2人、肺気腫2人、喉頭(こうとう)がん1人、肺膿腫瘍(はいのうしゅよう)1人の患者計6人(うち3人が死亡、遺族が継承)。
 裁判では賠償のほか、タバコの外箱に大きな文字で有害性を説明する警告表示をすることや広告の規制などを求めた。
 高裁判決は、一審判決が示した(1)喫煙は肺がんなどの重大なリスクとなっており、有害であることは社会常識だが、嗜好(しこう)品として社会になお定着している(2)依存性はアルコールより格段に低く努力で禁煙できる――との判断を踏襲し、タバコの製造・販売の違法性を否定。国の責任についても「販売禁止や回収を命じなかったことが裁量の範囲を逸脱しているとはいえない」と否定した。
 原告側弁護団長の伊佐山芳郎弁護士は「今年発効した『タバコ規制枠組み条約』に一言も触れず、タバコの害について誤った認識を示した一審判決を無批判に踏襲した」と判決を批判した。


2005/ 6/22 <タバコ訴訟>「喫煙」患者側の控訴を棄却 東京高裁 (毎日新聞ニュース速報)

 喫煙で肺がんなどの病気になったとして患者ら6人(うち3人死亡)が日本タバコ産業(JT)と元社長2人、国を相手に計6000万円の損害賠償と自動販売機での販売禁止、タバコ広告の禁止を求めた訴訟で、東京高裁は22日、1審・東京地裁判決(03年10月)を支持し、患者側の控訴を棄却した。秋山寿延(としのぶ)裁判長は「有害性はあるがアルコールなどに比べ依存性は弱く、喫煙者自身の意思と努力で禁煙できないほどのものではなく、製造・販売が違法とは言えない」と1審同様の判断を示した。
 患者側は「タバコの有害性を十分知らされず発病した」と主張。判決は「喫煙で肺がんなどになるリスクが増加するとの原告側主張は疫学上の推計値で、原告個人の病気と喫煙との因果関係を直ちに肯定するものではない」と指摘した。【井崎憲】
 伊佐山芳郎・弁護団長の話 1審判決の無批判踏襲だ。今年発効した「タバコ規制枠組み条約」では、有害性や喫煙と病気との因果関係が明確に認定されているのに全否定する判決だ。


2005/ 6/22 病気との関係2審も認めず タバコ訴訟で原告敗訴 (共同通信ニュース速報)

 長年タバコを吸ったため肺がんなどになったとして、元喫煙者と遺族計6人が日本タバコ産業(JT)と国に計6000万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は22日、請求棄却の1審東京地裁判決を支持、元喫煙者らの控訴を棄却した。原告側は上告する方針。
 判決理由で秋山寿延裁判長は「疫学的知見だけでなく、基礎医学や動物実験結果などから総合的に判断することが必要で、現在のところ十分に解明されているとは言い難い」と述べ、原告の病気と喫煙との因果関係を認めなかった。
 訴えていたのは、33−50年間喫煙し、肺がん、喉頭(こうとう)がん、肺気腫になった男性6人。うち3人は提訴後死亡した。
 判決は1審と同様に「喫煙が健康に有害」と認めたが「タバコへの依存性は精神依存が主たるもので、いまだに一般に嗜好(しこう)品として認められている。タバコの製造、販売自体は違法行為とはいえない」とした。
 タバコの健康被害をめぐる訴訟では、慢性気管支炎の患者らがJTを名古屋地裁に訴えたケースがあるが、2000年に最高裁で敗訴が確定した。一方、受動喫煙で被害を受けたとして、東京都江戸川区職員が賠償を求めた訴訟で、東京地裁は04年7月、タバコ訴訟としては初めて同区に5万円の賠償を命じ、確定した。


2005/ 6/22 タバコ訴訟 「努力で禁煙できたはず」 がん患者らの訴え2審も退ける (NHKニュース速報)

 三十年以上、タバコを吸っていた男性や遺族が、がんになったのはタバコの害について十分な対策をとらなかった国やJTにも責任があると訴えて損害賠償などを求めた裁判で、東京高等裁判所は「自分の努力で禁煙できたはずだ」と指摘して一審に続いて訴えを退けました。
 この裁判は、三十年以上タバコを吸っていたがん患者の男性や遺族合わせて六人が、タバコが原因で肺がんになったなどとして、国とJTなどに一人あたり一千万円の損害賠償やタバコの販売の規制などを求めたものです。
 おととしの一審判決で訴えを退けられたため、原告側は「タバコは依存性が強く、やめようと思ってもやめられない性質があるのに、JTは、はっきりと警告せず、国も規制をしなかった」と主張して控訴していました。
 きょうの二審の判決で、東京高等裁判所の秋山壽延(アキヤマトシノブ)裁判長は、「喫煙による健康への危険性は以前から一般に知られていたことで、タバコの箱にも注意するよう表示されていた。タバコの依存性はアルコールに比べれば格段に低く、自分の意思や努力で禁煙できたはずだ」と指摘して一審に続いて訴えを退けました。
 裁判で原告側は、タバコの害をはっきり表示するべきだと主張しましたが、この点は改善が進んでいます。
 国内で販売される全てのタバコには、今月末までに大きな警告文が新たに表示されることになっています。
 警告文はこれまでより具体的にタバコの危険性を指摘する内容で、パッケージの面積の三十%以上を使うよう法律で義務づけられました。
 これは、今年二月に発効した喫煙による健康被害を防ぐ「タバコ規制枠組み条約」で求められた対策です。
 広告の規制も強化されています。
 すでに中止されているテレビコマーシャルに加え、今年に入って公共交通機関の中吊り広告や屋外の広告も原則として禁止されました。
 実際にタバコを吸う人も減少傾向が続いています。
 JTの調査では、喫煙者の割合は昭和四十一年の四十九・四%をピークに年々減り続け、去年は初めて三十%を割り込みました。
 判決について、原告側の弁護士は「タバコを規制する条約が出来るなど国際的にタバコの有害性が認識されている流れに逆行する判決で到底納得できない。上告して争いたい」と話していました。
 一方、被告側の厚生労働省とJTは「主張が受け入れられたと考えている」という談話を出しました。


2005/ 6/22 全域で路上喫煙禁止 新宿区 8月から指導員がパトロール (中日新聞記事

 新宿区は八月一日から、区内全域で路上喫煙を禁止する。これまでは歩行喫煙をしないよう求める努力義務だったが、区民などからの苦情や路上喫煙に対する批判の高まりを受け、禁止に踏み切った。
 二十日の区議会本会議では「新宿区空き缶・吸い殻等の散乱防止に関する条例」の改正案が可決され、名称も「区空き缶等の散乱及び路上喫煙による被害の防止に関する条例」に変更された。
 条例では、区長が指定する喫煙所を除き、区内全域で路上喫煙を禁止。区民だけでなく、区内を通過するだけの人にも適用される。区内の事業者には、従業員に対して研修などを行い、路上喫煙防止の意識向上に努めることも、努力義務として規定された。
 区は、大型ビジョンや映画館のスポット広告を使って条例改正をPRするほか、条例施行後には指導員が区内をパトロールし、路上喫煙者を指導する。
 路上喫煙に関する苦情は、区に年間百件ほど寄せられており、ほとんどが朝の通勤時間帯に集中している。区環境保全課では「当面は新宿駅周辺を中心にパトロールや啓発活動を行いたい」としている。


2005/ 6/22 タバコ規制さらに拡大 条約で広告中止や課税強化 (共同通信ニュース速報)

 欧米に比べ、タバコ対策の遅れが指摘されていた日本だが、タバコの害から健康を守ることを目指した「タバコ規制枠組み条約」(日本など50カ国以上が批准)が2月末に発効。条約は将来の広告禁止や課税強化を盛り込んでおり、規制が広がりつつある。
 条約は(1)タバコの箱の30%以上の大きさでその害を印刷する(2)タバコの消費削減のため課税を強化(3)広告を5年以内に禁止あるいは規制する−−などと定めている。
 国内では条約に先立つ2003年5月、公共施設に受動喫煙防止の努力義務を定めた健康増進法が施行され、多くの公共施設で禁煙・分煙化が進められている。
 また自治体レベルでも路上喫煙禁止条例が作られ、東京都千代田区では歩きタバコや吸い殻のポイ捨てだけでなく、喫煙自体を禁じ、条例を知らなくても過料を徴収する厳しい例も。
 一方、販売側も“自主基準”ながら対策を打ち出してきた。日本タバコ産業(JT)など約20社で組織する日本タバコ協会も昨年、新聞広告の掲載回数を制限したり、電車など公共交通機関の車内広告を取りやめるよう基準を改正。JTによると車内広告は昨年中止、テレビCMも1998年で終了している。


2005/ 6/21 東京・新宿区 8月から繁華街含む全域で路上禁煙へ (NHKニュース速報)

 東京・新宿区はことし八月から繁華街を含む区内の全域で路上での喫煙を禁止することになりました。
 新宿区では新宿駅の周辺などの繁華街で路上に立ってタバコを吸ったり、歩きながらタバコ吸ったりする人が多く、「タバコの火でやけどをした」などの苦情が相次いでいます。
 このため新宿区は、区が指定した喫煙場所を除いて、全域で路上での喫煙を禁止する条例を定めました。
 禁止されるのはことし八月からで、指導員によるパトロールも行って路上でタバコを吸っている人にはやめるよう注意することにしています。
 しかし、違反した人に対する罰則については、「一人一人のマナーに期待したい」として設けられませんでした。
 路上での喫煙を全域で禁止するのは東京の中央区や千葉県の柏市なども実施しています。
 新宿区では禁煙が実施されることし八月までに、街頭でのPR活動に力を入れ、多くの人の理解を得たいと話しています。


2005/ 6/21 「バス停」もダメ――公共の場での喫煙禁止案、さらに具体化/イギリス (JAPAN JOURNALS 記事

イングランドにおける公共の場での全面禁煙が2007年から実施される予定だが、屋根付きのバス停も「囲われた(非オープン)」公共スペースとみなされ、禁煙の対象エリアに含まれていることが明らかになった。
「Choosing Health」と題された提案書によると、2008年までに職場やレストラン、食事を提供するパブなどにおける全面禁煙が提起されており、オープンスペースであってもサッカー場のようなスポーツ施設、鉄道主要駅などが禁煙の対象に含まれる可能性もあるとされる。なお、ホスピスや精神病院、刑務所、食事を提供しないバーなどは対象外とされるという。
保健省では、屋根付きバス停もラッシュ・アワーや雨天時などは混雑し、非喫煙者が間接喫煙による害にさらされる危険性が高いと判断。このような場合、喫煙者はバス停から少し離れれば、合法的に喫煙できるとされる。
全面禁煙の場での違反者には罰金50ポンド(約1万円)、また職場における全面禁煙を導入しなかった企業には罰金200ポンド(約4万円)が課されるほか、違反者に関する情報を提供してもらうためのホットラインも設置される予定という。
行政側ではこうした取り組みを、喫煙による健康の害を防ぎ、喫煙に起因する病気による死亡率を下げることに役立つと期待。
現在のところ、1987年のキングス・クロス駅における大火災から教訓を得たロンドン地下鉄の車内や構内、そしてバスや通勤電車の中においては全面禁煙が実施されている。


2005/ 6/21 体より精神依存の害、強調して 『リセット禁煙法』 提唱の磯村毅医師に聞く (東京新聞記事

 二月に世界保健機関(WHO)の「タバコ規制枠組み条約」が発効し、七月からタバコパッケージの警告文も充実するが、子どもたちの喫煙は相変わらず深刻な問題だ。「子供をタバコから守る会」(名古屋市)の会員で呼吸器科医の磯村毅さん(41)=同市=に、未成年者の喫煙の実態や、提唱する禁煙法を聞いた。(坂口 千夏)
 ――子どもの喫煙は増えているのか。
 厚生労働省の調査では、高三男子で喫煙経験がある者は五割以上、女子も三割以上。静岡県立こども病院の加治正行医師の調査では、中高生の毎日の喫煙は男女とも上昇しています。初めて吸った時期は「幼稚園」「小学一年」という回答もありました。経験者は常習者に近いですから、初めて吸った年齢は重要で、喫煙の低年齢化は間違いありません。
 ――喫煙は、勉学面にも影響はあるか。
 大手予備校で、喫煙が受験生に与える影響を調べました。タバコを吸っている浪人生の成績は、喫煙を続けた十一人のうち四人が志望校に不合格。一方、禁煙に成功した八人は全員、満足できる受験結果だったそうです。
 タバコを吸うとホッとすると喫煙者は言いますが、それはニコチン切れにだけ効くのであって、ほかのストレスが解消されるわけではありません。多くの人がその点を混同しています。ニコチンは脳波の反応をわずかに鈍らせるので集中力も落ちます。喫煙そのものがストレスを増やしているのです。
 ――どうしたら禁煙できるか。
 例えば、がん研究所のデータでは、十四歳以下で喫煙を始めると、六十歳未満で肺がんで死ぬ可能性は非喫煙者の三十倍。しかし体への害をいくら説いても、禁煙を継続できる人は少数です。特に子どもや若者では健康への実感がわきにくいものです。
 ニコチンは、三日我慢すればほとんど体から抜け、脳波も元に戻ります。喫煙の問題は身体的な依存ではなく、精神面の依存なのです。ニコチンパッチなどを使えば、比較的楽に禁煙を始めることができます。
 ただ、それだけでは、吸いたい欲求が高まったり、ストレスがかかったときに再び吸ってしまう恐れもあります。私は、ニコチンに対する精神依存を深く考えて、吸いたい気持ち自体をなくすことが大切と考えて「リセット禁煙法」を提唱しています。
 ――具体的に。
 「あなたは自分の意志でタバコを吸っているのか」「毎日、タバコを吸おうと決めた覚えがあるのか」「喫煙とそのほかの習慣はどこが違うのか」「食後の一服がないと満足しないのはなぜか」など、体系化された質問を繰り返すことで、いくつもの「気付き」を重ねて、ゆがんだ考えをリセットしていくやり方です。
 ――家庭でどう指導すればいいのか。
 家族、特に母親が喫煙者だと、子どもの喫煙率は約二倍になるといわれています。親が口で何と言おうと、子どもは「タバコはストレス解消になる」「意志が強ければいつでもやめられる」という間違ったメッセージを受け取ってしまいます。体への害ではなく、「吸ったら一、二本でもやめられなくなる」と依存性の強さを伝えてほしいです。
<メモ>リセット禁煙法を詳しく紹介した冊子「リセット禁煙のすすめ」は、A5判80ページで1冊500円(送料別)。申し込みは、郵便番号、住所、氏名、電話番号、必要冊数を明記して、東京六法出版=(電)03・3354・5411またはFax03・3354・5413=へ。
【写真】「依存性の強さ伝えて」と話す磯村医師


2005/ 6/20 櫻井副会長 小泉首相らに禁煙推進の要望書を提出 (日医ニュース記事

 櫻井秀也副会長は,五月三十一日の定例記者会見において,当日が世界禁煙デーであることに因んで,小泉純一郎内閣総理大臣・谷垣禎一財務大臣・尾辻秀久厚生労働大臣・中山成彬文部科学大臣・河野洋平衆議院議長・扇千景参議院議長・石弘光政府税制調査会長・津島雄二自由民主党税制調査会長に宛て,国民の健康を守るための禁煙活動の推進に向けた要望書を,国民医療推進協議会として提出したことを明らかにした.
 要望書は,四月十五日開催の国民医療推進協議会総会において採択された「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」に具体的対策などを加筆したものを掲げ,本方針の実現に向けて協力を求める内容となっている(別掲).
 櫻井副会長は要望書を示しながら,タバコ価格の引き上げをうたった三番目と四番目の項目を強調して説明し,「タバコ価格を引き上げると喫煙者は減少するが,それに比例して税収も減るとの一部の見解を打破したい」と訴えた.また,記者の質問に答えて「タバコ税のみではなく,税部分以外も含めた,タバコそのものの価格を大幅に引き上げるのが望ましい」との意見を述べた.
 今後の予定としては,小泉首相をはじめ関係各機関に対して働きかけを行うとともに,医療関係者の禁煙推進にも引き続き力を入れていきたいとし,最終的には,国民の喫煙率をゼロにすることが目標であると述べた.

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要望書

 国民医療推進協議会は,去る4月15日開催された国民医療推進協議会総会において,「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」を決定しました.この決定に従って,全国各地で国民医療推進協議会が開催され,「国民の健康を守るための禁煙活動の推進」が全国的に展開されました.
 世界禁煙デーに因んで,下記の「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」実現のために,ご尽力賜りますよう要望いたします.

国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針
1. 「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」は,平成17年2月27日に発効した.本条約には,タバコ価格(タバコ税)の引き上げ(第6条),受動喫煙の防止(第8条),タバコの警告表示の強化(第11条)などの規定がある.これらの対策を誠実に実行することが,本条約の締約国の一員としてのわが国に求められている.
2. わが国の喫煙率は低下傾向にあるが,諸外国に比して,依然として高い水準にある.タバコ対策としては,喫煙が健康に及ぼす悪影響について,タバコパッケージの警告表示を文字表示するだけでなく,図や写真などで具体的にわかりやすくはっきりと明示して知識の普及を図ることはもちろんのこと,受動喫煙の防止,あるいは未成年者の喫煙防止のために禁煙教育の推進,自動販売機に対する規制の強化などが重要である.
3. 世界保健機関(WHO)からも示されているとおり,タバコ価格の引き上げは,タバコの消費,とくに未成年者の消費を減少させるための最も有効で,かつ費用対効果の高い方策である.
4. タバコの価格を2倍にした場合には,喫煙者が2〜3割減少することが分かっている.従って,タバコによる健康被害を被る人が減少するだけでなく,タバコの売り上げ総額は増加するので,国,地方行政の税収も増えることになり,一石何鳥もの効果が得られることになる.国民の健康を守る立場から,タバコ価格の大幅な引き上げを実現するよう強く要望する.併せて,当該税収を国民の健康のための施策の財源に充てるよう,要望する.


2005/ 6/20 千代田区 禁煙・分煙実施の「空気のおいしい店」 HPで紹介 (NHKニュース速報)

 路上での喫煙を禁止するなど禁煙の推進に力を入れている東京・千代田区は、区内の飲食店で禁煙や分煙を実施している店を「空気もおいしい店」として区のホームページで紹介するなどの取り組みを始めました。
 千代田区にはおよそ六千五百の飲食店がありますが、区が去年の夏に行った調査では、店内を全面的に禁煙にしている店は全体のおよそ七パーセントだったということです。
 このため千代田区は、タバコを吸わない人が煙を吸い込む受動喫煙を防止しようと、禁煙や分煙を実施している店を「空気もおいしい店」として独自に認定する取り組みを今月から始めました。
 取り組みはまず、区の職員が店内に灰皿がないかや、部屋と部屋の間に仕切りを設けて分煙ができているかなどを確認します。
 そして完全に禁煙が実施されている店に対しては星が三つ、分煙が実施されている店に対しては星が二つ描かれたステッカーを渡し、店の入り口などに貼ってもらうとともに区のホームページでも紹介します。
 三つ星の認定を受けた喫茶店の経営者の女性は、「飲み物の風味を損なわないため、これまでも禁煙にしてきたが、認定を受けたことで、さらに徹底し、お客さんの増加につなげたいと」と話していました。
 また、区の健康推進課の佐藤ひろ子さんは、「まずは二百店舗に目標に認定するお店を増やし、空気のおいしい住み良い街づくりを目指したい」と話していました。


2005/ 6/20 タバコで老化 1日1箱40年で7・4年分 (共同通信ニュース速報)

【ワシントン19日共同】喫煙者はタバコを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い−−。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果を19日までにまとめ、英医学誌ランセットに発表した。
 試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7・4年分、余計に歳をとることになるという。
 研究対象は18−72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、ひも状になったDNAの両端でほつれを防ぐ「キャップ」役を果たしている。細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の一つの目安にもされている。


2005/ 6/20 【マレーシア】タバコ規制来月から、広告の掲示禁止へ (NNA記事)

 これまで度々延期されていた、タバコの広告規制が、来月23日から実施される。「2004年タバコ規制要綱」の施行に伴うもので、これにより、レジ付近や商品棚へのタバコブランドのロゴ掲示も含め、スーパーや喫茶店など小売店での関連広告の掲示が全面禁止。一方、20本未満の小箱売りの禁止については、来年6月まで実施が延期された模様だ。18日付地元紙スターが伝えた。
 それによると、違反した場合、最高1万リンギの罰金か最高2年の禁固刑、またはその両方が科される。タバコ関連の広告規制は、今年初めにも実施される予定だったが、業界団体などからの反発を受け延期されていた。
 保健相のリー・カーチュン政務次官は「広告規制の実施までに、7カ月間という十分な猶予期間を設けた」と説明。小箱売り規制については「首相府経済企画局(EPU)の試算により、規制で1万4,000世帯のタバコ農家が影響を受けることが予想されるため、来年6月まで実施を延期することを決めた。タバコ農家の転作対策として、さらに多くの時間が必要だ」と話した。国内のタバコ売上げに占める小箱(7本、10本、14本入り)の割合は30〜40%。
 同政務次官はまた、マレーシアが世界保健機関(WHO)のタバコ規制枠組み条約(FCTC)に署名していることを挙げ、「広告規制実施のこれ以上の延期はない」との見方を示した。
 同条約の批准国は、タバコの広告禁止や製品包装の3割以上をタバコによる健康被害への警告表示にあてる必要がある。


2005/ 6/18 全面禁煙には☆☆☆/千代田区 (朝日新聞記事)

 千代田区は17日、全面禁煙や完全分煙を実施している飲食店を「空気もおいしいお店」として認定し、星印つきの登録証の発行を始めた。全面禁煙は三つ星、完全分煙には二つ星を与える。7月5日付の区広報で、広く申請を呼びかける。
 「全面禁煙」は営業時間すべてが喫煙禁止で、「完全分煙」は店内に独立した喫煙スペースがあり、タバコを吸わない人が煙を吸い込まない構造になっていることが条件。店側の申請を受けて、保健所の職員が審査に行く。
 三つ星の第1号店になったのは、岩本町3丁目の甘味処「無々」。00年5月の開店当初から全面禁煙としてきた。同店は「健康面での害はもちろん、店としては味を分かっていただくために、お断りしてきた」と話している。


2005/ 6/18 禁煙:「クリーン」に売り上げ回復へ タクシー、全県で実施へ−−来月から /高知 (毎日新聞記事)

 ◇高知市ハイヤー協も実施
 県内を走る大半のタクシーで、禁煙の取り組みが進んでいる。清潔な車内を乗客に提供するとともに運転手の健康作りを目的として、359社1815台が加盟する県ハイヤー・タクシー協議会が5月に決議した。既に県ハイヤー協会など3団体がスタートさせ、残る高知市ハイヤー協同組合が7月1日に実施する。
 独自に禁煙に取り組んでいるタクシー会社は全国にもあり、県内でも同協議会に加盟している高知個人タクシー協同組合が03年から禁煙推進を行っているが、県全体で取り組むのは全国で初めてという。
 運転手は車内前方に「乗務員禁煙」のステッカーを張って、乗車時だけでなく、空車時も禁煙に努める。また、目に付きやすいように後部座席に「禁煙協力車」のステッカーを張って、乗客にも禁煙を要望する仕組み。しかし、強制を伴わないため、乗客がタバコを吸った後は、灰皿の清掃と車内の換気を心掛けるという。
 同協議会によると、喫煙する乗客は全体の1割程度で、禁煙推進を機に、クリーンなイメージを打ち出し、減少傾向が続く売り上げの回復を狙っている。タクシーをよく利用するという高知市横浜、会社員、山脇あきさん(41)は「乗った時にタバコのにおいがすると気分が悪くなる。禁煙は賛成」と歓迎する。
 喫煙歴30年の個人タクシー運転手、豊田実さん(57)は「時代の流れからして禁煙は当然。客待ちの際、車外で喫煙します」と話す。「しかし、強制ではないのでどれだけ協力してくれるか心配」という。


2005/ 6/16 受刑者が飲酒や喫煙 宮城刑務所、職員関与か (共同通信ニュース速報)

 宮城刑務所(仙台市若林区)の受刑者が酒やタバコを入手し、所内で飲酒や喫煙をしていた疑いの強いことが15日、分かった。携帯電話も使っていたという。法務省仙台矯正管区は複数の刑務所職員が関与した疑いが強いとみて内部調査を進めている。持ち込みが数年にわたって続いていたとの情報もあり、法務省は全容が判明次第、関係者を処分する方針。
 仙台矯正管区や宮城刑務所などによると、禁止している酒やタバコなどの持ち込みは今年3月ごろに発覚。持ち込んだのは服役していた暴力団関係者とされるが、何人の受刑者が飲酒や喫煙などをしていたかは確認されていない。関与した職員の人数や酒などが持ち込まれたルートも調査中。
 関係者によると、持ち込まれた酒はウイスキーや日本酒などあらゆる種類で、受刑者が銘柄を指定していたという。
 また持ち込みの経緯について「受刑者が刑務作業の納期を守ってほしければ持ってこいと要求し、職員が不況で減っている刑務作業の受注への影響を案じて応じたのがきっかけ」と話す関係者もいる。
 宮城刑務所庶務課は「飲酒や喫煙には懲罰を科す。酒などが持ち込まれたケースはこれまでなかった。調査中なので詳細は話せないが、そういった事実があったとみて、さまざまな角度から調査をしている」と話している。
 仙台矯正管区総務課は「現在、事実関係を調査しているので、適切な段階で公表したい」としている。
 宮城刑務所は再犯者や長期受刑者が対象で、収容者は1034人(15日現在)。


2005/ 6/16 禁煙タクシー:「車内の空気きれい」と好評、徐々に広がり /山梨 (毎日新聞記事)

◇県協会、業者に導入呼び掛け
◇「喫煙者」の権利あり、普及厳しい
 分煙意識の高まりを受け、県内のタクシー業界でも禁煙化が進みつつある。県内の総台数に占める禁煙車は2%強と、全国平均(約1・3%)を上回る。
導入後は「車内にタバコのにおいがしない」と喫煙しない乗客から好評で、県タクシー協会(笛吹市)は「禁煙化は進む」と見ている。一方、業者からは「喫煙者の権利もあり普及は難しい」との声もある。
 同協会によると、県内総台数は95社で約1200台あり、うち9社28台が禁煙車。受動喫煙の防止を定めた健康増進法の施行(03年)以降は着実に増え、同協会は非喫煙者の要望に応えて需要を増やすためにも各社に導入を呼び掛けている。
 「韮崎タクシー」(韮崎市)は全8両の禁煙化を完了。車内に禁煙マーク、車両の屋根には「禁煙車」と記した看板を設置した。乗客からは「車内の空気がきれい」と好評で、喫煙者への理解も浸透したという。「豊富タクシー」(豊富村)は、狭い車内での喫煙による乗客自身への健康被害を考慮し7台を禁煙車にした。
 一方、禁煙化に踏み切れない事情もある。最大手の「山梨貸切自動車」(甲府市)は「少ない台数では禁煙車を望む客を待たせてしまう」として、禁煙車用のまとまった台数を確保できるまで禁煙化を見合わせる方針。
 「相互タクシー」(甲府市)は禁煙車が2台あるが、喫煙者から敬遠され稼働が落ちるケースもあるという。夜間の酒に酔った喫煙客への対応も各社の悩みで、無用のトラブルを避けるために禁煙車での喫煙を許可するケースもあるという。
 同社の古屋愛貴営業部長(66)は「公共性が高いタクシーの禁煙は必要だが各社独自の取り組みでは限界がある」と指摘。「需要増に向けては、禁煙車乗り場の設置など業界全体での取り組みが必要」と話している。


2005/ 6/15 首都ワシントンのレストランとバーが年末までに全面禁煙に=市議会が7月15日の休暇入り前に条例可決の見通し (ワシントンポスト記事)


2005/ 6/14 「肥満」と「喫煙」は10年老化を早める! (JAPAN JOURNALS 記事

喫煙が老化を促進させることはよく知られているが、肥満で中年の喫煙者は同年齢の肥満ではない非喫煙者に比べて、生物学的な老化が10年も早まっているという研究結果が報告された。
医学専門誌「ランセット」のオンライン版によると、ロンドンのセント・トーマス病院のティム・スペクター教授率いる研究チームが、18〜76歳の女性1,122人を対象に調査研究を実施。細胞内の暗号化された遺伝情報を保護している染色体の両端には、テロメア(末端小粒)と呼ばれる組織があり、この組織が短くなるほど、老化そのものや老化に伴う病気につながる細胞の損失状況が大きいとされるが、このテロメアの長さを調べたところ、喫煙者や肥満とされる人はこの組織の長さが極端に短く、老化関連の症状が顕著にみられることが分かったという。
スペクター教授は、肥満や喫煙が体内のストレスを増進させ、それが蓄積されてテロメアの損失につながると説明。テロメアがどのくらい短くなっているかによって、老化の進行度が分かるとともに、肥満や喫煙が、心臓病や糖尿病、骨粗しょう症、アルツハイマー病やその他の老化に伴う病気と密接なつながりがあることを示すバロメーターとしている。
今回の研究により、肥満と喫煙が蝕むのは体の一部ではなく、その人すべてであることが強調され、この傾向は女性だけでなく男性にも共通するものと警告されているという。


2005/ 6/14 相次ぐ公開質問状 知事選立候補表明2氏/神戸 (神戸新聞記事

 十六日告示の県知事選で、立候補を表明している二氏に対し、市民団体からのアンケートや公開質問状が相次いでいる。告示直前になっても「決戦ムード」が盛り上がらない選挙戦。質問項目は震災復興から喫煙問題まで幅広く、「無関心のままじっとしていてはダメ」と、有権者側にも危機感が募っている。
 知事選には現在、現職の井戸敏三氏(59)と元県議の金田峰生氏(39)が立候補を表明している。
 教師や保護者ら約四百人でつくる特定非営利活動法人「子どものための民間教育委員会」(大阪市)。兵庫の会員も多く、「教師や児童・生徒の処分を行う際の、市民を加えた第三者機関の必要性」「中卒・高校中退者への就労支援策」などを尋ねた。「判断材料の一つに」と結果はホームページで公開する。
 医師らがタバコ被害の問題に取り組む「県喫煙問題研究会」は、「県施設の敷地内禁煙を徹底するか」「屋外自動販売機機撤去条例の必要性は」などの質問に加え、「選挙事務所は禁煙か」などと尋ね、タバコ問題への姿勢を問う。
 十四日には、市民グループ「新しい神戸をつくる市民の会」が、憲法改正▽被災高齢者への支援▽住民基本台帳ネットワーク▽神戸空港―などに対する質問状を提出する予定。ほかにも複数の団体が、非核宣言や平和教育、福祉医療への取り組みなどの質問状を出している。
 「新しい神戸をつくる市民の会」の中田作成世話人(66)は「盛り上がらない、といわれるが、有権者側からも何とか争点を見いだしたい」と話している。


2005/ 6/10 新宿区:路上喫煙、区内で全面的禁止 罰則は見送り−−条例改正案 /東京 (毎日新聞記事)

 新宿区はタバコのポイ捨てを禁止する条例を改正し、区内の路上喫煙を全面的に禁止する改正案を、9日開会した区議会に提案した。罰則は定めないが、努力規定だった従来よりも厳しい対応となる。
 改正案が禁ずるのは「道路において、歩行中又は自転車等の乗車中に、喫煙し、又は火のついたタバコを所持する」行為(止まった状態含む)で、地域を限定しない。8月1日施行を目指す。
 罰則は、公平な適用が難しいことや、取り締まりの人件費がかかることなどから見送った。指導員によるパトロールで路上喫煙をやめるよう呼び掛けるなど、マナーアップを図る。


2005/ 6/ 9 WSJ-米政府、タバコ訴訟で是正措置の規模を大幅縮小 (ダウジョーンズ記事)

ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)米政府が、タバコ会社に対する罰則として提案していた禁煙プログラムの規模を大幅に縮小したことについて、米連邦地裁のグラディス・ケスラー判事は8日、その決定理由に疑問を呈した。
米政府は、タバコ会社が利益を不正に得たとして、タバコ大手数社を相手取って訴訟を起こしている。タバコ会社に対する罰則のひとつとして、禁煙プログラムに資金を拠出させることで不正に得た利益を返還させることを政府は提案している。
政府側の参考人であるウィスコンシン大学教授のマイケル・フィオーレ氏は、期間25年の1300億ドル規模の禁煙プログラムを提案していた。しかし、司法省の弁護士、スティーブン・ブローディー氏が、7日の政府側の最終弁論でケスラー判事に求めたのは、期間5年の100億ドル規模のプログラムだった。プログラムへの年間拠出額は、フィオーレ氏が提案していた52億ドルから、20億ドルに大幅縮小された。
司法省は、これは「当初の要請」であり、将来的に拡大される可能性はあるとした。ただ、ケスラー判事は8日、政府の決定には何か他の影響力が働いたのではないか、と疑問を呈した。
タバコ業界側の弁護士は8日の最終弁論で、政府の提案には「致命的な欠陥」があると批判した。フィリップモリスUSAの弁護士、テッド・ウェルズ氏は、「ブローディー氏が1200億ドル値引きしたことに感謝する」と皮肉り、「規模が1300億ドルだろうが100億ドルだろうが99セントだろうが、これは致命的な欠陥をもったプログラム」だと主張した。
この訴訟は、タバコ会社が50年間にわたって喫煙による健康へのリスクや中毒性について偽っていたとして、米政府が1999年に起こした。政府はタバコ会社が不正に獲得した2800億ドルの利益の返還を求めていたが、ワシントン連邦高裁は今年2月、「連邦地裁が政府は利益の返還を求めることができると判断したのは誤り」とし、タバコ会社側に有利に判断を下した。このため、政府がどのような是正措置を提案するかが、今週の最終弁論の焦点だった。
訴えられているのは、フィリップモリスUSA、同社親会社のアルトリア・グループ(NYSE:MO)、RJレイノルズ・タバコ・ホールディングス、ブラウン・アンド・ウィリアムソン、ベクター・グループ(NYSE:VGR)傘下のリゲット・グループ、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)(AMEX:BTI)、ロウズ(NYSE:LTR)傘下のロリラードなど。RJレイノルズ・タバコ・ホールディングスとブラウン・アンド・ウィリアムソンは合併し、現在はレイノルズ・アメリカン(NYSE:RAI)となっている。
政府の提案に対しては、ブッシュ大統領と共和党に多額の政治献金を行っているタバコ業界に配慮したのではないか、との批判が聞かれている。
ヘンリー・ワックスマン下院議員(カリフォルニア州、民主党)とマーティン・ミーハン下院議員(マサチューセッツ州、民主党)は8日、司法省監察総監のグレン・ファイン氏に書簡を送り、「不正な政治的干渉」が決定につながったかどうかを調査するよう求めた。


2005/ 6/ 9 タバコ損害賠償請求の減額に強い非難 (ニューヨークタイムズ記事)


2005/ 6/ 8 賠償請求を13分の1に減額 米、タバコ会社に配慮か (共同通信ニュース速報)

【ワシントン8日共同】8日付の米紙ワシントン・ポストによると、米政府がタバコ各社を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、司法省は7日、請求額を1300億ドル(約13兆8000億円)から100億ドルへ、13分の1に減額することを同日の口頭弁論で明らかにした。
 同省は減額理由を一切示しておらず、反喫煙団体から「タバコ会社の負担軽減を図る政治的決定」との批判が出ている。
 米政府は1999年、喫煙に伴う健康被害で政府が負担した財政支出総額2800億ドルの返還をタバコ各社に求めて提訴。今年2月、政府には過去の違反行為に対する賠償請求権はないとのタバコ会社側の訴えを認める司法判断が下されたため、政府は禁煙関連予算への拠出要求に趣旨を変更し、請求額を1300億ドルとしていた。


2005/ 6/ 8 社員への禁煙促進運動、ロート製薬が強化 (日経新聞記事)

 ロート製薬が社員の禁煙を促す運動を活発にしている。産業医の指導に基づく禁煙プログラムを取り入れたほか、若手社員が禁煙活動を企画する取り組みも始めた。ヘルスケア製品を主力にしていることから、会社自体が健康維持への姿勢を見せる必要があると判断した。
 禁煙プログラムは希望者に対し、肌に張ってニコチンを吸収するニコチンパッチなどを使って喫煙から遠ざける。また、社内ポスターなどで禁煙を呼びかけたり喫煙スペースを縮小したりして禁煙を後押ししている。
 若手社員による「健康人間プロジェクト」も発足した。20―30代の社員で喫煙者と非喫煙者交えた13人が禁煙活動を企画。世界禁煙デーの5月31日を「1日禁煙デー」に設定し、協力を呼びかけた。


2005/ 6/ 8 宮内庁 「恩賜のタバコ」 支給取りやめへ (NHKニュース速報)

 宮内庁は、勤労奉仕団として皇居の清掃に参加した人などに贈られる「恩賜のタバコ」の支給を取り止め、菓子など別のものに切り替えていく方針です。
 「恩賜のタバコ」は、天皇皇后両陛下の地方訪問の際の受け入れ先の自治体や警察関係者、それに勤労奉仕団として皇居の清掃に参加した人に対して贈られているもので、国産のタバコの葉でつくられ、菊の紋章が巻紙に印刷されています。
 宮内庁はこの「恩賜のタバコ」について、来年度までに支給を取り止め、菓子やパンフレットなどに切り替えていくことにしました。
 「恩賜のタバコ」の制度が始まったのは昭和九年で、戦時中は、軍隊への支給品としても使われ、最も多かった昭和十九年には皇室用のタバコも合わせて二千八百万本が製造されましたが、平成十五年度は百四十万本でした。
 今回の方針について、宮内庁の風岡典之(カザオカノリユキ)次長は、「年々、喫煙する人が少なくなっていること、また、もらった人が喜ぶものの方がいいという意見もあり、取りやめることにした」と話しています。


2005/ 6/ 7 <恩賜タバコ>来年度までに廃止へ 禁煙の高まりを考慮 (毎日新聞ニュース速報)

 天皇、皇后両陛下が地方などを訪問した際、警備の警察官らに感謝の品として配布している「恩賜のタバコ」について、宮内庁は、来年度までに全廃することを決めた。7日の定例会見で風岡典之次長が明らかにしたもので「以前から検討していたが、喫煙者が減っている中で、続けることがいいのかということで議論した」と、最近の禁煙の高まりを考慮したことを強調した。
 恩賜のタバコは「明治天皇紀」に西南戦争=1877(明治10)年=の傷病兵に皇后が支給したという記述があり、国民と皇室をつなぐ小品として130年近く配布されてきた。現在は、皇居の清掃をボランティアで行っている勤労奉仕団などに主に配られている。
 約20年前には年間約260万本を購入していたが、最近は約140万本に減少し、減った分は菊の紋章入りのお菓子などに代わってきている。同庁は、タバコに代わる品物として、配布先を考慮しながらその都度考えていくという。宮殿での行事などで供される接遇用のタバコについては、今後も年間2万数千本程度を確保しておくという。


2005/ 6/ 7 恩賜タバコを廃止へ 和菓子で代替、宮内庁 (共同通信ニュース速報)

 宮内庁の風岡典之次長は7日、天皇、皇后両陛下が訪問先の地方自治体関係者らに贈っている「恩賜(おんし)タバコ」を2006年度末で廃止する、と発表した。今後は宮中行事などの際に置く接待用だけを残し、和菓子などに代える。
 喫煙率は男性が50%を割り、女性が約10%となっており、風岡次長は「賜り物は相手に喜んでもらえるものがいい。喫煙者が減っている状況を考えた」と説明している。
 恩賜タバコは「接待用」と「賜り用」の2種類があるが、既に勲章受章者や両陛下の誕生日に職員に配布する分は取りやめている。現在は、地方自治体関係者のほか、皇居内をボランティアで清掃する「勤労奉仕団」らに配布。接待用は宮中行事や園遊会で提供されている。
 ピーク時の1985年度には260万本が配られたが、03年度には140万本に減っていた。本年度と06年度は各約60万本を配る。接待用は毎年2万数千本。
 菊の紋章入りの恩賜タバコは、明治時代から慣習としてあったが、始まりの時期ははっきりしないという。


2005/ 6/ 7 インドの映画とテレビで、喫煙シーンが禁止される (FLiX記事

 インド政府は、すべてのインド映画とテレビ番組で、喫煙のシーンを入れることを法律で禁じることにしたが、映画製作側からは、芸術面の自由をそこなうものとして反感を買っている。この法律では、タバコの箱や広告掲示が画面に映されることを禁じるもの。インドでは、海外の映画やテレビシリーズが現地言語に吹替えられ人気が高まっているが、これらの場合はぼかしがかけられる。この法律が適用される以前に作られた映画に関しては、タバコのシーンでは健康を害する警告表示をスクリーン下部に流すようだ。喫煙シーンは、タイでも2000年に禁止されている。


2005/ 6/ 6 がん予防へ8項目 国立がんセンター指針 まず禁煙 (産経新聞記事)

塩分は10グラム未満 野菜1日400グラム 毎日60分の歩行
 日本人のがん予防に役立つ八項目の指針を、国立がんセンターがん予防・検診研究センターの津金昌一郎予防研究部長らがまとめた。同様のものとしては「がんを防ぐための十二カ条」(同センター監修)が有名だが、今回は数値を盛り込むなど、より具体的に生活習慣改善を指導しているのが特徴だ。
 指針はまず、禁煙を「がんになる確率を三分の二に減らせる。最も確実ながん予防法」として推奨。吸わない人には、他人の煙を吸い込む受動喫煙の危険性を警告した。飲酒は「適度」で、具体的には「日本酒換算で一日一合(ビールで大瓶一本)以内」とした。
 食事では、野菜・果物を一日に少なくとも四百グラム取るようにする。胃がんのリスクとなる可能性が高い塩分の摂取は一日十グラム未満にして、熱い飲食物も最小限にするよう求めた。
 また、毎日合計六十分程度の歩行など適度な運動と、週に一回程度は汗をかく激しい運動が必要で、成人期での体重を維持する。肝臓がんの予防としては、B型やC型の肝炎ウイルスの感染に注意し、感染者は治療することが重要とした。
 これらの予防法を実践する上の注意点は、特定の栄養素をとりすぎると逆に体に悪影響を与える可能性があること。特に栄養補助剤(サプリメント)の服用は注意が必要としている。
 米ハーバード大の一九九六年の推計によると、米国人のがん死亡者の発症原因は、食事とタバコが、ともに30%で最多。運動不足(5%)、飲酒(3%)と合わせ、生活習慣が68%に上った。
 今回の指針は、さまざまな予防法の有効性を評価した世界保健機関(WHO)の二〇〇三年食事指針などを基に作成しており、「信頼性が高く、日本人がこれだけは守った方が良いと考えられる予防法をまとめた」(津金部長)という。


2005/ 6/ 6 夫がタバコ吸う女性 体外受精に悪影響 (読売新聞記事

 夫がタバコを吸う女性は、本人が吸わなくても、喫煙女性とほぼ同じ程度に体外受精の成功率が低いことが、カナダのマクマスター大などの研究で分かった。受動喫煙の体外受精への影響を初めて明らかにしたもので、英医学誌に発表された。
 研究グループは、体外受精を行った女性225人を対象に、本人、夫の喫煙の有無と、受精卵の質や受精率、妊娠率などを比較した。
 その結果、受精卵の質や受精率に大きな違いはなかった。
 しかし、妊娠率では、夫婦とも非喫煙の場合に48%だったのに対し、喫煙女性は19%、夫だけが喫煙する女性は20%と、ともに半分以下に低下。子宮に戻した受精卵が、心拍が確認できるほど成長した割合も、夫婦とも非喫煙の場合の25%に対し、喫煙女性、夫が喫煙する女性はいずれも12%だった。
 女性の平均年齢は33歳から34歳。タバコを吸う女性の1日の喫煙本数は平均11本、喫煙者の夫は平均10本だったが、本数による妊娠率の差はなかった。
 研究グループは「タバコの煙が受精卵の成長に何らかの害を及ぼすのは明らか」と警告している。


2005/ 6/ 5 禁煙活動推進東京大会 ―国民の健康を守るために― (日医ニュース記事

 「禁煙活動推進東京大会―国民の健康を守るために―」(主催:東京都医師会,協力:東京都歯科医師会,東京都薬剤師会,東京都看護協会,東京都柔道接骨師会)が,五月十九日,日医会館大講堂で開催され,来賓として,保坂三蔵経済産業副大臣・参議院議員,中川雅治参議院議員,植松治雄会長・国民医療推進協議会長が出席した.
 冒頭のあいさつで,唐澤人東京都医会長は,「近年の少子高齢社会においては,国民が生きがいを持って暮らすことが求められているが,それには健康が必要不可欠.健康を守るための個人の取り組みには,周囲の人々との支え合いが大切であり,参加者全員で考え,禁煙運動の輪を広げていきたい」と語った.
 植松会長は,来賓あいさつで,「国民皆保険制度を守り,混合診療全面解禁を阻止すべく国民医療推進協議会を立ち上げたが,本協議会の目的は政治的運動ではなく,国民の健康を守ることにあり,医療全般についての国民運動として展開していきたい.その一環として,今回は健康被害が実証されている“タバコ”を取り上げ,禁煙運動を全国にお願いした.本日参加の皆様には,各地域で禁煙活動の中核になっていただきたい」と述べた.
 つづいて本題に入り,まず,鈴木聰男東京都医副会長による講演「喫煙の健康被害について―生活習慣病の改善を―」が行われた.鈴木副会長は,日医の禁煙推進活動が少しずつ成果を上げてきた過程を紹介し,さらなる対策として,(1)喫煙による健康被害の正確な知識の普及(2)未成年者に対する禁煙支援(3)受動喫煙の防止―が重要であると説明.また,喫煙者と非喫煙者の対立を生んでいるアメリカなどをまねるのではなく,協調を基礎とした日本独自の禁煙推進活動を展開するべきであると述べた.
 次に,神原赳東京都薬剤師会長,吉村知子東京都看護協会専務理事,工藤鉄男東京都柔道接骨師会長から,各団体の禁煙活動の取り組みが発表された.東京都歯科医師会からは,メッセージが寄せられた.
 最後に「国民の健康を守るためのアピール」を採択し,賛同の拍手のなか閉会となった.


2005/ 6/ 3 タバコ税の増税が禁煙を促す (HealthDayNews記事

 タバコ税増税が禁煙を促す上手な手段となり、職場での禁煙を厳重にする方法も有効であることが、米医学誌「Public Health」6月号掲載の研究結果で明らかにされた。ニューヨーク市では、市がタバコ税を増税し、飲食店を含むさまざまな職場での喫煙を禁止したところ、2002〜2003年にかけて10人中1人以上喫煙者がタバコをやめたことがわかった。また、教育面での運動やニコチンパッチの無料配布が禁煙率を高めたといえる。
 ニューヨーク市健康局長官のThomas Frieden氏らが行った研究によれば、タバコの増税が最も有効な方法であった。米国が2002年にタバコ税を1箱当たり1ドル11セントから1ドル50セントに増税、次いでニューヨーク市が8セントから1ドル50セントへと20倍近く増税したため、代表的なタバコ1箱当たりの価格は3割高の6ドル85セントと高額になった。その結果、2002〜2003年にかけて、ニューヨーク市の喫煙率は21.6%から19.2%に低下し、約14万人となった。Frieden氏は「市内のどの区域でも、性別や学歴、国籍に関係なく実質的な喫煙率の低下をみた」としている。
 同誌に掲載の別の研究結果から、この戦略が有効であることが示唆される。Roswell Park癌(がん)研究所(ニューヨーク州バッファロー)が、1993年および2001年に実施した喫煙者の従業員1,967人に対する電話調査では、職場が禁煙になっている場合、2001年までにタバコをやめた喫煙者は約2倍であった。やめていない喫煙者でも、1日当たり平均2.57本喫煙本数を減らしていた。
 職場の禁煙運動を実施しているのはニューヨーク市のみではない。カルフォルニア州などいくつかの州もすでに飲食店を含む職場すべてで喫煙を禁止している。また、米国中西部や太平洋沿岸、北東部の諸州がこうした新法を採択する意向であるという。


2005/ 6/ 3 大人の喘息 引っ越し誘因か していない人に比べ9倍 家族のタバコで5倍 (NHKニュース速報)

 大人のぜん息について、引っ越しをした人は、していない人に比べて九倍、発症しやすいという調査結果を岡山大学の研究グループがまとめました。
 子どもに比べわかりにくいといわれる大人のぜん息の発症のメカニズムを探る上で注目されています。
 この研究は、岡山大学医学部の谷本安(タニモトヤスシ)講師のグループが行いました。
 成人してからぜん息にかかった人と、ぜん息でない人あわせて千人を対象に、居住環境や食生活など二十あまりの項目についてアンケートを行い、ぜん息を引き起こすリスクを解析しました。
 その結果、ぜん息の人のおよそ三十五%が発症する一、二年前に引っ越しをしていることがわかり、研究グループではさらに詳しく分析した結果として「引っ越しをした人は、していない人に比べて九・七倍、ぜん息になりやすい」と結論づけました。
 さらに、「家族がタバコを吸う」と五倍、「痰が多く出るかぜを引く」と四・六倍、ぜん息にかかりやすくなるともしています。
 研究グループによりますと、子どものぜん息の多くはダニなどのアレルギーが原因とみられていますが、大人になってからのぜん息は原因がわからないケースが多いと言うことです。
 谷本講師は、「引っ越しによるストレスやダニやホコリなど、様々な要因がぜん息を引き起こすとも考えられる。この結果を踏まえて予防や治療を検討していきたい」と話しています。
 この研究は、きょう岡山市で開かれる日本アレルギー学会で発表されます。


2005/ 6/ 3 高知のタクシー、禁煙に 乗客にも呼び掛け、全国初 (共同通信ニュース速報)

 高知県内のほぼすべてのタクシーが禁煙になることが決まった。運転手は客を乗せて走るときだけでなく、空車時も禁煙。灰皿の装備は続けるが、乗客にも禁煙への協力を呼び掛けるという。
 タクシー業者約360社(約1800台)が加盟する県ハイヤー・タクシー協議会が、7月1日までに運転手の車内禁煙を始めると決議した。同協議会によると、県全体で取り組むのは全国初という。
 不況のため1台あたりの売り上げは4年前に比べ約15%ダウンしており、協議会の担当者は「清潔な車内を好む顧客ニーズに応え、売り上げ回復につなげたい。運転手の健康増進にも役立つ」と話している。
 禁煙タクシーは、車内に「乗務員禁煙」「禁煙協力車」のステッカーを張る。県内で参加しないのは14台だけという。
 協議会の下部団体、高知個人タクシー協同組合は既に2003年秋、約120台が禁煙をスタート。高知市の個人タクシー運転手山西辰之新さん(53)は、1日1箱だった喫煙量が半分以下に減ったといい「車内で喫煙する乗客は全体の1割程度。タクシーの(タバコの)臭いが嫌で、私の車に乗り換えてきたお客もいた」と話している。


2005/ 6/ 2 排気無理なら全面禁煙を=職場喫煙対策で通達−厚労省 (時事通信ニュース速報)

 職場の受動喫煙防止対策として、厚生労働省は2日までに、屋外排気などで確実に受動喫煙を防止できない場合は全面禁煙を事業所に勧奨するよう都道府県労働局あてに通達を出した。
 2003年施行の健康増進法で、事業所などは受動喫煙の防止に努めなければならないとされる。これを踏まえて作成されたガイドラインは、煙が漏れない喫煙室の設置や、喫煙室は煙が拡散する前に吸引して屋外に排気する方式を推奨している。


2005/ 6/ 2 県内タクシー「禁煙」へ 全国初、12月までに徹底 (高知新聞記事

 県内のタクシー業界が1日以降、順次、車内の禁煙化を進めることになった。県内の業界4団体が一致して申し合わせた措置。法的な強制力はなく、あくまで乗客と乗務員に「禁煙への協力を求める」運動だが、県ハイヤー・タクシー協議会は「都道府県単位で、タクシー業界がそろって禁煙に取り組むのは全国初」と話している。
 禁煙運動に取り組むのは、タクシー会社でつくる「県ハイヤー協会」と「高知市ハイヤー協同組合」、個人タクシーの集まりである「高知個人タクシー協同組合」と「南四国個人タクシー協同組合」の県内全4団体。
 1日以降、まず、高知市ハイヤー協組を除く3団体が禁煙を呼び掛けるステッカーを車内に張ったり、乗客に口頭で禁煙を求めたりする活動を始め、7月からは同協組も参加する。
 一気に禁煙を求めると乗客とのトラブルも懸念されるため、半年間の準備期間を設け、12月をめどにステッカー掲示などの徹底を図る方針。
 同協議会によると、乗客から寄せられる車内のニコチン臭への苦情は全国的に年々増加。東京の業界団体が今年1月にまとめた乗客へのアンケートでも、約6割が乗務員も乗客も一切喫煙できない「禁煙車」を望んだ。
 また、15年5月に健康増進法が施行され、車内に残留する煙を非喫煙者が吸い込む受動喫煙を放置していれば、同法に抵触することも予想されることから、首都圏などでは「禁煙車」を導入したり、乗務員の車内禁煙を徹底する業者が増えているという。
 県内では近年、一部タクシー事業者が運輸局に届け出た上で、喫煙者の乗車を制度的に拒否できる「禁煙車」での運行を開始。今回の業界団体の取り組みは、こうした強制力を伴うものではないため、一部足並みの乱れも懸念されるが、かなりの車両で禁煙化が加速されそうだ。
 協議会の事務局を務める県ハイヤー協会の松戸正専務理事は「トラブルになるような無理強いはしないが、車内の空気をきれいにし、快適に過ごせる空間をつくりたい。ぜひご協力を」と呼び掛けている。
 県内のタクシーは3月末現在で約1830台で、そのほとんどが4団体に加盟している事業者の車両という。
 【写真説明】乗客に禁煙への協力を求めるステッカーを張った個人タクシー(高知市内)


2005/ 6/ 2 恩賜のタバコ、支給やめます 喫煙率低下で、お菓子に (朝日新聞ニュース速報)

 宮内庁は、両陛下の地方訪問の際や皇居の清掃奉仕者らへの「恩賜タバコ」の支給をやめ、近く菓子など別のものに切り替える方針を固めた。宮殿での晩餐(ばんさん)会などに置く接待用は残るが、軍歌にもなった「恩賜のタバコ」は今後、姿を消すことになる。
 菊の紋章入りの恩賜タバコは、戦前からの慣習として続いてきたが、これまで、叙勲受章者や皇太子ご夫妻の結婚式の引き出物での支給をやめてきた。タバコには、「接待用」と「賜り用」の2種類があり、賜り用は、皇居で清掃奉仕をする「勤労奉仕団」や、両陛下の地方訪問の際の自治体職員ら受け入れ関係者、警備にかかわる警視庁などの警察官に配られてきた。接待用は、天皇陛下の主催する晩餐会や園遊会などの場で提供されている。今後は、日持ちのする菓子などで代用するという。
 今回、恩賜タバコをやめることについて、宮内庁幹部は、男性の喫煙率が50%を切り、女性の喫煙率が10%台前半となっていることなどを理由に、「タバコはだれもが喜ぶものではなくなり、今は嫌がる人もいる。両陛下からの賜りの品として、適切かどうか判断した結果」としている。


2005/ 6/ 2 道路継ぎ目で高さ2mの炎 中国道、一時通行止め タバコが原因か (共同通信ニュース速報)

 2日午前2時ごろ、大阪府池田市住吉の中国自動車道上り線で、「道路の接ぎ目部分で炎が上がっている」と110番があった。炎は一時、上り線中央付近で幅約1・8メートル、高さ約2メートルに達したが、約1時間後に消し止められた。
 池田署によると、接ぎ目にたまったごみに、捨てられたタバコの火などが引火し、接ぎ目裏側のウレタン材に燃え広がったらしい。
 この火災で中国池田−中国豊中インターチェンジ間の上り線が、約2時間半通行止めになった。


2005/ 6/ 2 レストランを禁煙に スウェーデン (共同通信ニュース速報)

 ストックホルムからの報道によると、スウェーデンで1日から、数種類の無煙タバコを除いて、レストランなど飲食店での喫煙が禁止された。欧州で公共の場での喫煙が禁じられるのは、アイルランドやノルウェーなどに続き5カ国目。
 スウェーデンでは「スヌース」と呼ばれる唇と歯茎の間に挟む無煙タバコが愛用されている。


2005/ 6/ 1 ニコチン・パッチ無料配布で挑戦者の33%が禁煙に成功、米国研究 (日経MedWave記事

 米国では喫煙者の70%以上が禁煙に興味を持っており、毎年約半数が禁煙に挑戦するが、成功するのは7%にすぎないという。米国ではニコチン補充療法(NRT)に保険が適用されているが、医師に相談しない喫煙者も多い。そこで、ニューヨーク市健康・精神衛生局のNancy Miller氏らが、NRTを試みる機会を無料で広く提供するプログラムを実施したところ、挑戦者の33%が禁煙に成功した。詳細は、Lancet誌2005年5月27日号に報告された。
 同市の健康・精神衛生局とニューヨーク州健康局、Roswell Park癌研究所は、ニューヨーク市における職場禁煙条例の施行やタバコ税の引き上げなどと連動して、プログラムを実施した。
 2003年4月2日から、様々なメディアでこのプログラムを紹介、ニコチン・パッチ無料配布の希望者を募った。同日から5月14日までに電話で応募してきた3万4090人の喫煙者のうち、条件を満たす3万2093人に6週間分(最初の2週間は21mg/日、次の2週間は14mg/日、最後の2週間は7mg/日)のニコチン・パッチを送付。同市で毎日10本以上タバコを吸う成人の約5%に相当する人がパッチを受け取った。配達されず戻ってきたものが506人分あり、そのうち電話で連絡が取れ、6カ月後の調査にも応じた159人を対照群とした。


2005/ 6/ 1 46世帯村の住民全員が禁煙する宝城・長洞村 (朝鮮日報記事

 全羅(チョルラ)南道・宝城(ポソン)に住民全員が数十年間吸っていたタバコをやめた「禁煙村」がある。
 46世帯98人が住む宝城郡・文徳(ムンドク)面・竜岩(ヨンアム)里・長洞(チャンドン)村から、タバコの煙が完全に消えたのは、昨年の1月。チョン・イルマンさん(85)が、最後の禁煙家だ。
 10年余り前までこの村では、村内のタバコ屋にタバコが入荷される日になると、値段の安い「棒草」を求めて客が列をなすほど愛煙家が多かった。
 村の住民が、タバコを控え始めたのは、1996年に敬老堂が建設されてからのこと。住民の半分以上が65歳以上のこの村で、敬老堂は農閑期に余暇を過ごせる唯一の空間だ。
 敬老堂に集まった住民の間で、堂内での喫煙をめぐってしばしば対立が起きたため、敬老堂を禁煙区域に指定した。外でタバコを吸わねばならない不便さに直面した喫煙住民が、徐々に禁煙を始めた。
 さらに1999年にこの村が全羅南道から「環境親和(環境にやさしい)村」に指定されたため、禁煙ブームに弾みがついた。その後、禁煙しようという意見が増え、喫煙住民は急激に減った。
 そしてついに昨年1月、村で唯一の喫煙家だったチョンさんが禁煙し、長洞村は、タバコのないきれいな地域になった。


2005/ 5/31 スウェーデンでレストランが全面禁煙 イタリアに次いで (世界日報記事

【ベルリン31日豊田剛】ストックホルムからの報道によると、スウェーデンは世界禁煙デーの翌日の6月1日から、レストランやカフェ、バーが全面的に禁煙になる。先に禁煙が実施されているイタリアがモデルとなった。
 世論調査によると、85%がカフェとレストランの禁煙を、77%がバーの禁煙を支持している。


2005/ 5/31 世界禁煙デー スイスの喫煙・禁煙事情 (swissinfo記事

他の欧州諸国と比べて禁煙の場所が少なく、タバコが安い喫煙者天国のスイス。
タバコの消費削減を目指す「タバコ規制枠組み条約」は世界保健機関(WHO)の本部ジュネーブで交渉された産物だ。しかし、スイス国内での禁煙策はまだまだのようだ。
世界禁煙デーに際して、スイスで今年は「子供が喫煙者にならないために親がモデルを」と親への禁煙キャンペーンを展開している。一方、WHOは「医療関係者が患者に禁煙を促すように」と呼びかけている。
この他、スイス喫煙予防連盟は世界禁煙デーのイベントとして1ヶ月(6月5日〜7月5日まで)禁煙したら5000フラン(約43万円)の賞金が得られるコンテストを実施。あの手この手で難しい「禁煙への道」を支援している。
親が止めれば子も止める?
 同連盟によれば、米国で行われた研究によると子供が8歳、9歳になる前に禁煙をできた親は子供が後からタバコを吸わなくなる傾向があるという。同研究は両親が禁煙に成功した場合は子供が17歳、18歳でタバコに手を出す確率が39%減るといい、「親が子供の良い例」となるように奨励している。
医療関係者に喫煙者が多い?
 WHOの発表によると医療関係者による禁煙アドバイスは患者の禁煙率を30%も上げ、看護婦による禁煙への支援があった場合は禁煙率が50%も上がるという。WHOはより多くの人と接触があり、最も情報を有している医療関係者が禁煙を促すことが最も効果的であるとみている。
 WHOが行った10カ国を対象にした保健、医療分野で働いている人への調査によると、多くの国で医療関係者の喫煙率がその国の平均より上回った。ロシアでは男性医師の63%が喫煙者、中国では男性医師の61%が喫煙者だという。
 これに対してWHOのデコスタシルバ医師は「自らが吸っていては患者に禁煙を積極的に勧められないので残念だ。医療関係者は自分のためにも他人のためにも喫煙をするべき」と手厳しい。
受動喫煙の害
 また、連邦健康局も職場での受動喫煙(非喫煙者が喫煙者のタバコの煙を吸うこと)をなくすキャンペーンを打ち出した。同局によると職場で半数以上の人が、タバコの煙にさらされており、これによる肺がんや心臓への疾患、ぜんそくなどといった問題が軽視されていると警告している。
禁煙に関してはまちまちのスイス
 スイスが「タバコ規制枠組み条約」の批准に必要な法整備にはまだ、広告の原則禁止、未成年への販売(スイスでも自動販売機がある)、受動喫煙の予防などがある。連邦制のスイスでは喫煙に関する法律も州によって異なるため、それぞれの州の法整備が整うには2010年ぐらいまでかかりそうだ。
 スイスではタバコ1箱5.80フラン(約503円)、税率が60%で近隣諸国の75%〜80%に比べると低いほうだ。
 ジュネーブでは最近、政府機関の建物や病院、大学では全館禁煙となった。しかし、レストランやバーなど公衆の場での喫煙を禁止したイタリアやアイルランドなどの欧州諸国と比べるとまだまだ、「タバコ後進国」と言える。
 スイスがタバコに対して甘いのは「日本タバコ(JT)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)やフィリップポリス・インターナショナルなど多くの外国タバコ産業の欧州本部がスイスにあるからだ」との声もある。もっともこれを「煙たい話」とタバコ業者は反論するだろう。


2005/ 5/31 タバコ値上げの要望書送付 健康被害防止で日医など (共同通信ニュース速報)

 日本医師会など37団体でつくる「国民医療推進協議会」(会長・植松治雄(うえまつ・はるお)日本医師会長)は世界禁煙デーの31日、健康被害防止のためタバコの値上げなどを求める要望書を小泉純一郎首相や関係閣僚に送付したと発表した。
 要望書は「喫煙率は低下傾向にあるが、依然として高い水準を維持している」とし、喫煙の悪影響を図や写真でタバコのパッケージに明示することや未成年者の禁煙教育推進、自動販売機の規制などを求めている。
 日本医師会の桜井秀也(さくらい・ひでや)副会長は「タバコ価格の引き上げで喫煙者が減少し、健康被害の抑制につながる。諸外国の例では、喫煙者が減っても価格が上がっているので売上総額は増加し、国や地方の税収も増えると思う」と述べた。


2005/ 5/31 県庁に禁煙タクシー専用乗り場 禁煙運動の一環で/長野県 (信濃毎日新聞記事

 県は「世界禁煙デー」の三十一日、禁煙運動の一環として県庁正面玄関前に禁煙タクシー専用の乗り場を設けた。タバコが吸えるタクシーの乗り場と区別し、利用者が選びやすいようにした。
 専用乗り場は、県庁正面玄関に最も近い場所に新設。近くに禁煙タクシー用の待機場(二台分)も設けた。県産材カラマツで作った看板などに二十万円余をかけた。
 業界団体の全国乗用自動車連合会(東京都)は「全国でも専用の乗り場は聞いたことがない」。県タクシー協会によると、県内の禁煙タクシーは個人営業を除き計百二十七台。保有する全車を禁煙にしているタクシー会社もある。
 同日午前の乗り場の開設式には、社会見学で県庁を訪れた伊那東小学校の児童やタクシー運転手らが参加して看板を除幕。田中知事は「多くの人に煙のないタクシーを利用してほしい」とあいさつした。
(写真) 県庁正面玄関前に新設された禁煙タクシーの専用乗り場


2005/ 5/31 「窓」―30代で禁煙すれば (朝日新聞記事)

 31日は世界禁煙デー。今年のテーマは、「医療専門家の役割」だ。
 こう聞くと、英オックスフォード大学のリチャード・ドール名誉教授の名が浮かぶ。92歳、今も現役の疫学の大家である。
 50年代にタバコが肺がんの原因になることを立証し、「今生きている中で、最も多くの命を救った医学者」と称えられる。
 自身も17歳から吸っていた。しかし、肺がん患者の聞き取りを進めるうちに喫煙との因果関係を確信し、論文を書くより先にタバコをやめた。
 肺がんの増加は、大気汚染など環境に原因があると考えて始めた調査だった。予想外の結果だったが、「タバコを吸うことがばかばかしくなった」。昨春、大学の研究室を訪ねた折に、そんな話を聞いた。
 英国の医師約3万5000人を50年にわたって追跡し、タバコの健康への影響を公表したところだった。これだけの規模と期間に及ぶ研究は類を見ない。
 それによると、喫煙者の半分以上はタバコが原因と見られる病気で亡くなり、吸う人の寿命は吸わない人より10年短かった。
 禁煙の効果は、想像を超えた。60歳で禁煙すれば3年、50歳で6年、40歳で9年長生きできる。そして30歳なら10年。これは全く吸わないのと同じだ。教授自身が禁煙したのは30代後半のこと。まさに、生きたお手本である。
 健康の秘訣は、「野菜と果物を欠かさないことと、あまり塩を加えたりしないことくらいかな」。〈辻篤子〉


2005/ 5/31 男女とも高いやせの死亡率 中高年、標準体格の倍以上 (共同通信ニュース速報)

 日本人の中高年では、男女ともにやせた人の方が肥満や標準体格の人より死亡率が高いとする結果を、鈴木庄亮群馬産業保健推進センター所長や群馬大学医学部のグループが約1万1000人を対象にした調査でまとめ、31日発行の日本疫学会誌に発表した。
 男性については同様の結果を厚生労働省研究班が2002年に発表しているが、今回は女性でも同じ傾向がみられた。若い女性でやせた人が増えていることから、鈴木所長は「栄養が足りなければ感染症に対する抵抗力が減る。将来に備えてバランスの良い食事を心がけ、やせ過ぎに注意してほしい」と話している。
 1993年に群馬県内の40−60代の男女に身長、体重、生活習慣などを尋ね、以後7年間追跡して死亡率を調べた。
 体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が標準的(22−24・9)な人に比べ、やせとされる18・5未満の人は、死亡率が男性で2・59倍、女性では2・93倍高かった。
 BMI28以上の肥満の男性は1・63倍、女性は2・71倍で、男女ともにやせの死亡率の方が肥満を上回った。
 がんや循環器疾患などの死因別に見た場合や喫煙者を除いた場合でも、同様の傾向を示した。
 02年の厚労省国民栄養調査によると、20−30代の女性でBMIが18・5未満の人の割合は、この20年で約2倍になっている。


2005/ 5/31 <大阪>世界禁煙デー 喉頭がん患者が禁煙呼びかけ (ABCニュース)

きょうは世界禁煙デーです。大阪では喫煙が原因といわれる喉頭ガンの患者らが禁煙を呼びかけました。
大阪なんばの高島屋前では、喉頭ガンによって声帯を切除した人たちが、道行く人にタバコの害について書かれたティッシュを配り、喫煙の怖さをアピールしました。5月31日はWHO・世界保健機関が定めた世界禁煙デーです。厚生労働省の調査では、男性の喫煙率は年々減る傾向にありますが、その一方で、女性の喫煙が増えています。特に20歳代の女性の喫煙率はここ10年で倍近くに増えていて、社会進出に伴うストレスの増加が要因のひとつではないかと厚生労働省は分析しています。


2005/ 5/31 住民全員が禁煙、宝城チャンドン村 (中央日報記事)

全羅南道宝城郡文コ面(チョンラナムド・ポソングン・ムンドクミョン)ヨンアム1区のチャンドン村。46世帯の住民98人が農業に携わっているこの山奥の村では、灰皿が姿を消した。住民全員がタバコをやめ、禁煙の村になったからだ。
 チャンドン村でタバコの煙が消えたのは、1年6カ月前。5年前までも40歳以上の成人男性50人余のうち90%にあたる45人がタバコを吸っていた。愛煙家に「試練」が訪れたのは、98年、村の会館が設けられて以降。村民共同の休息所である会館内でタバコをにおいがするのを嫌う住民が増えるにつれ、女性が中心となり、喫煙者出入禁止の令を下した。その後、喫煙者の間で自発的にタバコをやめようという雰囲気が醸成され、2年後には約10人がタバコをやめた。
 続いて、村には禁煙運動が急速に広がった。99年にこの村が、全羅南道によって「環境にやさしい村」に指定された後、禁煙運動は決定的な契機を迎える。7年前にタバコをやめたイ・サンフン氏(72)は「最初は、タバコを吸わない人と争ったりもしたが、タバコをやめると気管支など健康が非常によくなった」と話した。この村のコン・ドンス里長(67)は「数十年間吸ってきた住民が、禁煙運動に快く加わり、ありがたく思っている。今後も『禁煙の村』を続けることで、住民全員が健康に生きてほしい」とした。


2005/ 5/31 <世界禁煙デー>厚労省、危険性訴えるシンポジウム (毎日新聞記事)

 「世界禁煙デー」の31日、厚生労働省は東京都内で記念シンポジウムを開き、喫煙の危険性、禁煙の重要性をアピールする。また、31日〜6月6日を禁煙週間とし、今年2月に発効した「タバコの規制に関する世界保健機関枠組み条約」の批准国として、タバコ対策を推進する。
 厚労省は、公共施設や飲食店、職場などでの受動喫煙防止策を求めた健康増進法の施行(03年5月)後初めて、職場での喫煙対策への取り組み状況を調査した。昨年10〜11月、全国の5000社を対象に実施し、1805社から回答を得た。
 対策に取り組んでいたのは82.8%で、このうち、喫煙場所以外での喫煙を禁止している企業は92.2%に達した。しかし、喫煙場所に換気装置がなく、空気清浄装置のみを設置している企業が4割、浮遊粉じんや一酸化炭素の濃度を測定していない企業は約7割もあった。
 対策に取り組んでない企業に理由を聞いたところ、「喫煙場所を設けるスペースがない」「社内合意が得られない」「喫煙者への配慮」が多かった。厚労省は「受動喫煙防止対策としては不十分。対策が取りにくい企業には全面禁煙を勧めていきたい」と話している。


2005/ 5/31 喫煙の誘い断る力を タバコ対策フォーラム/沖縄 (琉球新報記事)

 31日の世界禁煙デーにちなんで「タバコ対策フォーラム」(県、健康おきなわ2010推進県民会議主催)が30日、浦添市の県立医療福祉センターで開かれ、学識者や医療専門家から子どもたちの喫煙事例などが報告された。その中では「喫煙の勧誘を断ち切るための学校現場の工夫」や「分煙を徹底化する社会環境づくり」の重要性などが指摘された。
 特別講演した西岡伸紀兵庫教育大学大学院教授は「喫煙防止教育とその課題」と題して発表。中学生への調査結果などを基に、喫煙は飲酒や薬物乱用とも大きく関係することを述べ、「興味や刺激が喫煙などを始める最大の動機」と説明。中でも大半が勧誘がきっかけであるとし、「勧誘に言葉や体で反論できる対処能力をどう指導、育成できるのかが教育現場に課せられたテーマだ」と主張した。
 西岡さんは意思決定能力や目標設定などを示す「ライフスキル」という言葉を使い、ライフスキルの形成を図ることが、「子どもの喫煙、薬物乱用の防止につながる」と語った。
 事例報告では大山朝賢さん(県医師会)、金城賢治さん(県歯科医師会)、牧内忍さん(県看護協会)、我喜屋美香さん(県薬剤師会)がそれぞれが禁煙に向けた取り組みなどを発表。「医療面からみると、喫煙は大敵である」と強調した。
【写真】喫煙防止教育の課題やタバコの害などについて意見を交わした「タバコ対策フォーラム」=30日、浦添市の県立医療福祉センター


2005/ 5/31 上場企業の96・5%が喫煙制限…禁煙傾向一段と進む (読売新聞記事)

 上場企業の96・5%が、オフィスでの分煙など何らかの喫煙制限を設けていることが、31日の世界禁煙デーに合わせて製薬企業ファイザー(本社・東京都渋谷区)が実施した調査でわかった。
 喫煙制限のある企業の割合は、3年前の同じ調査より5ポイント上昇、オフィスの禁煙傾向が一段と進んだことがうかがえる。
 調査は今年4〜5月、首都圏と関西圏の上場企業200社を対象に実施。その結果、「全面禁煙」は17・5%、「分煙または喫煙場所を限定」が78%など、何らかの対策をしている企業は96・5%にのぼった。また44%は、来客にも禁煙規定を適用している。
 禁煙規定を導入した理由は「社員の健康のため」「テナント入居条件だった」など。効果については「オフィスがきれいになった」など肯定的な回答が多かったが、「特にない」という企業も19・2%あった。
 しかし、社員に対する禁煙支援プログラムについては、「実施」が6%しかなく、実施していないが「興味がある」という企業もわずか5・5%と低迷。企業の意識も「禁煙推奨」までは至っていないようだ。


2005/ 5/30 職場の分煙、企業の8割が実施 (日経新聞記事

 喫煙室を設けるなど職場で何らかの禁煙・分煙対策に取り組む会社は全体の8割に上ることが30日、厚生労働省がまとめた初の調査で分かった。一方、喫煙室内の煙を屋外へ排出することなどを求めた同省の指針を守っていない会社も多く、対策が徹底されていない現状も浮かび上がった。
 調査は昨年10―11月、10人以上が働く全国の5000事業場を対象に実施。1805事業場から回答を得た。
 事業場全体の禁煙化や換気扇のある喫煙室の設置、食堂や休憩室のみを喫煙所にすることなど、何らかの対策を取っているのは全体の83%に上った。
 厚労省の指針は喫煙室内の煙の屋外排出のほか、(1)煙が外に漏れないよう秒速0.2メートル以上の風を喫煙室に向かって送る(2)職場の空気中の有害物質濃度の測定――なども求めている。しかし全体の87%が風速を測定しておらず、7割以上が濃度の測定を怠るなど対策は不十分だった。


2005/ 5/30 82・8%が禁煙か分煙 会社や工場などの事業所 (共同通信ニュース速報)

 職場を禁煙や分煙にしている会社や工場などの事業所が82・8%に上ることが30日、厚生労働省の調査で分かった。
 このうち、喫煙場所に換気扇があるのは68・0%にとどまり、同省は「喫煙対策は進んだが、喫煙場所の空気が職場に漏れることもあり、受動喫煙の防止は不十分」としている。31日は「世界禁煙デー」。
 調査は、厚労省が2年前に示した職場喫煙対策のガイドラインの効果を検証するのが狙い。昨年秋に従業員10人以上の5000事業所に質問票を送り、1805事業所から回答があった。
 それによると、職場の禁煙や分煙に取り組んでいるのは1495事業所で、このうち1378事業所が喫煙場所を設けていた。
 ガイドラインは、喫煙場所に煙を屋外に排出する機器の設置を促しているが、換気扇があるのは937事業所で、611事業所は煙を排出しないタイプの空気清浄機を設置していた。
 職場を禁煙や分煙にしていない310事業所(17・2%)は、理由として「喫煙場所を設けるスペースがない」「社内の合意が得られない」などを挙げた。


2005/ 5/30 家計のタバコ代、20年で半減=働く女性はストレス?で増加−総務省 (時事通信ニュース速報)

 1世帯当たりの年間タバコ購入費が、この20年間で半減したことが、31日の世界禁煙デーを前に総務省が家計調査を基に初めて行った分析で分かった。
 健康増進法の施行や公共の場所での喫煙に厳しい視線が注がれる中、タバコ離れが進んでいる実態が改めて浮き彫りとなった。逆に、働き盛りの単身女性世帯では増加傾向がみられ、同省は「女性の社会進出に伴うストレスも影響しているのでは」(統計局)とみている。


2005/ 5/30 県内飲食店、禁煙広がる あす世界禁煙デー/沖縄 (琉球新報記事)

 5月31日は「世界禁煙デー」、6月6日までは「禁煙週間」。県内には清潔感やオーナーの味へのこだわりなどから店内を禁煙にする飲食店が目立ってきたが、タバコとは切り離せない感のあるバーで完全禁煙の店も。「酒を出す店で禁煙なんて」と否定的な同業の仲間たちや客の批判もあったが、「酒と音楽をゆっくり堪能できる」という声が増え、今では愛煙家の常連客も増えている。
 那覇市内のバー「K―FUNK」は1996年の開店時は喫煙できたが、2001年4月から完全禁煙をスタートした。「隣の席からの煙で嫌な思いをした、という客の声があり、思い切って決断した」とオーナーの比嘉健二さん。
 同店は20代、30代の愛煙家からも人気がある。那覇市に住む米盛寛哲さん(公務員)もその一人。「初めはなじめなかったが、酒の良い香りが味わえる雰囲気が好きになった。新しい楽しみが生まれた。タバコを吸いたい時は店外にある喫煙スペースに行けばいい」と言う。
 宜野湾市から通うアルバイトの金城秀一さんや三好なつみさん、那覇市の会社員、徳元督さんら常連客は「タバコのにおいが気にならないので、自然と足が向く」と話す。開店時から常連の金城さんは愛煙家だったが徐々に本数が減り、今はきっぱりやめている。
 比嘉さんは別に経営する居酒屋も禁煙にしたが、苦情が多く、3カ月で喫煙できるように戻した。「客や従業員の協力が必要だ」と苦笑し、取り組みの難しさも。
 横浜市に「琉球新麺 通堂」を開店するなどラーメン店を経営する金城良次さんは県内3店舗を禁煙にした。「喫煙を望む客もいるが、店内の煙はラーメンだけ、と理解を求めている」と説明する。
 4月末に開店した健康食彩レストラン「だいこんの花」=那覇市=は無農薬や有機野菜を中心に自然食品を提供している。比嘉博俊店長は「健康をテーマにしているため禁煙にした。客の約9割は女性で、(禁煙は)支持されている」と話す。浦添市のケーキ店「ナシロ」はタバコの煙や、やにによる汚れについて専門家から指導を受け、清潔面や清掃費削減の上から飲食ルームを含む店内すべてを禁煙にした。
 那覇市医師会は完全禁煙の飲食店について「沖縄は夜型社会で、夜の飲食に子どもを連れていくことが多い。受動喫煙の影響が懸念されるので、全面禁煙は喜ばしい」と歓迎している。
【写真】店内を全面禁煙にした那覇市内のバー=23日午後10時半すぎ、那覇市金城のバー「KFUNK」


2005/ 5/30 弘前市が禁煙支援事業 参加者を募集 (陸奥新報記事

依存度や有害性知る好機 保健師が助言、強い「意志」で克服
 三十一日は「世界禁煙デー」。弘前市は二〇〇一年度から、おおむね四十歳以上の喫煙者を対象に禁煙を支援する「禁煙チャレンジャー」事業を実施している。参加者はニコチンの依存性の強さやタバコの有害性を学び、保健師の助言を受けながら禁煙に挑戦する。本人の強い意志と保健師の指導により、四年間で十一人が禁煙に成功している。
 今年の禁煙チャレンジャー事業は六月十四、十五日と十月十九、二十日から開始し、三カ月間で終了する。参加は無料で、定員は六月分、十月分ともに十人。
 初めに禁煙希望者が保健師と面接し、一日に吸うタバコの本数などを聞き取った後、禁煙を始める日を決める。また、タバコの影響を調べるため、呼気中一酸化炭素濃度と尿中ニコチン代謝産物測定を行う。
 一カ月後、二カ月後に電話または手紙で禁煙が続いているかどうかを確認し、最終日に再び測定を行って禁煙の効果を調べる。
 参加者には、ニコチンの禁断症状がどのように現れるか、タバコを吸いたくなった時どうやって我慢するか―などが掲載されている冊子を配布。禁煙後の症状をあらかじめ知ることで、対処の仕方について心の準備ができる。
 冊子では、禁煙を助けるニコチンパッチやニコチンガムも紹介しているが、いずれも出費がかさむため禁煙チャレンジャーでは使用せず、本人の意志の力で乗り越えさせている。
 三カ月のプログラムを終え、禁煙に成功した人からは「せき、たんが軽くなった」「家族から喜ばれた」「タバコが手放せない時は肩身の狭い思いをしていたが、生きるのが楽になった」「タバコのにおいがこんなに不快だとは思わなかった」などの声が寄せられている。
 担当の対馬佳津子・市健康推進課保健師は「禁煙したいという意志がはっきりしている人は成功しやすい。タバコの害は分かっているが、やめたくてもやめられないという人にぜひ挑戦してほしい」と話している。
 参加申し込みは六月三日から九日まで、市保健センター(電話0172―37―3750)で受け付ける。
【写真】喫煙者本人だけでなく、周囲の人にも受動喫煙の悪影響が指摘されているタバコ(写真は本文と直接関係ありません)


2005/ 5/30 喫煙への意見メールで募集 総務省がアドレス公開 (共同通信ニュース速報)

 公共の場所でのタバコをどう思いますか−。総務省関東管区行政評価局は30日、官公庁、イベントホールなどの公共施設や職場の喫煙対策について、意見を受け付ける電子メールアドレスを公開した。
 31日の「世界禁煙デー」に合わせた試み。同行政評価局によると、国の機関が喫煙対策専門の意見募集アドレスを設けるのは初めてという。
 公の場での禁煙・分煙の必要性や、喫煙者側の主張などが寄せられることを想定。具体的な問題については現場を調査し、所管官庁などを通じ改善を指導する。
 アドレスはkitsuentaisaku@soumu.go.jp


2005/ 5/29 上場企業の9割以上が「全面禁煙」「分煙」 (朝日新聞ニュース速報)

 製薬会社のファイザーが31日の世界禁煙デーを前に実施したアンケートによると、上場企業200社の96.5%が「全面禁煙」「分煙」などの喫煙制限を決めていることが分かった。3年前の調査に比べて5.0ポイント増えた。ただ、来客には制限を適用していない企業も多い。また、残りの3.5%は喫煙についての制限を何も設けていない。
 2年前に施行された健康増進法では、事務所や学校など多数の人が利用する施設に、他人のタバコの煙を吸わされる「受動喫煙」の防止が義務づけられている。企業の意識は高まっているものの、受動喫煙の一掃には至っていない現状が浮かび上がった。
 ファイザーが4〜5月、首都圏・関西圏の上場企業200社に対し、電話でアンケートをした。
 調査では、オフィス内で喫煙できる場所を決めている「分煙」が78.0%と最も多く、「全面禁煙」としているのは17.5%だった。1.0%が禁煙タイムを設ける「時間別禁煙」を実施していると答えた。
 喫煙制限があると答えた企業について理由を尋ねると、8.0%が「社員の健康のため」、5.5%が「タバコを吸わない人のため」と答えた。「(オフィスビルに)テナントとして入る入居条件だった」(6.5%)、「健康増進法に伴い」(5.0%)との回答もあった。
 喫煙制限を来客に適用している企業は44.0%で、適用していない企業が34.7%にのぼった。取引先などへの遠慮が見て取れる。
 社内に禁煙希望者へのカウンセリングなど「禁煙支援プログラム」があると回答したのは6.0%。「ない」と答えた企業は85.0%にのぼり、このうち同プログラムに「関心がある」としたのは5.5%にとどまった。


2005/ 5/29 ソウル地下鉄6号線、「禁煙キャンペーン列車」運行へ (朝鮮日報記事

 ソウル都市鉄道公社(5〜8号線)は5月31日、「世界禁煙の日」を迎え、6号線で「禁煙キャンペーン列車」を運行する。
 今回のキャンペーンは2005年現在、57.2%に達する成人男性の喫煙率を2010年30%にまで引き下げるため、保健福祉部が持続的に進めて折る禁煙運動の一環として行われる。
 列車3両の外壁と内部に白雪姫とピーターパンを描くなど、童話的なイメージを使ってすべての世代に禁煙の必要性を自然と伝えられるよう工夫された。
 また、列車の中には禁煙と関連した絵葉書を備えるほか、各種ストレスに悩まされる現代人のために、小型のサンドバッグも設置した。
 「禁煙キャンペーン列車」は今月31日から8月30日まで3か月間、休日(祝日含み)を除いて平日と土曜日1日10回運行される。


2005/ 5/29 『タバコ怖い』 ミミズなどで小学生が実験 県警が安全学級/茨城 (中日新聞茨城県版記事

 小中学生にタバコやアルコールの怖さを実験を通じて学んでもらおうと、県警少年課は二十八日、水戸市笠原町の県警本部で「安全学級」を開催した。
 参加者はグループに分かれ、タバコの液で筋肉が収縮し、細くまっすぐになるミミズや、豚の肝臓がアルコールの作用で白く、硬くなることなどを実験で確かめた。
 小川町の小学五年立本一成君(10)は「タバコ液でミミズがあんなに伸びるなんて」と驚き、「大きくなってもタバコを吸わない」とキッパリ。
 昨年夏の授業が好評で、定期的(全十三回)に開催することにした。この日は本年度最初の授業で、水戸市などから二十二人が参加した。


2005/ 5/28 「対策」欧米にほど遠く (読売新聞記事

 子供連れでファミレスの喫煙席に座る。日本で当たり前に見られる光景。これで良いのだろうか――。
 タバコは、喫煙者本人だけではなく、流れてきた煙は周りの人にも影響を与える。受動喫煙の実態調査に取り組む東大大学院医学系客員研究員の中田ゆりさんは、昨年春に訪れたカナダで、飲食店での徹底した対策ぶりに目を見張った。
 全面禁煙か、そうでなくても喫煙席は一般の席から完全に独立した部屋として仕切られ、煙は一般席に流れ込まない。喫煙席は店の入り口も別で、ドアには「18歳未満の入室は禁止」との表示がある。
 「分煙は、ここまでやらなければいけない」と中田さんは納得がいった。
 飲食店の禁煙化はアメリカやカナダ、オーストラリアばかりではなく、最近では、葉巻の産地であるキューバやパブで有名なアイルランド、イタリアなど世界的な潮流となりつつある。
 日本でも一昨年5月に施行された健康増進法で、飲食店を含む公共の場所の受動喫煙防止が初めて法律に盛られたが、取り組みは欧米とはほど遠い。各国の法律では、禁煙化や分煙は罰則が伴う義務なのに対し、日本では単なる努力規定に過ぎないからだ。
 法施行後に、中田さんと全国飲食業生活衛生同業組合は中小の飲食店1200店にアンケートを行った。禁煙や分煙について「顧客が減る」「資金がない」などの理由で8割が対策をとっておらず、うち6割は将来も予定がないと答えた。
 喫煙席がある店でも、仕切りがなく、禁煙席に煙が流れ込んでしまう「不完全分煙」の例が少なくない。中田さんは「強制力のある法規制が必要」と話す。
 不完全分煙は、新幹線の車内も同様だ。喫煙車に隣接する禁煙車内には、ドアの開閉の際に煙が流れ込む。産業医大助教授の大和浩さんと中田さんらの昨年の調査では、国が定める分煙基準を上回る数値だった。
 日本循環器学会など医学関係の9学会は今年、JR各社に対し、新幹線の全面禁煙化を求める2度目の要望書を提出した。
 2月に発効した「タバコ規制枠組み条約」が掲げる消費削減策の一つが、タバコの値上げ。購買力の弱い若者の喫煙率を下げる効果が高い。カナダや南アフリカなどでは功を奏し、韓国でも値上げを打ち出した。
 一方、日本は先進国の中でとりわけ、タバコが安い。欧米とは実質的に数倍の開きがある。健康には、社会環境のデザインも大切なようだ。(田村良彦)  (次は「がん治療の後遺症」です)
 タバコの価格比較と値上げの効果 世界保健機関(WHO)の2001年のまとめでは、マールボロ1箱が、日本280円に対し、フランス375円、米国440円、英国750円、ノルウェー775円と数倍高い(円レートは当時)。世界銀行の試算では、平均10%値上げすると世界中で4000万人が禁煙し、タバコによる死者が1000万人減るという。
【写真】喫煙席(左)と禁煙席(右)が入り口から別々に分かれているカナダ・カルガリーの飲食店(中田ゆりさん撮影)


2005/ 5/28 成人の喫煙者人口の比率21.6%と、米国CDC (CNNニュース)

ワシントン――米疾病対策センター(CDC)は27日、米成人の喫煙動向の報告書を発表、2003年の喫煙者は21.6%で、02年の22.5%、01年の22.8%から減少した、と述べた。成人の喫煙者の総数は、4500万人以上と推定されている。
ロイター通信によると、性別では、男性が24%、女性19%。アジア系は12%、アメリカ・インディアンなど先住民が39.7%と最も高率だった。
CDCは、喫煙者人口の比率を2010年まで12%へ下げることを目標にしているが、現在のペースでは達成は困難との見方が強まっている。 喫煙関連の疾病で死亡する米国人は毎年、約40万人とされる。


2005/ 5/28 喫煙被害防止で初の大規模調査=全国約5万5000校で−文科省 (時事通信ニュース速報)

 文部科学省は、学校での禁煙・分煙状況について初の大規模な調査に乗り出した。都道府県教育委員会などを通じ、全国約5万5000校で「教職員や来訪者がタバコを吸える場所を設けているかどうか」などを5月末まで調べた上で、夏までに結果を集約。児童・生徒の受動喫煙防止につなげる。


2005/ 5/27 喫煙「注意」から「警告」に (読売新聞記事

 「喫煙は、肺がんの原因になります」「心筋梗塞(こうそく)の危険を高めます」
 タバコの箱に印刷されている健康への注意書きが、「健康のため吸い過ぎに注意」といったあいまいな表現から、病気などの危険を示すものに、来月末までに順次切り替わりつつある。
 タバコによる健康被害を減らそうと世界保健機関(WHO)が中心になって、策定した「タバコ規制枠組み条約」が今年2月に発効したのを受けたものだ。
 条約では、箱の裏表にそれぞれ最低30%以上の広さを使って警告表示を印刷するよう定めている。従来の「注意」は、「警告」とは言えなかった。
 警告文は、肺がんや心筋梗塞のほか、脳卒中、肺気腫(きしゅ)、胎児の発育障害や早産、周囲の人への受動喫煙の害、ニコチンによる依存、未成年者の喫煙防止――の計8種類。
 肺気腫は患者の9割が喫煙経験者という“タバコ病”の代表だ。専門の日本医大呼吸ケアクリニック所長(同大教授)木田厚瑞(こうずい)さんは、「タバコが肺気腫などの呼吸器の病気を悪化させるという知識が広がるのは、大変良いことだ」と語る。
 喫煙者の10〜15%がCOPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)と総称されるこうした呼吸器の病気になる。唯一有効な予防法は、タバコをやめること。治療でも、木田さんの最初の仕事は、禁煙の支援になる。しかし、簡単ではない。
 重症のCOPD患者のように長い喫煙習慣のある人はなおさらで、木田さんは「病気になっても、どうしても禁煙が難しい人が1割ほどはいる」と嘆く。
 重症者は、酸素ボンベを常備して、鼻に入れたチューブから酸素を補給する酸素療法が必要だ。火気厳禁であるにもかかわらず、家人に隠れて喫煙しようとしたことなどが原因で引火、爆発でやけどを負ったり、火災になったりする事故も数件起きている。ニコチン依存の怖さだ。
 「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます」。新たに印刷される警告表示の一つとして加わった。
 カナダやブラジル、欧州などでは、「喫煙者は早死にする」といった文章に加え、真っ黒になった肺や病人などの写真も載せて、まるで“毒物”扱い。
 「健康のために」とやんわりと注意を呼びかけてきた日本も、いよいよ一歩進めて、病気の原因と名指しを始めることになった。
 さて、あなたはタバコをやめますか、それとも……。
 禁煙の効果 米国での約88万人を対象にした研究では、35歳で禁煙した場合は、喫煙を続けた人に比べて、男性で6.9〜8.5年、女性で6.1〜7.7年寿命が延びる。禁煙した年齢が65歳でも、男性で1.4〜2年、女性では2.7〜3.7年長生きできる。禁煙は早いに越したことはない。ただし、「遅すぎる」ということもないというわけだ。
【写真】病気の危険性がはっきりと印刷された、タバコのパッケージ


2005/ 5/27 “卒煙”表彰に「待った」 全席禁煙の日本相撲協会 (共同通信ニュース速報)

 5月31日の世界禁煙デーを前に、大相撲の全席禁煙に踏み切った日本相撲協会に対し、禁煙を推進する市民団体「タバコ問題首都圏協議会」が“卒煙”の表彰状を送ったところ、27日までに「頂く立場にない」と返送されてきた。
 「市民団体の要望で禁煙にしたわけではない」というのが理由。4年前から、タバコを断った有名人計11人を表彰し、これが初の団体表彰だっただけに協議会の渡辺文学代表は「受け取っても不都合はないはず。もっと太っ腹だと思ったのに…」と戸惑っている。
 相撲協会は昨年11月の九州場所を皮切りに、年6場所すべてで升席を含め全席禁煙にした。
 渡辺さんが代表を務める別の市民団体は昨年2月、升席の禁煙を要望したが、相撲協会の広報担当者は「あくまで監督官庁の文部科学省との協議を経て自主的に判断した」と強調。渡辺代表は「升席の禁煙は大きく報道され、社会的に貢献したのに」と残念そうだ。


2005/ 5/27 夫の喫煙でも妊娠率半減 カナダの研究者が発表 (共同通信ニュース速報)

【ワシントン26日共同】体外で受精させた卵子を胎内に戻した妻が妊娠する確率は、妻本人や夫がタバコを吸っていると、夫婦そろって非喫煙者の場合の約半分に減ってしまう−−。こんな調査結果をカナダ・マクマスター大の研究者が、26日発行の欧州の医学誌「ヒューマン・リプロダクション」に発表した。
 間接喫煙の害が胎児に及ぶという報告はあったが、妊娠のしやすさにまで関係することを示したのは初めてという。体外受精による妊娠ではなく、自然の妊娠でも同じ結果なのかどうかを含めさらに確認が必要だが、研究者は「妊娠したいなら、タバコのない環境での生活が賢明」と話している。
 調査対象は、不妊治療で体外受精を受けた女性225人。(1)本人が喫煙者(2)夫だけが喫煙者(3)夫婦ともタバコを吸わない−−のグループごとに治療結果をみると、受精率には違いがないのに、妊娠率は、タバコを吸わない夫婦が25%だったのに対し、本人か夫のどちらかが喫煙者の場合は、いずれも12%台と半減していた。


2005/ 5/27 女性の喫煙・深酒はサイン?=パートナーの暴力に比例−米調査 (時事通信ニュース速報)

【ワシントン26日時事】タバコを吸い酒におぼれがちな女性は、夫や恋人などパートナーから暴力を受けているケースが多いことが、米ハーバード大学などの調査で26日までに明らかになった。
 それによると、同大学の研究チームなどはボストン周辺の8つの医療機関に診察に来た2386人の女性を対象に、喫煙や飲酒について質問するとともに、パートナーの暴力を受けたことがあるかについて聞いた。
 その結果、喫煙もせず過度の飲酒もしない女性は過去1年に暴力を受けた比率が10%だったのに対し、喫煙習慣のある女性は14%、アルコール依存の女性は21%だった。さらに喫煙習慣があり酒に頼りがちな女性はこの比率が27%に上昇した。


2005/ 5/27 <JAL機>飛行中に座席が焦げる 女性のタバコが原因? (毎日新聞ニュース速報)

 26日夜、国土交通省に入った連絡によると、午後7時30分に沖縄・那覇空港を離陸した羽田行き日本航空1926便(乗客・乗員299人、ボーイング747型機)が飛行中、客室中央の座席付近で焦げたようなにおいがしたため、客室乗務員が消火器を使用した。ほぼ定刻の9時29分に羽田空港に着陸した後、客室乗務員らが調べたところ、座席二つにそれぞれ3センチ大の焦げた跡が見つかった。けが人はなかった。
 警視庁東京空港署は乗客がタバコを吸っていた疑いがあるとみて、焦げた座席付近に座っていた女性3人から事情を聴いている。


2005/ 5/26 “禁煙に伴うマイナス要因”の払拭を (Medical Tribune Vol.38 NO.21 記事)

〔米コネティカット州ニューヘブン〕 エール大学(ニューヘブン)付属学際的タバコ応用研究センター(TTURC)主任研究員で同大学精神医学科のSherry McKee助教授らは,禁煙にはマイナス要因が伴うと特に女性喫煙者の間で信じられており,この誤解を解くことが重要であると,Addictive Behaviors(2005; 30: 423-435)に発表した。
得られるものははるかに大きい
 研究の結果,体重増加,ストレス,集中力の低下,喫煙者との絶交などが禁煙に伴うマイナス要因(以下禁煙リスク)と思われており,喫煙者における禁煙の動機と成功率の双方を低減させている。禁煙リスクの認識と禁煙失敗との関係は,特に女性で強かった。
 筆頭研究者のMcKee助教授は「禁煙には,こうした誤解を払拭することが重要である。これら一連のリスクは短期的なもので,禁煙により得られる恩恵は,禁煙中に生じるいかなる短期的不快感をもはるかに上回るものである」と述べている。
 また同助教授らは,この研究により,より有効な禁煙プログラム,公衆教育キャンペーン,禁煙支援のインターベンション戦略が作成されると期待している。
 TTURCは,タバコに関する学際的な研究を全米規模で実施している 7 つの主要研究所の 1 つ,同大学ニコチン・タバコ応用研究センターの一部で,米国立癌研究所(NCI),米国アルコール乱用・アルコール依存研究所(NIAAA),米国立薬物乱用研究所(NIDA),ロバートウッドジョンソン財団から助成を受けている。


2005/ 5/26 100本以上の喫煙歴を有する高齢男性は腹部大動脈瘤の超音波スクリーニングを (Medical Tribune Vol.38 NO.21 記事)

〔ニューヨーク〕 米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は,100本以上の喫煙歴を有する65〜75歳の男性に対し,超音波検査による腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングを 1 回受けるよう勧奨するガイドラインをAnnals of Internal Medicine(2005; 142: 198-202)に発表した。同ガイドラインでは,住民対象ランダム化 4 試験の結果を受けて,5.5cm以上のAAAをスクリーニングし外科的修復術を行えば,この集団のAAAによる死亡率が低下すると説明。「腹部超音波検査は認定施設で有資格技師により施行され十分に精度が保証された場合,AAAを正確にスクリーニングできる検査法であるという十分な根拠がある」としている。同ガイドラインによると,同検査は感度95%,特異度はほぼ100%である。
1 回の陰性結果でリスクは事実上除外
 今回のガイドラインは「65歳時に超音波スキャンを 1 回行って陰性の結果が得られた後,AAA破裂により死亡することはまれである。新しいAAAの10年間の発生率は 0 〜 4 %と低く,発現したAAAで直径4.0cmを超えたものはなかったことが複数の研究により明らかになっている。これらの研究から,65歳前後に 1 回行った超音波検査の結果が陰性であれば,将来のAAA破裂あるいはAAAによる死亡のリスクは事実上除外されると見られる」としている。
 USPSTFは,女性に対してはAAAスクリーニングをルーチンに行わないよう勧奨している。その根拠は,女性では大きなAAAの有病率は低い一方,手術による健康障害や死亡,心理学的な障害につながる可能性があるため,女性に対するAAAスクリーニングの不利益が利益を上回ると判断した。しかし,同ガイドラインは個別に対応すべきことも示している。例えば,70歳代前半の健康な女性喫煙者の第 1 度親族に,手術が必要なAAAの家族歴があるような特別な状況では,医師はスクリーニングを検討してもよい。
喫煙歴なければ勧奨できない
 USPSTFは,喫煙歴のない65〜75歳男性に関しては勧奨を行っていない。非喫煙者に対するAAAスクリーニングの相対的な利益と不利益を比較すると,「両者のバランスが非常に均衡しているため,この集団に対する一般的な勧奨を行うことはできない」とUSPSTFは判断した。AAAの家族歴が強い場合は,当然ながらスクリーニングを検討する根拠になるであろう。
 今回のガイドラインは「利益と不利益を比較した場合,喫煙歴のある男性にとっても実際の利益はほどほどにすぎない」と説明している。これは,AAAの治療法自体が無害ではないためである。開腹修復術による手術死亡率は 4 〜 5 %である。また,この手術を受けたAAA患者のほぼ 3 分の 1 に心臓,肺などの重大な合併症がある。さらに,開腹外科的修復術を受けた男性患者はインポテンスのリスクが高くなる。
 65〜75歳男性の場合,5 年間でAAA関連死 1 例を防ぐためには,喫煙者約500例をスクリーニングしなければならない。一方,非喫煙者で同じ予防効果を得るためには約1,783例をスクリーニングする必要がある。さまざまな国で実施された研究により,住民対象超音波スクリーニングで確認されたAAAの有病率は,男性で約 4 〜 9 %,女性で 1 %であることが示された。
EVARは短期的に有効
 同ガイドラインによると,4.0〜5.4cmのAAAを有する男性は定期的に検査を受けるべきで,これにより手術回数が減少することから,死亡率に対する利益はルーチンの待期的手術と同等となる。専門家は3.0〜3.9cmのAAAを有する患者に対して,定期的に繰り返して超音波検査を受けることを勧奨している。また,5.5cm以上のAAAの開腹外科的修復術により,高齢男性のAAAによる死亡が推定43%減少する。しかし,スクリーニングにより,この集団の全死亡率が低下するというエビデンスは今のところ存在しない。
 同ガイドラインでは,血管内動脈瘤修復術(EVAR)は,短期的な死亡率と罹患率の点で開腹外科的修復術よりも有益であることが最近の研究で明らかになったと説明している。一方,AAA破裂と死亡率の減少に対するEVARの長期的有効性は不明である。EVARの長期的悪影響は,遠隔期の開腹修復術への治療内容の変更と動脈瘤破裂である。古い世代の器具を使ってEVARを行った結果,破裂が年率 1 %,開腹外科的修復術への変更が 2 %と報告されている。開腹外科的修復術への変更により,周術期の死亡率は約24%になる。
75歳が上限
 インペリアルカレッジ(ロンドン)のRoger M. Greenhalgh教授らがLancet(2004; 364: 843-848)に発表したEVAR被験者による研究と,ユトレヒト大学医療センター(オランダ・ユトレヒト)のMonique Prinssen博士らがNew England Journal of Medicine(2004; 351: 1607-1618)に発表した研究から,EVARに関する重要な新情報が得られる。新世代のEVAR器具による長期的悪影響は,まだ報告されていない。
 AAAのおもな危険因子は,(1)男性(2)100本以上の喫煙歴(3)65歳以上−だが,ほかにも(1)家族歴(2)冠動脈性心疾患(3)跛行(4) 高コレステロール血症(5)高血圧(6)脳血管疾患(7)高身長−などのよりリスクの低い因子が定められている。
 女性と糖尿病患者はAAAのリスクが低い。第 1 度親族に外科的修復術を必要とするAAAの家族歴があれば男性のAAAリスクは高まるが,女性のエビデンスはそれほど確かではない。同ガイドラインによると,アテローム動脈硬化性疾患の危険因子とAAAとの関連性は弱い。
 高齢者は共存症があり,平均余命が限られているため,スクリーニングの潜在的な利益が低下する。そのため,同ガイドラインはその上限年齢を75歳としている。
 同ガイドラインによると, AAAが確認されるとほとんどの場合外科手術が行われるため,その自然経過を特定することは困難である。あるエビデンスでは,AAA破裂の年間発生率は 5.5〜5.9cmで 9 %,6.0〜6.9 cmで10%,7.0cm以上で33%であった。動脈瘤の拡大率が高い( 1 年当たり1.0cm超)ことが5.5cm未満のAAAに対する待期的修復術を行う決定基準になるかもしれないが,破裂リスクを予測する指標としての拡大の価値はよくわかっていない。


2005/ 5/26 第59回日本口腔科学会〜口腔粘膜疾患〜タバコの煙による曝露期間や量が関係 (Medical Tribune Vol.38 NO.21 記事)

 喫煙が口腔内に悪影響を及ぼすことは明らかであり,特に諸外国に比べ喫煙率が高いわが国では口腔疾患予防のためにも禁煙は重要課題である。鶴見大学歯学部口腔外科学第一講座の堀江彰久氏らは,タバコの煙とアルコール曝露が口腔粘膜疾患に及ぼす影響を明らかにするため,口腔外科受診者を対象に,無記名の質問票による調査を実施。口腔粘膜疾患の発現には,タバコの煙に曝露されていた期間や量が関係することを明らかにした(同研究は平成15年度厚生労働科学研究事業)。
1日20本以上の喫煙歴でリスクが4倍以上に
 方法は,昨年 1 〜 3 月に同大学病院をはじめとする 5 施設の口腔外科外来を受診した20歳以上の患者を対象に,質問票により年齢,性,既往歴,家族歴,喫煙歴の有無,喫煙習慣があったときの 1 日の喫煙量に喫煙年数を乗じたBrinkman指数,飲酒歴の有無,飲酒習慣があったときの頻度に飲酒年数を乗じたSake指数,口腔衛生状態,不良補綴物の有無,口呼吸の有無,歯ブラシ回数,睡眠時間,嗜好品および口腔粘膜疾患の詳細について調査し,それぞれ口腔粘膜疾患との関連性を検討した。
 その結果,有効回答数は1,022であり,毛様白板症やニコチン性口内炎,歯肉炎などの口腔粘膜疾患が30.9%に認められた。
 口腔粘膜疾患の有無は,現在の喫煙習慣や飲酒習慣の有無とは相関しなかったが,喫煙習慣があったときの 1 日の喫煙量,喫煙年数およびBrinkman指数,また飲酒習慣があったときの頻度,飲酒年数およびSake指数,さらに口腔衛生状態,不良補綴物の有無,口呼吸の有無,歯ブラシ回数で有意差が認められた。
 オッズ比を調べると,喫煙習慣があったときの 1 日喫煙量が20本以上の場合,口腔粘膜疾患のリスクは 4 倍以上となり,喫煙年数が40年以上になると2.5〜 4 倍のリスク,Brinkman指数が500を超えると 3 倍以上のリスクとなった(図)。
図:喫煙(Brinkman指数)と口腔粘膜疾患との関係
 以上から,口腔粘膜疾患の発現には,現在の喫煙や飲酒習慣よりも,口腔粘膜がタバコの煙やアルコールにどのくらいの期間や量に曝露されていたかが問題であった。また,口腔衛生状態,不良補綴物の有無,口呼吸の有無,歯ブラシ回数も関与することが示唆された。
 堀江氏は「禁煙運動が高まりつつあるなか,タバコの煙による歯周病への悪影響は認識されてきたが,口腔粘膜疾患や口腔癌との関係はあまり知られていない。今後,さらにタバコの煙と口腔粘膜疾患・口腔癌との関係を裏づけるエビデンスを確立し,国民への啓蒙活動を行っていく必要がある」と強調した。さらに,ガムタバコも口腔粘膜疾患,特に口腔癌との関係が危惧されており,十分な注意が必要と言及した。


2005/ 5/26 親の早期禁煙は子の禁煙に有益 過去最大・最長の介入試験で明らかに (Medical Tribune Vol.38 NO.21 記事)

〔米ワシントン州シアトル〕 フレッドハッチンソン癌研究センター(シアトル)公衆衛生科学部癌予防研究プログラムのJonathan Bricker博士らは,子供が小学校 3 年生になるまでに親が禁煙した場合,青年期に達した子供の喫煙状況に大きな影響を及ぼすことが示唆される,とAddiction(2005; 100: 379-386)に発表した。
子供の禁煙率が2倍に
 ワシントン大学(UW,シアトル)精神科・行動科学の臨床講師で臨床心理学者でもあるBricker博士は,「子供が小学校 3 年生になる前に親が禁煙すると,青年期に達した子供の禁煙率がほぼ倍増することがわかった」と述べている。
 今回の知見は,少なくとも一方の親が常習的な喫煙歴を持ち,その子供は高校 3 年生になるまでに週 1 回以上喫煙をしていたワシントン州の1,553世帯から収集したデータに基づいている。被験者は,ワシントン州の40学区の生徒約8,400人と教師 600人を対象にした過去最大かつ最長の画期的な学校ベースの介入試験であるHutchinson Smoking Prevention Projectの参加者の一部である。
 親の喫煙行動に関する情報は,子供が小学校 3 年生時( 8 〜 9 歳)と高校 2 年生時(16〜17歳)に収集。一方,子供の喫煙行動に関する情報は,子供が高校 3 年生時(17〜18歳)と高校卒業から 2 年後に収集した。
 米疾病管理センター(CDC)によると,1990年代初頭から青少年の日常的な喫煙率は40%近く増加しており,18〜24歳の青少年は他の年齢層よりも喫煙率が高くなっている。さらに,青年喫煙者の禁煙率が低いことから,青年の禁煙を促進する方法の必要性が強調されている。
 同博士は「総体的に見ると,青年の喫煙を標的にした将来的な公衆衛生介入には,まず親の禁煙を促進すべきであることが示唆される」と指摘している。
 研究チームは,同誌(2003; 98: 585-593)に「子供が小学校 3 年生になる前に親が禁煙した場合,高校 3 年生までに喫煙者になる確率を有意に減少させることがわかった」と発表しているが,今回の知見はその研究に基づいている。
 同博士は「 2 つの研究を総合すると,子供が 8 〜 9 歳になるまでに親が禁煙した場合,思春期の喫煙開始が予防され,喫煙した場合でも青年期の禁煙が促進される可能性が示唆される」と述べている。
遅い禁煙は子の禁煙もたらさず
 驚くべき知見として,子供が小学校 3 年から高校 3 年までの時期に親が禁煙しても,青年期になってからの子供の禁煙行動に全く影響を与えないことが示された。
 Bricker博士は「比較的遅い時期に禁煙した親は,子供の記憶に新しいため模倣しやすい行動的役割モデルとなるのではないかと考えていたが,われわれのデータからは遅い禁煙に関する有意な結果は示されなかった。考えられる理由として,今回の研究では比較的遅い時期に禁煙した親を持つ青年期の禁煙者数が不十分であったため,データに統計学的検出力が欠けている可能性がある」と指摘。「遅い時期の親の禁煙について,さらに追究しなければならない。遅い禁煙でも子供の禁煙を促進している可能性はあるが,われわれはこの点について有意な結果を発見することができなかった」と述べている。
親にも喫煙予防プログラムを
 Bricker博士は「今回の研究は,親の禁煙行動が青年期の子供の禁煙に関連しているか否かについて,大集団の親子を長期にわたり追跡した初の前向き研究である。この点が,これまでに行われた他の研究に類を見ない特徴である」と述べている。 しかし,「親の禁煙と青年期の子供の禁煙の関連性に真の因果関係があるか否かについては,ランダム化比較試験を行ってみなければ断定できない」と報告している。
 一方,現在の分析結果から,小児を対象とした主要な喫煙予防プログラムに親を含める有益性が示唆された。同博士は「予防プログラムでは小児だけでなく親も対象にする必要がある。自分が禁煙すれば,将来的に青年期の子供が禁煙しやすくなることを親に気付いてもらう必要がある」と指摘した。
 禁煙を希望する親は,主治医に禁煙ガイダンスを求めることが望ましい。米国では無料の禁煙サポート情報が米国立癌研究所(NCI)とワシントン州保健省から電話,ホームページを通じて提供されている。
同博士は「禁煙の最初のステップは,タバコをやめようという個人的なモチベーションを持つことである。今回の研究は,自分と子供の健康のために喫煙行動をどうにかしたいと考えている親,またはこれから親になる人に,ヒントを与えるだろう」と述べている。


2005/ 5/26 1日60本 肺気腫に… (読売新聞記事

 元全日本男子バレーボール監督(日本バレーボール協会名誉会長)の松平康隆さん(75)にとって、タバコは「長年の友」だった。
 猫田、森田、大古(おおこ)らの選手を擁して悲願の金メダルを獲得した1972年のミュンヘンオリンピック。国民の熱い期待を背に、一つ勝てば息つく暇もなく、次の試合の作戦に頭を巡らせた。
 「勝った負けたの世界。常に精神的な緊張を強いられる」
 お酒が全く飲めない松平さんが、ストレスのはけ口に求めたのが、タバコだった。1日60本のチェーンスモーカー。1本吸い終わるか終わらないうちに、次のタバコに火をつける。
 監督を退いて協会の役職を務めるようになっても、毎週末は全国各地のイベントで、休みは年数日という多忙な日々。片時もタバコを手放すことはなかった。
 そんな松平さんが、体調の異変を感じたのは60歳を過ぎ、ミュンヘン五輪のメンバーで、思い出の地ドイツの古城巡りに出かけた時だ。坂道をすいすい歩くメンバーについて行けない。
 「どうして、そんなに急ぐんだ」と追うと、メンバーは「えっ。普通に歩いてますよ」。
 帰国しても、体を動かすと息切れがひどく、知り合いの医師に胸のエックス線写真を見てもらうと、衝撃的な言葉が告げられた。
 「肺気腫(きしゅ)の疑いがあります。将来、酸素ボンベが必要になるかもしれません。今すぐ、タバコはやめてください」。「長年の友」は、静かに、しかし確実に松平さんの体をむしばんでいた。
 肺気腫では、肺で酸素と二酸化炭素を交換する肺胞という小さな袋が壊れ、慢性的な呼吸困難に陥る。“タバコ病”の代表格だ。
 一度壊れた肺は、元には戻らない。軽ければ呼吸を楽にする運動や気管支を広げる吸入薬で対処するが、重症になれば鼻から入れたチューブで酸素を補う酸素療法を行う。
 東京・市ヶ谷の日本医大呼吸ケアクリニック所長(同大教授)の木田厚瑞(こうずい)さんは「残された肺の機能を生かすためにも、禁煙が治療の大前提です」と強調する。
 「タバコを始めた20代のころは、健康に悪いなんて思いもしなかった」と松平さん。肺気腫と告げられたその瞬間から、すっぱりと禁煙。5年前から、自宅では酸素療法を行っている。
 自宅のある東京・表参道付近は、若者が多く、タバコを吸う姿が目に留まる。
 「バカだなぁ。早死にするぞ」。言葉がのど元まで出る。
 COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患) 肺気腫と慢性気管支炎を合わせて、こう呼ぶ。階段を上る際に息切れしたり、せきやたんが出やすくなったりし、呼吸困難に陥る。患者の9割近くが喫煙者で、日本では40歳以上の8.5%にあたる530万人の患者がいると推定されている。
【写真】タバコをやめてCOPDの治療に取り組む松平康隆さん(左)と木田厚瑞さん(日本医大呼吸ケアクリニックで)


2005/ 5/25 喫煙被害防止で大規模調査実施へ=全国5万5000校で−文科省 (時事通信ニュース速報)

 文部科学省は、学校での禁煙・分煙状況に関する初の調査に乗り出した。都道府県教育委員会などを通じ、全国約5万5000校で「教職員や来訪者がタバコを吸える場所を設けているかどうか」などを調べる。5月末まで調査した上で、夏までに結果を集約。児童・生徒の受動喫煙防止につなげる。同省学校健康教育課によると、こうした大規模な全国調査は初めてという。 調査は小中高校だけでなく、幼稚園も含まれており、国公私立を問わず行う。質問は(1)敷地内はすべて禁煙か(2)建物内のみ禁煙で、校庭などで喫煙できるか(3)建物内に専用の喫煙スペースを設け、分煙を実施しているか―の3項目。 旧文部省は1995年5月、学校での喫煙防止に関する指導を充実させるよう各都道府県教委などに通知。児童・生徒向けに喫煙の危険性を訴えるパンフレットを作製したり、2002年8月に制定された健康増進法を受けて喫煙防止教育を進めたりして、喫煙対策を実施してきた。 ただ、喫煙による健康被害の防止を目指す「タバコ規制枠組み条約」が
今年2月に発効したことを受け、全国調査に乗り出すことを決めた。


2005/ 5/25 健保・企業が禁煙支援 (読売新聞記事

 「できれば、やめたい」 東京都内の外資系運輸会社に勤める小野義人さん(36)は、そう思いながら、1日30本のタバコを吸い続けていた。
 3年前に移転した会社のビルは、全面禁煙。タバコなしでは1時間が限界と思い込んでいた小野さんは、16階のオフィスからエレベーターで1階まで降り、屋外の喫煙所で一服した。雨が降れば、傘を差しても吸いに行く。
 昨年7月、たまたま開いた健康保険組合のホームページで、禁煙支援開始のお知らせが目にとまった。外資系の約460事業所が加盟する外国運輸金融健保組合が、インターネットを通じて禁煙アドバイスを行う支援組織「禁煙マラソン」と提携し、組合員は無料でサービスを受けられる。
 インターネット禁煙マラソンは、奈良女子大教授で医師の高橋裕子さんが主宰し、禁煙の“先輩”が自らの体験に基づく励ましやアドバイスのメールで、禁煙を手助けする。携帯電話でも参加できる。1997年のスタート以来約5000人が参加した。
 小野さんは、すぐさま申し込んだ。いざ禁煙を決意しても、3週間ほどは、タバコを捨てては翌朝また買ってしまう繰り返し。「また吸っちゃいました」と落ち込んでメールを送ると、「苦しいと思わず、禁煙を楽しみましょう」といったメールが1日2通は届く。
 おかげで、何とか禁煙を続けている小野さん。「ただ、建物内を禁煙にするだけではなく、タバコをやめたい人への支援があると助かります」と話す。
 受動喫煙防止を定めた健康増進法の施行(2003年5月)などを受け、健保組合だけではなく、企業も積極的に禁煙化、分煙化に乗りだし、禁煙支援を始めている。
 東京電力は男性社員が9割を占める事情から、喫煙率は45%だが、「将来的には全面禁煙を目指す」との方針を掲げ、昨年、社員用ホームページに喫煙対策推進サイトを開設。会社が費用を負担して、産業医からニコチンパッチの処方(3枚)を受けたり、禁煙マラソンに参加したりすることができるようにした。
 先月には、建物ごとに独立した排気ができる喫煙室を設け、全事業所を完全分煙化。各階ごとに喫煙所があった東京本店では、喫煙室は1か所に制限した。
 法的な後押しで禁煙化が進むなかで、禁煙を手助けする仕組みを提供することも重要だ。

 タバコをやめてから
 ・肩こりや頭痛が消えた
 ・せきやたんが治まり、ぜんそくが出なくなった
 ・かぜを引きにくくなった
 ・月経痛が軽くなった
 ・階段で息切れしなくなった
 ・肌がきれいになった
 ・1オクターブ高く歌えるようになった
 ・ゴルフで70台のスコアが出た
 ・喫煙場所を探す必要がない
 ・吸わない人に遠慮しないですむ
 ・胸ポケットが軽くなった
 ・薄味の微妙な料理の味がわかる
 ・朝の起床時の気分がさわやか
 ・部屋がきれいになった
 ・集中力が増して、碁が強くなった
 ・自分に自信がもてるようになった
 ・「臭くない」と孫から言われた
 ・浮いたタバコ代で、海外旅行に行った
 (インターネット禁煙マラソン体験談〜事務局長・三浦秀史さんのまとめから)
【写真】東京電力本店では、分煙化のため会議室を喫煙室にした。いずれはここもなくなる運命?(東京・千代田区で)


2005/ 5/24 まな娘の一言で禁煙決意 (読売新聞記事

 「お誕生日のプレゼントは何がいい?」。昨年11月、お風呂で一人娘の莉紗子ちゃん(7)に尋ねた埼玉県熊谷市の会社員村山孝夫さん(41)は、予想もしなかった娘の答えに胸を突かれた。
 「お父さんに、タバコをやめてほしいの」
 独り暮らしだった学生時代にタバコを覚えて以来、毎日20本。のどが時々痛むし、体に悪いのは頭では理解していた。妻の晴美さん(38)からも、たびたび禁煙を持ちかけられていたが、やめきれずにいた。
 「お父さんが早く死んじゃ、いや」と言うまな娘のお願いに、「さすがにグッと来ました」と、村山さん。たまたま職場の上司が使っているのを目にしたニコチンパッチを試してみようと、市の広報で見かけた同市の「いのクリニック」の禁煙外来を訪ねた。
 やめたいのにやめられないのは、ニコチン依存のせい。皮膚に張ったパッチからニコチンを吸収させることで、禁煙に伴う禁断症状を和らげる。「これで駄目だったら」と不安がる村山さんに、院長の井埜(いの)利博さんは「何度でも挑戦すれば良いんです」と背中を押した。
 同市医師会は3年前から、親が喫煙する小学4年生の尿中ニコチン代謝物質を測定するユニークな検診を行っている。両親が喫煙者だと6割、片方でも3割の子供から検出される。
 ニコチン代謝物質の多い子供ほど、善玉コレステロールの値が低く、受動喫煙によって子供のころから動脈硬化の危険性が高まることが分かった。もともと小児科の井埜さんは「子供の健康は、親の禁煙から」と、禁煙支援にも熱心だ。
 娘の誕生日から間もなく禁煙を始めた村山さん。ニコチンパッチのおかげか吸いたい気持ちは起きず、1週ごとにパッチは小さいものに変わった。「お父さん、がんばってるね」と、妻と娘。3週目の半ばで、パッチはいらなくなった。
 あれから5か月余り。喫煙者が部屋に入ってくるだけで、においが鼻につく。換気扇の下や玄関先で吸って、気を使ったつもりだった自分も、「あんな風に煙をまき散らしていたのか」と気づいた。
 会社では、タバコで席を離れることがなくなり、集中できて仕事がはかどるようになった。食欲が増して少し太ったのは「健康になった証拠」と割り切り、スポーツクラブにでも通おうと計画中だ。

 今月31日は世界禁煙デー。タバコから自由になった人生へ。1歩踏み出してみませんか。
 喫煙率 2003年の国民健康・栄養調査によると、男性が46.8%、女性で11.3%。男性では30歳代が56.8%と最も高く、女性では20歳代の19.2%が最高で、ともに年齢が上がるほど喫煙率は下がる。喫煙者のうち男性では24.6%、女性では32.6%が「やめたい」と答えている。
【写真】「パパがタバコをやめて良かった」と家族から祝福される村山孝夫さん(熊谷市の自宅で)


2005/ 5/24 SL客車内も禁煙です 1日から大井川鉄道 (静岡新聞記事

 SLが吐き出す煙は入っても、タバコは禁止です―。大井川鉄道(島田市)は23日、6月1日から観光客に人気の蒸気機関車(SL)の客車内を禁煙にすることを決めた。
 同社は一般の電車内は禁煙、SL客車内は昔のまま喫煙可としていた。家族連れや嫌煙家から「なぜSLだけ喫煙可なのか」という声が多数寄せられたのを機に社内で検討し、6月から禁煙に踏み切ることにした。
 ただ、SLが引っ張る客車16両は昭和14―29年製で「文化財的な価値もあり」(同社)、客席についている灰皿はレトロ感を醸し出す小道具の1つとなっているため、灰皿は撤去せずに従来のままとする。「乗客に経緯を説明して理解を得ていきたい」としている。


2005/ 5/23 「事務室内は禁煙」9割弱、省庁の喫煙対策調査で判明 (読売新聞記事)

 人事院は23日、中央省庁や国の出先機関の喫煙対策に関する調査結果を発表した。
 2003年に策定した「事務室内は禁煙」とする指針に従っている職場は87・8%で、指針策定前よりは大幅に増加したが、1割強は依然として事務室内での喫煙を許していることがわかった。
 調査対象は、中央の本府省とすべての管区機関のほか、税務署や財務事務所などの出先機関の約10分の1を抽出した計843か所。
 事務室内禁煙は、99年の前回調査では30・5%だったが、指針策定を受けて急増した。全体の約1割は庁舎内を全面禁煙にしていた。一方、9・8%が事務室内に喫煙コーナーを設け、2・4%は事務室のどこででも喫煙が可能だった。
 人事院は「対策が不十分な点を個別に指導し、指針を周知徹底したい」としている。
 人事院は、公共の場での受動喫煙防止を目指す健康増進法の2003年5月の施行を受け、喫煙を庁舎内の指定場所に限り、事務室での喫煙を禁止する指針を同年7月に策定した。


2005/ 5/23 浜銀頭取に小川元大蔵次官(元JT会長) 平沢会長兼頭取は会長 (共同通信ニュース速報)

 横浜銀行は23日、元大蔵事務次官の小川是氏(65)を頭取に迎える人事を発表した。平沢貞昭会長兼頭取(73)は会長専任となる。6月28日の株主総会後の取締役会で正式決定する。
 同行の頭取ポストは、大蔵事務次官OBの指定席。平沢氏は1994年から頭取を務めており、小川氏に交代することで若返りを図る。同行生え抜きの藤川雍中副会長は退任する。
 小川 是氏(おがわ・ただし)東大卒。62年大蔵省(現財務省)。国税庁長官、事務次官などを経て、01年6月から04年6月まで日本タバコ産業会長。65歳。東京都出身。


2005/ 5/23 中央省庁の分煙対策不十分 喫煙室設置は半数どまり (共同通信ニュース速報)

 中央省庁や出先機関のタバコ対策で、完全に仕切られた喫煙室を設置しているのは約半数にとどまり、分煙が不十分であることが23日、人事院の調査結果で分かった。庁舎内の全面禁煙は約1割だけで、中央省庁ではゼロだった。
 人事院は2003年に喫煙室の設置などを求める指針を出しており、中央省庁と全国の出先機関計843カ所を対象に今年1月時点で調査を実施した。
 事務室を禁煙にしているのは740カ所、87・8%で、6年前調査の30・5%から改善したものの、喫煙室を設けているのは444カ所、52・7%にとどまった。
 仕切りも排気装置もない喫煙コーナーの設置にとどまる官庁も多く、受動喫煙対策は不十分。
 人事院は今後、指導を徹底するが、全面禁煙については「中央省庁は庁舎が大きく、タバコを吸うたびに外に出るのは難しい」と話している。


2005/ 5/21 31日から「煙断運動」長野県が禁煙キャンペーン展開 (中日新聞記事

 今月31日の世界禁煙デーに合わせ、県は「タバコによる害のない信州」の実現に向けた禁煙キャンペーン「ケムダン(煙断)運動」(31日−6月6日)を展開する。昨年12月から始めている県有施設の敷地内禁煙を拡大、住民により身近な存在である市町村有施設での禁煙実施を各自治体に働き掛ける。(小笠原 寛明)
 県は昨年度から本格的に禁煙推進の取り組みを進めており、敷地内禁煙のほか、県職員の禁煙相談を行っている。県保健予防課によると、県職員の喫煙率は昨年五月現在で22・3%だったのに対し、ことし二月現在で17・7%に下がるなど、一連の取り組みが一定の成果をあげている。
 ケムダン運動では、期間中に保健所長が管内の自治体に直接出向き、市町村有施設における敷地内禁煙の実施を要請。期間後も継続的に協力を求める。同課によると、すべての施設における禁煙、または分煙を実施している自治体は昨年十二月現在で茅野市、泰阜村など二十七市町村にとどまっている。
 施設別にみると、児童館や図書館、児童社会福祉施設では比較的高い割合で禁煙が実施されているが、市町村役場、公民館は低い割合にとどまっている。「分煙といっても、仕切りのない喫煙スペースを設ける程度のところもあると考えられる」といい、自治体によって禁煙に対する意識には温度差がある。同課は「敷地内禁煙の実施で喫煙者が減少するといった研究データもある。地道に協力を呼び掛けたい」と話している。
 期間中にはこのほか、県内のすべての中学・高校生にタバコが身体に及ぼす影響を解説した冊子を配り、未成年者の喫煙防止にも努める。また、県庁前に待機するタクシーについて、禁煙車両の専用乗り場を設ける。


2005/ 5/19 『商品箱に吸い殻…』不快感と無“煙”に 市中央卸売市場/金沢 (北陸中日新聞記事

 金沢市西念の市中央卸売市場が六月から、場内全面禁煙となる。生鮮品を扱う市場のイメージアップが狙いで、北陸では福井市に続き二番目。ことしになって市立病院や金沢駅の東西広場も禁煙化されるなど、市の公共施設にも動きが広がっている。 (嶋津栄之)
月末に灰皿撤去 市の施設続々禁煙
 同市場は毎日、千人以上の仲買人や業者などが出入りする。これまでも分煙を呼びかけたが、くわえタバコの競り人もおり、商品の箱に吸い殻や灰が落ちていたとの苦情もあった。卸売業者らでつくる卸売市場運営協会と市で協議し、五月末で場内の灰皿を撤去、特に競りの時間帯は禁煙徹底を指導することにした。同協会の長野鉄義事務局長は「生鮮品を扱う場として当然。時代の流れであり、全国的にも禁煙が主流」と説明する。
 金沢市は一昨年五月の健康増進法施行で公共施設の禁煙化を進めているが、ことし一月現在、敷地内の全面禁煙や完全分煙(副流煙が漏れない措置)をしたのは小中学校も含む二百十五施設のうち、百三十三施設。教育や保健福祉、文化施設が中心で、不特定多数の人が出入りするホールや図書館などは従来通り、喫煙コーナーがある。
 だが、ことし一月に市立病院が施設内の全面禁煙に踏み切り、三月にはJR金沢駅の東西広場も事実上の禁煙に。東広場の開場に合わせて西広場の灰皿を撤去、東広場は灰皿を置かなかった。昨年十月開館の金沢21世紀美術館も「快適な空間にする」ため、館内レストランも含めて喫煙を認めないなど、動きが定着しつつある。
 禁煙対策を推進する市保健衛生課は「禁煙施設がどの程度増えているのか、現在あらためて調査中。今後も対策を指導していく」と話している。
【写真】毎日のせりには1000人以上が出入りする金沢市中央卸売市場。6月から全面禁煙となる=同市西念で


2005/ 5/16 ファンケル、タバコの副流煙がイヌに与える悪影響と抗酸化サプリメント投与の有用性を発表 (日経新聞記事

第59回 日本栄養・食糧学会にて発表
「イヌにおける副流煙暴露に対する抗酸化サプリメント投与の有用性」について
〜タバコの副流煙がイヌにも悪影響を与えることが明らかに〜
 株式会社ファンケル(本社:横浜市中区、代表取締役社長執行役員:藤原謙次)では、2003年6月より、愛犬のためのサプリメント「グッドペットシリーズ」を販売しております。発売以来、ファンケル中央研究所において、有効性について研究を重ねております。
 この度2005年5月14日(土)、第59回日本栄養・食糧学会(於:東京農業大学)にて、「イヌにおいてもタバコの副流煙を吸い込むことで体内の酸化レベルが高まり、健康へ悪影響を与える可能性がある」という研究結果を発表致しました。
 以下に発表資料を明記いたします。
−イヌにおける副流煙暴露に対する抗酸化サプリメント投与の有用性−
 水谷 尚1、金子 いづる2、辻 智子2、岩瀬 健二1、左向 敏紀1、廣瀬 昶11日本獣医畜産大学獣医内科学教室、2(株)ファンケル中央研究所
【 目 的 】
 喫煙は活性酸素を発生させる原因の1つですが、その副流煙は周囲の者にも悪影響を与えるとして問題となっています。近年、愛玩動物の室内飼育が急増しており、愛玩動物の健康にも影響を与えていると考えられます。そこで今回、ヒトの健康診断用フリーラジカル※1分析システムを用いて、副流煙暴露によるイヌの血中過酸化脂質量※2の変化を検討し、さらに抗酸化サプリメント投与の有用性についても検討しました。
【 方 法 】
 副流煙を充満させた1.3×1.25×1.4mの密閉した部屋内に健常1〜3歳齢のビーグル犬を30分間繋留し、副流煙による暴露をしました。暴露前および30分間の暴露終了後0、30、60、90、および120分に採血し、フリーラジカル分析システムFRAS(Free Radical Analytical System)((有)ウイスマー社)を用いて血中の過酸化脂質濃度、およびスポットケムバイダスSV−5010型※3を用いて血清コルチゾール※4を測定しました。試験終了後、一定期間おいた後、供試犬に次に、抗酸化サプリメントの有用性を評価するため、1)代表的な抗酸化物質であるビタミンC350mg、ビタミンE100mg、カロテノイド5.77mg、CoQ10 10mgの純製剤、または、2)イヌ用サプリメント(マルチビタミンミネラルサプリメント(ビタミンC0.132mg、ビタミンE1.11mg、カロテノイド0.225mg、CoQ103mg)((株)ファンケル製)を、1日1回、午前の給餌後に経口投与し、14日間の投与終了後、同様の実験を行いました。
【 結 果 】
 血中過酸化脂質量は副流煙暴露により有意に増加し、その後徐々に減少するものの150分後においても、もとのレベルにまで回復しませんでした。一方、代表的な4種類の抗酸化物質あるいはイヌ用ビタミンミネラルサプリメントをあらかじめ14日間投与した後では、いずれも副流煙暴露による血中過酸化脂質量の増加は認められませんでした。血中コルチゾールは副流煙暴露により一過性の有意な上昇が見られましたが、いずれのサプリメント前投与により、その上昇が抑制されました。
【 結 論 】
 イヌにおいてもタバコ副流煙暴露によりフリーラジカルの上昇が認められました。愛煙家の所有するコンパニオンアニマルは高度の酸化的ストレスが加わっているものと考察されます。このストレスの軽減のため、抗酸化物質を含むサプリメントは有効である可能性が示されました。
【 まとめ 】
(1)イヌにおいてもタバコ副流煙を吸い込むことで体内の酸化レベルが高まり、健康へ悪影響を与える可能性があることが明らかとなった。
(2)継続的な抗酸化ビタミン(弊社ペットサプリ「ビタミンミネラル」)の摂取によって酸化レベルは抑制できた。
 ⇒ペットの健康においても抗酸化ビタミン摂取は重要である
〜用語解説〜
*1 フリーラジカル
 不安定で反応性の高い原子や分子のこと。もっとも身近なフリーラジカルとしては活性酸素があげられる。
*2 過酸化脂質
 生体に存在する脂質が活性酸素などによって酸化されて生じることから、生体での酸化ストレスの指標となる。動脈硬化などの疾病や細胞老化時に、過酸化脂質量は増加する。
*3 スポットケムバイダスSV−5010型
 蛍光酵素免疫測定法を採用した自動蛍光免疫測定装置。ホルモンやいろいろな病気に関連する指標を感度・特異性高く測定することができる。
*4 コルチゾール
 ストレスを感じたときに分泌されるホルモン。


2005/ 5/13 元甲南女子大学長の鯵坂二夫さん死去 学内禁煙を実施 (朝日新聞ニュース速報)

 教員養成問題に取り組んだ教育学者で元甲南女子大学長の鯵坂二夫(あじさか・つぎお)さんが12日、大腸がんで死去した。96歳だった。通夜は15日午後7時、葬儀は16日午後1時から京都市東山区五条橋東3の390の公益社中央ブライトホールで。喪主は長男で関西大名誉教授の真(まこと)さん。自宅は公表していない。
 鹿児島県生まれ。鹿児島大学教授などを経て、50年に京都大学教授。教育学部長などを務め、72年から93年まで甲南女子大学(神戸市)学長。
 74年に教員大学院大学設置を検討する文部省(当時)の調査会の座長、78年には文部省の教育職員養成審議会会長を務めた。
 甲南女子大学長時代には「良き母をつくる」をモットーに、「将来の母親として赤ちゃんの健康まで阻害するのは許されない」と、学内禁煙を実施して話題になった。


2005/ 5/13 「喫煙、好ましくない」=プロ野球球団を初調査−7球団は回答せず・禁煙医師連盟 (時事通信ニュース速報)

 日本禁煙推進医師歯科医師連盟が行ったプロ野球12球団に対する初の喫煙対策調査の結果が、13日までにまとまった。回答したのは読売ジャイアンツなど5球団だけで、7球団は回答しなかった。5球団の多くは「喫煙は好ましくない」とした。日本のプロ野球選手の喫煙率は40%前後とみられている。 3月上旬、各球団社長に調査書を郵送した。回答したのはほかに、中日ドラゴンズ、広島東洋カープ、オリックス・バファローズ、千葉ロッテマリーンズ。 選手の喫煙について、5球団のうち4球団が「選手に限らず好ましくない」とし、オリックスは「喫煙すべきではない」と明言した。中日は「未成年でなければ自己決定」とした。 球団施設の受動喫煙対策では、未成年者が使用する部屋を禁煙にしたり、公共部分を禁煙にしたりするなど5球団とも対策を取っていた。 今後の対策では「スカウト時に禁煙を呼び掛ける」(中日)、「ユニホーム姿の時は喫煙を制限する」(広島)のほか、「講演会、研修会の開催」などが挙げられた。巨人、広島は「若い選手を中心
に喫煙率は下がっている」と回答した。 調査を担当した同連盟の大橋勝英医師(愛媛県・大橋胃腸肛門科外科医院)は「回答しなかった球団が多く残念だが、回答した5球団は今後の喫煙対策に目が向き始めているようだ。しっかり取り組んでほしい」と話している。


2005/ 5/11 ドイツマスコミスキャン〜喫煙大国に変化の兆し  (JANJAN記事

 → http://www.janjan.jp/media/0505/0505066729/1.php


2005/ 5/11 万引き、2割が「問題でない」=中高生の意識変わらず−東京都調査 (時事通信ニュース速報)

 東京都は11日、万引きに関する中高生の意識調査結果をまとめた。昨年2月の前回調査と同様に、約2割が「問題でない」と回答。都や警視庁、小売業界などの関係者が昨夏から、万引き防止に向けた取り組みを強化しているにもかかわらず、中高生の意識に変化が見られない実態が浮き彫りとなった。 都は「万引きは犯罪行為であるというメッセージが、まだまだ浸透していない。今後も普及啓発や防止策に取り組みたい」(青少年育成総合対策推進本部)としている。  昨年に続き2回目となる調査は、都内在住の中高生約1100人を対象に今年4月に実施。万引きに対する意識は「絶対にだめ」が75.7%なのに対し、「大きな問題ではない」が19.9%、「さほど問題ではない」が3.4%だった。 また、麻薬・脱法ドラッグとタバコについても質問。「絶対にだめ」は麻薬・脱法ドラッグが93.9%、タバコが59.7%だった。


2005/ 5/11 「吸ったら返金」違法 労基署勧告、会社は反発 (共同通信ニュース速報)

 タバコ追放のため社員に禁煙手当を支払っている基礎化粧品メーカーのヒノキ新薬(阿部武彦社長、東京都千代田区)が、喫煙した社員に手当を返還させる社内規定を設けているのは労働基準法違反の疑いがあるとして、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが11日分かった。
 禁煙の取り組みに給与が絡み思わぬ「待った」がかかった形で、ヒノキ新薬や禁煙推進団体は「タバコ対策を進めている厚生労働省の出先機関が、禁煙対策を妨害するとは」と反発、異議申し立ても検討している。
 11日に厚労省内で記者会見した阿部社長によると、同社は「ヒノキ肌粧品」のブランド名で商品がヒット。「肌の健康と美しさ」のため禁煙運動を展開し、1990年から本人の申請を基に禁煙者に「健康維持管理手当」として1人年9600円の「ご褒美」(阿部社長)を払ってきた。
 93年からは社員個人名義の積立金にし、運動など健康増進のために使うとき申請して引き出す仕組みに変更。額も月額1万3000円に増やした。
 ところが今年1月、全社員を対象に唾液(だえき)調査した結果、2人の喫煙が判明。「約束違反」と積立金の引き出し分を給料から天引きしたため、男性1人が労基署に訴え出て調査が入った。男性は20万円天引きされ2月に退職したという。
 労基署は4月の勧告で「違反者で退職、解雇された者の受け取った積立金は全額返還」という積立金規定について「積立金は賃金で、あらかじめ損害賠償や違約金を決めた契約は違法」として労基法違反と判断し、今月16日までの是正を求めた。
 阿部社長は「社員の健康維持が目的。15年続けて来た制度で、社員は100%利用している。勧告は不当」と批判。同席したタバコ問題情報センターの渡辺文学代表は「ヒノキ新薬はいち早く禁煙運動に取り組んできた。労基署の対応はタバコ規制枠組み条約の精神に反する」としている。


2005/ 5/ 8 喫煙所どーする?路上禁煙の自治体 (読売新聞記事

 → http://www.yomiuri.co.jp/iryou/life/li550801.htm


2005/ 5/ 7 子どもの誤飲事故、「タバコ」が4割 (日経新聞記事

 異物をのみ込み窒息などを起こす子どもの「誤飲事故」のうち、約4割を「タバコ」が占め、昨年度も嘔吐(おうと)が止まらないゼロ歳児が入院した例があったとの調査を国民生活センターがまとめた。幼児のニコチンの急性致死量はタバコ1本から半分といい、同センターは「危険物という意識を持ち、子どもの手の届くところに置かないでほしい」と呼びかけている。
 国民生活センターが全国20の総合病院から情報提供を受け、10歳未満の子どもの誤飲事故について調べたところ、2000年4月から05年1月末、誤飲で子どもが病院にかかった例は計2714件。窒息症状から低酸素症になり、死亡した事例もあるという。


2005/ 5/ 5 道警が全303カ所の交番を禁煙 1通の投書きっかけ、健康配慮 (北海道新聞記事)

 道警が全道の交番を二月上旬から禁煙にしていたことが、四日分かった。警察官にタバコを吸いながら対応され、不快感を持った女性が道公安委員会に投書したのがきっかけとなった。公安委は道警に改善を求め、道警地域部が全道三百三カ所すべての交番を禁煙にした。
 道警などによると、投書は今年一月ごろ、道公安委に送られた。女性は子供と一緒に交番で落とし物の手続きをした際、警察官が喫煙していたことについて「とても不快な思いをした」と訴えてきたという。
 投書を読んだ公安委は二月上旬、「市民と対応する交番が煙で充満するのは問題。話をする際は配慮が必要」と、道警に改善を要請した。道警地域部は、全道の交番事務室の禁煙を決め、喫煙場所を事務室裏の換気扇のある台所などに限定した。
 また、全道四百三十七カ所の駐在所にも禁煙の努力をするよう伝えたという。
 同部は「吸わない人が増えているのが現状なので、市民の声を受け、積極的に対処した」と説明している。
 道警本部や各警察署は数年前から、職員の喫煙を指定した場所に限っている。愛煙家で交番勤務の警察官の一人は「禁煙は市民の健康のためにも大切なこと」と話している。


2005/ 5/ 4 喫煙論争:運転中は危険か安全か 独議員が禁止法案提出も (毎日新聞記事)

 自動車を運転中の喫煙は危険か安全か−。ドイツ連邦議会で「喫煙運転」をめぐる論争が起きている。
 3日付の大衆紙ビルトで連邦議会のダンカート議員らが、運転中のタバコを禁止すべきだと訴え禁止法案提出を示唆したのがきっかけ。同議員らは、既に携帯電話使用が禁止されたことを例に「喫煙は事故の確率を劇的に上昇させる」と主張。
 これに対してシュトルペ運輸建設相は同日、「安全性とは無関係」と反論。日本に比べてタバコに極めて寛容なドイツらしく、運輸省報道官も「事故増加の科学的根拠はない」と支持、自動車団体からは「チョコやバナナを食べても危険だろう」と反発が相次いだ。
 ニュース専門テレビは、くわえたタバコが事故時にエアバッグに穴をあける場面の映像を流したが、同テレビが実施した電話調査では、タバコ禁止に賛成した回答者は37%で、反対の63%が大きく上回った。(ベルリン共同)


2005/ 5/ 3 【香港】オフィス・飲食店完全禁煙化=法案発表 (NNA記事)

香港政府の衛生福祉・食物局が、タバコ追放に向けた動きを加速させている。同局はオフィスや飲食店などを完全禁煙とするほか、喫煙が健康に有害であることを示す写真をタバコに大きく表示することを義務づける喫煙(公共衛生)条例の改正案を4月29日に官報で告示。近く正式に立法会に提出する。広告などによる反タバコキャンペーンも強化した。これに対し「完全禁煙化は客足を遠のかせ、経営を危機に陥れる」と反対する飲食業者らは、1日の夜にネオンを消すなどして抵抗している。
衛生福祉・食物局が官報で告示した喫煙(公共衛生)条例改正案は◆オフィス◆飲食店◆カラオケ店、雀荘など娯楽施設◆病院◆教育機関――などを一律に禁煙とすることを規定。施行から完全実施までの周知期間は3カ月にとどめた。立法会が原案通り可決・成立させれば、愛煙家にとっては厳しい時代が到来しそうだ。
■喫煙者への「恐怖感」狙う
また現行法では、タバコには文字で香港政府の忠告として◆皮膚の老化◆性的不能◆死◆毛細血管系の疾病◆肺がん◆間接喫煙による家族への害――の6種類の疾病や害のうち、いずれか1つについて「引き起こす恐れがある」と表示することになっているが、
改正案ではその疾病や害を示す写真表示も義務化される。毛細血管系の疾病を示す写真は血まみれの足、死を示す写真は骸骨の模型とかなり強烈で、当局は喫煙者に恐怖感を与える効果を狙っている。表示面積も現行の「縦2.4センチメートル×横5センチ(正面パッケージ面積の20%)」から「正面パッケージ面積の50%」に大幅に拡大。表示する疾病や害の種類は2カ月毎に代えることになっている。周知期間は1年。同期間経過後は、違反したメーカーは5,000HKドルの罰金だ。
衛生署の梁挺雄副署長は、同様の表示が外国で禁煙推進に効果を上げていると説明。2000年にこの方式を導入したカナダでは、喫煙者の44%が写真入り警告表示を見て「禁煙する気になった」と回答した例や、シンガポールやタイも同様の政策採用に踏み切ったことなどを挙げた。
■無煙化キャンペーンも
当局は禁煙政策強化の必要性を市民に理解させようと、宣伝活動でもさらに踏み込んだ。系列の香港喫煙健康委員会はこのほど、地下鉄(MTR)車内などに、タバコのないオフィスや飲食店の実現を呼びかける広告を張り出したほか、テレビでも間接喫煙の害を訴えるCMを放送している。
■飲食業界など「死活問題」
一方、一律禁煙化に強く反発している飲食店や娯楽関連店舗約500店は、1日の午後9時から午前0時までの間、ネオンを消して政府に抗議した。参加した店舗のうち約200店が九龍のジョーダンから旺角までのネイザンロード沿いだったため、一帯はいつもの華やかさから一転、暗くなった。抗議行動を主催した「飲食娯楽禁煙条例関心グループ」の責任者、駱国安氏は「一刀両断式の禁煙政策はナイトライフに深刻な打撃を与え、香港は『東洋の真珠』の輝きを失う」と香港政府を非難。参加した業者の中には「完全禁煙化されれば売り上げは30〜40%落ちる」「廃業せざるを得なくなる」と訴える声もあった。
またタバコ関連の業界団体は、コストが増え銘柄の区別もつきにくくなるとして、警告表示のスペース拡大に不満を示している。
だがこれまでのところ、衛生福祉・食物局は禁煙強化策を既定方針通り推し進める構え。立法会でも飲食・観光関連業界をバックにする議員を除き、多くの議員が賛成に回る可能性が高いとみられる。


2005/ 4/27 タバコ販売は6年連続減 日本タバコ協会発表 (共同通信ニュース速報)

 日本タバコ協会が27日発表した紙巻きタバコ販売実績によると、2004年度は2926億本と、前年度の実績を2・3%下回った。健康志向の高まりなどで喫煙者が減ったためで、6年連続のマイナス。
 ただ、タバコ税が03年7月に引き上げられた影響(同年6月までは旧価格)で、販売額は4兆682億円と0・1%上回った。外国タバコは2・1%減の794億本で、シェアは横ばいの27・1%だった。


2005/ 4/22 喫煙者 男性半数・女性60% 禁煙試みるもやめられず (NHKニュース速報)

 習慣的にタバコを吸っている人のうち、男性は半数、女性は六十パーセントが禁煙を試みたことがあり、タバコをやめたくてもやめられない人の多い実態がわかりました。
 これは厚生労働省が行った国民健康栄養調査でわかったもので、おととし十一月、全国四千百余りの世帯の人を対象に、日頃の生活習慣などを調査し、特に「タバコ」について重点的に調べました。
 それによりますと、習慣的にタバコを吸っている人の割合は、男性が四十七パーセント、女性が十一パーセントとなっています。
 このうち禁煙を試みたことがある人は、男性が半数、女性が六十パーセントに上り、禁煙を試みた回数も平均で、男性が四・六回、女性が三・六回でした。
 また、タバコを吸っている人のうち全く吸わずに一日過ごすことが「とても難しい」、もしくは「難しい」と答えた人は、男性が八十七パーセント、女性が八十一パーセントと高く、タバコをやめたくてもなかなかやめられない人の多い実態がわかりました。
 厚生労働省は市町村で禁煙指導プログラムを作成して禁煙希望者を支援するなど、健康のために喫煙率の低下をめざしタバコ対策に一層取り組みたいとしています。


2005/ 4/21 国民医療協 禁煙活動の推進方針を採択 (社会保険旬報記事

 四師会など37団体で構成する国民医療推進協議会(会長=植松治雄・日医会長)は15日に東京・駒込の日医会館で総会を開き禁煙活動に取組むことを決めた。冒頭に挨拶した植松会長は、約600万人分の署名を国会に請願した結果、混合診療の全面解禁を阻止できたと報告。国民の医療や健康を守る活動を通じて市民との連帯感を強めていく考えを示した。
 次いで、日医の土屋隆常任理事、日本看護協会の古橋美智子副会長、日本歯科医師会の石井みどり常務理事、日本薬剤師会の工藤義房副会長が各団体の禁煙活動への取り組みを報告した。
 これを受けて日医の櫻井秀也副会長は協議会が行う「禁煙活動の推進方針」を提案し、採択された。櫻井副会長は、タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約をきちんと実行するのは国の責任であると強調。「タバコの価格を2倍に引き上げれば、2〜30%の人が喫煙をやめる。また、その費用を生活習慣病の改善に使える」と訴えた。今後、政府・関係団体に禁煙活動推進の要望書を提出するとともに、都道府県協議会の協力を得て、禁煙活動の全国展開をめざす。
 禁煙活動の推進方針の概要は次のとおり。
(1)タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約のタバコ価格の引き上げ、受動喫煙の防止、タバコの警告表示の強化などの対策を実行する。
(2)喫煙が健康に及ぼす悪影響について知識の普及、受動喫煙の防止、未成年の喫煙防止が重要である。
(3)タバコの価格引き上げはタバコの消費、特に未成年の消費を減少に有効かつ費用対効果が高い方策である。
(4)推進協議会は、タバコ価格の大幅な引き上げと税収を健康のための施策の財源に充てるよう要望する。


2005/ 4/21 タバコやめたいが…、半数が禁煙に失敗・厚労省調査 (日経新聞記事)

 タバコを習慣的に吸う人の半数以上が禁煙を試みた経験を持ち、男性では平均5回近くに上ることが21日、厚生労働省の「2003年国民健康・栄養調査」で分かった。多くの喫煙者が健康への影響を心配しながら、なかなかやめられない実態が裏付けられた形。働き盛りの男性の3人に1人が肥満と判定されるなど、国民の健康をめぐる状況も依然、改善していない。
 厚労省が同日開いた地域保健健康増進栄養部会で明らかにした。調査は03年施行の健康増進法に基づき、従来の「国民栄養調査」を拡充したもの。今回はタバコなどに重点を置いた。同年11月に、無作為抽出した全国300地区の約4200世帯の人に聞いた。


2005/ 4/21 喫煙者の半数、禁煙試みた 男性4・6回女性3・6回 (共同通信ニュース速報)

 習慣的にタバコを吸っている人の半数以上は禁煙を試みたことがあり、その回数は男性が平均4・6回、女性は3・6回に上ることが21日、厚生労働省の2003年国民健康・栄養調査の速報値で分かった。
 同日開かれた地域保健健康増進栄養部会で厚労省が報告。「やめたいけど、やめられない」人がいかに多いかを示した。
 調査は03年11月に無作為抽出した全国の4160世帯を対象に実施。成人男女計9000人余りに、タバコについて重点的に質問した。
 それまでの1カ月に毎日か時々タバコを吸っている「習慣的な喫煙者」は男性の46・8%、女性11・3%。このうち「禁煙を試みたことがある」人は男性が53・5%、女性は60・8%で、平均禁煙回数は男性4・6回、女性3・6回だった。


2005/ 4/18 肺CT検査継続 禁煙に“効果” (読売新聞記事)

 コンピューター断層撮影法(CT)による肺がんの検査を3年続けて受診した喫煙者は、全く検査を受けない喫煙者より2倍以上も、禁煙率が高かったことが米国のメイヨー・クリニック(ミネソタ州)の調査でわかった。
 禁煙の動機付けに、継続的なCT検査が有効であることを示すもので、米がん学会誌(電子版)で報告した。
 研究グループは、調査開始時に喫煙していた926人を対象に、年1回のCT検査を継続的に受けたかどうかと禁煙行動との関係を3年間にわたり調べた。
 検査を毎年1回計3回受けた人の禁煙率は、42%と最も高く、次いで2回検査を受けた人の禁煙率は28%。1回では24%、全く受けなかった人の禁煙率は20%と、検査回数が多いほど禁煙する割合が高かった。
 研究グループは「複数回の検査は、喫煙によるがん発症の危険性の自覚を促し、がん予防に役立つ」としている。


2005/ 4/18 大物キャスターの肺がん告白で波紋 禁煙者増加の予想も (日刊ベリタ記事

【ロサンゼルス・ベリタ通信=戸田邦信】米国の3大ネットワークの一つであるABC放送の看板キャスター、ピーター・ジェニングス氏(66)が最近、肺がんであることを自ら担当する報道番組の中で告白、大きな反響を呼んだ。化学療法による治療中も、仕事を継続すると語ったが、体力を消耗する治療期間中に、フルタイムのキャスター役は無理との見方が強い。最近、競争相手のNBC、CBSの看板キャスターが相次いで降板。ジェニングス氏は、最後の大物アンカーマンと呼ばれていただけに、メディアの世界に波紋が広がっている。
 ジェニングス氏は4月5日、20年以上にわたってアンカー役を務めていた夜の報道番組「ワールド・ニュース・トゥナイト」の中で、「20年前にタバコをやめていた。しかし、意志が弱く、9・11テロ(2001年)の後、タバコを吸うようになった」と、述べた。やや疲れた表情で、いつも滑らかな声は時折、しわがれ声になった。
 医師から肺がんの告知を受けたのは、前日の4日。米紙シカゴ・トリビューンによると、ジェニングス氏は、放送局の関係者に電子メールを送り、「肺がんと診断された。大変驚いた。米国では約1000万の人々が、がんとともに暮らしている。予想もできなかった事態にどう対処すべきかを、彼らから学べると思う」と心情を吐露していた。
 ジェニングス氏はカナダ生まれだが、03年に米市民権を取得している。NBCのトム・ブロウコウ氏、CBSのダン・ラザー氏と並び、米大手テレビ局の看板キャスターとして長年人気を集めていた。しかし、ブロウコウ氏は、「NBCナイトリー・ニュース」を4カ月前に降板。ダン・ラザー氏も3月に、自ら関わった誤報問題の責任を取り、「CBSイーブニング・ニュース」を降板していた。
 このほか、ABCの深夜の報道番組「ナイトライン」のアンカー役を25年務めていたテッド・コッペル氏も最近、番組から降板すると公表していた。テレビの世界は、かつてないほどの視聴率競争が続き、3大ネットワークは、ケーブルのCNNやFOXニュースに肉薄されている。
 こうした時代の変化の中で、大物キャスター時代の終焉もささやかれている。しかし、放送メディアの歴史で、短期間にこうも大きな世代交代が起きるのは、前例がない。
 一方、知名度の高いジェニングス氏が、がんを告白したことで、喫煙の有害さが、改めて問われている。肺がんの約9割は、喫煙が原因という。
 米国がん協会のアビ・バーバッシュ博士は、ニューヨーク・ポスト(電子版)の中で、「がんが進行する危険性は、どれだけの期間にタバコを吸ったか、また何本タバコを吸ったかに関係する。タバコをやめるのに、遅すぎるということはない」と指摘している。
 またマンハッタンの心理分析医のジュディ・グリーンウオールドさんは、視聴者にとって人気のあるジェニングスさんの告白により、「タバコを吸うことに不安感を持つ人が増えると思う」と話す。実際、ニューヨークの28歳の建築家は、ジェニングスさんの告白で、禁煙を考えているという。
 プレス・エンタープライズ紙によると、喫煙者が肺がんになる危険性は、非喫煙者の約40倍。10年以上前に喫煙をやめた者は、危険性は減るが、肺がんになる危険性は、それでも非喫煙者の5倍という。


2005/ 4/13 タバコ消費量、2年間に32%減=政府のキャンペーン奏功−仏 (時事通信ニュース速報)

【パリ12日時事】フランスで2003年と04年の2年間にタバコの消費量が約32%減り、1999年から5年間で約200万人が禁煙したことが12日、政府の反タバコ委員会の資料で分かった。欧州内で「禁煙途上国」といわれるフランスだが、国民の健康意識が数字に表れた形だ。
 政府は03年からがん対策を実施。タバコの値段を徐々に上げ、パッケージに「吸い過ぎは死につながる」といった警告を表示、タバコの害を強調するテレビ広告も流すなど反タバコキャンペーンを展開し、これが奏功した。


2005/ 4/13 <ライター禁止>米国航空会社便、米国発着の旅客機全てで (毎日新聞記事)

 すべての米国航空会社便と米国発着の旅客機で、14日から機内へのライター持ち込みが禁止される。米運輸安全局(TSA)の通達に基づく措置で、テロ対策強化の一環。
 成田空港会社によると、スーツケースなど航空会社に預ける荷物や手荷物でも、出国の際の検査でライターが見つかれば「任意放棄」を求められる。ガスやオイルが入っていなくても持ち込めず、応じない場合は搭乗できなくなる。
 通達は「爆発物の点火に使える」という理由で出された。01年12月にアメリカン航空機内で英国人が靴に隠した爆発物にライターで点火する直前、乗務員らに取り押さえられた事件を受けて決められた。
 空港会社や航空各社、旅行代理店は、すでにホームページなどで注意を喚起しており、空港内各所には約250枚のポスターも掲示された。14日以降は案内放送でも注意を呼びかける。また、免税店など空港内のテナントにもライターを置かないよう要請し、出国フロアの喫煙所にはチェーン付きのライターも設置された。
 空港会社では「オイルやガスを抜いたライターなら郵送はできる。日本人の場合は、出国前に見送りの人に託してほしい。有料だが一時預かり所もある」と協力を呼びかけている。


2005/ 4/11 禁煙誓約制度に禁煙ファンド 職場内の禁煙が拡大 (朝鮮日報記事

 株式会社チョンジェ教育のパク某次長(39)は11日午前、会議が終わるやガムを一つ取り出して口に入れた。4か月前まで、彼の口にはガムの代わりにタバコがあった。
 ヘビースモーカーだったパクさんは昨年11月から、会社の“禁煙誓約制度”に参加した。禁煙すると誓うと、会社から20万~40万ウォンが支給されるが、タバコを吸ったことが発覚すれば、もらった額の1.5倍を払わなければならない。
 パクさんは会社から40万ウォンをもらい、スポーツ・クラブに入会した。パクさんは「罰金60万ウォンがもったいないと考えながら、タバコを我慢しようと思う」と話した。この会社で“禁煙誓約”に参加したのは女性6人を含む80人だ。
 サムスン電子水原(スウォン)事業所では2年前から部署別に“禁煙クラブ”が運営されており、社員の70%以上が参加している。クラブのメンバーがタバコを吸って発覚すると、会社では5000ウォン、宴会の席では1万ウォンを出さなければならない。
 服からタバコの臭いがしても5000ウォンの罰金を払う。禁煙クラブ総務であるチョン・グギョン(29)さんは「社員らはカメラ携帯で写真を撮るまでして喫煙を摘発している。ひどすぎないかという不平もなくもないが、禁煙に成功する社員が増えることを歓迎する雰囲気だ」と言った.
 LG電子・昌原(チャンウォン)工場は社員15人で“健康コンパニオン”を、医者、看護婦らで“禁煙警察チーム”を作った。この組織は社内の“禁煙ファンド”に加入した社員らの一酸化炭素の数値をチェックし、喫煙していないかを見張る。禁煙ファンドに加入した社員は約1800人の喫煙者のうち928人だ。
 加入者は旧正月のボーナスから20万ウォンを預け、1年間禁煙に成功すれば二つの倍の40万ウォンを受け取る。失敗すると20万ウォンは恵まれない人への寄付に使われる。
 “ウェル・ビーイング”や“健康重視”の風潮により職場内禁煙の動きはますます強まる傾向だ。


2005/ 4/11 けむに巻けない タバコ税 米で各州が喫煙者に追跡課税 (フジサンケイビジネスニュース

【ニューヨーク=長戸雅子】米国では、州政府などがかける高額なタバコ税を回避するため、無税を売り物にするオンラインで購入した喫煙者を州が追跡し課税する動きが広がっている。今年1月にニューヨーク市は3700人にタバコ税の請求書を送付、先月初旬までに半数以上が支払いを済ませており、タバコ税といえども“けむに巻く”ことはできなかったようだ。
 米国では州によってタバコ税が異なる。ニューヨーク市の場合、州と市の税金が合計で3ドル(約324円)課せられるため、タバコの平均価格は1箱7ドル50セント(約810円)前後だが、隣のニュージャージー州では5−6ドル(約540−648円)、ペンシルベニア州では4ドル(約432円)が平均価格だ。インターネット購入だとさらに安く、1箱3ドル50セント(約378円)が相場となっている。
 米国には、タバコを州外に出荷した業者に顧客が居住する州の税当局者に顧客の住所と氏名を報告させるという法律(ジェンキンス法)があるが、オンライン業者の多くがこれを無視、州内に本社や店舗がない企業には州政府は課税を強制できないという連邦最高裁判決のすきをついて州外への販売を拡大していた。
 USA TODAY紙によると、オンライン販売と税収の関係をテネシー大が調査したところ、2003年に州政府や地方自治体が回収できなかった消費税は155億ドル(約1兆6740億円)に上り、08年には337億ドル(約3兆6396億円)に達する見込みであることを報告した。
 頭を悩ませていた州側は連帯して対抗策を展開、購入者が郵便番号を入力すると自動的に税額を算出できる横断的なシステムを20州で稼働させた。
 これまでにペンシルベニア、オハイオなどの州がオンラインのタバコ購入者に請求書を送り、一部とはいえ回収に成功している。
 ニューヨーク市では請求書を送った3700人のうち約54%にあたる2010人が納税、請求総額120万ドル(約1億2960万円)のうち68万ドル(約7344万円)が支払われている。


2005/ 4/10 喫煙全面禁止:米モンタナ州が全米10州目の「禁煙州」に (毎日新聞記事)

【ロサンゼルス國枝すみれ】AP通信によれば、米モンタナ州議会は7日、レストランやバー、公共建物内での喫煙を全面禁止する法律を可決し、全米で10州目の「禁煙州」となった。米国で最も人気があるタバコ「マルボロ」の広告に登場する牧場があることで知られるモンタナ州でも、食後の一服が禁止となる。
 同様の法律を持つ州は、カリフォルニア、コネティカット、デラウェア、フロリダ、アイダホ、メーン、マサチューセッツ、ニューヨーク、ロードアイランド。


2005/ 4/ 7 <禁煙>「警報」発令時、山での「一服」我慢して 消防庁 (毎日新聞記事)

 乾燥時や強風時、山では「一服」を我慢して――。増加している山火事を防ぐため、総務省消防庁は、火災が起きやすい気象条件で市町村長による「火災警報」が発令された時、一定の山林を禁煙とするよう、全国の自治体に求める。消防法令などでこれまで、特別の規制がなかった林野内の「タバコ」について、初の具体的な措置となる。
 消防庁によると林野火災は、03年1810件だったが04年は4割以上増え2590件。タバコの火の不始末が原因の火事も過去10年間で1〜2割を占め、03年249件から04年342件と4割近く急増した。岡山県総社市ではタバコの火の不始末が原因で昨年4月、61ヘクタールを焼く火事があった。
 現行の消防法は、乾燥注意報や強風注意報に伴って各気象台から自治体に注意を促す「火災気象通報」が出た場合、市町村長は「火災警報を出せる」と規定。だが、同通報は都道府県単位で出されるため、市町村が地域の状況に応じた警報を出しづらかった。また、市町村が参考とする同庁の「火災予防モデル条例」は「山林、原野などで火入れをしない」としているが、林野内の喫煙を規制する法的根拠はこれまでなかった。
 このため、消防庁は▽通報を受けた市町村が原則として火災警報を発令▽火災警報の発令時は、あらかじめ市町村長が指定した区域で喫煙をしない――ことを求める。今月中にも、火災予防条例の改正を求める通知を市町村に出す。気象庁と連携し、市町村が火災警報を出しやすいよう、火災気象通報の細分化も進める方向だ。
 「大規模な林野火災被害も続き、注意喚起から踏み込んだ防止策が重要。樹木の伐採作業や山菜採りなどの前後、吸いたい気持ちは分かるが、配慮して」(消防庁)という。


2005/ 4/ 7 持ってないと買えません、タバコカード08年導入 (読売新聞記事)

 JTなどタバコ会社4社で組織する日本タバコ協会は6日、協会が成人を対象に発行するIC(集積回路)カードがないと、自動販売機でタバコが買えない制度を、2008年4月1日から全国一斉に導入することを明らかにした。
 全国に約62万台あるタバコ自販機すべてが対象だ。2005年2月に喫煙による健康被害を防ぐための「タバコ規制枠組み条約」が発効し、未成年者の喫煙防止対策の徹底が義務付けられたことに対応する。
 利用者が、専用のICカードを自販機の識別装置部分にかざすと、カードに記録された生年月日の情報を読み取る。カードにためた電子マネーと現金のどちらでもタバコを買うことができる。
 店頭で買う場合は、本人を見て未成年かどうか判断できるほか、必要に応じて身分証明書の提示も求められるため、原則としてカードを見せる必要はないという。
 運転免許証やパスポートなど、生年月日が確認できる身分証明書のコピーと本人の写真を添えて東京都内に設ける運営センターに申し込めば、写真付きカードが発行される。郵送でも受け付ける。紛失などによる再発行を含めて無料で、運営費用はタバコ業界が負担する方針。

※ 親のカードで未成年者が買うなどの事例が報告されており、早くも効果に疑問の声がある


2005/ 4/ 5 禁煙で業務提携:タクシー会社がグループ結成 (毎日新聞記事

ドライバー禁煙で提携
 タクシードライバーに車内完全禁煙を課し、違反者に乗務停止の罰則を設けている大手、日本交通(東京都品川区、タクシー1606台)は4日、中堅の東洋交通(同北区、同325台)とサービスや配車で提携し「日本交通グループ」を結成した。
 日本交通は「タバコ臭くないタクシー」で差別化を図り、賛同する社と提携し、グループを拡大する考え。川鍋一朗副社長は「業界は今後、サービスなどの戦略でグループも分かれてくる。日本交通グループは当面、タクシー3000台規模を目指す」としている。
 東洋交通は先月、共同無線タクシー協同組合を退会した。6月ごろまでに日本交通グループのマークを全車に掲示する。


2005/ 4/ 4 タバコ吸えば胃がん危険62%増加」 (朝鮮日報記事

 タバコを吸えば胃がんと肝臓がんにかかる危険度がそれぞれ62%、50%ほど高くなるという研究結果が出た。
 ソウル大病院・家庭医学科のユ・テウ教授と国立がんセンターのユン・ヨンホ生活の質研究課長は、国内30歳以上の男性73万3000人を4年間追跡調査し、同期間に新たにがん患者と診断された7024人を対象に喫煙とがん発生の力学関係を調査した結果、このように現われたと4日明らかにした。
 今回の研究結果は英国で発刊されるがん予防学ジャーナル(Cancer Detection and Prevention) 2月号に掲載された。


2005/ 3/31 「喫煙は自虐行為」 テレビ禁煙キャンペーン開始へ (朝鮮日報記事

 保健福祉部は青少年及び若者をタバコから保護するため、テレビで禁煙キャンペーンを行なう予定だ。
 保健福祉部は4月 1日から7月末まで「脳自虐の編」、「肺自虐の編」、「肌自虐の編」に分けてテレビなどメディアを通じて放送する計画だと明らかにした。
 同部関係者は「韓国の喫煙者の90%が25歳以前に喫煙を始めているため、若者の気を引けるよう作品性を強化した」と説明した。


2005/ 3/31 受動喫煙訴訟 原告の請求棄却/名古屋地裁 (朝日新聞名古屋版記事)

名古屋市の施設が禁煙や分煙を徹底していないため、受動喫煙を強いられたとして、同市中村区の男性教諭が同市を相手取り、10万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁であった。平山馨裁判官は「施設は受動喫煙の可能性がある管理状況だったが、社会生活上、受忍すべき限度内だ」と述べ、請求を棄却した。
  判決によると、03年5月、健康増進法が施行され、公共の場での喫煙が制限されるようになった。男性は「市の対応は不十分だ」と訴えていた。
  同市によると、昨年4月現在で、市の全施設中、92%で禁煙・分煙対策を実施しており、05年度中に100%に達する見通しだという。


2005/ 3/31 「恐ろしい禁煙キャンペーン」1日から放送へ (朝鮮日報記事

 事務室に1人の男性が座っている。突然ネクタイをゆるめると、自分の頭を強く叩き始めた。かなり強く叩いている。しかしこの男性の表情は淡々としていた。この時、徐々に現れる字幕…「タバコには60種以上の発がん物質以外にも、殺虫剤、青酸ガスなど4000種以上の化学物質が含まれており、脳に致命的です」
 禁煙キャンペーンが若者層の関心を引くことのできる映像に制作され、タバコ中毒の害悪を知らせるメッセージもより強力になる。
 保健福祉部は1日から7月末まで、地上波テレビとラジオ、ケーブルテレビなどで、禁煙キャンペーンとして「脳自虐」、「肺自虐」、「皮膚自虐」の3編を同時に放送することにした。
 タバコが単純な嗜好品ではなく、各種の毒性物質でできており、タバコを吸うことは自分の身体を自虐する行為であるという点を強調するためだ。
 「肺自虐」編では、工事現場から出てくる煙の排出口に若い男性が首を突っ込むシーンと共に、「タバコにはナフタレン、フェノールなど、4000種余の化学物質が含まれており、肺に致命的です」というナレーションが流れる。
 「皮膚自虐」編では、若い女性を登場させ、「タバコにはアセトン、遺体防腐剤などの化学物質が含まれており、肌に致命的」というメッセージを強調する。
 福祉部は「喫煙者の34%が青少年の時期に、56%が20〜25歳の間に喫煙を始める」とし、「このような青少年と若者層をタバコから保護するため、若者層が関心を持つような広告を製作した」と話した。
 2004年現在、韓国の成人男性の喫煙率は57.8%、女性は4.1%だ。20代の喫煙率は男性が66.2%、女性が6.1%と平均より高い。


2005/ 3/30 悪質タバコ自販機 許可の取り消しも (東京新聞記事)

 財務省は二十九日、未成年者の喫煙防止を徹底するため、全国のタバコ自動販売機のうち店舗に併設されていないものについては、四月から順次、文書で改善を指導すると発表した。指導に従わない悪質なケースは、二〇〇六年度をめどに自販機の設置許可を取り消す方針。
 指導では、原則として店舗への併設を求めるが、設置場所などの状況から不可能な場合は、未成年者喫煙禁止の表示と深夜稼働の停止などへの移行を義務付ける。
 タバコ自販機は一九八九年七月以降、未成年者が容易にタバコを入手できないよう、店舗への併設が設置許可の条件となっている。全国の約六十二万台の自販機のうち、八九年六月以前に許可を受けたものは約二十九万台。このうち約九万台を調査したところ約七千九百台が店舗に併設されていないことが判明、まずこれを指導対象とする。


2005/ 3/29 禁煙にメールが一役=世界初の「携帯療法」−仏 (時事通信ニュース速報)

【パリ28日時事】フランスの地方でタバコをやめたい人の携帯電話にメールを送り、禁煙を成功させようとの試みが行われている。既にこのメールがきっかけで喫煙をやめた人も出るなど、この世界初の「携帯療法」が、注目を集めている。 この試みは、中部リヨンに近いサオーヌ・エ・ロワール県の地域医療保険金庫(被医療保険者窓口)が携帯業者と協力し、昨年6月から試験的に約150人を対象に実施。具体的には、登録した人の携帯に1日に1回、タバコの害の実例のほか、受信者の年齢、性別、タバコ依存度に応じた激励や助言、あるいは警告をメールに乗せて送り続けるという。メールの受信は無料。 地元メディアによると、この試みに参加したある女性は「いくつかのメッセージにショックを受けた」と言い、それ以来禁煙を続けているという。


2005/ 3/29 未成年対策で深夜のタバコ自販機、稼働規制へ (読売新聞記事)

 財務省は29日、店舗に併設されていない全国の自動販売機を対象に、4月から文書で未成年者の喫煙防止策の強化を指導する方針を決めた。
 喫煙による健康被害を防ぐ「タバコ規制枠組み条約」の発効を受け、自販機を深夜に稼働させないことなどを求める。指導に従わない設置者については、小売り販売業許可を取り消す方針だ。


2005/ 3/28 タバコ価格引き上げと禁煙率の相関関係めぐり舌戦 (朝鮮日報記事

 タバコ価格引き上げに伴う禁煙効果をめぐり、KT&G(旧タバコ人参公社)と保健福祉部が舌戦を繰り広げている。
 保健福祉部が喫煙率を下げるため、昨年年末にタバコ価格を500ウォン引き上げたが、今年7月にもさらに500ウォン引き上げる方針を明らかにすると、KT&Gがこれに強力に反発したため。
 KT&Gは28日、「20歳以上の男性の喫煙率が昨年12月の54.7%から51.7%(1月)、53.3%(2月)と、1.4〜3%ポイントしか減っていない」と主張した。これは今月はじめ、福祉部がタバコ価格を引き上げた後、1か月で成人男性の喫煙率が57.8%から53.1%に4.7%ポイントも減ったという発表を覆すものだ。
 KT&Gは「福祉部が発表をした1月は、禁煙の決心をする人が多い月であるため、禁煙の数値を測定するには無理がある」と主張した。
 福祉部はこれに対し、「福祉部の調査は大学の医学部で行ったもので、タバコ価格の引き上げが禁煙を促進するのは、フランスなど外国のケースでもはっきり現れている」と反駁した。
 一方、世界最大のタバコ会社であるフィリップモリス・韓国支社側は、「タバコ税金の引き上げは、タバコの消費を抑制できるよい方法のひとつであり、すべてのタバコに同一に適用しなければならない」とした。タバコ価格が引き上げられれば、高級タバコを好むだろうという計算のからだ。


2005/ 3/29 禁煙法施行から1年、空気清浄なるアイルランド (CNNニュース)

ダブリン──アイルランドでレストランやパブ、職場など公共の場が全面禁煙となって以来、29日でちょうど1年を迎えた。全国的な禁煙法の施行前は、パブで一杯やりながら一服するという習慣が国民生活に根付いていたため、混乱が懸念されていたが、意外にもそうはならず、今ではパブの外でタバコを吸う人々の姿がすっかり街になじんでいる。
公共の場を全国的に禁煙にしたのは、世界でもアイルランドが初めてだった。米国ではニューヨーク市とカリフォルニア州がアイルランドに先立ち、禁煙法を導入していたが、全国レベルではアイルランドが初めてだった。今ではマルタやノルウェー、イタリアなども、全国的な禁煙法の導入を検討している。
ダブリン市内のバーのバーテンダーで、タバコを吸わないパディ・マーティンさんはロイター通信に対し、「前よりずっと健康的。仕事を終えて帰宅するときも、前より気分がいい」と話している。
しかし、全面禁煙が国民全員に歓迎されているわけではない。パブのオーナーの中には、禁煙になったため売り上げが大きく落ち込んだと主張する人もいる。昨年は、タバコの売り上げも下がり、前年比18%減だった。
こういった主張に対し、パブの売り上げが落ち込んだのは禁煙法のせいではなく、パブで飲むビールの値段が高いことや、パブに通うという生活習慣そのものが廃れているからだという意見もある。
ダブリン市内では、バーで飲むハーフ・パイント(約250ml)のギネス・ビールが2.6ユーロ(360円)する。酒屋で同量の缶入りギネスを買うよりも、1ユーロ(約138円)高い。
欧州連合(EU)統計局が昨年まとめた調査でも、アイルランドにおけるアルコールの価格は、欧州連合諸国よりも高いことがわかっている。また、アイルランドが経済成長を遂げた1990年代、自宅でのワイン消費量が増加するに伴い、パブなどでのビール消費量が低下したと見られている。
一方で、パブの外でタバコを吸う人間の輪が、新たな社交場になっているという意見もある。英国からダブリンを訪れて、人気パブの外でタバコを吸っていた女性は、「中にいるより外でこうしてる方が、いろんな人に会える。でもイギリスで同じ禁煙法を始めたら私は絶対に守らないから、あちこちで出入り禁止をくらうかも」とロイター通信に話した。


2005/ 3/29 敷地内禁煙、半数「満足」 神戸・中央市民病院 (神戸新聞記事

 敷地内禁煙の評価は「満足」が半数、「何ともいえない」が約四割―。今年一月から、屋外を含む敷地内を全面禁煙とした神戸市立中央市民病院(同市中央区)が、職員を対象に調査したところ、こんな結果が明らかになった。問題点として最も多く挙げられたのは、敷地外で喫煙する患者の所在確認。禁煙化に反対する声は少ないものの、解決すべき課題も多く、院内に設置している「禁煙推進委員会」で対応を検討していく。(磯辺康子)
 同病院は五年前、建物内を禁煙化した。その後、病院や学校などでの受動喫煙防止を定めた健康増進法が施行されたこともあり、敷地内全面禁煙に踏み切った。
 調査は二月に実施し、全職員の64%に当たる約八百人が回答した。
 敷地内禁煙に対する評価は「満足」が50%、「不満足」が7%。一方で、「その他・何ともいえない」が43%に上り、職員の間でも評価が定まっていない現状がうかがえる。
 敷地外での職員の喫煙については「良くない」が37%。「問題なし」(13%)を上回った。
 課題の多さを反映し、回答者の約四割が何らかの意見を記入。最多は「患者の所在確認が困難」「職員らが敷地周辺で喫煙するのは問題」で、いずれも六十二件。吸い殻のポイ捨て、院内での隠れ喫煙などを問題視する意見も目立った。一方で、禁煙を始めた職員が八人いるなど、具体的な成果もみられた。
 屋外に禁煙マークの掲示を増やし、医師らが巡回を続けているが、全面禁煙から約三カ月たった今も、敷地内では吸い殻のポイ捨てが目立つ。
 同病院で禁煙外来を担当する薗潤医師は「地域の中核医療機関として、この病院は禁煙推進のモデルケースとなるべき。取り組みはまだ始まったばかりで、調査結果をもとにさらに対応を考えたい」としている。


2005/ 3/26 禁煙の波、カジノまで?=一部州で法制化検討−米 (時事通信ニュース速報)

【シリコンバレー26日時事】米ニュージャージー州やコロラド州などで、カジノ禁煙化法案が導入に向けて議論されている。「ギャンブラーとタバコと酒は切り離せない関係」とされるだけに、客離れを恐れるカジノ運営会社が反対を叫び始めた。
 米国では職場やレストランでの完全禁煙が定着しつつあるが、大半のカジノは「スモーカー天国」のまま。しかし、ニュージャージー州知事はカジノ禁煙化に支持を表明。カジノやバーを含む公共の場を禁煙化する法案は近く州議会で審議される。
 同州アトランティックシティーのカジノ産業の売上高は年間約40億ドル(約4200億円)。業界は、禁煙化で15%減収し、5000人に上る雇用が失われると警戒する。


2005/ 3/26 妊娠中の酒・タバコは危険…赤ちゃん体重減に (読売新聞記事)

 妊娠中に母親がタバコをすったり、酒を飲んだりすると、赤ちゃんの出生体重が減少してしまうことが、国立健康・栄養研究所の滝本秀美・主任研究員らの分析で明らかになった。
 出生体重が少ないと、乳児期の死亡率が高まるほか、成人後も生活習慣病になる危険が高まるとされており、研究者は「妊娠中の喫煙、飲酒は控えるべきだ」と訴えている。この成果は4月4日、京都市で開かれる日本産科婦人科学会で発表される。
 研究チームは2000年に実施された国の乳幼児発育調査データをもとに、単胎(胎児1人)で順調に生まれた赤ちゃん9120人について調べた。
 その結果、妊娠中の母親の喫煙率は10・0%、妊娠中に週3回以上酒を飲む習慣のある母親の割合は1・4%で、生まれた赤ちゃんの体重と対比させると、タバコが1日1本増えるごとに9・4グラム、飲酒習慣がある場合は70・5グラム減少する計算になった。
 喫煙で血中の一酸化炭素濃度が上昇し、胎児に十分な酸素が運ばれなくなるのに加え、母体でビタミンCなどが消費され、栄養分が不足するためという。


2005/ 3/25 肺癌に対するCT検査の有用性に疑問 (HealthDayNews記事

 愛煙家にとってCT検査は時に肺癌(がん)の早期発見に役立つが、全生存率には何ら影響を及ぼさないばかりか、医療費の増大を招くとともに、患者の不安を募らせ、場合によっては不必要な手術を施行させていることが、医学誌「Radiology」4月号掲載の研究で明らかにされた。
 米メイヨークリニック(ミネソタ州)内科教授のJames Jett博士らは、1日1箱の喫煙量で、少なくとも20年間の喫煙歴のある健康な50歳以上の男女1,520例を対象に,CT検査を年1回、4年間にわたり実施した。その結果、CT検査で癌が疑われたリンパ節(nodule)3,356のうち、実際に癌性であったのはわずか68であり、試験参加者の69%が少なくとも1回偽陽性の診断を受けていた。また、13例が計15件の手術を受けたが、手術施行後に良性腫瘍であることが判明した。
 Jett博士は「早期に癌を検出することができれば死亡率の低下が期待されるが、今回の試験結果はその期待に答えるものではなかった」と述べる。CT検査による早期癌の検出率は増大したが、後期(進行)癌の検出件数は依然として、1970年代に胸部X線撮影を用いて行われたMayo Lung Projectとほぼ同じであった。早期に発見された癌が、進行性のものか否か判別できないのが現状である。
 米国肺協会(ALA)のNorman H. Edelman氏は「治癒が可能な早期の段階で癌を検出できる状況に実際に移行していたのであれば、後期癌の発見件数は減少しているはずである」と指摘する。
 無症候性のすべての癌にCT検査を行う是非については、未だ見解の一致をみていない。米国立癌研究所(NCI)は現在、肺癌診断におけるCT検査と胸部X線検査による死亡率の差の有無を検討するために大規模無作為化試験を実施している。


2005/ 3/23 米政府とタバコメーカー、和解目指し仲裁人と水面下で接触 (ダウジョーンズ記事

 ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)米司法省と米国の大手タバコメーカーは最近、裁判所が指名した仲裁人とひそかに会い、政府側がタバコメーカーを相手取って起こした広範な民事訴訟の和解を目指している。政府側は、タバコメーカーが不当な利益を得ていると主張している。
 裁判が始まって6カ月が経過した今、和解に向けての話し合いが始まったことは大きな変化だ。また、双方がこの問題を解決する必要があると感じていることの表れでもある。
 関係筋によると、連邦地裁のグラディス・ケスラー判事は、連邦高裁が2月4日に政府側に不利な判断を下したことを受け、非公式に双方に和解を勧めた。連邦高裁の判断が支持されれば、政府側がタバコメーカーに対して取れる措置の範囲が狭められ、「21歳になる前に喫煙を始めた喫煙者から得た不当な利益2800億ドルを吐き出させる」という、政府側の主張しているおそらく最も強力な武器が使えなくなる。
 事情に詳しい筋によると、連邦高裁の判断が下されてから、双方は少なくとも1回、仲裁人であるボストン大学のエリック・グリーン教授と会った。同教授は3年前、マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)の反トラスト訴訟の仲介役も務めたという。今回の会談で進展があったかどうかははっきりしないが、双方は同教授と再び会う予定だという。
 米政府が「タバコメーカーは不当な利益を得ている」として詐欺の疑いで民事訴訟したと発表したのは、1999年のクリントン政権時代だった。当初は、メディケイド(低所得者向け医療保健制度)から支出した、タバコによる健康被害の治療費を、タバコメーカーに返還させることなどを目指して大手各社を提訴した。だが刑事訴訟としては審理されず、民事で争うことになった。今回の事案とは別に、タバコ業界は98年、46州とワシントン(コロンビア特別区)に2060億ドルを支払うことで和解している。他の4州はこれより先に約4000万ドルを受け取ることで和解した。
 政府側とタバコメーカー双方にはそれぞれ、和解にこぎつけたい根拠がある。ブッシュ政権の司法省は、クリントン政権時代から引き継いだ訴訟を続けたいと考えている。だがブッシュ大統領自身にはためらう気持ちがあると考えられている。大手タバコメーカーは主要な共和党支持者だからだ。
 米議会では、再び包括的なタバコ政策を審議している。タバコの販売方法の監督について米食品医薬品局(FDA)に新たな権限を与える法案が先週、上下両院に提出され、前回廃案になったときよりも幅広い支持を得ている。
 司法省では、大統領法律顧問を務めていたアルベルト・ゴンザレス氏が司法長官に就任した。裁判が始まる前に双方が和解について初めて話し合ったとき、タバコ業界幹部は同長官が和解に反対であるとの印象を受けた。
 訴えられているのは、米国最大のタバコメーカーであるフィリップモリスUSAの親会社アルトリア・グループ(NYSE:MO)のほか、RJレイノルズ・タバコ・ホールディングス。同社はブラウン・アンド・ウィリアムソンと合併し、現在はレイノルズ・アメリカン(NYSE:RAI)。さらに、ベクター・グループ(NYSE:VGR)傘下のリゲット・グループと、ロウズ(NYSE:LTR)傘下のロリラード。
 アルトリアが和解する必要に迫られているのは、傘下のクラフト・フーズをスピンオフする計画があるからだ。タバコ各社は、集団訴訟も抱えている。アルトリアにとっては、こうしたことで資産売却が難しくなっており、ルイス・カミレッリ最高経営責任者(CEO)は大きな3件の裁判が決着するまでリストラをしないと明言している。
 同社の法務副部長は「法律に基づけば、今回の提訴は誤りだ。規則は議会で制定すべきだ」と述べた。
 現在議会で審議されている内容は、和解交渉の席でも話題に上るとみられる。法案がFDAに新たに与えようとしている権限は、タバコの包装に表示する健康に関する警告の文言を変更し、文字を大きくすること、成分の公表を義務づけること、「ライト」や「低タール」といった言葉の使用を規制あるいは禁止することなどだ。
 ケスラー判事は、一審で政府寄りの判断を示したが、最近は政府側に、連邦高裁の判断の重みを認識するよう求めている。


2005/ 3/22 クレジットカード各社、違法タバコ販売阻止に協力 (インターネットコム記事

米国の州司法長官会議 (NAAG) は17日、官民共同によるオンラインタバコ販売規制の取り組み強化を発表した。発表によると、大手クレジットカード各社は、違法オンラインタバコ販売サイトの決済業務を拒否することに合意したという。NAAG は発表の中で、事実上全てのオンラインタバコ販売は、何らかの連邦法ないし州法に違反していると述べた。今回クレジット会社が協力姿勢を示したことは、米国における違法タバコ販売行為を撲滅しようとする連邦政府の取り組みを後押しするものだ。
今回の官民共同による取り組みは、ニューヨーク、カリフォルニア、オレゴンの州司法当局がとりまとめたもので、米司法省アルコール タバコ武器および火薬類取締局 (ATF) をはじめ、クレジットカード会社としては、American Express、MasterCard、Visa、Discover、Diners Club、そして eBay の決済サービス子会社 PayPal が参加している。
バーモント州司法長官の William H. Sorrell 氏は、「インターネットによる違法タバコ販売を阻止するため、多面的かつ複数の管轄区分における司法権行使という方法をとることにした。この方法は、オンライン販売を規制する州法および連邦法を執行する上で、最も効果的かつ効率のよい戦略だと信じている」と述べた。
今回の取り組みにあたり、クレジットカード各社は、インターネット上の違法タバコ販売におけるカード利用を禁止する、というポリシーを採用した。また、それぞれの発行するクレジットカードを用いた違法タバコ販売が発生したことを捜査当局が突き止めた場合、そのインターネット販売業者に関する調査を行ない、適切な措置を構ずることにも各社合意した。
ATF によると、事実上、全てのオンラインタバコ販売サイトがタバコ税徴収に関する連邦法『Jenkins Act』に違反しているという。同法はタバコ販売業者に対し、異なる州に住む消費者に販売する場合は、販売先となる州に報告するよう義務付けている。州当局は報告を受けた後、その消費者から税を徴収することになる。ATF によると、これまでの未徴収税額は10億ドルに達するという。


2005/ 3/21 JT現地法人また追徴課税 ロシア当局が16億円 (共同通信ニュース速報)

【モスクワ21日共同】21日付のロシア紙コメルサントによると、ロシア税務当局は日本タバコ産業(JT)の現地生産法人「ペトロ」に対し、2001年分として約4億2000万ルーブル(約16億円)の追徴課税をした。同社は、追徴は不当として裁判で争う構え。
 ロシア当局は昨年秋、JTの現地販売法人「JTI・マーケティング・アンド・セールス」にも、2000年分として約24億ルーブルを追徴課税。JTはロシアで販売部門と生産部門の双方に追徴課税されたことになる。
 ペトロはロシア第2の都市サンクトペテルブルクにあり、昨年、生産額で国内2位に躍り出た成長企業。
 「JTI・マーケティング・アンド・セールス」の追徴については、日本政府がロシア当局に公正な取り扱いを求めている。


2005/ 3/21 医療者・患者への禁煙支援を推進 −第14回日本禁煙医師歯科医師連盟総会・第1回日本禁煙学会開催 (週刊医学界新聞記事

 さる2月26−27日,第14回日本禁煙医師歯科医師連盟総会ならびに第1回日本禁煙学会が,作田学会長(杏林大教授)のもと,三鷹市の杏林大学において開催された。2月27日よりFCTC(タバコ規制枠組み条約:2003年にWHO総会において採択)が発効となり,これを受けてわが国の喫煙対策は大きく推進されることが予想される。同連盟会長の大島明氏(大阪府立成人病センター)はあいさつの中で,「FCTCはあくまで枠組み。海外の先行事例を参考にしながら,国内法および対策を構築していきたい」と語った。
 特別講演では,院内における禁煙対策について,院内全面禁煙に成功した2病院の演者が口演を行った。
 杏林大学では昨年4月に病院評価機構の審査に合格し,敷地内が禁煙となった。呉屋朝幸氏(杏林大)はその際職員への意識調査を実施。その結果,院内全面禁煙については肯定的評価が多かったものの,患者・医療者の喫煙を「個人の自由」とする考え方が少なくないことがわかったという。氏は今後患者への禁煙指導を進めていくうえでも,職員に対する根本的な禁煙教育が必要であると述べた。
 内原正勝氏(武蔵野赤十字病院)は,禁煙外来での取り組みを発表。専用のクリニカルパスを作成し,総合内科の医師や看護師が指導にあたっていることを説明した。また,院内全面禁煙になった際に「院内禁煙推進チーム」を結成,患者だけでなく,職員に対しても禁煙外来の受診を積極的に勧めた。
 氏は院内全面禁煙のメリットとして「喫煙患者にとって入院は禁煙のよい機会。医師だけでなくチーム医療で取り組む必要がある」と述べた。
動脈硬化・血栓の原因に
 26日に行われたシンポジウム「喫煙問題 up to date」(座長=作田氏,杏林大・古賀良彦氏)では,各領域の医師によって喫煙のさまざまな健康への影響が述べられた。
 最初に登壇した坂田好美氏(杏林大)は,循環器系に影響を及ぼすタバコの成分としてニコチンと一酸化炭素をあげた。ニコチンには血管収縮や血圧上昇,心筋酸素消費量の増加といった作用があり,また血小板の凝集能を亢進させることから,動脈硬化や血栓形成を促進する。さらに一酸化炭素によってLDLコレステロールの増加や,心収縮力の低下が起こり冠血管障害,末梢血管障害の原因になるという。
 こうしたことを踏まえ,氏は「喫煙は虚血性心疾患,冠動脈疾患発症のリスクを高めるが,禁煙によって冠動脈疾患の予後は改善する」と述べ,禁煙指導の重要性を強調した。
 千葉厚郎氏(杏林大)も喫煙による血小板の凝集能亢進について触れ,脳梗塞発症因子の1つであると述べた。
 また,「脳血栓危険因子指数」を紹介し,コレステロール指数(TC/HDL-Cで計算),高血圧指数(収縮期血圧≧200または拡張期血圧≧110は2ポイント,収縮期血圧≧160または拡張期血圧≧95は1ポイント),糖尿病指数(糖尿病は2ポイント,耐糖能障害は1ポイント),喫煙指数(習慣性喫煙は1ポイント)の4指数を合計し,6ポイント以上であれば「脳血栓のリスクあり」となることを説明。「喫煙の有無が患者にとって運命の分かれ道になることもありうる」と注意を促した。
低ニコチンタバコは安全か?
 現在,2020年における日本人の死亡原因として,COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は第3位,肺がんは第6位になると予測されており,これらの呼吸器疾患は大きな問題となっている。
 武田英紀氏(杏林大)は,喫煙習慣のあるCOPD患者の診療において,最も有効かつ最優先されるべき治療は禁煙であると強調。喫煙は肺がんとも高い関連性があることから「患者の禁煙支援は臨床医の責務」と述べた。
 また,市販されている低ニコチンタバコについて,ブレンドの変更によるニトロサミン類の増加だけでなく,喫煙者が煙をより深く吸う傾向があるので,末梢の細胞が発癌物質にさらされやすくなるといった問題を指摘した。
 続いて登壇した埴岡隆氏(福岡歯大)は,歯科・口腔外科の立場から口演。昨年10月から試験販売がはじまっている「ガムタバコ」について,普通のタバコと違い,口腔粘膜が有害物質に直接高濃度でさらされる可能性があり,舌がんや口腔がん,咽頭がんの発症につながりかねないと指摘した。
 同製品については,これまで日本禁煙医師歯科医師連盟が緊急シンポジウムを開催するなど,その危険性を訴えている。氏は「ガムは食品衛生法の対象であり,成分にニコチンやタバコが含まれている以上,同法によって規制されるべき」と強調した。
 最後に登壇した座長の古賀氏は,喫煙が脳,精神に与える影響について発表。タバコの匂いによって,経時的にα波が減少していくことや,Flicker testの結果でも喫煙により注意力が低下していることが示唆されたという。
 氏は最後に「禁煙指導にはガイドラインやチーム医療でのアプローチが必要である」と述べ,今後の課題とした。


2005/ 3/20 企画特集 [クスノキ通信] 脱タバコ社会をめざそう (朝日新聞鹿児島県版記事)

 わが総局を禁煙にしたのは03年5月、健康増進法の施行がきっかけだった。喫煙の際はベランダへ出る。来客も例外ではない。それまでの「分煙」というまやかしでは、受動喫煙の被害を防ぎきれないためで、局舎内から灰皿をなくした。
 当初、落ち着いて書けないという不満もでた。が、ここでひるまず、紫煙の助けなしに書けないような記事は要らないと押し切り、支障なく紙面ができたのはめでたい。
 タバコは携帯電話と並んで「現代のはた迷惑」の代表だと言えば大げさだろうか。煙と声の違いはあれ、無神経な振る舞いで公衆に不快の輪を広げ、私などはついそれに巻き込まれてしまう。
 なべて愛煙家は、とひとくくりにするのは失礼ながら、あの異臭にも、吸い殻の山にも鈍感のようだ。食器を灰皿がわりに使う不心得な人もいる。天文館で歩きタバコが禁じられてポイ捨てが減ったのは数少ない朗報にすぎない。
 たかだか個人の趣味嗜好なのに、人や社会にストレスを強いてきた責任は重い。いまさら窮屈を嘆くなかれ。
 伊藤知事が県庁舎禁煙の方針を打ち出した。県教委は県立学校の敷地内を禁煙にする。ともに4月からで英断に拍手を送りたい。と思っていたら、議会で来庁者用の喫煙所設置を求められた知事は「庁舎の内外を含めて検討したい」と答えた。遺憾というほかない。例外を認めれば煙はそこから庁内へふわふわと流れ出すのではないか。
 禁煙化は葉タバコ農家の生産意欲に水を差す、という議論も議会内にあるようだが、これもどうかしている。より有用で新時代にふさわしく、後継者が育つ作物に転換するよう誘導するのが県や議会の役割と心得てほしい。
 「先生」と敬われる方々の見識と垂範に期待しよう。
  (鹿児島総局長 渡辺 f)


2005/ 3/19 喫煙は「ニコチン依存症」という病気 禁煙治療で手引書 (朝日新聞記事

 禁煙を手助けする医師向けに、保健医療系9学会が合同で作成していたガイドラインがほぼまとまり、横浜市で始まった日本循環器学会学術集会で19日、概要が発表される。喫煙を「ニコチン依存症」という病気ととらえ、依存を断ち切るための治療法や、「禁煙に失敗しても患者を責めない」といった指導のこつを示した。
 作成にかかわったのは同学会のほか、日本公衆衛生学会や日本呼吸器学会、日本肺癌(はいがん)学会、日本小児科学会などの禁煙指導の専門家。こうした手引書が学会レベルでできるのは、国内では初めてという。
 総論では、外来診療でできる禁煙治療の手順や、患者の禁煙の意思や実行段階に応じた指導法などを示した。禁煙効果が高いニコチンパッチなどを使う療法が基本とされている。
 各論では、呼吸器や心臓・血管など病気の分類ごとに指導方針をまとめ、カルテに喫煙状況をわかりやすく記載して繰り返し禁煙を指導し、再び喫煙しても患者を責めず、再度禁煙への挑戦を動機付けるといったきめ細かな心得を書いた。
 喫煙率上昇が懸念される子どもへの禁煙治療も重視、小児専門の禁煙外来の受診を勧めるように求めた。
 とりまとめ役の藤原久義・岐阜大教授は「喫煙はニコチン依存という病気で、治療するという視点が必要。私たち医師も含め、国内ではタバコ対策の意識や取り組みが積極的でなかった。今回のガイドラインで、禁煙を盛り上げたい」という。
 ガイドライン案には、世界保健機関(WHO)の主導するタバコ規制枠組み条約が2月に発効したのを受け、国や地方自治体などに対する緊急提言も盛り込まれた。未成年者の喫煙防止教育の充実や、禁煙治療・支援の専門家の養成、タバコ自販機撤廃、公共の場や教育現場での全面禁煙化、タバコ対策専門の行政と民間組織の設置などを求めている。


2005/ 3/19 親の喫煙、子に「害」じわり…動脈硬化のリスク高まる (読売新聞記事)

 親が家庭でタバコを吸い、受動喫煙にさらされている子供は、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールの値が低いことが、埼玉県熊谷市医師会の井埜利博医師(小児循環器)らの研究でわかった。
 成人後に心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす危険が子供の時から高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きい。19日から横浜市で開かれる日本循環器学会で発表される。
 同医師会は、小学4年の児童に行っている生活習慣病検診の際、親が喫煙しているかどうかを尋ね、子供の尿中に含まれるニコチン代謝物質の量を調べた。その結果、両親とも喫煙している子供の6割、一方の親が喫煙者の場合は3割に、受動喫煙の証拠となるニコチン代謝物質が検出された。子供に接する時間の長い母親が喫煙者の場合は、父親に比べ約2倍の影響があった。
 尿中のニコチン代謝物質の量が多い子供ほど、血液中のHDLコレステロールが少なく、通常の子供より約1割低かった。タバコを吸うとHDLコレステロール値が低下し、心筋梗塞の恐れが高まることが知られているが、小児の受動喫煙でも同様の危険があることが裏付けられた。


2005/ 3/18 米国で未成年対象の反タバコ・キャンペーンが成果 (日経MedWave記事

米国RTI International社のMatthew C. Farrelly氏らは、米国における反喫煙活動の先鋒と目されている非営利団体American Legacy Foundationの若者向け反タバコ・キャンペーン「truth」の成果を評価し、米国公衆衛生雑誌American Journal of Public Healths誌2005年3月号に発表した。
2000年2月に始まった「truth」は、若者の喫煙の予防を目的とする米国最大のキャンペーンで、タバコ業界を標的としない代表的な反タバコ活動の一つ。その内容は、タバコ業界の戦略を公表し、タバコ依存の真実、健康への影響、喫煙の社会的意味などを青少年に教えて、喫煙に関するインフォームド・チョイスを可能にするようになっている。


2005/ 3/18 米信販業界:タバコのネット販売はカード使用禁止 (毎日新聞記事)

 米司法省と同国のクレジットカード業界は17日(米国時間)、インターネットでのタバコの販売にはカードの使用を認めないことで合意した。オンライン販売は未成年の喫煙や課税逃れの温床になっており、売上金がテロリストや犯罪組織に流れているためとしている。同日から直ちに実行する。
 米国では、ネット上で販売することで課税を逃れ、安売りする業者が横行。税収にも影響が出ているという。店頭での対面販売に比べ、年齢の確認がおろそかになることも問題化していた。
 このため、同省のアルコール・タバコ・銃器・爆発物局(ATF)と各州の司法長官が信販業界と協議。カードで手軽に購入できないようにして、オンライン販売の抑止を図ることで合意した。【南 優人/Infostand】

アルコール・タバコ・銃器・爆発物局
http://www.atf.gov/


2005/ 3/18 熱海の海水浴場禁煙に 6月から、条例が成立 (共同通信ニュース速報)

 静岡県熱海市議会は18日、観光客誘致につなげようと同市内で最も大きい海水浴場「サンビーチ」を禁煙とする条例を可決した。海開きの6月下旬から実施する。
 海水浴場を禁煙にする条例は「鳴き砂」が有名な京都府京丹後市のケースがあるが、全国でも珍しいという。
 地元の観光業者らの間では「かえって観光客が減るのでは」と懸念する声も出ていたが、海水浴客らへのアンケートの結果、約7割が禁煙を歓迎していることが分かり、市は条例化に踏み切った。
 同日成立した条例は、サンビーチの延長約400メートルの砂浜を禁煙区域に指定。愛煙家のために、砂浜と隣接の遊歩道との境界付近に喫煙所を計5カ所設ける方針。罰則はないが、職員が巡回して違反者の氏名を公表できる。
 「禁煙により、子ども連れでも安心で安全に遊べる砂浜にしたい」(市環境課)としている。


2005/ 3/17 イレッサ、女性・非喫煙者に推奨 学会が使用指針を改正 (朝日新聞記事

 肺がん用の抗がん剤、ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の使用に関する医師向けのガイドライン(指針)を日本肺癌(がん)学会が改訂し、17日に厚生労働省で開かれたイレッサの検討会で発表した。検討会は当面は使用を認める方針を打ち出しているが、同学会の新指針などを参考に検討を進めて、厚労省の方針を決めることになる。
 新指針では、薬の効果が得られやすい人の条件を、女性、非喫煙者、EGFRという特定の遺伝子に変異がある患者、などとした。このような条件に当てはまる患者への使用が「推奨される」としている。
 一方、全身の状態が悪い人、喫煙歴のある人など副作用の起きやすいとされる患者に使う場合には、「利益が危険性を上回ると判断される場合に限定する」よう求めている。また、最近発表された国際的な規模の臨床試験の結果や副作用などを含めて、十分に患者に説明した上で、文書で同意を得ることとした。
 同学会は副作用などに対応するため03年に指針を作ったが、今回はその後に発表された新しいデータを反映させ、薬が効きやすい患者に使うことを推奨した。
 イレッサは02年、世界に先駆けて日本で承認された肺がん用の新型抗がん剤。副作用の少ない「夢の新薬」といわれたが、本来の肺がん以外に、肺への転移がんにも使われるなどの「乱用」を背景に、販売開始後に副作用が続発した。
 現在、日本人における延命効果の有無について臨床試験が進められている。検討会はイレッサの臨床的データを検証する目的で設置され、1月に「現時点では使用を制限する必要性は乏しい」として、国内での使用を認める方針を打ち出している。


2005/ 3/17 札幌市が「受動喫煙防止対策ガイドライン」を作成 (BrainNewsNetwork記事

 18日から市役所、各区保健センターで冊子を配布。
 喫煙者の副流煙による受動喫煙の防止に向け、このほど札幌市では「受動喫煙防止対策ガイドライン」を作成した。
 ガイドラインには喫煙による健康被害や完全分煙のための条件、禁煙、完全分煙が望ましい場所などが示され、市民と事業者、行政が一体となって受動喫煙の防止に取り組むことを目指している。
 市は企業や商店から今回のガイドラインの基準を満たしている施設を募集、認証した施設には禁煙、完全分煙施設であることを示すステッカーを交付し、取り組みを支援する。
 市保健福祉局の服部幸子健康づくり推進担当課長は、「毎年、5月31日の世界禁煙デーに向けて、保健センターや病院、幼稚園などにポスターを張り出すなど啓発に努めているが、今年は特に今回作成したガイドラインの内容をより多くの人に知ってもらうことが一番大きな課題」と話している。
 ガイドラインは、18日から、市役所本庁舎4階の保健福祉局健康衛生部地域保健課と各区の保健センターで配布される。
【写真】ガイドラインを記載した冊子とステッカー


2005/ 3/17 禁煙2週間で血液さらさら 久留米大 血小板の機能改善 (西日本新聞記事

 心筋梗塞(こうそく)や脳卒中の原因となる血栓の生成に大きくかかわる血小板の機能が、わずか二週間の禁煙で非喫煙者と同レベルまで改善されるとの研究結果を、久留米大医学部第三内科(福岡県久留米市)の森田博彦助手が発表した。
 喫煙は、肥満や高脂血症などと同様、血栓や動脈硬化を引き起こす危険因子の一つだが、研究班の池田久雄助教授は「少なくともタバコがもたらす悪影響が、これほど短期間で改善されるのは予想外だ」と指摘している。研究論文は、米国心臓病学会誌「JACC」の最新号に掲載された。
 研究は、二十、三十代の慢性的喫煙者男性二十七人を対象に実施。十四人には四週間禁煙させ、残り十三人には二週間の禁煙後、喫煙を再開させ、両グループ間で血小板の機能を示す指数などを比較した。
 その結果、血液の固まりやすさを示す指数は禁煙前より半減。血栓の生成を抑制する機能の強さを示す指数は約三倍に増えたという。また、タバコの煙に含まれる活性酸素に起因する全身の酸化ストレスも、禁煙後二週間で改善されることが分かった。
 しかし、喫煙を再開すれば、二週間で元の状態に戻るとの結果も出ており、池田助教授は「禁煙に踏み切るのに遅すぎることはないが、効果を期待するなら、きっぱりとやめるしかない」と話している。


2005/ 3/16 停留所が終日禁煙に/岡山 (RNCニュース

駅や乗り物など、公共の場所での禁煙が進む中、岡山市内の路面電車の停留所も、きょうから全面的に禁煙になりました。
岡山市内を走る岡山電気軌道の路面電車には合わせて15の停留所があり、このうち13の停留所には灰皿が設置されていました。
しかし、他人のタバコの煙を吸ってしまう「受動喫煙」が問題となっていて利用者からの要望も相次いだことから、岡電では、停留所の全面禁煙に踏み切りました。
きょうは、停留所に取りつけてあった灰皿が撤去、「禁煙」のシールが貼られ、停留所は、終日禁煙となりました。
きょうからの終日禁煙で、愛煙家はますます喫煙場所が減りますが、「灰皿がなくなったらポイ捨てが多くなった」ということにならないように、願いたいものです。


2005/ 3/16 妊娠後期の喫煙は子どもの大学受験に響く?、デンマークの研究 (日経MedWave記事

妊婦の喫煙が、生まれた子供の認識力や行動面での発達に影響することを示す研究結果は数多い。しかし、子供が成長し社会に出る年になってもその知能に影響が見られるかどうかは明らかでなかった。
デンマークCopenhagen大学病院のErikLykkeMortensen氏らは、1959年から1961年に生まれた男性を対象に、妊娠後期の喫煙と子供が18歳になった時点の知能の関係を調べた。その結果、妊娠後期に喫煙していた母親の子供は18歳時点のIQが低いことが分かった。詳細はPaediatric and PerinatalEpidemiology誌2005年1月号に報告された。


2005/ 3/15 喫煙男性は腹部大動脈瘤に要注意 65歳以上は検診を (日刊ベリタ記事

 タバコを吸っている65歳から75歳の男性は、腹部大動脈瘤が発生する危険性が高く、少なくとも一度は、病院などで超音波検査の診断を――と、米国の民間予防医学に携わる専門家チームが、強く勧告している。米国で腹部大動脈瘤で死亡する成人は年間9000人。大動脈瘤は、動脈の壁が拡張するもので、放置すると破裂し、死に至ることもある。早期の発見が助かる道だが、検査には数百ドルかかり、手術も危険で、治療費も2万ドル(約210万円)以上に達するのが難点という。(ベリタ通信=江口惇)
 米紙ボストン・グローブによると、シドニー・ウッズさん(73)は、2000年11月、腹部に痛みを覚え、腎臓結石の再発かと思った。診断した医師は、石のほかに、動脈の異常に気付き、ウッズさんは、直ちに設備の整った病院にヘリで搬送され、一命を取り留めた。結石の痛みのお蔭で、知らないうちに発生していた腹部大動脈瘤が発見されたケースだった。
 今回、腹部大動脈瘤の超音波検査などを呼び掛けたのは、著名な民間非営利医学団体「AHRQ」の支援を受け、調査してきた特別研究チーム。同チームは、1996年にも同種の研究を発表しているが、大動脈瘤の早期発見のため、定期検診を勧告したのは今回が初めて。
 腹部大動脈瘤は動脈硬化などで起きるとされ、主に中年以上の男性の病気とされる。特別研究チームによると、喫煙は血管の層を弱くするので、喫煙によって大動脈瘤が発生する危険性が極めて高くなる。
 調査結果では、65歳以上の喫煙者、あるいは過去に喫煙経験の持つ男性は、定期健診が必要。発見されれば、手術で助かる確率が高まる。仮に65−75歳の年齢層の男性を対象に検診が実施されれば、500人中1人が発見され、命が助かるという。一方、検診で小さな血管の拡張が見つかった人は、定期的な観察が必要になる。
 しかし、高齢者の場合、心臓や呼吸器に問題などがあれば、発見されても手術できないこともある。逆に80歳でも健康体であれば、手術は行なわれる。
 特別研究チームは、タバコを一度も吸わなかった人には、腹部大動脈瘤が起きる危険性が低いので、65歳以上でも、定期検診は勧告していない。しかし、女性を含め、家族から大動脈瘤の患者が出ていた場合は、検診を受けるのが望ましいという。
 治療法としては、外科手術が延命のための必要な手段とされてきたが、近年は、大きな手術をしないで、治療する方法が、ブームになっている。しかし、この場合、その後規則的に検診を受ける必要があり、また患者の10人に1人が、後に別の手術を受けることもあるという。
 米国では、患者の60−80%が、腹部大動脈瘤の破裂で病院に到着する前や、外科手術を受ける前に死亡している。マサチューセッツ州のある医師は、動脈瘤の破裂で、5分以内に死亡する可能性があると指摘する。こうした不測の事態を防ぐには、検診で発見するのが一番だ。しかし、検査費用、高額な治療費などが壁になっており、政府が今回の勧告を受けて、検診を義務化する保証はないという。


2005/ 3/14 台湾、妊婦の喫煙禁止へ 「煙害」防止法改正案 (共同通信ニュース速報)

 14日付台湾夕刊各紙によると、台湾の衛生署(衛生省)は同日、「煙害防止法」改正草案に妊婦の喫煙を禁止する規定を盛り込んだと発表した。
 妊婦の喫煙を発見した人が衛生当局に届け、妊婦の身元が特定された場合、1万台湾元(約3万4000円)以上5万元以下の罰金が科される。妊婦にタバコを販売したり、喫煙を勧めた場合も罰金対象になるという。
 衛生署は「妊婦が喫煙した場合、流産の確率や新生児の死亡率が高まる。胎児の健康を守るため、禁止規定を盛り込んだ」と説明している。


2005/ 3/14 パブやバーの従業員、職場の受動喫煙による死亡が一般職場の約4倍、英研究 (日経MedWave記事

オーストラリアQueensland大学のKonrad Jamrozik氏は、職場と家庭での受動喫煙が原因と考えられる死者数を推定し、人口寄与割合を出した。
その結果、職場での受動喫煙の被害は、家庭に比べ少ないが、接客業に限れば非常に高いことを示唆する結果が得られた。British Medical Journal誌電子版に2005年3月2日に報告された。
英国では、パブやバー、ナイトクラブ、ホテル、レストランなどの接客現場の禁煙はそれほど進んでいない。客の自由を侵害し営業が妨害されるという根強い反対があるからだ。また、今日まで、こうした特定の職場で働く人の受動喫煙の害が推測されたことはなかった。


2005/ 3/12 増える未熟児 喫煙による悪影響深刻 (湘南新聞記事

 体重2500グラム未満の未熟児の出生がここ4〜5年、地域で3〜4倍に増えている。妊婦の喫煙と受動喫煙、不妊治療による多胎、ダイエット、など複合的な要因によるものとみられている。とくに妊娠中のタバコが及ぼす悪影響は深刻だ。 
未熟児の出生1.5倍増に 平塚保健福祉事務所管内
平塚保健福祉事務所によると、全国の出生時の平均体重は男3250グラム(昭和48年)、女3160グラム(同49年)まで増加したが、以後、減少に転じ、平成14年は男3006グラム、女2980グラムにまで落ちている。2500グラム未満が未熟児だが、1000グラム、500グラム未満で産まれるケースも増加。500グラム未満となると、死亡するケースがほとんどだ。
  同保健福祉事務所管内(平塚・大磯・二宮)での未熟児の出生数は平成2年180人だったのが、15年は280人と約1・5倍の増加だ。茅ケ崎同管内(茅ケ崎・寒川)でも2年に124人、15年には216人に増加。出生数に対する未熟児の割合も増え、2年の6%に対し、15年は8・7%と増加している。
  秦野同管内(秦野・伊勢原)でも未熟児は増えている。秦野で平成元年、未熟児出生率6・3%、14年は10・0%に増加。伊勢原でも同6・3%から同8・6%に。県全体でも同6・2%が同9・2%に増加している。秦野の全出生数は減少しているが、未熟児の割合は増加している。
  死亡率が高いといわれる500グラム未満の未熟児の出生は秦野、伊勢原では少ないが、県全体では14年に14人が産まれている。平成7年ごろから急激に増えている。
喫煙、多胎、高齢出産 複合要因からむ
なぜ、未熟児が産まれるのか‐。妊娠中の喫煙、不妊治療による多胎児の増加、高齢出産など、さまざまな複合要因によると考えられている。胎盤機能が低下している35歳以上の女性が、妊娠中毒症や合併症を引き起こし、未熟児のまま出産しなければならない、というケースが増えた。
  とくに妊娠中の喫煙が指摘されており、夫やパートナーからの受動喫煙が未熟児出生の原因のひとつともいわれる。男性の喫煙は減ってはいるものの、未だ20〜40歳代で5割以上の男性に喫煙習慣があるとされる。1日に20本以上喫煙する妊婦は、非喫煙の妊婦に比べて、自然流産の発生率が約2倍高くなると報告されている。
  喫煙によって、妊娠中期の流産がとくに多くなるといわれ、これは妊娠初期の染色体異常による流産と異なり、喫煙そのものの有害作用と推測されている。女性の喫煙は15〜19歳で34・2%と最も高く、低年齢化しているのが特徴だ。
  厚生労働省の統計では妊娠中の喫煙率は、平成2年の5・6%と比較して、現在は10・0%強とほぼ2倍。医師が「やめるよう」指導しても「10人中1〜2割しかやめない」(平塚市民病院)というのが実態だ。
  茅ケ崎保健福祉事務所副技幹の原田久医師によると、1日10本タバコを吸うと、子どもが低体重になるだけでなく、ニコチンによる神経作用で、知能指数が低下する可能性があるという。また食習慣の悪化が重なると、朝食を抜いたりするので栄養が不足してしまうという問題も起こる。
  妊娠した時点で胎児の臓器は形成され始めている。その時点でタバコをやめても間に合わない、と原田医師はタバコの怖さを強調する。
「タバコを吸うこと自体が病気。ニコチン依存症になっている。ニコチンは脳内の神経細胞を刺激するため、吸うとホッとしたり、リラックスできる。ニコチンが体内から抜けると、イライラしたりする。1本吸うと気分もよくなるが、妊婦が喫煙すれば、胎児への影響は計りしれないものがある」と警告する。
  未熟児は早産(37週未満)で産まれるのが特徴だ。場合によっては28週や26週で産まれるケースもあるという。東海大学病院小児科医師は「26週以上、お腹にいれば救命できるが、23、24週だと死亡する確率が高い」と言う。平塚市民病院の産婦人科医師は「28週前に産まれると脳性マヒなどになる可能性が高い」と指摘する。
  妊娠中は胎児に栄養補給のため、現体重プラス8キロまでが容認範囲だが、ダイエット志向が強く、太ることがイヤで栄養摂取をためらう妊婦も少なくないという。
  妊婦が喫煙することで、子宮内の環境が悪化する、と同医師。「血管が収縮し、一酸化炭素が体内に入って、胎児に酸素が運ばれなくなる。栄養分が行かなくなるため、胎児がお腹の中で育ちにくい環境になる」
  未熟児が産まれるもう一つの原因としてあげられているのが不妊治療による多胎。女性の不妊が増加し、体外授精など生殖医療で出産するケースが多くなっている。不妊治療で強い排卵誘発剤の注射を打つと、20%前後の確率で双子が産まれる。三つ子が産まれるケースもある。
  体外授精の場合、卵子3個を子宮内に戻すが、3個とも着床した場合三つ子が産まれる。母体が耐えられず早産となれば、未熟児として産まれる可能性が高くなる。
  茅ケ崎徳洲会総合病院産婦人科の青野一則医師は「発育が悪いというより早産に原因がある」と主張する。「何らかの原因で早く産まれる。そのこと自体が障害になる」と言う。また、もう一つの原因に生殖医療の進歩を挙げる。「昔は25、26週で産まれると死亡していたが、今は医療の進歩によって発育するから絶対数が増えている」。しかし、未熟児は後遺症が残り、頭蓋内出血などを起こしやすく、脳性マヒなど発達遅延もみられるという。「1000グラム程度で産まれると、小・中学生になっても背が伸びないことがある。28週を過ぎて産まれ、治療を受ければ後遺症は残らないが、24、25週で産まれた場合は後遺症が残り場合によっては死亡する」。
早産はリスクが大きく、双子、三つ子を産むのは好ましくない、と同医師。「母親は喜ぶが、途中で起こるリスクを考えると、決して喜ばしいことではない」と忠告する。

◎インタビュー◎ 野村雅寛氏(東海大学小児科医師)
受動喫煙の害は深刻 低酸素状態によって発育抑えられてしまう

東海大学病院小児科の野村雅寛医師になぜ未熟児が増えているのかなどについて聞いた。
――未熟児が増えているという印象はありますか。
「4〜5年前から顕著に現れています。平均すると3〜4倍は増えています。とくにタバコを原因とする増加が特徴です。妊婦本人が吸っているのが5割弱で、5割強は夫がヘビースモーカーであることが多いです」
――喫煙と未熟児の因果関係は医学的に証明されているのですか。
「医学的な根拠もありますし、証明もされています。タバコにはニコチンと一酸化炭素、シアン化合物が含まれていますが、ダイオキシンも含まれているので、1日1箱以上5〜6年吸い続けると、体内にかなりのダイオキシンが蓄積するといわれています」
「ニコチンは血管を収縮させます。収縮すると血の流れる量が減るので、胎盤や胎児へ行く血の量が少なくなります。胎盤に栄養が行かないので、小さくなるのです。胎児も血の流れが悪くなり、低酸素になります。また、一酸化炭素が血液中のヘモグロビンとくっついてしまうのです。ヘモグロビンは、酸素を運ぶ力はありますが、タバコを吸うことで運ぶ力がなくなり、低酸素状態になって、胎児の発育が抑えられてしまうのです。ニコチンは血管収縮だでなく、胎盤機能をダメにしてしまう。また、一酸化炭素によって低酸素になり、胎児がお腹の中で苦しい状態になるので、心臓が弱まり、死亡するケースが増えています」
「タバコを吸う女性に未熟児出産が増えているのは、喫煙頻度が多いからです。とくに20歳前後の女性に多いです。10年前に比べ、女性がタバコを吸う頻度は2倍です。今はむしろ受動喫煙の方が害を及ぼしています。妊娠中でも働く女性は増え、タバコを吸う夫だけでなく、職場での受動喫煙にも影響が出ています」
――高齢で不妊治療した女性の間で未熟児出生が増えていると聞いていますが。
「同じ高齢者でも子どもを何人か産んでいればいいのですが、不妊治療をする人は妊娠しにくい人が多いので、妊娠満期(約40週)まで胎児をお腹の中に入れておくというのは難しく、早産するケースが多いようです」
――未熟児に後遺症はあるのですか。
「お母さんが長期間、タバコを吸ったり、受動喫煙があったりすると、頭脳の発育に影響が出、知能指数(IQ)が低くなります。背も伸びなくなります。胎児が低酸素にさらされるので、脳へ行く酸素の量が減ってしまうのです。低酸素状態になると、脳が萎縮し、発育障害を起こします。産まれる前に障害として出るので、治療すれば治るというものではありません」
――リスクが高いと承知しながら、タバコをやめられない人もいるのですね。
「います。タバコの怖さを個人個人が認識していないからです。国では2010年までに、妊娠中のタバコはやめるよう運動を始めています。いかに社会に定着していくかにかかっています」
――タバコは早めにやめれば問題ないのですか。
「はい。妊娠する前にやめるべきです。妊娠と分かった時点で6〜7週ですから、胎児の臓器が出来始めています。妊娠と同時にやめるよう指導しますが、10人中3人はやめません。妊娠中でもタバコを吸い続ける人がいます」
――東海大病院で1000グラム未満の未熟児が産まれたことは。
「あります。最近、このケースも増えています。相当にタバコを吸う人やお酒を大量に飲む人に限られています。アルコールの場合は、むしろ発育障害です。精神遅滞とか発育障害を起こします。毎日、少量飲む人には影響はありませんが、1カ月に1回大量に飲酒する人の方が、子どもに障害が出やすいようです。当院でこれまで一番小さかったのは380グラムですが、育ちませんでした。育ったなかで最も小さかったのは510グラムで、4〜5カ月間入院し、体重が2300グラムになって退院しました」
――1000グラム未満の未熟児は死亡するケースもあるのですか。
「死亡するケースは多いです。心臓や肺ができていないので、呼吸器で呼吸させていると心臓ができていないため、頑張りきれず死亡します」
【写真】注射器と同じほどの未熟児。(東海大学病院提供)


2005/ 3/12 禁煙、分煙の徹底を図ろう (東奥日報社説

 タバコが健康や社会に及ぼす悪影響の防止を目指した「タバコ規制枠組み条約」が二月下旬に発効した。日本も「脱タバコ社会」を迎えることになる。
 タバコ規制枠組み条約は、タバコの深刻な害から現在と将来の世代を守ることを国際目標に掲げ、タバコ価格・税の引き上げ、受動喫煙からの保護、タバコ包装の警告表示強化、広告・販売促進の包括的禁止、禁煙指導、未成年が自動販売機でタバコを買えないようにする措置など求めている。
 タバコ問題はこれまで、タバコ事業を所轄する財務省が担っていて、事業の育成が目的だった。ところが、これからは、厚生労働省が対策の中心になって、視点が税収確保から健康問題に転換したのである。
 タバコ規制枠組み条約を日本は昨年六月に批准した。十九番目の批准国で、タバコ対策では欧米より三十年遅れている日本だが、条約の批准、発効で積極的な役割を果たしたのは評価できる。広告禁止などの規制に乗り出す義務が生じた。タバコ税を引き上げて消費を減らす課題もある。
 タバコの健康被害は二十世紀半ばから各国で研究され、害も確認されている。
 タバコが原因で年間、世界で約五百万人、日本では十一万四千人が亡くなっていると推定されている。
 厚労省は今の健康づくり運動「健康日本21」を二〇〇〇年に決める際「一〇年までに喫煙率半減」の目標を掲げながら撤回したいきさつがある。
 タバコは、コロンブスの新大陸発見で世界中に広がったという。また、喫煙ほど繰り返しやめようと思いながら、依存性のためにやめられないのも珍しい。
 日本人の成人男性の喫煙率は先進国では高い方だ。日本タバコ産業(JT)の調査によると昨年は、ピーク時だった一九六六年の87%から47%まで低下した。
 女性の喫煙率は13%でほぼ横ばい。男女合わせた喫煙率は初めて30%を切っているが、喫煙率は低くはないのである。
 喫煙が健康に被害を与えているのは論をまたない。裏を返せば、禁煙で病気の予防効果がはっきり出るのである。この巨大なリスクと損失を確実に抑えるには禁煙しかない。
 特に未成年者や妊婦の喫煙を限りなくゼロにしたい。健康増進法第二五条には、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない、とある。公共の場での禁煙、分煙を徹底させたい。
 県では受動喫煙防止対策を実施している施設に対する認証制度を開始している。禁煙や分煙を実施している施設に「空気クリーン施設」を、飲食店には「空気もメジャー店」の認証ステッカー交付している。今後ともさまざま機会を通じて働き掛け、効果が上がることを期待したい。
 タバコ規制条約が発効したことで、一部製品で先行実施されている包装紙の面積30%以上の「タバコの害」表示が将来は義務付けられる。さらに、五年以内にタバコ広告を全面禁止することを規定している。
 健康被害がより深刻な未成年対策にも力を入れ、未成年者が自動販売機を利用できないような措置、体への影響についての普及啓発も推進したい。
 日本は、タバコ対策が欧米より遅れているといわれている。規制枠組み条約の発効を機に、人々の意識や行動が脱タバコに向かうよう望みたい。


2005/ 3/10 「やめた人からキレイに」/看護師に禁煙の小冊子 (四国新聞記事

 「やめた人からキレイになれる」と、女性心をくすぐる表題を付けた禁煙小冊子を日本看護協会が作製した。喫煙率が成人女性の2倍近い看護師ら医療職女性がタバコをやめるのを手助けするのが目的。禁煙すれば肌がすべすべになるなどとし、タバコへの依存度や喫煙パターンに応じた禁煙法を紹介している。
 日本タバコ産業の調査によると、成年女性の喫煙率はここ数年14%前後。これに対し、同協会の2001年の調査では、医療職女性の喫煙率は24・5%だった。喫煙理由は「イライラしたとき」が最も多かったことから、ストレスをためないための工夫やリラックス法も紹介。小冊子には心身の調子を書き込むカレンダーがあり、そこで禁煙日記を付けることを勧めている。


2005/ 3/10 タバコ業界が関与した学会誌論文、「間接喫煙=有害」の比率は他誌の3分の1 (日経MedWave記事

オーストラリアSydney大学のDavid Garne氏らは、タバコ業界の記録を調べ上げ、1980年代末に設立された国際建築環境学会(International Society of the Built Environment)およびその学会誌「Indoor and Built Environment」と、タバコ業界との関係を明らかにした。詳細はLancet誌2005年2月26日号に報告された。
1987年3月、英独日米からタバコ業界の関係者が集まり、間接喫煙の害に関する一般の認識の広まりに対し、業界として何をなすべきかを話し合った。業界が資金提供した研究がさらに必要だが、業界に有利な論文を発表するのは難しい、との見方から、業界に好意的な編集者を揃えた専門誌を刊行すればよいとの結論に至ったという。


2005/ 3/ 9 JR6社、全面禁煙要望にNO (読売新聞記事)

 日本心臓病学会などで作る「9学会合同禁煙指導のガイドライン委員会」(委員長=藤原久義・岐阜大大学院教授)がJR東海、東日本などJR6社に対し新幹線などでの全面禁煙を要望したのに対し、各社は9日までに、分煙強化には取り組むものの全面禁煙には応じられないと回答した。
 JR東海は、新幹線車両の7割が禁煙車になっているほか、ホームなどでも喫煙コーナー以外は全面禁煙とし、健康増進法の趣旨に沿っていると回答。他の5社も同様の内容だった。
 9学会の要望では一部新幹線で、喫煙車に隣接する禁煙車の煙を測定したが、煙は流入し、同法に違反していると批判。ホームでも多くの非喫煙者が煙を吸うとしていた。
 要望は2回目で、藤原委員長は「学会が言っても動いてくれない。そろそろ全面禁煙にしてもいいのだが」と嘆いた。


2005/ 3/ 7 タバコ規制条約/禁煙、節煙に課税強化が有効 (世界日報社説

 タバコ消費を削減し喫煙による健康被害を防止するための「タバコ規制枠組み条約」が発効した。健康を守る公衆衛生分野で初の国際条約であり、発効の意義は極めて大きい。
喫煙減少のカーブが緩い
 条約は、二〇〇三年五月の世界保健機関(WHO)総会で採択。批准した日本など五十七カ国は、発効から三年以内にタバコの箱の表裏それぞれに30%以上の面積に健康被害などの警告表示を掲載することや、五年以内にタバコの広告を原則禁止にすることなどが求められる。「マイルド」や「ライト」などのネーミングも、一定の規制を受ける。
 「喫煙天国」を批判されてきた日本だが、財務省はタバコ事業法に基づいて昨年改正された同省指針で、新聞広告の回数制限などタバコの広告に関する規制強化に乗り出している。
 すでに昨年十月に電車やバスなど公共交通機関での車両広告を禁止した。これに続き、この四月からはビル屋上や繁華街などの看板新設を禁止し、既存の看板も九月末までに原則撤去となる。
 前記のタバコの箱への警告表示は七月から義務付けられる。これまで批判されてきた間が抜けた表記も「喫煙はあなたにとって肺がんの原因の一つとなります」などと、具体的な強い警告表記に変わる。すでに国内シェア七割超を占める日本タバコ産業(JT)は、販売中の九十五銘柄のうち十七銘柄を切り替えている。
 さらに、〇八年四月をめどに、成人だけに発行するIC(集積回路)カードを入れないとタバコが買えないシステムを全国約六十万台の自動販売機に導入し、未成年者の喫煙防止を図る。
 健康志向の高まりを受け、成人の喫煙率は減少を続けている。昨年はついに全体として29・4%(JT調査)となり、調査が始まった一九六五年以来、初めて30%を割った。
 とはいうものの、これだけ健康への害が問題化している割には減少のカーブは緩い。若者や女性層では、横ばいや逆に増えている年代もあり、まだまだ安心はできないのである。
 日本のタバコ規制は、さまざまなところで進んでいるように見えるが、実は肝心な対策が手つかずになっていることを見逃してはならない。タバコへの課税強化や大幅な値上げによる消費削減策がそれである。
 条約も、価格や税金の引き上げが、タバコ消費を減らす効果的な対策だと推奨している。特に購買力の弱い若年層には、値上げで喫煙率を下げる効果が高いことは明らかだ。
 実際、一九八〇年代にタバコ価格をほぼ倍に引き上げたカナダでは、未成年の喫煙率が三分の一まで激減し、効果が大きかったことが報告されている。
 欧米のタバコの価格は、日本の二倍から四倍にもなる。欧米では、タバコ価格の八割が税金だが、日本はまだ六割である。JTの「マイルドセブン」は、八六年に二百円だったが、昨年七月に二百七十円になった。その際、業界は挙げて「販売価格の六割が税金」と新聞にも全面広告を出して反発したが、それでも価格、税金ともに欧米に比べて割安である。
消費減らす積極的方策を
 今後は、日本のタバコ価格が割安なことの害にも踏み込んで、消費を減らすための積極的な方策を取る必要がある。政府税制調査会でも根強く出ている「禁煙、節煙には課税強化が有効」説を支持したい。


2005/ 3/ 7 受動喫煙症 (毎日中学生新聞記事)

 タバコを吸わない人が、周囲の人の喫煙で間接的にタバコの煙を吸ってしまう「受動喫煙」が原因で発症(はっしょう)した健康被害(ひがい)の総称(そうしょう)。タバコ問題に取り組む医師らでつくる日本禁煙推進医師歯科医師連盟が新たに定義した。
 同連盟は先月末から、日本初となる受動喫煙被害の診断(しんだん)基準の作成を開始。受動喫煙が全くない「レベル0(正常)」から、肺がんなどの発症に至った「レベル5(重症受動喫煙症)」まで6段階に分類し、診断書にも「業務中の受動喫煙で発症したと推定」などと記述する。今月中にも正式決定する予定。
 タバコの煙が原因になり得る病気は、気管支ぜんそく、肺がん、心筋梗塞(こうそく)など数多い。だが、これまで非喫煙者が職場などで受動喫煙の被害を訴(うった)えようとしても診断基準がなく、タバコとの因果関係の立証が難しかった。


2005/ 3/ 7 受動喫煙:感染症と同じ対策を 煙の遮断が不可欠−−防止に関心高まる (毎日新聞記事)

 日本も批准した公衆衛生分野で初の国際条約「タバコ規制枠組み条約」が2月に発効し、煙害から非喫煙者を守る受動喫煙対策に関心が高まっている。国内でも公共の施設、飲食店などで分煙化が進んできたが、単に禁煙場所を設けただけなどの対応では受動喫煙を防ぐ効果が乏しいことが明らかになってきた。【江口一】
 東京大の中田ゆり研究生と産業医科大の大和浩助教授らは03年、東京都内の飲食店約50店で、タバコの煙の粉じん濃度を調べた。その結果、完全禁煙店や1、2階などのフロア別で喫煙席を設けた完全分煙店の禁煙席では、粉じん濃度が厚生労働省の基準(喫煙場所で1立方メートル当たり0・15ミリグラム)を大幅に下回った。一方、自由にタバコが吸える無対策店では、喫煙者が多い時間帯で基準の約18倍の濃度に達した。
 問題は、同じフロアを禁煙席と喫煙席に分けただけの「不完全分煙」では、禁煙席でも常に基準を上回り、時間帯によっては喫煙席を超える濃度を記録したことだった。中田さんは「エアコンにより空気が拡散された結果だ」と話す。
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟の斉藤麗子幹事の調査では、父親が1日20本、換気扇の下で喫煙していた家庭の乳児から、自然界では存在しないニコチンの代謝産物が検出された。斉藤さんは「一般家庭では屋外で吸わない限り、完全分煙にはならない」という。
 日本循環器学会など9学会は、新幹線や在来線特急の禁煙車が喫煙車に隣接していると粉じん濃度が上がり、受動喫煙が発生しているとの調査結果をまとめている。
 タバコの煙には、依存性のあるニコチンなどの有害物質や、約60種類の発がん物質などが含まれ、特に火のついた部分から立ち上る副流煙に多い。タバコの煙害対策が強く求められているのもこのためだ。
 杏林大の作田学教授(神経内科学)は、室内の空調が共用ならタバコの煙は予想以上に簡単に拡散するとして、「同じ空間を喫煙と禁煙の場所に分けるだけでは意味がない。喫煙場所を陰圧にして空気が漏れないようにし、しかも空調を他と分離する感染症と同じ対策が必要だ」と指摘する。


2005/ 3/ 5 全面禁煙化、JR応じず 9学会要望、分煙強化は約束 (朝日新聞記事

 新幹線などの列車内と駅の全面禁煙化を求めて、日本循環器学会や日本公衆衛生学会など医療系9学会でつくる合同委員会(委員長=藤原久義・岐阜大大学院教授)がJR旅客6社に要望書を提出した。各社の回答は、分煙強化は約束したが、全面禁煙化は「今後の検討課題」などとして応じなかった。
 03年5月施行の健康増進法は多数が利用する施設の管理者に受動喫煙防止を義務づけ、今年2月には喫煙による健康被害防止を目指す「タバコ規制枠組み条約」も発効した。また、新幹線の禁煙車にいても、隣接する喫煙車から流れ込むタバコの煙害を被ることが東京大大学院研究生らの調査で明らかになっている。そのため同委員会は2月10日、「全面禁煙化の英断を」と求める要望書を各社の社長あてに送った。
 各社の回答は、「新幹線の禁煙車両の比率は約70%」(JR西日本)、「ホームの喫煙コーナーは端に設けている」(JR北海道)など、受動喫煙防止に配慮している現状を説明。全面禁煙化には踏み込まず、「漸次、禁煙部分の拡大を検討」(JR東日本)などとするにとどまった。


2005/ 3/ 5 <受動喫煙>初の診断基準 健康被害を6段階に分類 (毎日新聞記事)

 タバコ問題に取り組む医師らが、受動喫煙による健康被害の診断基準を日本で初めて作成した。非喫煙者の症状が、受動喫煙の影響かどうかを判断する目的。医師らは来年2月までに「日本禁煙学会」も設立予定で、受動喫煙被害者の早期治療や救済、職場環境の改善などを訴えていく。
 タバコが原因になり得る病気は、気管支ぜんそく、中耳炎、肺がん、心筋梗塞(こうそく)、アトピー性皮膚炎など数多い。
 非喫煙者が受動喫煙の被害を職場で訴えようとしても、診断基準がなく因果関係の立証が難しかった。そこで、禁煙を呼びかける「日本禁煙推進医師歯科医師連盟」の医師らが診断基準作りに取り組んだ。
 受動喫煙の健康被害を「受動喫煙症」と新たに定義し、健康被害を6段階に分類した。さらに診断書には必要に応じて「業務中の受動喫煙で発症したと推定。緊急に環境を改善する必要あり」などと健康被害回復につながる意見も書くことにしたという。3月中にも正式決定する。
 診断基準を作成した一人の杏林大の作田学教授(神経内科学)は「これまで受動喫煙被害者の立場は弱かった。被害者を支援したい」と話している。


2005/ 3/ 4 副流煙を原因とする死亡件数、職場では1日あたり30件! (Japan Journal記事

英国内の自宅や職場における受動喫煙が原因とされる死亡件数は1日あたり30件にものぼり、パブやクラブなどで働く人は受動喫煙による健康への被害が特に顕著であるという研究結果が発表され、副流煙の害が改めて指摘された。
英国医師会の発行誌「the British Medical Journal」に掲載された研究報告によると、英国では、職場での受動喫煙が原因で死亡したと見られる人は年間617人であるという。パブやレストランなどで接客業に就く人は受動喫煙による健康へのリスクが普通の非喫煙者より20倍も高くなっているほか、自宅での受動喫煙が原因で一年間に死亡した成人の数は、20〜64歳で2,700人、65歳以上で8,000人にものぼることが明らかになった。
このような衝撃的な数字は、職場での喫煙に対して禁止への断固たる態度を示せていないジョン・リード保健相にとっては、さらなる圧力になるものとみられている。同保健相は、職場を全面禁煙にするかわりに、食事を提供する場所での禁煙を2008年までに実施することを提示しただけで、これだけでは従業員の副流煙による被害を十分に食い止めることはできないとの批判の声が聞かれているという。
医療関係者らは、抜け穴だらけの中途半端な妥協策より、アイルランド、ノルウェー、ニューヨーク、キューバなどで実施されているような職場の全面喫煙という徹底策の一刻も早い導入を要請。リヴァプールとロンドンにおける職場の全面禁煙案が、英国医師会と看護師の養成機関「the Royal College of Nursing」などの支持で上院に提出され、11日に再審議が行われる予定と報じられている。


2005/ 3/ 4 「禁煙ワクチンに効果」 開発中の英企業発表 (共同通信ニュース速報)

【ロンドン4日共同】英バイオ企業、ゼノバ・グループは3日、同社が開発中の禁煙ワクチン「TA−NIC」が初期段階の臨床試験(フェーズ1)で、禁煙に効果があったと発表した。
 発表によると、TA−NICは体内でニコチンに対する抗体をつくり、ニコチンが脳に入るのを防ぐことでタバコへの依存解消を狙うワクチン。
 試験は安全確認などが目的で、対象は喫煙者3グループ計60人。うち偽薬を投与された人の禁煙成功率は8%だったが、本物では最高38%だったという。
 同社は次の段階の試験を今年中に開始し、暫定的な試験結果を来年発表するとしている。


2005/ 3/ 3 禁煙指導で死亡率が有意に低下、6000人対象の介入試験で判明 (日経MedWave記事

中年の無症候性気道閉塞の人に対し、禁煙指導をした場合としなかった場合で、原因を問わない死亡率が有意に低下することがわかった。死亡率は禁煙指導を行わなかった群が1000人・年中10.38人だったのに対し、禁煙指導を行った群では1000人・年中8.83人と、有意な差があった(P=0.03)。
無作為化試験で禁煙による死亡率低下を示した研究結果は、これが初めてという。カナダManitoba大学のNicholas R. Anthonisen氏らの調べで明らかになったもの。


2005/ 3/ 2 未成年の喫煙 なくす努力をもっと (信濃毎日新聞社説)

 高校生など未成年の喫煙が後を絶たない。健康に悪影響があることがはっきりしており、法律も禁止している。喫煙被害を防ぐための「タバコ規制枠組み条約」の発効を機に、取り組みをいっそう強めたい。
 タバコが健康に与える被害は多くの研究ではっきりしてきている。例えば、四十代から五十代でタバコを吸う男性が、その後十年間に死亡する率は、吸わない人の一・六倍もある―。厚生労働省の研究班が最近導き出した結論の一つである。
 四十代から五十代の約四万人の十年間におよぶデータを分析している。タバコを吸っている女性の場合はさらに高く、一・九倍だった。
 喫煙が死亡率を高めるのは、がんなどの病気を起こすためと考えられる。肺がんをはじめ、のどや食道、胃、子宮などのがんとも因果関係が疑われている。喫煙年数や一日の本数に比例して危険度は高まる。
 特に注意したいのは、吸い始めた年齢が、若いほどがんになりやすいとされていることだ。次代を担う中高生の喫煙は、大人の責任でやめさせなければならない。
 青少年の喫煙に頭を痛める中学、高校は少なくない。厚労省の二〇〇〇年の調査では、学年が上がるにつれて喫煙率も高くなり、高校三年生は男子が約三七%、女子が約一六%だった。
 この年に飯田保健所が管内の中高生に行った調査でも、「習慣的」または「時々吸う」と答えた高校三年生の男子は四人に一人にのぼっている。中一の男子でも約四%いた。
 興味深いのは、習慣的に喫煙している高校生のうちの大半は、親からは「学校では吸うな」と言われていたことだ。購入先のほとんどは自動販売機だった。喫煙に甘い家庭と手軽に手に入る環境にも、問題があることをうかがわせる調査といえる。
 大人は未成年の喫煙にもっと厳しく対処した方がいい。親は部屋に立ち入って厳しく注意したい。子供との対話にもつながることだ。
 駅などで堂々と吸っている中高生を見たら、周りの大人が声をかけることも大切だ。われ関せず、の風潮では子供の健康も損なわれる。
 発効したばかりの「タバコ規制枠組み条約」は、未成年者への販売を禁止する対策を求めている。二〇〇八年度をめどに、成人かどうかを識別する自販機の導入が検討されているものの、問題は急を要する。未成年がタバコを入手できない環境の整備へ、さらに知恵を絞りたい。


2005/ 3/ 2 吸い過ぎにご注意…タイで患者の写真をパッケージに (産経新聞記事)

 吸い過ぎると、あなたもこうなります−。国を挙げて禁煙を推し進めるタイでこのほど、気管支炎に苦しみベッドに横たわる患者の写真をパッケージに印刷したタバコが登場した。
 写真には「喫煙はあなたを気管支炎で苦しめ、死亡させる」と説明が付けられている。
 タイでは近年、デパート、食堂などでの喫煙を原則禁止とし違反者には罰金を科すなど、厳しい喫煙対策を打ち出している。(共同)
【写真】バンコクで登場した新パッケージのタバコ(AP)


2005/ 3/ 1 アイブリッジ、日本全国「社会的モラル」に関するアンケート調査結果を発表 (日経新聞記事

日本全国「社会的モラル」に関するアンケート調査報告
 アイブリッジ株式会社(本社:大阪市福島区、代表取締役社長:松田 泰治)が展開する、全国約169万人のモニター会員を活用したインターネットリサーチサービス"リサーチプラス"では、社会的モラル・マナーをテーマに、日本全国(北海道、東北、関東、信越・北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄の9地域)の男女900人を対象にした地域別のアンケート調査を実施いたしました。
結果概要
(略)
■「歩きタバコ」など"喫煙"に関する罰則の強化を28.3%が切望 !!
 「自転車走行のマナー」も13.7%が取り締まりを望んでいる
(略)
アンケート調査結果サマリー
 受動喫煙の防止を目的とした「健康増進法」や、ポイ捨て・路上喫煙などへの罰則を設けた「生活環境条例」(千代田区)、そして昨年施行された、運転中の携帯電話の使用に罰則を設けた「改正道路交通法」に代表されるように、近年、モラルやマナーに関する問題が注目視されています。そこで、全国9地域(北海道、東北、関東、信越・北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)別に社会モラルに関する意識調査を実施しました。各地域の特徴は下記の通りです。
(略)
 今回の調査では、「自転車走行」や「喫煙」のマナーに関する違反行為に対し、自己の罪の意識の低さがあらわになった一方、罰則も強化して欲しいという回答が際立つ結果となりました。
(略)


2005/ 3/ 1 [タバコ条約]「喫煙大国のままでいいだろうか」  (読売新聞社説

 愛煙家は、ますます肩身が狭くなることだろう。
 喫煙による健康や社会への悪影響の防止を目指し、日本など約60か国が批准した「タバコ規制枠組み条約」が発効した。
 条約は、タバコの広告や密輸を国際的に規制し、健康問題の解決に協力して対応することをうたっている。
 日本は、タバコ事業法に基づき、タバコ広告の規制を強化する方針だ。4月からは屋外に新設できない。年内には既設の広告も撤去を求められ、タバコ店の店頭などを除き、原則禁止になる。
 健康被害を伝える警告表示は、包装面の3割以上に拡大し、内容も、「がんの原因の一つ」などの表現に変える。
 条約の締約国は今後、取り組み状況を具体的に示すことが求められる。「喫煙大国」と言われる日本が、対策に本腰を入れる契機とすべきだ。
 厚生労働省によると、日本人の喫煙率は成人全体で3割弱だが、男性は5割近くと、先進国で最も高い。20代の女性となると、この10年で倍増した。10代の若者の喫煙率も増えている。喫煙開始の年齢が早いと、習慣になりやすい。
 タバコも入手しやすい。自販機は60万台以上ある。2008年をめどに、成人だけに発行するカードがないと買えない方式に改められるが、現在は、子供でも買える。価格も1箱300円前後で、世界保健機関(WHO)によると、主要国で最も安い。
 喫煙による健康への影響は深刻だ。関連する死者数は、年間10万人以上にのぼる。喫煙者だけでなく、煙を吸う家族なども被害者で、これによる医療費と労働力の損失は数兆円に上るとされる。
 だが、これまで政府は、喫煙を「個人の嗜好(しこう)」としてきた。国としての対策も積極性を欠いていた。
 世界では、条約発効を先取りした動きが広がっている。飲食店など屋内での禁煙は大勢になり、ブータンのように国内のタバコ販売を禁じた国もある。
 条約は、最も効果的な対策として、価格の引き上げを挙げている。国内でも同様の提案がある。500円に引き上げれば、半数が喫煙をやめる、という調査結果もある。とりわけ若者の喫煙対策として効果が大きい、と言われる。価格の引き上げを真剣に検討する時期だ。
 影響が広範に及ぶ公共料金とは問題が異なる。個人の嗜好だからこそ、喫煙者には応分の負担が求められる。ただ、海外では値上げに伴い、密輸が急増した例もある。どの程度の値上げなら最も効果的か、知恵を絞りたい。
 喫煙大国のままではいられない。


2005/ 2/28 タバコ条約――ひと箱千円だっていい (朝日新聞社説)

 タバコは吸う本人ばかりか、周りで煙を吸わされる人の健康も損なう。将来を担う世代を守るためにも、消費を減らさなければならない。
 そんな大目標を掲げた条約が発効した。世界保健機関が主導した「タバコ規制枠組み条約」だ。日本など約60カ国がすでに批准した。
 発効したら、身の回りでいろいろなことが起きる。屋外の看板から、タバコの広告が姿を消す。新聞や雑誌の広告も制限される。タバコの箱には、健康への害を知らせる警告文がもっと大きく印刷される。
 だが、これらほ条約が各国政府に義務づけた最低限のことでしかない。日本の場合、国民全体の喫煙率が下がっているとはいえ、紫煙をくゆらす若者の姿が目につく。日本政府は、さらにタバコの消費を減らすべく、さまざまな対策をとらなければならない。 喫煙が原因で毎年10万人が亡くなり、1兆3千億円の医療費が余計にかかる。ほかならぬ厚生労働省の推計だ。タバコを吸う人と吸わない人が同じ医療保険料を負担するのは不公平だという論議があってもおかしくない。
 ところが、日本政府は21年前の「タバコ事業法」を根拠に、タバコ産業の「健全な発展」を図る姿勢を崩さない。「健全」をいうなら、守るべき対象は国民だろう。一刻も早く管轄をこれまでの財務省から厚労省に移し、国民の健康を守ることを政策の原則に据えるべきだ。
 そうした政策を求める声は、タバコ業界にもある。世界最大のタバコ会社である米国のフィリップ・モリスほ、社会がこうむるタバコの害を最小限にするための包括的規制を日本政府に求めている。
 しかし、日本タバコ産業は、タバコを健康を損なう多くの原因のうちの一つとしか認めず、「大人の噂好品」として、あくまでも個人の選択、との立場だ。
 さて政府は何をすべきか。
 まずは、タバコの税率を引き上げ、その値段を上げることだと思う。
 日本のタバコの値段は1箱300円程度だが、英米では日本の何倍にもなる。割安なことも、日本の喫煙率が先進国のなかで高い理由に挙げられてきた。値上げは、「やめたいけど、やめられない」という人たちにとって、禁煙のきっかけにもなるだろう。
 これまで、タバコ代の値上げは公共料金の引き上げと同列に論じられがちで、反発も小さくなかった。しかし、健康への悪影響は、全国民に及ぶ。
 販売量が減ることで病気が減る。医原資が減る。しかし税収は増える。そんな一石三鳥を考えたい。政府は思い切って、一箱千円程度にするぐらいのことを検討すべき時だろう。
 職場での分煙。「ポイ捨て禁止」条例と違反者への罰則。全国の自治体や企業の取り組みも広がってきた。タバコ価格の引き上げは、そうした流れをいっそう確かなものにするはずだ。


2005/ 2/27 タバコ規制枠組み条約が発効 愛煙家の立場さらに煙たく (西日本新聞記事)

 タバコが健康や社会に及ぼす悪影響の防止を目指し、日本を含む五十カ国以上が批准した「タバコ規制枠組み条約」が二十七日、発効した。
 公共の場所でタバコの煙にさらされないようにする受動喫煙対策や、広告の規制、禁煙指導、未成年者が自動販売機でタバコを買えないようにする措置などが柱。
 一部製品で先行実施されている包装紙の面積30%以上の「タバコの害」表示が将来は義務付けられ、広告の全面禁止も五年以内の課題となる。
 「タバコ規制枠組み条約」が二十七日発効し、かつて“喫煙天国”と言われた日本も二〇〇三年の健康増進法の施行以来、禁煙に踏み切る学校や自治体庁舎が相次ぎ、紫煙の締め出しが加速中。世界的な流れに押され、国内約三千万人と推計される愛煙家の肩身はますます狭くなりそうだ。
 「空気もおいしいお店はこちらです」。北海道庁は〇二年十二月から、店内禁煙にしたり、客席を仕切って分煙したりしている飲食店のリストを道庁のホームページで公開している。
 保健所の呼び掛けに応じ、これまで登録したのはラーメン店やレストランなど約三百店。「『女性客が増えた』『食事がおいしいと喜ばれた』などの声が多く好評」(道地域保健課)という。
 健康増進法により、受動喫煙防止が公共施設の努力義務となったのが〇三年五月。七月には人事院が国の庁舎は原則として全館禁煙とする指針を通知し、都道府県庁舎も昨年一月までにすべて禁煙か分煙になった。
 路上喫煙を条例で禁止した自治体も、東京都千代田区をはじめ全国三十カ所前後まで増え、タバコを吸える場所は限られつつある。
 厚生労働省は条約発効に合わせ、〇五年度予算にタバコ対策の緊急促進事業費を計上。北海道のような先駆的な取り組みが広がるよう、飲食店向けの禁煙・分煙講習会や住民への禁煙セミナーなどを行う自治体に事業費を半額補助する。
 「食後の一服」が目立つ飲食店や、対応が遅れ気味のパチンコ店に重点を置きながら、てこ入れを図る考え。「条約発効が国民の関心を高めるきっかけになれば」(生活習慣病対策室)と期待するが、嫌煙派からは「まだ手ぬるい」との声も。
 市民団体「タバコ問題情報センター」(東京)の渡辺文学代表は「国がタバコ会社の株を持って産業を守っている状況を根本的に変えるべきだ。値段を欧米並みに一箱五百円以上にして『売りにくく吸いにくい』対策をしないと、年間三十兆円もの国民医療費は減らない」と批判している。


2005/ 2/27 「タバコ規制枠組み条約」発効 日本も4月から規制強化 (朝日新聞記事)

 喫煙による健康被害の防止を目指す「タバコ規制枠組み条約」が27日発効した。タバコの消費を減らすため、5年以内の広告の原則全面禁止などを締約国の義務に盛り込み、課税強化も促している。批准国の日本でも、4月からの屋外広告禁止や禁煙教育の強化、分煙の徹底などが決まっており、先進国のなかで遅れていた規制が強化されることになる。
 世界保健機関(WHO)が主導する同条約は、国連本部があるニューヨークの27日午前0時(日本時間同午後2時)に発効した。
 タバコは、がんや心疾患、早産など様々な病気や異常につながるとされる。同条約は有害性を明記し、消費削減につながる課税強化、広告・販売促進・スポンサー行為の禁止規定などを盛り込んだ。主要包装面の原則5割以上を健康警告表示にあてること、タバコ自販機を未成年者が使えないようにすることも、締約国に義務づける。
 厚生労働省によると、日本の成人全体の02年の喫煙率は24.0%(男43.3%、女10.2%)。5年間で5ポイント近く下がるなど長期低下傾向だが、高校3年生の喫煙率(00年)が男子36.9%、女子15.8%に上昇するなど、未成年者の喫煙が大きな課題。女性の喫煙率も横ばいだ。
 日本は、タバコ価格が先進国中で最低水準のうえ、飲食店や職場での禁煙が遅れるなど、規制が甘いことが背景にあると指摘される。WHOは課税強化による値上げは、特に若者層の消費減につながるとみている。
 政府は条約発効を受け、財務、厚生労働、文部科学など14省庁が連携し規制を強化する。電車・バスへの広告禁止に続き、4月からは屋外広告も禁止される。7月には「未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やタバコへの依存をより強めます」などの警告表示義務も加わり、未成年者を識別する自動販売機も導入される予定だ。
 規制強化を受け、日本タバコ産業(JT)は、3月末で屋外看板広告を打ち切り、「マイルドセブン・ルノー」などとして92年から参加してきたF1スポンサーからも、06年秋で撤退する。
 需要減少を見込み、従来の25工場を10工場に集約。需要減は、JT製品で最高価格(350円)の新製品「りん」の投入などで、カバーする戦略だ。


2005/ 2/27 タバコ規制枠組み条約発効、日本は法整備迫られる (読売新聞記事)

【ジュネーブ=長谷川由紀】喫煙による健康被害防止のため、タバコの消費削減を目指す「タバコ規制枠組み条約」が27日、発効した。
 世界保健機関(WHO)主導で策定された公衆衛生に関する初の国際条約で、広告の原則禁止や、包装の30%以上を警告表示にあてることなどを盛り込んだ。
 日本やノルウェー、英国など批准国は、3年から5年以内に国内の関連法整備などを迫られる。中国、米国など「タバコ消費大国」は条約に調印したものの、批准しておらず、今後、これらの国をどう取り込んでいくかが課題となる。
 来年2月に開く第1回締約国会合で、事務局設置や条約履行の監視体制などを決める。批准国からは早くも、密輸や越境広告規制のため議定書を策定するべきだとの声が出るなど、より厳しい規制を求める動きも出ている。
 WHOによると、現在、タバコが原因とみられる死者は世界で年間490万人にのぼり、このまま放置すれば、2025年には約2倍の1000万人に達すると警告している。


2005/ 2/27 <タバコ>消費削減目指し、「タバコ規制枠組み条約」発効 (毎日新聞記事)

【ジュネーブ大木俊治】タバコの消費削減を目指す「タバコ規制枠組み条約」が27日、発効した。加盟国はタバコの広告やタバコ会社のスポンサー行為を5年以内に原則禁止し、3年以内に包装面の30%以上を健康への警告表示にあてることなどを義務づけられる。
 「世界で年間約500万人がタバコが原因で死亡している」として、タバコ規制を呼びかけてきた世界保健機関(WHO)は、条約発効を「歴史的な第一歩」と評価している。加盟国は来年2月までに最初の締約国会議を開き、条約事務局の設置など、条約の具体的な運用手続きを協議する。
 条約は03年5月のWHO総会で承認され、これまでに127カ国が調印。27日までに日本、英国、カナダ、ドイツ、フランスなど57カ国が批准した。米国、中国、ブラジル、韓国などは調印したが未批准。ロシアは調印していない。
 条約は広告規制や警告表示のほか、タバコへの課税強化▽未成年者からの隔離▽密輸取り締まり――などについて各国の実情に応じて必要な法整備を求め、非喫煙者をタバコの煙害から守る対策も要請している。
 広告については原則禁止とする一方「憲法上、禁止措置を取る立場にない国」は、一定の規制措置にとどめることも認めている。米国などが憲法の「表現の自由」に反すると主張したためだ。
 有害性が低いと誤解を与えるとして禁止が検討された「マイルド」「ライト」などの呼称も、日本などの抵抗で「禁止対象に含めることができる」という表現にとどまった。規制推進派の非政府組織(NGO)の間では「条約は骨抜き」との不満もある。


2005/ 2/27 女性、子供をタバコから守れ=条約発効でシンポジウム−東京 (時事通信ニュース速報)

 タバコ規制枠組み条約が発効したことを記念し、「若い女性と子供をタバコから守る」をテーマにしたシンポジウム(日本禁煙医師連盟主催)が27日、東京都三鷹市の杏林大学で開かれた。
 中学、高校生の禁煙指導を続ける「無煙世代を育てる会」の平間啓文さんが喫煙習慣の低年齢化について報告。「普通の子供がどんどん吸うようになっており、母親の喫煙率が高いことが影響している。タバコの宣伝広告が激しくなった時代に思春期を過ごした30代の母親の喫煙傾向が大きな問題」と訴えた。


2005/ 2/27 禁煙派60人、「タバコ規制」の人文字 条約発効記念 (朝日新聞記事)

 世界保健機関が主導する「タバコ規制枠組み条約」が発効したのを記念し、タバコを吸わない医師、歯科医師ら約60人が27日、東京都三鷹市の杏林大病院の中庭に並んで、同条約を示す英語の頭文字「FCTC」という人文字をつくった。
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟(会長=大島明・大阪府立成人病センター調査部長、会員約1500人)の会員たちで、前日から開かれた学術集会に引き続き、条約の意義をアピールしようと実施した。
 企画した同大医学部の作田学教授は「条約はタバコの規制に世界中が手をつなぐ画期的なもので、今日がその第一歩。タバコの害を多くの人に知ってもらうために、私たちも頑張って活動していきたい」と話した。
【写真】FCTC(タバコ規制枠組み条約)の人文字を作った医師ら=27日午後、東京都三鷹市の杏林大病院で


2005/ 2/27  タバコ条約発効 喫煙減す契機にせよ (中国新聞社説)

 十八歳ルーキーの行動が、球界に衝撃を与えた。日本ハムドラフト一位の東北高校三年ダルビッシュ有投手が沖縄キャンプ中にタバコを吸っている写真を、写真週刊誌が掲載した。未成年者の喫煙に、球団は無期限謹慎、高校は無期停学の処分を下した。卒業式への出席も分からない状況だ。
 その一方できょう、日本を含む五十七カ国が批准した「タバコ規制枠組み条約」が発効する。公衆衛生分野では初の国際条約である。世界の国々が力を合わせて喫煙を減らし、受動喫煙を防止する時代がやってきたのだ。「喫煙大国」といわれる日本でも、タバコの害から健康を守る取り組みをいっそう進めていきたい。
 締約国には、発効から五年以内にタバコ広告を原則禁止することや、三年以内に包装面積の30%以上にタバコの害について警告表示をすることが求められる。未成年者がタバコ自動販売機を利用できないようにしたり、屋内の職場、公共の場所、公共輸送機関などで煙にさらされないように保護したりする措置も義務付けられている。
 わが国では、二〇〇三年五月施行の健康増進法を受けて、公共の場所を中心に全面禁煙と分煙が進んでいる。学校では、屋内だけでなく、敷地内を全面禁煙にする自治体も少なくない。
 条約の発効を受け、国はタバコの広告を一部に限定する。包装の警告表示も「肺がんの原因になります」などに強める。タバコ業界も自動販売機に成人にだけ発行するICカードがないとタバコが買えない仕組みを導入する。
 だが、これらはいずれも強制力がない。条約が目指すタバコの消費減少に効果を発揮するか、疑問も残る。タバコ税の引き上げや禁煙治療の保険適用など、抜本策になりうる施策はまだ、ほとんど議論されていない。今ある動きを第一歩に、タバコの消費を減少させ、受動喫煙を防止する措置をさらに進める必要がある。
 厚生労働省によると、喫煙による死亡者は、年間に世界で約四百万人、国内では約十万人。JTの調査では、成人でタバコを吸う人の割合(喫煙率)は三十年前までは約50%だったのが、〇四年には29・4%と初めて30%を切った。新幹線などの座席予約も禁煙車から埋まるそうだ。タバコへの包囲網が狭まる中、できれば「卒煙」したいと願う喫煙者も少なくない。
 タバコ規制にどちらかといえば消極的だったこれまでの国の姿勢からみると、条約の批准は大きな前進だ。しかし、警告表示や広告規制さえクリアすれば事足れりというふうに、問題を矮小(わいしょう)化させてはいけない。
 喫煙と受動喫煙の有害性は、国際的に確認されている。喫煙を個人の嗜好(しこう)の問題にとどめず、社会問題としてとらえることが肝要だ。抜本的な対策を講じるのは、これからである。


2005/ 2/27  タバコ規制枠組み条約が発効=健康被害防止で包括策 (時事通信ニュース速報)

【ジュネーブ27日時事】公衆衛生分野で初の国際条約となる「タバコ規制枠組み条約」が27日発効した。タバコ消費を削減し健康被害を防止するため、広告を5年以内に原則禁止するなどの包括的対策を規定。業界はこれに沿って整備される国内法を受けて事業見直しが必要になる。ただ、米国、中国、ロシアの生産・消費大国は批准しておらず、実効性を高める上で最大の課題となっている。
 批准したのは現在までに日本を含め57カ国。世界保健機関(WHO)によると、タバコによる死者は毎年500万人に上り、死亡原因の第2位を占める。公共の場での禁煙は進んでいるものの、開発途上国での未成年者の喫煙などは増加傾向にあり、有効な対策が打ち出されなければ、死者は2020年には1000万人に達するとWHOは警告している。
 条約では、3年以内に包装面の30%以上を健康への警告表示に充てることを規定。「ライト」「マイルド」など健康被害が少ないとの誤解を与えかねない表現・表示についても一定の規制を課した。条約を契機に各国で禁煙対策が強化されており、大規模な事業見直しを迫られるタバコ産業だけでなく、飲食・娯楽など関連業界も対応が必要になる。


2005/ 2/27  深夜にカウントダウン=タバコ枠組み条約発効祝う−東京 (時事通信ニュース速報)

 喫煙による健康被害防止を目指し、世界保健機関(WHO)が提唱した「タバコ規制枠組み条約」が27日午前零時、発効した。時差の関係で日本が世界で初めて発効する国となった。待望の条約発効を祝い、タバコと健康の問題を考える医師や学生らが東京都内でカウントダウンを行った。
 参加したのは日本禁煙推進医師歯科医師連盟(禁煙医師連盟)の医師と、キャンパスなどの禁煙に取り組む首都圏などの学生組織「クリーン エア スチューデント」のメンバーら計約40人。メンバーらは条約発効と同時にシャンパンを開け、「祝発効・タバコ規制枠組み条約」と書かれたプラカードを掲げて気勢を上げた。
 条約発効で、日本など批准国では5年以内にタバコの広告が原則禁止されるほか、有害性を警告するパッケージの表示もより目立つ形にするよう求められる。


2005/ 2/27  知事選の投票所164カ所で喫煙確認−本紙調べ/山形 (山形新聞記事)

 先の知事選の投票日、村山市内の投票所で事務員が喫煙していたことを受けて、山形新聞がほかの43市町村選挙管理委員会から取材した結果、全1016カ所のうち21市町村、164カ所の投票所で喫煙が確認された。自治会組織が管理する施設での喫煙が目立った。一方、「以前の選挙で投票所内のタバコの煙が気になり、市報に投書した。今回こそはと期待して行ったが改善されていなかった」という指摘も山形新聞に寄せられた。
 喫煙していた投票所の割合が最も高かったのは小国町で約61%。23カ所のうち14カ所で喫煙していた。次いで天童市(53カ所中26カ所・約49%)、尾花沢市(36カ所中16カ所・約44%)の順。
 小国町選管は「禁煙に関する指導をしなかった。小さい規模の公民館が投票所になるケースが多く、それぞれの判断に任せていた。今後対策を検討したい」としている。
 県選管は各市町村選管の代表者と事務担当者を集めた投票日前の2回の会議で、投票所内の禁煙を促したとしているが、少なくとも21市町村選管は禁煙を徹底していなかった。「県から禁煙を言明した注意はなかったと記憶している」とする市選管関係者もおり、県選管と言い分が食い違っている。
 今回、喫煙があった164カ所のうち158カ所、約96%は、自治組織が管理する施設だった。鶴岡市では、喫煙していた7カ所すべてが自治公民館だった。同市選管は「借りている立場なのでなかなか強く言えない」と話す。
 東根市は喫煙していた投票所16カ所のうち、14カ所が自治組織が管理する施設だった。同市選管は「管理を委ねている公民館は喫煙に関して地域の判断に任せている。市選管が強制的に禁煙措置を講じることが難しい」と苦悩する。
 自治会組織が管理している施設でも、投票日は不特定多数の人が集まり、公共の場となる投票所。鶴岡市内の読者からは「未来の有権者である子どものためにも投票所の環境整備をしっかりしてほしい」という声が山形新聞に届いている。


2005/ 2/26  「受動喫煙ゼロ」認定は13店 原因は滋賀県のPR不足 (京都新聞記事

 室内で他人のタバコの煙を吸わされるのを防ぐため、滋賀県が飲食店を対象に始めた「受動喫煙ゼロの店」認定制度で、本年度内の目標100店に対し、わずか13店の認定にとどまっている。県のPR不足が主な原因だ。
 この制度は、禁煙か完全分煙を実施する飲食店から申請を受け、保健所が飲食スペースと玄関、待合室ごとに分煙室から煙が漏れ出していないか調査した上で認定する仕組みになっている。
 しかし、認定申請を促す県の取り組みは現在、店の経営者を対象に開く営業許可更新時の講習会で、認定制度を紹介するパンフレットを配る程度だ。
 大津市内で22日にあった県タバコ対策推進会議では、西村光賢会長が「『受動喫煙ゼロ』以前に禁煙席さえ設けていない店も多い。もっと店の努力を促す工夫が必要だ」と指摘した。
 県健康対策課は「PR不足だった。職員が店を訪ねて認定申請を勧めるべきだが、できていない。今後は医師会やPTAなど各団体の協力を得て、店への働きかけを強めたい」としている。


2005/ 2/26  受動喫煙の診断基準作成へ 禁煙推進医師連盟 (朝日新聞記事

 タバコを吸わない医師や歯科医師の日本禁煙推進医師歯科医師連盟(会長=大島明・大阪府立成人病センター調査部長、約1500人)の総会と学術集会が26日、東京都内であり、受動喫煙の診断基準をつくることを決めた。非喫煙者がタバコの煙を吸い込む受動喫煙の防止は、日本も批准して27日に発効する「タバコ規制枠組み条約」でも課題の一つ。連盟会員の神経、呼吸器、循環器などの医師らが作業部会をつくり、年内の基準づくりを目指す。
 記者会見した連盟幹事の斉藤麗子・東京都町田保健所長は「受動喫煙をめぐっては、被害者にわがままと言ったり、体調を崩しても証明されていないと言ったりする人も多い。さまざまな科の医師がいる点を生かして医学的な基準をつくり、被害の実態を訴えたい」と話した。
 また、子どもたちに大きな影響力があるプロ野球選手たちの喫煙状況や、球場などでの受動喫煙防止対策、球団の指導などについて、12球団に対しアンケートを実施することも決めた。


2005/ 2/26  プロ野球選手の喫煙状況を調査へ (スポニチ記事)

 日本禁煙学会と日本禁煙推進医師歯科医師連盟は26日、東京で開催中の同学会で、プロ野球の全12球団を対象に、所属選手の喫煙状況や未成年選手への指導など、タバコに関する実態調査を実施することを決めた。
 27日の「タバコ規制枠組み条約」発効や、日本ハムのダルビッシュ有投手(18)の喫煙問題を受けた試み。同学会は「選手の喫煙はファンの子供にも悪い影響を与える」として、近く各球団にアンケート用紙を送り、結果は公表する。
 質問項目は(1)各選手の喫煙状況(2)合宿所などでの禁煙実施状況(3)関連施設でのタバコ販売や、選手・職員への禁煙指導の有無(4)喫煙の是非について球団幹部の考え(5)今後の喫煙対策の有無―などを予定している。
 同学会は「特に若い選手の喫煙は、選手生命を奪いかねない。中毒状態になっている恐れもあり、専門の治療が必要」と訴え、各球団に調査への協力を求める考え。
 また同学会は今年中にも、受動喫煙の診断基準を作ることも決めた。


2005/ 2/26  <タバコ>中小飲食店の約8割は受動喫煙への防止対策取らず (毎日新聞記事)

 個人経営の中小飲食店の約8割は、タバコの煙を非喫煙者が吸い込む受動喫煙への防止対策を取っていないことが、東京大と産業医科大による初の全国調査で分かった。03年5月施行の健康増進法は受動喫煙の防止義務を飲食店経営者などに課しているが、現場の取り組みの遅れが浮き彫りとなった。


2005/ 2/26  佐賀市:タバコの煙にイエローカード 受動喫煙防止対策−−28日から実施 /佐賀 (毎日新聞記事)

 ◇事業所、飲食店、遊技場など対象
 タバコの煙にイエローカード! 佐賀市は、タバコの受動喫煙で嫌な思いをした人が、その飲食店や遊技場などに対して注意を促す「イエローカード」を作成した。世界保健機関(WHO)が定める「タバコ規制に関する条約」が発効する28日から、県内で初めて実施に移される。
 市長寿・健康課によると、03年の健康増進法施行で不特定多数の人が利用する公共施設や飲食店などは、受動喫煙防止策を講じる努力義務が課された。公共施設では禁煙が徹底されているが、民間の事業所や飲食店、遊技場などでは対策が進んでいない。利用者からも「食事中などにタバコの煙が来て困ったが、注意できない」との声が市に寄せられた。
 市は兵庫や東京での取り組みを参考に「タバコの煙、困りました。受動喫煙防止対策お願いできますか」と書かれた名刺大のイエローカードを5万枚作成。飲食店や事業所に渡して注意を促す。
 カードの裏には健康増進法の条文や、対策を取るべき該当施設を列挙。「客が減る」などと協力的でない飲食店側への理解を求める。カードは市の各施設や県佐賀中部保健所などで入手できる。


2005/ 2/26  「資産運用A to Z」愛煙・嫌煙で保険料にも格差 (朝日新聞記事

 一定期間に死亡すると保険金が出る定期保険は掛け捨ての代表的商品ですが、そうした掛け捨て保険はできる限り保険料を安く抑えたいものです。規制緩和が進んだ最近では、工夫を凝らした魅力的な商品も登場しています。今回は、タバコを吸っていなければ保険料が安くなる非喫煙型定期保険を紹介しましょう。
 例えば、ある生命保険会社で40歳の男性が保険金額3000万円、保険期間10年の定期保険に加入した場合でみてみましょう。従来型定期保険の保険料は月10350円ですが、非喫煙型なら月7830円。
非喫煙型のほうが約24%も安いのです。この保険料格差は、若い人よりも高齢の人の方が大きくなる傾向があります。
 加入時には通常の生命保険の申し込み手続き以外に、過去1年以内はタバコを吸っていないという告知と、本当にタバコを吸っていないかを調べる唾液(だえき)検査が実施されるのが一般的です。
 相談に来た人のなかにも、この保険料の差をみて禁煙した人が大勢いらっしゃいます。嫌煙家、あるいは禁煙成功者の皆さんは積極的に利用してみましょう。
(藤川太 家計の見直し相談センター)


2005/ 2/26  「先生“卒煙”して」教職員向けに禁煙講座 県教委 16人が真剣に受講 /和歌山 (紀伊民報AGARA記事

 タバコをやめたくてもやめられない教職員をサポートする県教委の禁煙プログラム「無理のない卒煙講座」がスタートした。田辺会場の第1回の講座が24日、西牟婁総合庁舎で開かれた。禁煙を目指して参加した教員ら16人は「『1本だけお化け』を頭の中から追い出す」などの助言に、真剣な表情で聞き入っていた。
 県教委は2002年4月、全国に先駆けて公立学校の敷地内を全面禁煙にした。この「ノースモーキングエリア」の対象は、県内の小中高など約500校。学校現場が禁煙になったことや、健康増進のために3カ月がかりで取り組み、愛煙家の教員らにタバコを「卒業」してもらう。
和歌山と田辺の2会場が設けられた。
 計画の柱となるプログラム(全3日間)は、奈良女子大の高橋裕子教授の監修で県教委が作成した。1回目のテーマは「わかっちゃいるけど、やめられない」で、田辺・西牟婁地方の小中高校の教諭らが参加した。
 高校の男性教諭(26)は「タバコ依存の恐ろしさや禁煙の大変さなど、身にしみて分かったことを子どもたちにも伝えられたらと考え、勉強のつもりで参加した」と決意表明。小学校の男性教諭(57)は「タバコを吸い続けて30年。この機会に禁煙できたらと思って参加したが、全く自信はない。今までにも何度か試みたが失敗しており、最長で半年しか持たなかった。タバコがしみついてしまっているのだろう」と話した。
 参加者は、ニコチン依存度テストを受け、呼吸に含まれる一酸化炭素(CO)濃度を測定。田辺保健所長の森岡聖次さんが、禁煙が難しい理由やニコチンパッチの特徴、日常生活の工夫などについて説明した。参加者は「やめちゃった宣言書」に、それぞれの決意を書き込んだ。また、希望者にはニコチンパッチが処方された。
 3月3、17日にも講座があり、CO濃度を測定して変化を見るほか、禁煙記録も提出する。最終日には、一人ひとりに修了証書が渡される。
【教職員ら16人が参加した禁煙プログラムの1回目(西牟婁総合庁舎で)】


2005/ 2/25  タバコ規制条約、27日発効 受動喫煙対策や広告規制 (共同通信ニュース速報)

 タバコによる健康被害の防止を目指し、日本を含む57(16日現在)の国と地域が批准した「タバコ規制枠組み条約」が27日発効する。公衆衛生分野では初の国際条約で、公共の場所での受動喫煙対策や、広告の規制、未成年者対策などを柱とする。
 世界的にも喫煙率が高い日本は、一部の対策を既に始めているが、専門家からは「諸外国に比べ手ぬるい」などの批判も出ている。
 厚生労働省によると、喫煙による死亡は世界で年間約400万人、国内では同約10万人。タバコが健康や社会、環境、経済に与える破壊的な影響から、将来の世代を含めて保護するため、2003年5月の世界保健機関(WHO)総会で条約が採択された。


2005/ 2/25  山形市役所 喫煙室の設置断念 4月から全館禁煙 (ヤフーニュース)

 山形市役所の喫煙室設置問題で市川昭男市長は24日、設置を断念し、4月1日から全館禁煙にすることを明らかにした。東北の県庁や県庁所在地の市庁舎では初めて。議会棟については議会の自立性を尊重して判断を委ねた。
 市は庁舎内に19カ所ある喫煙コーナーを撤去。喫煙者には屋外での喫煙を求める。
 市川市長は枝松昭雄議長にも方針を伝え、同調を求めた。各派代表者会議では一律的な禁止方針に反発する声が相次ぎ、各会派で議論した上で対応を決める。
 市は600万円の予算で喫煙コーナーのうち11カ所にパネル式の引き戸や壁で遮へいし、強力な換気扇を設けた喫煙室を設置する計画を立てていたが、禁煙運動に取り組む医師らでつくる「山形県喫煙問題研究会」が市に中止を要請した。
 一方、業界団体の「山形タバコ販売協同組合」などは逆に設置を求める要望書を提出。市議会も分煙の方針を決めて、市川市長に申し入れた。
 双方の意見の板挟みになった市は、先月末に予定した設置工事を延期、対応を協議していた。市川市長は「職員の意向を集約したら大勢が禁煙だった。全面禁煙への改善を求めた人事院の指針もある」と説明した。
 研究会の大竹修一医師は市の方針を歓迎する一方で、市議会の姿勢を「喫煙に甘い姿勢を取れば子どもの禁煙教育にも影響が出る」と批判。請願を通じて同調を求めていくという。


2005/ 2/24  「タバコ価格引き上げ後、喫煙者の8.3%が禁煙」 (朝鮮日報記事

 昨年末のタバコ価格引き上げ以後、成人男性の喫煙者の8.3%が禁煙したと調査された。
 保健福祉部は成人男性1000人(喫煙者700人、非喫煙者300人)を対象にタバコ価格引き上げ前後の昨年12月と今年の1月に実施した電話実態調査で、このように表れたと24日明らかにした。
 これら新規禁煙者の73.2%はタバコ価格引き上げが直接的な影響を及ぼしたと分析された。
 これによって、成人男性全体の喫煙率は昨年9月の57.8%から53.1%と、4.7%ポイント減少したと、福祉部は推定した。


2005/ 2/20  「青少年の喫煙開始、中2が最多」/韓国 (朝鮮日報記事

 タバコを吸う中高校生は、そのほとんどが中学生の時にタバコを吸い始めており、特に中2の時が最も多いことが分かった。
 また、未成年者に対するタバコ販売が法律で禁止されているが、スーパーマーケットなどでは年齢の確認なしに中高校生に公然とタバコを売っていると調査された。
 20日、首相傘下青少年保護委員会によれば、(社)ウリヌリ青少年会禁煙学校プログラムに参加した京畿道所在の中高校に通う喫煙青少年407人を対象に実態を調査した結果、中2の時にタバコを吸い始めた生徒が117人、28.7%と最も多かった。
 次に中3(25.1%)、中1(17.7%)、高1(13.0%)の順だった。


2005/ 2/18  タバコの未来に絶望…JT社員、3分の1が希望退職へ (レスポンス記事

JT=日本タバコ産業は17日、中期経営計画に基づき希望退職者を募集したところ、応諾者数が5796名になったと発表した。退職日は原則として05年3月31日、部署により変動があり最終的には06年3月31日に退職。
国内のタバコ事業環境は厳しさを増しており、JTは03年8月、事業の競争力あるコスト構造を実現する中期計画「JTPLAN-V」(プランブイ)を策定、約4000人の余剰人員が発生することから希望退職募集を実施するとしていた。
対象者は40歳以上59歳以下で勤続年数15年以上。廃止予定事業所ならびに経営権移管対象子会社などの社員に年齢の規定はない。対象者数は1万1980名で48%が応諾した。なおJTの従業員数は04年9月30日現在1万3537人。
JTは05年3月期において、本施策に伴う特別損失(退職金など)として約2060億円を計上する予定で、17日に公表した同期の業績予想には織り込み済み。またコスト削減効果は、応諾者全員が退職した後の07年3月期以降、年間550億円程度を見込む。
JTは「マイルドセブン」のブランドでルノーF1チームをスポンサードしているが、世界的な嫌煙化を背景に年々広告活動の幅が狭くなってきている。プランVではF1活動については具体的に触れていない。
1960年に5000人だった肺がん死亡者数は、1999年には5万2000人と10倍に膨れ上がった。ちなみに交通事故による死亡者は、1970年の1万6765人から2002年には8326人と半減を達成した。政府は03年1月に、10年後の2013年まで、さらに半減の4000人あまりを目標に設定した。


2005/ 2/17  「もうもうとした煙がいいという人もいる」=全面禁煙化要望にJR西社長 (時事通信ニュース速報)

 「もうもうとした煙がいいという人も」−。JR西日本の垣内剛社長は17日の定例記者会見で、新幹線をはじめとする列車や駅の全面禁煙化を求めた医学界の要望に消極姿勢を示した。
 日本循環器学会など国内9学会でつくる禁煙指導ガイドライン委員会が、JR各社に全面禁煙を求める要望書を提出。27日までの回答を求めている。
 同社長はこれに関連し「全面禁煙という声もある一方、喫煙者に配慮してほしいとの声もある」と指摘。「もうもうとした煙は大変だなと感じるが、あれがいいとおっしゃる方もいるだろうし、自分の煙はいいが、他人の煙は吸いたくない人もいる」と、さまざまな意見があることに言及。駅ホームでは「煙が好きでない人は、喫煙場所の近くに寄らなければ、それほど影響を受けないのではないか」とも述べた。


2005/ 2/14  禁煙で寿命は数年延びる=米加研究チーム (ロイター通信記事)

[ワシントン 14日 ロイター] 米国とカナダの研究チームは14日、喫煙の習慣を止めれば、たとえ肺疾患を発症した後でも数年間寿命が延びると報告し、禁煙に遅すぎるということはほとんどないとの根拠が新たに示された。
 調査では、禁煙プログラムを利用して禁煙に成功した中年のヘビースモーカーの死亡率が、通常のほぼ半分に低下していることが分かった。
 ボルチモアにあるジョン・ホプキンス大学のロバート・ワイズ氏は文書で、「(喫煙が)健康に有害であることは大半の人が認識しているが、禁煙によって寿命にどれほどの好影響があるかは認識していないと思う」と語った。
 調査では、ワイズ氏と10のクリニックが協力し、35―60歳で、肺疾患を持ちながらそれを病気と自覚していなかった人5887人を対象に実施した。


2005/ 2/ 9  喫煙室設置は「ノー」 山形市の計画に医師ら猛反発 (河北新報記事)

 山形市が市庁舎内に喫煙室の設置を計画していることに対し、禁煙運動に取り組む医師らが猛反発している。市は設置費用に約600万円を拠出する計画だが、医師らは「違法な公金支出」と先月28日、工事中止と全庁禁煙を求める要望書を市に提出。10日には市医師会、歯科医師会の会長との連名であらためて要望する。喫煙者と嫌煙者の板挟みになった市は対応に苦慮している。
 市庁舎の全面禁煙を求めているのは、山形県内の医師らで組織する「山形県喫煙問題研究会」。電話や文書で再三、「全面禁煙にして公費を支出するべきではない」と工事中止を要望してきた。このため、市は先月下旬の設置工事、今月1日の使用開始の日程を延期。設置の是非を再検討した上で、10日に検討結果を回答することにした。
 市庁舎内の喫煙について、市は4年前から喫煙スペースを19カ所設けている。ただ、スペースの内外を遮断する壁などはなく、「受動喫煙を完全に防止できない」との指摘もあった。
 2003年5月に施行された健康増進法には、官公庁での受動喫煙の防止規定があり、市は対応を検討。全庁禁煙の案も出たが、職員の約35%が喫煙者であることや、タバコ販売の業界団体の要望もあって昨年11月に分煙方針を決めた。
 計画では、喫煙スペースのうち市民の来庁が多い11カ所にパネル式の壁と引き戸を設置。天井には強力な換気扇を設け、排煙がフロアに流出するのを防ぐ措置を取る。市管財課は「法の分煙ガイドラインには配慮している」と強調する。
 同研究会の事務局を担当する、東北中央病院(山形市)の大竹修一医師は「計画でも受動喫煙の防止は不十分。勤務中の喫煙は職責遂行を求める地方公務員法にも反する」と批判。設置した場合は、費用の返還を求める住民監査請求や住民訴訟も辞さない構えだ。
【写真】山形市庁舎内の喫煙スペース。計画ではフロアと遮断するパネルなどを新たに設置して分煙を徹底する


2005/ 2/ 9  受動喫煙被害を調査する中田さん (読売新聞記事)

 ◆「煙害ない社会実現したい」…中田ゆりさん(36)
 「喫煙席の空気の汚れは国の基準の18倍」「喫煙車に隣接する禁煙車は基準の3倍」「不完全分煙は対策がないのと同じ」――。
 近年、話題を呼んでいるこの人の受動喫煙実態の研究は、徹底した現場主義のたまものだ。
 空気の汚れを測るデジタル粉塵(ふんじん)計を常に2、3台携える。飲食店に客として入り、データ収集のため4時間も居座わることはしばしば。タバコの煙に耐えながらの体当たり調査だ。
 「お金をかけずに、世界が見られる」と、大学在学中に国際線の客室乗務員に応募し合格。19歳から7年間勤務した。
 今では全面禁煙が当たり前の機内も、当時は分煙。禁煙サインが消えると一斉に火が付けられ、真っ白に煙った空気は、子供や妊婦のいる席にも流れ込む。
 「煙が苦しい」と上司に訴えても、「プロ根性が足りない」と取り合ってもらえない時代だった。
 フライト先の海外で、進んだタバコ対策を目にするたびに、日本との落差を痛感。「タバコ被害のない社会を実現したい」と生涯の研究テーマに定め、コミュニケーション学や接遇マナーの講師などを続けながら4年前、大学院(国際地域保健学)に進んだ。
 広告規制や受動喫煙対策などを盛り込んだ「タバコ規制枠組み条約」は今月末発効する。「今年は正念場の年」。追い風を受けて、粉塵計を持つ手にもいっそう力が入る。 (医療情報部 田村 良彦)


2005/ 2/ 8  『新幹線、全面禁煙しかない』 (東京新聞記事)

 タバコによる新幹線車内の粉じん濃度が厚生労働省が定める基準を上回っているとして、日本呼吸器学会、日本肺癌(がん)学会などの「九学会合同禁煙指導ガイドライン委員会」は、JR各社に対し、新幹線や長距離の特急列車を含めた車両と駅ホームを全面禁煙とするよう申し入れることを決めた。十日に観測データを添付した要望書を郵送、世界保健機関(WHO)が主導する「タバコ規制枠組み条約」が発効する二十七日までに回答するよう求める。
 要望書を出すのは、ほかに日本小児科学会、日本心臓病学会、日本産科婦人科学会、日本循環器学会など。
 要望書などによると、同委員会はデジタル式の粉じん計で新幹線車内の粉じん濃度を調査。その結果、喫煙車では、厚労省の基準(一立方メートルあたり〇・一五ミリグラム)の最大五倍以上、禁煙車でも同じく二倍以上に達していた。喫煙車と隣り合う禁煙車は、喫煙車から流れ込んだ粉じんで空気が汚染される傾向があることも浮かんだ。
 同委員会は、車内などの環境が乗客や車内で働く社員らの健康に害を与えると判断。観測データは「健康増進法(受動喫煙の防止)に違反していることを示す」と指摘している。委員長の藤原久義・岐阜大大学院教授は「航空機は長距離の国際線を含めて既に全面禁煙で、ヨーロッパの新幹線も昨年末、全車禁煙となった。乗客、乗員の健康のためには全面禁煙にするしかない」と話している。


2005/ 2/ 7  新幹線の全面禁煙要望へ=車両粉じんデータ、JRに提出−日本循環器など9学会 (時事通信ニュース速報)

 新幹線車内でタバコの煙による粉じん濃度が法定基準を超え、受動喫煙防止を定めた健康増進法25条に違反していることが判明したとして、日本循環器学会、日本小児科学会など国内9学会合同で作る禁煙指導ガイドライン委員会は10日、JR各社に車両、駅ホームの全面禁煙を求める要望書を提出する。
 要望するのは2学会のほか、日本公衆衛生学会、日本呼吸器学会、日本産科婦人科学会など。世界保健機関(WHO)が主導する「タバコ規制枠組み条約」が発効する27日までに回答するよう求める。


2005/ 2/ 5  米連邦高裁、タバコ訴訟で政府の賠償請求権認めず (日経新聞記事)

【ワシントン4日共同】喫煙に伴う健康被害で負担した総額2800億ドル(約29兆円)に上る財政支出の返還を、米政府がタバコ各社に求めた損害賠償訴訟で、ワシントン連邦高等裁判所は4日、政府には請求権がないとする判断を示した。連邦地裁で継続中の賠償請求訴訟の行方に影響を与える可能性がある。
 AP通信によると、政府が根拠としている現行法は、過去の違反行為に対する賠償請求を認めていないとした。
 米政府は1999年、タバコ業界は喫煙の有害性を知りながら50年間にわたり消費者を欺き、不当な利益を得てきたとして、業界各社を相手に提訴した。タバコ業界は、政府が企業活動を規制する訴訟を起こすことは憲法違反だとして提訴を取り下げるよう連邦地裁に求めたが、昨年5月に棄却されたため、上訴していた。


2005/ 2/ 3  JT現法への追徴課税追認 ロ仲裁裁判所、控訴棄却 (共同通信ニュース速報)

【モスクワ3日共同】インタファクス通信によると、日本タバコ産業(JT)のロシア現地法人が同国の税務当局から24億ルーブル(約89億円)を追徴課税された問題で、モスクワ仲裁裁判所の控訴審は3日、課税を妥当とした下級審の決定を支持、JT側の控訴を棄却した。
 税務当局は、JTの現地法人「JTI・マーケティング・アンド・セールス」がサンクトペテルブルクのタバコ会社との取引の一部を申告しなかったとして、2000年の不足納税分などを追徴課税。これに対し、JTIは事実誤認による追徴と反論し、裁判で争っていた。
 同社は、ロシア国内の販売シェア(市場占有率)が4位のタバコ大手。JT側は「われわれの主張が認められていない。上級審に上訴する」と話している。


2005/ 2/ 3  米タバコ訴訟で2200万ドルの賠償金支払い命令 (朝日新聞記事)

[ロサンゼルス 2日 ロイター] タバコの「クールズ」を58年間吸い続け、心臓と肺の疾患で死亡した73歳の女性の遺族が、製造元の米レイノルズ・アメリカン傘下のブラウン&ウィリアムソンに損害賠償を請求していた公判で、ミズーリ州インディペンデンスの裁判所の陪審団は2日、同社に2200万ドルの支払いを命じる評決を下した。
 原告の弁護士によると、陪審団は、2000年に死亡したバーバラ・スミスさんの死因の25%はタバコ会社の責任と認定した。
 この損害賠償額は、個人がタバコ会社を訴えた同様な訴訟では全米で5番目の規模で2000万ドルが懲罰的賠償だという。
 この評決について、ブラウン&ウィリアムソンから今のところコメントは得られていない。


2005/ 2/ 3  タバコ規制条約:消費者のタバコ離れ拍車を懸念 JTなど (毎日新聞記事)

 国内で販売を行っている日本タバコ産業(JT)や外国メーカーは、すでに条約発効を先取りする形で、広告規制や未成年者の喫煙防止強化に自主的に取り組んでいる。しかし、世界的な嫌煙ムードの高まりで消費者のタバコ離れに拍車がかかることを懸念。「条約発効の影響を注意深く見守りたい」(本田勝彦JT社長)と今後の動向を警戒している。
 内外のタバコ会社で作る「日本タバコ協会」は昨年4月、製品広告に関する自主基準を改定。電車やバス車内の「交通広告」を昨年9月末で打ち切ったほか、街頭にある屋外看板も今年3月末までに原則撤去する。自動販売機についても各社が足並みをそろえ、08年中に全国約62万台の自販機を、成人のみに配布するICカードを使わなければ購入できないシステムに変更する予定だ。
 JTはカーレース「F1」(フォーミュラワン)のスポンサーから06年シーズンを最後に撤退。既に個別銘柄のテレビCMは全面禁止しており、今後も自由に広告が出せるのはタバコ店店頭や自販機、スポーツ紙や一部雑誌などに限る。
 ただ、業界では喫煙率の低下で「不特定多数向けに広告を出しても効果は薄い」との見方も。JTは、数年前から新製品の宣伝を登録者のみにダイレクトメールを送る方式に変更している。
 また、条約で「マイルド」「ライト」などの商標を各国政府の判断で禁止対象に含めることができるとした規定に対しては、国内では「健康に及ぼす悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません」と製品に表示することで対応。EUでは既に商標を禁止されており、JTの「マイルドセブン」は上陸できないが、同製品の主要販売先の韓国、台湾では今のところ禁止の動きはないという。
 むしろ各社の懸念は、喫煙率の低下。男性では10年前より10ポイント以上も低下した。財務省令で6月末までに全製品の包装に記載する注意文言を、「あなたの健康を損なうおそれがあります」から、喫煙で肺がんや心筋梗塞(こうそく)などの危険性が高まることを示す文言に変更することが法令で義務付けられたことも逆風だ。


2005/ 2/ 3  タバコ規制条約:27日発効 広告や販売促進を原則禁止 (毎日新聞記事)

【ジュネーブ大木俊治】タバコの消費削減を目指し、世界保健機関(WHO)の主導で策定された「タバコ規制枠組み条約」が27日、発効する。公衆衛生分野では初の国際条約で、タバコの広告や販売促進を原則禁止し、包装面の30%以上を健康への警告表示にあてることなどを義務付けており、日本など批准国は発効から3〜5年の間に必要な法整備を迫られる。
 条約は、包装面の警告表示を発効から3年以内に、広告の禁止措置を5年以内に導入するよう各国に義務付ける一方で、米国の主張を入れ「憲法上、禁止措置を取る立場にない国」は、全面禁止でなく一定の規制措置にとどめることも認めた。
 今後は発効から1年以内に初の締約国会議を開き、条約の具体的な運用措置を討議する。条約は日本などの抵抗で、タバコ自販機については禁止せずに「未成年者がアクセスできない対策の確保」を求めるにとどめた。また、誤解を与える表現だとして禁止も検討された「マイルド」「ライト」などの銘柄名も、「禁止対象に含めることができる」という緩やかな表現になった。しかし、これに不満を持つ規制推進派から、より厳しい措置を求める声が今後上がる可能性もある。
 WHOは「タバコが原因で年間約490万人が世界で死亡している」として、タバコ規制を各国に呼びかけてきた。政府間交渉は99年に始まり、03年5月のWHO総会で同条約が承認された。調印した167カ国のうち、1日までに日本、カナダ、フランス、ドイツ、インド、ノルウェー、タイ、シンガポールなど55カ国が批准。米国、中国、韓国、ブラジルなどは調印したが未批准。ロシアは調印していない。
【写真】包装面の30%以上が健康への警告表示に


2005/ 2/ 2  発がん物質に男性ホルモン作用 タバコの煙などに含有 金大大学院・木津助教授確認 (北國新聞記事

 タバコの煙や車の排ガスに含まれる発がん物質「ベンツピレン」に男性ホルモン作用があることを、金大大学院自然科学研究科・薬学部の木津良一助教授=写真=が発見した。ベンツピレンの男性ホルモン作用を明らかにしたのは世界初。自然界への影響はいまだ知られておらず、木津助教授は男性ホルモン作用の仕組み解明を急ぐ。
 ベンツピレンは物が燃える際に必ず発生する多環芳香族炭化水素の一つで、タバコの煙に含まれる代表的な発がん物質とされる。
 木津助教授はヒト培養細胞が男性ホルモンに触れると光るように遺伝子を操作し、さまざまな環境汚染物質を入れて実験した。ベンツピレンで培養細胞が光ったことから、男性ホルモン作用を確認できた。
 木津助教授はこれまで、ベンツピレンに女性ホルモンの作用があることも明らかにしており、魚などがメス化する「環境ホルモン」として注目が集まっている。一方、環境汚染物質の男性ホルモン作用は、ほとんど研究が進んでいないという。
 木津助教授は「ベンツピレンは男性ホルモンの作用を示すような構造をしておらず、不思議だ。どのような分子機構で作用を示すのかを解明したい」と話している。


2005/ 1/26  公園内を禁煙に、米大都市で初? サンフランシスコ市 (CNNニュース)

サンフランシスコ(ロイター) 米カリフォルニア州サンフランシスコの市議会は25日、市内の公園内を禁煙区域とする法案を、賛成8票、反対3票の賛成多数で可決した。サンフランシスコのような大都市が、公園内を禁煙にするのは、全米でも初めてとみられる。
禁煙となるのは、すべての公園とレクリエーション施設。カリフォルニア州ではこれまで、サンタモニカやビバリーヒルズなどの中小都市が、公園を禁煙としている。
公園の禁煙化を推し進めた市会議員は、「(公園でのタバコは)小さな子供たちにとって非常に危険なだけではなく、良いお手本とは言えない」と指摘。
さらに、「公園内に捨てられているタバコの吸い殻は、他の場所に比べて非常に多い。吸い殻は、生分解するまで10年以上かかるだけではなく、有毒成分が土中や水中に流れ込むため、環境に有害」とも話している。


2005/ 1/26  自宅での喫煙もクビ 米企業が4人解雇 (朝日新聞記事

 米ミシガン州の中堅企業が、州内で勤める全社員に就業時間以外でも禁煙を徹底させる規則を今月から導入し、喫煙の有無を調べる検査を拒否した社員4人を解雇していたことが25日わかった。社員が健康でいることが将来の医療費抑制を通じて経営上の負担を軽くするとの判断だ。禁煙意識が高い米国でも、自宅での習慣まで処分対象にするのは珍しい。
 規則を設けたのは、自らも健康保険サービスの受託を本業とするワイコ社。03年10月に社員に伝え、州法の違いから強制力を持たせるのが難しいイリノイ州の社員1人(非喫煙者)を除く約200人に適用した。
 その結果、当初いた喫煙者のうち約20人は社内の支援プログラムなどで禁煙に成功。残った喫煙者の1人は自ら退社し、4人が今月初めの検査を拒否して喫煙習慣が残っているとみなされた。
 ゲーリー・クライムズ最高財務責任者(CFO)は朝日新聞の取材に対し、「社内だけ禁煙にして自宅での喫煙は問わないことも検討したが、それでは社員の健康促進にはならない。他社も規則導入に興味を示しつつある」と意義を強調した。同社によると、解雇した4人も含め、規則に反対して提訴するような動きは今のところ出ていないという。


2005/ 1/25  英パブ大手JDウェザースプーン、来年にも全店禁煙へ (日経新聞記事)

 英パブ(大衆居酒屋)チェーン大手のJDウェザースプーンは、傘下の全650店を来年にも全面禁煙にすると発表した。英政府が掲げる公共の場での喫煙規制を先取りして実施する。
 業界アナリストによれば、禁煙を導入すると売り上げは7−12%低下するという。すでに禁煙法制が実施されたアイルランドでは20%低下したとの調査結果も報告されている。しかし、ウェザースプーンの創業者で会長のティム・マーティン氏は、同社が米カリフォルニア州で行った大規模な調査では、全面禁煙にすると最初の1−2年は売り上げが6−7%減少するものの、その後は力強く回復するとの結果が得られたという。
 マーティン会長は「30年前に50%だった喫煙率は25%まで低下しており、喫煙者の半数は禁煙したいと考えている」とし、禁煙導入は一般市民のムードを反映したものだと話す。同会長は自らも20年前に煙草を止め、10年前からは店舗に禁煙エリアを導入している。これまでは社会的なコンセンサスがない限り全面的に禁煙にすることないと述べてきたが、パブは禁煙にするが食事が提供されていないところは除外するという英政府の「支離滅裂」な政策に考えを変えたという。
 マーティン会長の意志は固いが、同社は禁煙の実施にあたり、「革命的ではなく漸進的」なアプローチで進めるという。すでに1店舗で行っている全面禁煙の実験を今夏までに60店に拡大して徹底調査を行う。発表を受けた25日の同社株価は3%下落した。


2005/ 1/24  死亡率予測ソフト:減量、禁煙…動機づけに 茨城県が国内初開発 (毎日新聞記事)

 あなたの5年以内の死亡率は? ぎょっとするような数字を瞬く間に計算するコンピューターソフトを、茨城県健康科学センターが筑波大の協力を得て開発した。日本人のデータに基づいて死亡率を計算するソフトは国内初。2月下旬にホームページ上で無料公開する。
 ソフトの名前は「脳卒中危険度予測ツール」。長年、男女とも脳卒中死亡率が全国ワースト10入りしてきた茨城県が、汚名返上のため開発した。脳卒中だけではなく、がんと心臓病を含めた「3大死因」の死亡率を予測できる。
 画面上で、年齢や性別、身長、体重のほか、定期的な健康診断で分かる血圧や血糖値、喫煙習慣の有無など19項目を記入すると、3大死因で5年以内に死亡する確率が棒グラフで表示される。記入する数値を上げ下げすると、死亡率も連動して変わる仕組みで、「自分の体に合わせた目標を設定しやすい」(同センター)のが特徴だ。
 同センターが93年から8年間にわたり、同県に住む40〜79歳の9万6589人を対象に実施した健康状態の追跡調査に基づいて作成した。
 調査期間の全死者数は男女合わせて5831人で、死亡率は6%。死因別にみると、がんが最も多く2559人で、脳卒中の814人、心臓病の大半を占める心筋梗塞(こうそく)・狭心症の466人が続いた。死亡率に大きく影響したのは血圧と血糖値、喫煙の有無で、飲酒量や尿たんぱくも関与している。
 同センターはこれらを影響の度合いに応じて重み付けし、数値を入力すると自動的に死亡率を計算するようにプログラムを作った。例えば、血圧は脳卒中や心筋梗塞・狭心症とかかわりが深く、最高血圧が160ミリHgを超えると死亡率が急増する。また、喫煙の項目を「有」と入力すると、がんの死亡率が約2倍になる。
 身長170センチ、体重83キロの65歳男性の場合、最高血圧が155ミリHg、血糖値が1デシリットル当たり140ミリグラムで喫煙者だと、5年以内のがん死亡率は3.5%。健康な人の同1%に比べてリスクは3.5倍になる。しかし、最高血圧と血糖値をそれぞれ120ミリHg、125ミリグラムに下げ、喫煙をやめると、1.2%に激減し、健康な人とほぼ変わらなくなる。
 死亡率を計算できるのは調査データのある40歳以上に限られる。ソフト開発の担当者の一人である入江ふじこ茨城県鉾田保健所長は「数値をいろいろ変えてみることで、健康を維持するために何に気をつけたらいいのか分かるはず。塩分を控えたり、減量したり、タバコをやめるといった動機付けには十分なる」と話している。

茨城県健康科学センター
http://www.hsc-i.jp/hsc/


2005/ 1/24  飲食店での受動喫煙、対策強化へ (読売新聞記事

 厚生労働省は来年度、他人のタバコの煙を吸い込む受動喫煙対策などについて、都道府県が飲食店などに行う指導のアイデアに補助金を出す事業を始める。効果が高い対策は、将来的な“全国展開”も検討する。
 補助の対象は、〈1〉公共施設に比べて受動喫煙対策が遅れているレストランやパチンコ店への指導〈2〉市町村や保健所、商工会議所などでつくる「対策協議会」の設置――など。23都道府県に、経費の2分の1を補助する。
 厚労省によると、日本の喫煙率は2002年で24%(男43%、女10%)と年々低下している。2003年5月には健康増進法が施行され、昨年1月の同省の調査では、都道府県庁舎はすべて、市町村役場では9割で禁煙・分煙対策がとられるなど、公共施設での対策は進んでいる。
 その一方で、同法で同じように受動喫煙対策が求められている飲食店では「対策は経営者の判断に任されている」(厚労省)のが実情という。


2005/ 1/21  JTのロシア子会社を脱税容疑で捜査=追徴課税73億円の支払い命令 (時事通信ニュース速報)

【モスクワ21日時事】21日付のロシア有力紙、コメルサントは、日本タバコ産業(JT) <2914> のロシア子会社が、脱税容疑で捜査を受け、国税当局から計7000万ドル(約73億円)の追徴課税支払いを求められていると報じた。ロシアのタバコ業界では最大級の脱税事件とされる。
 訴えられたのはJTの海外部門、JTインターナショナル(JTI)のロシア現地法人、ペトロで、2000年の付加価値税を過少申告した疑い。国税当局は他の年の納税についても調査中という。


2005/ 1/20  大統領府の室外でも禁煙 盧大統領も禁煙? (朝鮮日報記事

 大統領府が旧正月直後の2月14日から完全禁煙に突入する。このため、大統領府は鄭相文(チョン・サンムン)総務秘書官の主導で、今月17日から啓蒙期間を開始した。
 この期間中、パク・ジェガプ国立がんセンター院長を招き、喫煙の弊害に対する講演も聞き、喫煙職員らから禁煙誓約も受ける。
 現行法上、公共ビル内での喫煙は禁止されているが、喫煙区域を別途に指定するようになっている。
 大統領府は現在、室内での完全禁煙、室外での制限禁煙を実施中だ。そういった中、今年2月からはいっそ喫煙区域を指定しないというのだ。
 また、タバコの自動販売機を撤去し、売店での販売も禁止した。
 現在首席クラスの中では権鎭鎬(クォン・ジンホ)大統領府国家安保補佐官と李炳浣(イ・ビョンワン)広報首席だけが喫煙をしている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は官邸で、時折タバコをもらって吸っていると伝えられている。
 盧大統領が今回、完全禁煙に挑戦するかも関心事だ。


2005/ 1/20  損賠提訴:JTと国に3000万円求める−−がん患者ら /神奈川 (毎日新聞記事)

 ◇「タバコ有害隠し」−−がん患者ら
 日本タバコ産業(JT)や国がタバコと健康被害に関する正確な情報を隠したため、喫煙を続けて病気になったとして、横浜市内の肺がん患者ら3人が19日、JTや国に計3000万円の損害賠償などを求めて横浜地裁に提訴した。
 訴えたのは、いずれも横浜市金沢区の無職男性(63)ら3人。3人は20〜37年間喫煙していたが、肺がん、肺気腫(きしゅ)などと診断され、現在は禁煙している。
 訴状では、タバコの依存性と有害情報を知らせる必要性を指摘。JTと国の責任について「タバコの有害性を認識しながら、売り上げ減少と税収減を恐れ、消費者に有害情報を隠ぺいした」と言及した。欧米の厳しいタバコ規制にも触れた。損害賠償のほか、自動販売機を置く商店主らへの卸売りを禁止し、外箱に有害情報と証拠写真を表示するよう求めている。
 原告側弁護団によると、喫煙に伴う病気を理由に患者本人がJTと国を損賠提訴するのは、98年に患者7人が東京地裁に提訴して以来、全国2例目。同地裁は03年10月の判決で、賠償責任を否定。患者らは控訴した。
 JTは「訴状を受け取っていない段階でコメントは差し控えたい」と話している。


2005/ 1/19  葉巻生産国の大手キューバ、2月から公共の場を禁煙に (CNNニュース)

ハバナ──葉巻の生産で知られるキューバで、劇場やタクシー、バス、レストランなど公共の場の屋内が、2月7日から禁煙になる。貿易省が官報で通達した。「タバコや葉巻による健康への害を考慮し、国民の習慣に変化をもたらすことが目的」としている。
レストラン内は喫煙所を除いて、全面禁煙となる。また、タバコの販売機は撤去される。さらに、16歳以下の子供への販売を禁じるほか、学校の周囲約100メートル内の店でも販売できなくなる。 バーにおける喫煙については触れていない。
葉巻はキューバの主要農産物で、輸出額は年間約2億ドル(約206億円)に達する。政府統計によると、国内の10人に4人が喫煙者で、予防可能ながんで毎年死亡する1万5000人のうち、30%が喫煙と関連するとみられている。同国の総人口は2002年調べで約1130万人。
同国の元首、カストロ国家評議会議長(78)は、40年以上にわたって愛用していた葉巻を約20年前にやめている。葉巻の販売について、「敵の手に渡るのが一番だ」と冗談を飛ばしたことがあるという。


2005/ 1/19  校内全面禁煙、誓約書も 名古屋女子大が効果上げる (共同通信ニュース速報)

 喫煙したら自主退学します―。名古屋女子大・短大(名古屋市瑞穂区)は敷地から通学路までを全面禁煙とし、新入生に異例の「禁煙誓約書」を書かせるなど徹底した禁煙教育を行い、喫煙者が半減するなど大きな効果を上げている。
 一部の教員や学生から「女性差別だ」などの反対もある中、「妊娠・出産期の悪影響がはっきりしている以上、煙のないキャンパスを」と2003年度に全面禁煙に踏み切り、04年度には禁煙誓約書も導入した。これまで違反による退学者は1人もいないという。
 喫煙者には個人面接し、禁煙を促すためのニコチンパッチを支給。処方に必要な医師の診断も学内で行っている。また、愛知県内で禁煙運動を進める小児科医も講演でタバコの害を説くなど協力。04年度の調査では喫煙者は195人から98人に半減した。


2005/ 1/19  タバコ規制強化へ本腰 14省庁が初の連絡会議 (朝日新聞記事)

 タバコがもたらす健康被害の防止をめざし、世界保健機関(WHO)が主導する「タバコ規制枠組み条約」が2月に発効するのを前に18日、厚生労働省や財務省、文部科学省など14省庁の連絡会議の初会合が開かれ、タバコ広告の規制強化など今後各省庁で取り組むべき施策や協力のあり方が話し合われた。特に、未成年者対策については、警察庁など5省庁のワーキンググループで集中的に議論し、6月までに喫煙の防止教育や禁煙指導についての中間とりまとめをすることを決めた。
 タバコは、がんをはじめ心臓や脳血管の病気、早産など様々な異常の危険因子となり、医療費などとして社会全体で少なくとも年4兆円以上の損失があるとされる。未成年者の喫煙は高校3年男子の喫煙率が約40%など高率で推移している。
 各省庁の対策の主なものでは、財務省が04年10月から電車やバスへの広告を禁じたが、今年4月からは屋外広告も禁止する方針。厚労省は、職場の分煙対策の実態調査をするほか、禁煙を希望する人に保健師らが適切な指導ができるよう禁煙支援プログラムを作る。文科省は、小学校高学年に喫煙の害を教える教材を配布していたが、05年度からは中高生にも喫煙を含めた健康問題の解説教材を配布。警察庁は、03年に喫煙で少年約54万人を補導したと報告、今後も街頭キャンペーンなどを続ける。
 「タバコ規制枠組み条約」では、タバコの消費削減策の実施などが義務づけられ、現在167カ国と欧州連合(EU)が署名している。日本は04年3月署名、同6月に批准した。


2005/ 1/18  経産、金融「調査お断り」 タバコ対策で省庁温度差 (共同通信ニュース速報)

 他人のタバコの煙を吸わされる受動喫煙の防止を徹底するため、厚生労働省が各省庁に公共施設の対策状況調査を要請したのに対し、百貨店、金融機関などを所管する経済産業省や金融庁が難色を示していることが18日、「タバコ対策関係省庁連絡会議」の初会合で報告された。
 「既存の統計調査に一項目を盛り込んで」との要請にも「調査目的にそぐわない」と両省庁。タバコ対策に省庁間で温度差が現れた格好だ。
 この会議は「タバコ規制枠組み条約」が2月27日に発効するのを前に、関係する14省庁の局長が情報交換と対策強化のため集まった。
 枠組み条約は公共の場所の受動喫煙防止を定めており、厚労省は既に医療機関などを対象に禁煙や分煙の実施状況調査をスタート。学校や体育館を所管する文部科学省、ゲームセンターを所管する警察庁、バスや電車などを監督する国土交通省などは「検討する」などと前向きな回答だった。


2005/ 1/18  受動喫煙対策、全国の公共施設を総点検・厚労省など (日経新聞記事)

 他人のタバコの煙で健康が脅かされる「受動喫煙」問題で、厚生労働省は2005年度から、公共施設などの実態調査を始める。公共施設は健康増進法が受動喫煙の防止に努めるよう定めているにもかかわらず、一部では取り組みの遅れも指摘されている。厚労省は各施設を所管する他省庁にも協力を依頼。初の大掛かりな調査になる。
 調査対象は学校や病院、劇場、百貨店、事務所、飲食店、ホテル、鉄道駅、娯楽施設、タクシー車内など。各施設を所管する省庁や業界団体による定期的な全国調査の際に受動喫煙対策の質問項目を追加してもらい、分煙や禁煙など取り組みの有無や状況を聞く。
 厚労省の場合、全国8万カ所以上の社会福祉施設を対象とする毎年の調査や、全国約17万カ所の医療施設を3年に1回調べる実態調査などを活用する。他省庁分も合わせ、数年内には同法が対象とする全種類の施設の調査を終えたい考え。


2005/ 1/18  <喫煙>本数が多いほど自殺の危険性大 厚労省研究班 (毎日新聞記事)

 中高年の男性喫煙者では、1日に吸うタバコの本数が多いほど自殺する危険性が高まるとの大規模疫学調査結果を厚生労働省研究班がまとめた。研究班は「タバコの本数の多い人の心の健康に注意を払う必要がある」と提言している。21日から大津市で開かれる日本疫学会で発表する。
 研究班は90年と93年に岩手、長野、高知、長崎、沖縄など8県に住む40〜69歳の男性約4万5000人の生活習慣などを調べ、00年まで健康状態を追跡調査した。この間に自殺が確認された173人について、喫煙との関係を調べた。
 調査開始時は、173人中108人が喫煙者だった。1日20本未満の喫煙者の自殺割合は非喫煙者と同程度だったが、1日30〜40本未満のグループは20本未満のグループに比べ1.4倍、40本以上のグループは同1.7倍高かった。吸い始めてからの年数による差は見られなかった。
 高知大が昨年まとめた司法解剖例の調査でも、タバコを吸う習慣がある人では、自殺した人の血液中のニコチン濃度が事故や病気で死亡した人よりも高いとの結果が出ている。
 分析を担当した国立がんセンター予防研究部の岩崎基研究員は「喫煙と自殺を結びつけるメカニズムはよく分かっていないが、ニコチン依存がうつ病の危険性を高めるという研究結果もある。禁煙によって危険性が下がるかどうかは今後の研究課題だ」と話している。


2005/ 1/17  マイルドセブンに油付着=10万箱を回収へ−JT (時事通信ニュース速報)

 日本タバコ産業(JT)は17日、東海工場(静岡県磐田市)で製造された紙巻きタバコ「マイルドセブン」(ソフトパック)2万本に機械油が付着している可能性があるため、店頭などで回収すると発表した。14、15の両日に販売店に配送した、賞味期限が「H17.10」と記された約10万箱(200万本)すべてを回収対象とし、問題のない製品と取り換える。 問題の製品は、14日以降に東京、福島、栃木、群馬、茨城、埼玉、千葉、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡の1都11県で流通。油は巻き紙を納入した旭栄紙業(同県富士川町)の工場内で付着したのが原因で、このタバコを吸っても人体への影響はないという


2005/ 1/17  ドイツマスコミスキャン〜タバコ広告の禁止 (JANJAN記事

 → http://www.janjan.jp/media/0501/0501122505/1.php


2005/ 1/17  タバコ多いほど自殺の危険 中年男性で、厚労省研究班 (共同通信ニュース速報)

 日本人の中年男性では、1日に吸うタバコの本数が多いほど自殺する危険性が高まるとする大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)がまとめた。21日から大津市で開かれる日本疫学会で発表する。
 日本は年間3万人を超える自殺者が出ており、自殺による死亡率が世界でも非常に高い。研究班は「タバコと自殺の関係は未解明の点が多い。禁煙で自殺が減るかどうかも研究課題だが、喫煙本数の多い人の心の健康に注意することは、自殺予防対策に有効だろう」としている。
 研究班は40−60代の男性約4万5000人を約10年間追跡。この間に自殺した173人の喫煙状況を調べた。
 その結果、1日の喫煙本数が20本未満の人と比べて、自殺の危険性は30本以上40本未満の人で1・4倍、40本以上の人で1・7倍に、それぞれ高まった。


2005/ 1/14  少年漫画誌の喫煙場面、平均8.7カ所 厚労省調査 (朝日新聞記事)

少年漫画雑誌には喫煙場面が1冊当たり8.7カ所もあるが、タバコの害についてのメッセージがほとんどないことが、厚生労働省の研究班による調査でわかった。タバコ業界の自主規制で未成年がよく読む漫画雑誌には広告こそないものの、公衆衛生の専門家の間では漫画そのものが広告の役割を果たしているという見方があった。その実態が数字で裏付けられたといえる。主任研究者の鳥取大医学部の尾崎米厚助教授(環境予防医学)は「漫画雑誌が未成年者の喫煙に影響を及ぼしている可能性がある」と指摘している。
小中高校生らによく読まれている発行部数の多い少年漫画5誌(週刊3誌、月刊2誌)を選び、94〜02年の偶数年の5年分838冊の計42万6350ページを国会図書館で調べた。喫煙場面は7328カ所、1ページに占める場面の大きさを加味して換算して1608ページあった。1冊当たりにすると、8.7カ所、1.9ページ分になる。5誌のうち最も多いものは、1冊当たり15.6カ所、3.5ページ分だった。
囲碁、将棋、マージャンなどを扱ったゲーム競技もので最も多かった。登場人物の中では男性の脇役が吸うケースが全体の約3分の2強(ページ換算)を占めた。タバコが体に悪いというメッセージは、喫煙場面のうち0.2%しかなかった。
この成果は21日から大津市で始まる日本疫学会学術総会で発表される。


2005/ 1/12  東海道新幹線:デッキの灰皿を一部撤去 (毎日新聞記事)

 東海道・山陽新幹線の喫煙車デッキに設置していた灰皿が、分煙を徹底させるため、一部を除いて撤去された。接続した禁煙車のドアが開くたびにタバコの煙が流れ込むのを防ぐ狙い。鉄道管理者に対して受動喫煙の防止を義務付けた健康増進法の施行(03年)以来、列車でも禁煙の動きが加速している。
 JR西日本とJR東海が先月28日から撤去作業を始め、今月4日までに完了した。禁煙車でも、喫煙車からタバコの煙が入り込めば、浮遊粉じん濃度が国の喫煙室基準濃度(1立方メートル当たり0.15ミリグラム)の3倍近くになるという調査もあり、両社は「お客様の苦情が多く、取り外しを決めた」という。ただし山陽新幹線「ひかりレールスター」(8両)では、喫煙車同士を結ぶデッキでも一部に灰皿を残している。
 一方、JR東日本の東北・長野新幹線は、灰皿は一部にしかなく、九州新幹線は昨年3月の開業時から全面禁煙になっている。


2005/ 1/10  イタリアで新禁煙法が施行…飲食店は分煙、違反者罰金 (読売新聞記事)

【ローマ=藤原善晴】イタリアで10日、レストランやバル(軽食・喫茶店)での「分煙」などを求める新しい禁煙法が施行された。違反客には最高275ユーロ(1ユーロは約137円)が科される。
 同日午前0時過ぎには南部ナポリで違反第1号の摘発があり、罰金最低額の27・5ユーロが科された。
 違反客に関して、店側にも警察への通報義務があり、違反した経営者は最高2200ユーロの罰金や営業停止処分となる。これに対し、経営者協会側は「分煙には努めるが、通報はしない」と反発している。
 新法では、排煙装置付の喫煙コーナーを設けなければ、店内は全面禁煙となるが、そうしたコーナーのある店は1割程度。保健省の調査によれば同国の成人の約26%が喫煙者。警察当局は「最初の2か月は最小限の違反キップしかきらないが、その後は厳しく取り締まる」としている。


2005/ 1/ 9  大相撲・本場所の全席禁煙スタート (朝日新聞記事)

 大相撲初場所は9日、東京都墨田区の国技館で初日を迎え、史上初めて本場所の全席が禁煙となった。これまでの2階席などに加え、伝統的に喫煙が認められてきた升席も禁煙となった。
 この日は天皇、皇后両陛下を迎え「満員御礼」の垂れ幕が下がった。升席や通路から灰皿が撤去され、タバコを吸いたい人は屋外の喫煙所へ出た。横浜市の会社員平川薫さん(33)は「寒い思いをして吸っているけど、禁煙は良いこと。通路も煙たくなくなった」。「時代の流れだから仕方ない」との声も多く、昨年秋場所から場内に「節煙」を呼びかけたこともあり、混乱はなかった。
 国技館の升席は相撲開催中に限り、伝統的に喫煙が認められてきた。だが、一昨年5月に公共の場での受動喫煙の防止を義務づける健康増進法が施行され、嫌煙権を主張する団体から、禁煙化の要望が日本相撲協会に出されていた。文部科学省の指導もあり、全面禁煙となった。
 年3度の東京場所のほか、3月の春場所(大阪府立体育会館)、7月の名古屋場所(愛知県体育館)、11月の九州場所(福岡国際センター)も今年から全席禁煙になる。


2005/ 1/ 8  タバコで何得た?自分の意志?質問で吸う気リセット 名鉄病院医師が新禁煙術考案 (中日新聞記事)

 「タバコは、あなたに何を与えてくれますか」「自分の意志で吸っているのですか」−。喫煙者にいくつも質問し、答えてもらうことで、タバコを吸いたくなくする「リセット禁煙」の実演講習会が一月九日午後一時半から、名古屋市昭和区の中京大名古屋キャンパスセンタービルで開かれる。薬を使わなくても不思議と続く禁煙術。新年を機に試してみては−。
 「リセット禁煙」を考えたのは名鉄病院(名古屋市西区)呼吸器科の医師磯村毅さん(41)。呼吸器科では、肺に病気があって「タバコをやめたい」と思う患者が多い。だが一時やめても、次に診察すると、再び吸っている。苦労して治療しても吸ってしまえば意味がない。「なぜ、やめられないんだ…」。タバコを吸わない磯村さんが真剣に悩んだ。
 禁煙治療は、医師の指導により、ニコチンパッチなど禁煙補助剤を使ってニコチン摂取量を少しずつ減らしていく方法が一般的だが、磯村さんはこの方法に限界を感じたという。
 禁煙方法を説く本を読みあさるうちに二〇〇三年秋、考え出したのが「リセット禁煙」。喫煙者にタバコに関する質問を続け、タバコとはどんなものか、喫煙者自身の言葉で気づかせる。一方で、ニコチンが脳波や神経伝達物質の分泌などにどんな影響を与えて「吸いたくなる」のか、医科学的な説明もする。
 この一年間で数十人に禁煙を実行させた。「赤ん坊のころは、誰もタバコを吸わなかった。おなかいっぱいになるだけでよかったのに、食後の一服がないと満足しないのはなぜ?」と磯村さん。どうして吸い始めたか、なぜ吸い続けるか。じっくり考えて「吸わない自分」に戻ることが「リセット」という言葉のもとだ。
 〇四年九月には、こうした対話による禁煙治療を、ストーリーを読み進むことで体験できるようにした「リセット禁煙のすすめ」(A5判、七十八ページ)を自費出版した。
 一月九日の講習会は、「子どもをタバコから守る会・愛知」の創立一周年記念のイベントとして実施。磯村さんが、来場者の前で喫煙者と対話し「リセット禁煙」を実演する。問い合わせは同会事務局=電052(881)3594=へ。


2005/ 1/ 5  敷地内の全面禁煙へ 4月実施目標 熊本機能病院が対策委 「医療者自ら範を」 我慢できない職員も 先行例では"苦戦" (熊本日日新聞記事)

 喫煙による健康被害が指摘される中、「患者の健康を守るには、まず医療者自身が範を示そう」という声が高まっている。熊本市山室の熊本機能病院(米満弘之総院長、四百十床)でも、大病院としては全国で数少ない「敷地内の全面禁煙」に向け、喫煙対策委員会を発足させた。四月の完全実施を目指す。
 「喫煙コーナーのいすは取り外す。タバコの自動販売機も、早く契約を解除して撤去するように」「喫煙場所からはみだして吸わないように、床にテープを張ってほしい」―
 高いリスク
 昨年十二月、同委員会のメンバーが院内を回り喫煙所をチェック。委員長の水野雄二循環器科部長が、てきぱきと指示した。同病院では現在、館内に喫煙所を設け「分煙」としている。
 「いすを撤去すれば、喫煙者は立って吸うようになり、天井に設けられた排気口に煙が吸い込まれやすくなる。ちょっとした工夫が大事」と水野部長。
 がん、心臓病、脳卒中、肺炎と、日本人の死因で上位のいずれも、喫煙がリスクを高める。「タバコは、呼吸器だけでなく、脳、心臓にも悪影響を及ぼす。骨折した患者が喫煙すれば、骨の接着も悪くなる。禁煙を医師や看護師らスタッフがきちんと患者に指示できなければいけない」と完全禁煙の意義を強調する。
 委員会は昨年十月、院内の医師、看護師、リハビリ、事務部門など委員十五人でスタート。「自らタバコの害を認識して、禁煙を率先して広めてほしい」(水野部長)と、実動部隊となる小委員会のメンバーの多くに喫煙者を当てた。毎月二、三回の会合を開いているほか、職員への研修で禁煙を進めている。
 各部門の職員の喫煙率も調査。全体では14%で、医局は2%台だったが、看護やコメディカル部門が15%と高く、二、三十歳代に多かった。
 認定狙いも
 同病院が禁煙を進める背景に、日本医療機能評価機構の「優良病院」認定を更新する狙いもある。認定条件は七月、現行の「分煙の徹底」から「全館禁煙」に変わるためだ。「いい病院として社会的な評価を受けるには、禁煙は不可欠。患者や医療者にも理解を求めながら段階的に完全禁煙を進めていきたい」と水野部長は力を込める。
 しかし、実情は厳しい。「建物内禁煙」こそ、熊本大付属病院や済生会熊本病院、熊本赤十字病院などの医療機関が取り組んでいるが、敷地内の「完全禁煙化」はまだまだ進んでいない。患者が気分転換をする機会を奪うことになりはしないかという懸念もある。
 難しい指示
 県健康づくリ推進課によると、「くまもと21ヘルスプラン」の推進母体となる県健康づくり県民会議に参加する三十六団体でも、「完全禁煙化」は県看護協会(熊本市東町)など四つだけ。日本医師会では禁煙キャンペーンを展開しているが、県医師会は「禁煙の取り組みは各医療機関が決めていくことなので、強く指示することは難しい」と話す。
 大阪市の国立病院機構・大阪医療センターは昨年四月から、敷地内全面禁煙に踏み切った。「分煙では、喫煙コーナーからはみ出して吸う人が出てきて効果が薄い」と廣島和夫院長。ところが、全面禁煙から二カ月後、喫煙する職員を対象に調査した結果、業務中でも我慢できず喫煙している人が二割あったという。
 「タバコは病気をつくり、治りを遅くすると、医療者がはっきり患者に指摘すベき。なのに、医療者自身に浸透していないのは残念。タバコの害を容認するかどうか、医療者の姿勢が問われる」と訴える。
【写真】05年4月の敷地内完全禁煙を目指し、喫煙場所の改善を指示する喫煙対策委員会のメンバーたち=熊本市の熊本機能病院


2005/ 1/ 5  受動喫煙:子供の成績低下 米チーム発表 (毎日新聞記事)

 受動喫煙の機会が多いと、子供の読解や算数の成績が悪いとの研究を米シンシナティ子供病院(オハイオ州)のチームがまとめ4日、米公衆衛生専門誌に発表した。
 受動喫煙の子供の健康への害は知られているが、知的能力への影響ははっきりしていなかった。今回の研究で、子供がさらされるニコチンが低濃度でも危険なことも示され、タバコを吸う親に禁煙圧力が強まりそうだ。
 研究は、過去に米政府が全米で実施した健康調査の被験者になった6〜16歳の子供で、タバコを吸わない約4400人が対象。ニコチンが分解されてできる「コチニン」という物質の血液中の量を測ったうえで読解、算数(数学)、論理的思考力、短期記憶力をテストした結果、コチニン濃度が高いと読解、算数、論理的思考力の点数が低いことが判明。濃度が極めて低くても関連ははっきりしていた。
 チームは「個別の点数低下はわずかだが、米国全体で3300万人以上の子供が受動喫煙の害を受けているとみられ、公衆衛生上重大な問題だ」と指摘している。


2005/ 1/ 4  新幹線禁煙車を煙害から守れ JR東海、デッキの灰皿撤去 (中日新聞記事)

 新幹線の喫煙車から隣の禁煙車にタバコの煙が流れ込む問題で、JR東海は、東海道新幹線の禁煙車と喫煙車との間のデッキでの喫煙を禁止するとともに、デッキに設置していた灰皿の撤去を始めた。
 新幹線(十六両編成)の自由席、普通指定席の喫煙車は「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」にかかわらず三、四号車と十五、十六号車。隣となる禁煙車の二、五号車、十四号車との間にあるデッキには灰皿があり、喫煙できた。このため、自動扉が開くたびに、禁煙車に煙が流入。「禁煙席なのに、タバコのにおいがする」との苦情が出ていた。
 二〇〇三年五月施行の健康増進法で、鉄道車両の管理者は受動喫煙の防止を義務づけられていることから、帰省ラッシュの十二月二十八日から、デッキの禁煙に踏み切った。灰皿の撤去も順次行い、今週中には対象となる灰皿すべての撤去を終える。
 グリーン車の喫煙車(十号車)の両サイドデッキには灰皿は設置しておらず、はじめから禁煙だった。喫煙車と喫煙車の間のデッキはこれまで通り、喫煙でき、灰皿もある。両方とも禁煙車の場合のデッキは以前から禁煙となっている。
 喫煙車から禁煙車に流れ込むタバコの煙害については、喫煙車が満席だと、禁煙車内のタバコの浮遊粉じん濃度が国の基準の約三倍になるとのデータを東京大大学院の研究生らが発表している。


2005/ 1/ 3  ナビタス、タバコ吸わない社員全員に手当 (日経新聞記事)

 特殊印刷機械大手のナビタスは2005年1月から、タバコを吸わない社員を対象にした助成制度を始める。「禁煙手当」を与えて喫煙者の禁煙努力を報いる企業は多いが、同社はタバコを吸わない「嫌煙」社員全員を評価して社内の禁煙意識を高める。
 グループ会社を含む約100人の社員が対象。1月5日の仕事始めに「禁煙宣言」をした社員にまず一律2万円を支給し、1月支給分の給料から毎月1000円の禁煙助成金を支給する。助成金額は年度替わりの4月に、前年度の業績に連動して増減する。「職場環境の改善や健康増進が業績に反映するという事を社員1人ひとりに意識づける」(山下晴文社長)
 同社社員の喫煙率は6割近くに達している。新制度の下、会社全体で禁煙に取り組む姿勢を明確にして喫煙率の早期低減を目指す。